真剣で私に恋しなさいSS(ダブルエス)   作:雷の人

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第一話:帰ってきたあの男

五年後の四月、風間ファミリーの主だった面子は川神学園の二年へと進級、百代も三年へと上がり、そして紫が学園へと入学した。

 

大和たちが住まう島津寮には八つの部屋がある、上下四部屋づつでそれぞれ男女半々になる、が今のところ101のキャップ、102の大和、103のゲンさん、105が空室で201も空室、202に京、203に一年の黛、205に紫が入室する事になっている。

 

三年で戻るといった悠、二年に上がってもなかなか戻ってこないが何時かは必ず戻って来るはずだ、そう信じ続ける四月、2-Fでは一つの話題でもちきりだった。

 

転入生が来る、しかも二人も。

 

一人はドイツリューベックからの留学生、女子らしい。

 

もう一人は九州は福岡から、こちらは男子という話だ。

 

しかし風間ファミリーの面子にとってはもう一つの情報、二人の転入生は島津寮に入るらしいのだ。

 

今日は秘密基地での集会。

 

「いやー、賑やかになるよなぁ!!」

 

風間翔一は、五年経っても相変わらずだ。

 

「まぁ・・・それなりには仲良く出来るといいけどね」

 

直江大和は厨二病から脱却し、広い人脈を構成しはじめている。

 

「・・・」

 

椎名京は相変わらず他人事には我関せず、といった様子。

 

「女の子可愛いとイイなぁ」

 

島津岳人はより筋肉だるまになった、失恋記録は更新中だ。

 

「岳人は相変わらずブレないよねぇ」

 

師岡卓也はかつてとある人物が期待した通り、ツッコミ役になっている。

 

「うーん・・・・むにゃむにゃ・・・」

 

川神一子は忠勝に膝枕されながら爆睡中である。

 

「まぁおんなじ寮に来るんだろ?ある程度付き合えばそれで良いんじゃねぇのか」

 

源忠勝は風間ファミリーの面々の影響か、デレ率が上がってきている。

 

「ふふふ、まぁどっちでも良いですが・・・んふ」

 

上泉紫は五年でより分からない人間になりつつある。

 

「女の子は可愛いほうで、男は強ければ無問題だ」

 

川神百代は、見事なまでの戦闘狂と女好きへと転身(?)を遂げていた。

 

「明日だっけか、転入生が来るの」

「らしいねぇ」

「誰が来ようと無関係、無関係」

「楽しくなりそうだなぁー!!」

 

喜色満面なキャップ、この時は、誰もが、予想しなかった、懐かしき友との再開を・・・

 

翌日の朝、川神学園は新たに来る転入生の事で湧いていた。

 

:2-F

 

「しかし二人とも同じFに転入とは」

「留学生の方は学力的にだがもう一人は最初からF希望だったのでな」

 

大和の疑問に対し担任である小島先生が答えた。

 

「で、何時頃来るんですか?」

 

と、クラスメイトの一人が言うと時計を確認する小島先生、時刻は8時半。

 

「そろそろ来るはずだが・・・」

 

ふと、ざわめく声に、一斉に外を見ると・・・馬で登校してきた金髪の美少女がいた。

 

「クリスティアーネ・フリードリヒ・・・ドイツリューベックより推参!!この寺子屋で今より世話になる!!!」

 

ざわめく学園、そこへ・・・

 

「フハハハハ!転入生が朝から馬で登校とは・・・やるな!!!」

 

2-S委員長でありある意味問題児な男、九鬼英雄。

 

この二人が舞台みたいなやり取りを始め、全員が二人目の転入生の事を意識から外した時・・・・

 

「んなところで何時までくっちゃべってんだ、通るのに邪魔だろうが・・・退け」

 

低く、重厚な、だがよく通る声が響く。

 

「む?」

「何?」

 

クリスと九鬼が同時にそちらへと視線を移し、それを観ていた生徒たちの視線もそちらに移る。

 

白髪、赤い眼、頬の一本傷、そして腰から下げる刀。

 

