気分が乗ったので連投します。
人間が出てくるのはいつになることやら・・・。
ムラサキカガミ、私の種族だ。
ムラサキカガミという言葉を二十歳まで覚えていると、死ぬ。もしくは不幸になる。
そういった伝説というか説のある妖怪だ。
それ以外に、ゲームのイメージであるならば、物理、衝撃系の攻撃以外ははじき返すといったところかな。
とにかく、私にもその程度の知識はあるのだ。だからこそ行動するべきだった。
私は妖怪なのだ。人間ではない。
そう実感した時にはもうすでに遅い。
私の周りには大量の生き物だったであろう残骸のみ。
小さな私の同居人はいない。その存在がどこにも無かったかのように姿形すらありはしない。
もっと、私がしっかりしていれば・・・。
妖精ちゃんは長い年月をかけて大きくなるようだった。
彼女と生活を始めてから18年が経った時のことである。私は妖精ちゃんが大きくなっているのに気がついた。
最初は手で包めるほど小さかったのに、今では足くらいの大きさになっていた。
私の体は全く成長しないというのにだ。どこも。
妖力や能力はどんどん力を付けてはいる。妖力に関しては使い方が分からないから放置しているし、人もいないのにだ。能力は2メートル先の物体にも触れずに使えるようになっていた。こちらは修行の甲斐もあってか結構目に見える成長がある。
しかし、この能力は概念的なものには使えないようだ。つまり時間などの操作は出来ないということだ。
神様はとてもあいまいな奴のようだ。私の能力はありとあらゆる力と力の向きを操れる程度の能力にしてほしかったのに、どうやらただの物理的な力を操れる程度の能力になってしまったようだ。
そして、妖精ちゃんの能力も強くなっているということだ。
彼女の能力は、私の能力名と照らし合わせれば冷気を操る程度の能力だろう。以前私と北風と太陽ごっこをしたときに凍らせる以外の力の使い方をしていた。
私より有効範囲がかなり広く、太陽が負けたのは言うまでもないことだ。
しかし、妖精が妖怪より強いというのは驚きだった。能力においてだけれど。
しかし、いまだに世界は氷に閉ざされている。このままだと私はおばあちゃんになりそうだ。
・・・ロリババアというやつである。
閑話休題。数年間連れ添ってきて、お互いのことは若干ながらも分かってきたし、仲も良くなってきた。
しかし、知らないこともある。お互いの名前とかだ。
いや、まあ。私の名前は男の時より今の方が似合う名前なのだが、どうにも嫌いでなぁ。
どこかの小説の主人公と同じ名前なのだよ。
だから、私の種族だけ教えておいた。
閑話休題。私も妖精ちゃんも強くなってきたのだから、今日は二人でご飯を狩りに行こうと思う。
妖精ちゃんは私が狩りに行っている間は家の中でいたずらをしているし、暇なら外に出ようぜと。
「じゃあ、今日も狩りに行くけど・・・付いてくる?」
「・・・!!」
すごい食い付きだった。すぐさまこちらへ飛んできて頭に乗ってきた。
能力を切っていれば彼女を触ると凍傷になってしまうが、普段から寒さは防いでいるので問題はない。
「じゃあ、しゅっぱーつ!」
能力を使って走り出す。氷を踏むたびにはじかれる様に加速する。
そしてすぐさま狼の群れを発見する。
「狩りの時間じゃぁ!」
最近は狼も私との力の差が分かってきたようで。私を見つけると逃げ出してしまう。
だから私は大きく上に飛び上がる。
声を聞いて振り返る狼たちだがそこには何もいない。そして
空気を蹴って加速した私が一匹の狼を目がけて降ってきた。
周りはその狼を見捨てて私が来た道へ逃げ出す。
私に捕らえられた狼は一撃で頭をひしゃげて動かなくなっていた。
「さて、狩りはおしまいかな」
頭に乗っている妖精ちゃんに話しかける。
返事がないので頭を触ってみた。
・・・どうやら急がないといけないようだ。
「やばい、狼が向かった先に妖精ちゃんが落っこちているはずだ!」
来た道を大急ぎで引き返す。倒した狼なんて忘れて。
ずっと向こうで狼たちが塊のように一ヵ所に集まっている。
近づくほどにそこで何が行われているのかが分かってくる。
小さな食料を奪い合うかのように顔を寄せ合う獣たち。その足元にある飛び散った肉片や血。
パチンッと私の中で何かが弾けた。
「そこから・・・離れろぉぉぉぉぉ!!!」
私の意識があったのはそこまで。最後に見えたのは私を見つけてほっとするような、悲しそうな顔をした氷の妖精ちゃんの顔だった。
小さいころの子供というのは本能的で、裏表がない。だからこそ時に残酷なことをする。
そう思った。
気が付いた私はあたりの惨状が自分のやったものだとは信じられなかった。
氷は砕け、あたりには何かの肉や血が付いている。私は返り血まみれだが、傷一つ負っていなかった。
そして最後に見たはずの妖精ちゃんはどこにも見当たらない。
思い返せば、妖精ちゃんの大きさ的にも生まれたてだということは分かっていた。
ただ自分の名前が嫌いなだけで種族を教えてしまった。
ムラサキカガミ、その言葉を20歳まで知っていれば不幸になるというのに。
妖精ちゃんを不幸にしてしまった。
私の目から涙が溢れる。この世界で初めての涙だった。
「ごめんね・・・。ごめんね」
蹲って涙を流す。私はそのまま泣き続けた。
泣き疲れて寝てしまったようだ。気が付いたら朝日が昇りつつある。
いつまでもこうしてはいられない。ずっといたら襲われてしまう。
「帰ったらもう一回寝て、それからお墓を作ろう」
無理に声を出して元気を出してみる。声が震えて逆効果だった。
とりあえず帰ろう。
ここから動きたくないかのように体は重い。足を引きずりながら私は帰路に就いた。
「ただいま・・・」
帰ってくるといつも妖精ちゃんが出迎えてくれる。顔いっぱいに笑顔を浮かべて。
今日は頭も撫でてくれる。私を元気づけてくれているようだ。
「・・・え?」
そこにはいつものように妖精ちゃんがいた。
「妖精というのは自然そのものなので、死ぬことは無い。ということ?」
「・・・!」
そうらしい。私は嬉しくてまた泣きそうだった。しかし、泣くことはしない。恥ずかしいし。
だから、ひとつだけ言うことにした。
「おかえり、妖精ちゃん!」
「・・・!!」
私たちの生活はこうやって続いていくのでした。まる。
翌日、私たちは修行をすることにした。能力の。
今回は私の不注意やらなにやらで起きたことだけど、今後も起きないというわけではない。だからこそ私はもっと強くならなければいけないし、妖精ちゃんにも強くなってもらわなくてはならない。
また、今後は私の事を教える時は気を付けなくてはならない。
ムラサキカガミという言葉を二十歳まで覚えていると、死ぬ。
不幸にもなるらしいけど、それは今は関係がない。とにかく、ここでの問題はムラサキカガミという言葉を二十歳まで覚えているということである。
今後、私はムラサキカガミと名乗ることをやめなければいけない。
新しい種族になるんだー!というやつだ。
名前を名乗るのがいいのだろうけど、私的には恥ずかしいのだ。
ということで、今後の課題もいっぱいあるけど、妖精ちゃんと一緒に解決していこう。
しかし、妖精ちゃんには流石に私の名前を教えなくてはならない。
「妖精ちゃん、今更だけど私の名前はね・・・?」
××っていうんだ。
最後がちょっとグダグダになってしまいました。すいません。