:2-F

 

「!?ゲンさんあれってもしかして!!」

「・・・・・やっと戻って来やがったか、バカ兄貴」

「遅すぎるだろ、二年オーバーだぜ」

「まぁ戻ってきたからいいんじゃないの?」

「もーまんたい」

 

一瞬の空白、そして大和が教室を振り返る、二人いない。

 

「キャップとワンコは!?」

「あ!?」

 

忠勝も振り返るが確かに二人いない。

 

「さっき物凄いスピードで二人で出てったよ」

「いや止めようよ!!」

 

さらりという京にツッこむモロ。

 

:1-F

 

「あれ?ゆかりんいないんだけど」

 

:校庭

謎の転入生に、駆け寄る影が三つ。

 

「おにいちゃーん!!」

「ゆーうー!!」

「義兄様ぁー!!」

「んぁ?おぶふぅっ!!?」

 

三つの影による速度の乗ったタックル、押し倒される転入生、そして・・・

 

「お前らぁ・・・」

 

むくりと起き上がる、と。

 

「ただいま」

 

笑いながら、三人の頭を順にポン、と叩いていく。

 

「が、取り敢えず退け」

 

三人をどかせば、校舎へと体を向ける、そして・・・

 

「立花悠だ!!今日からここで世話んなるぜぇ!!!」

 

クリスに比べて簡潔な、口上を述べるのだ。

 

:2-S

 

「わはーい♪悠兄ぃだぁ♪」

「コラコラ、スカートで跳ねるんじゃありません」

「下着見えるぞコラぁ」

「ユキははしゃいでますねぇ、私も嬉しいですが」

 

こちらもまたはしゃぐ四人組。

 

ぴょんぴょんと飛び跳ねるのは榊原小雪。

それをたしなめるハゲが井上準。

もう一人たしなめるのが真田庸介。

微笑ましそうに見るのが葵冬真。

 

この4人は風間ファミリーとは別のグループではあるものの、よく共に遊んだりする仲である。

 

:2-F:HR

 

「決闘よ!クリス!!」

 

そう高らかに宣言する一子、なんか血気盛んになったなぁ、と思いつつそれを眺めている悠。

 

「受けてたとう」

 

それをあっさり受理するあたりこのクリスも血気盛んなんだろうな、と思っていたりする。

 

あーだこーだと騒ぎながらほとんどの学生が教室から出る中、残ったのは悠、大和、翔一、忠勝の4人だ。

 

「ただいま」

「期限オーバーだ」

「お前は相変わらずつっけんどんな物言いするな」

「まぁ、帰ってくるって俺は信じてたけどな!!!」

「お前も相変わらずで助かった」

「いや、本当に帰って来てくれて嬉しいよ」

「俺はお前の厨二病が治ってて嬉しいよ」

 

フッ、と軽く笑う4人が、拳を突き合わせる。

 

「ま、今日からまた頼むぜ」

 

:放課後:島津寮

 

「何故俺の部屋の上が紫なんだ」

「何か問題でもおありですか?義兄様」

 

自分が入る予定の部屋の上が紫の部屋であることが判明した途端、抗議に出る悠。

 

「んー、でも今更部屋替えもねぇ・・・」

 

ちょっと困った顔をするのは岳人の母親で寮母でもある麗子さんだ。

 

「くっ・・・仕方無い、防犯体制を整えるしか無いというのか・・・」

 

:秘密基地:夜

 

「驚きの連続だな」

 

以前の金曜集会と言えば、原っぱで日がくれるまで遊んで騒いでぐらいの集まりであった、と悠は認識している、だが目の前にあるのは・・・

 

ビルだ、廃ビルだがそれなりに立派な、建物内も改造が加えられている。

 

「スゲェだろ!!」

 

と、翔一が自慢げに胸張っていたのを覚えている。

 

「さて、今日の議題だ!」

 

しばらくまったりとしていれば、急に翔一がそんな事を切り出した。

 

「・・・・・クリスの事か?」

 

悠が何となく当たりをつけてといかける。

 

「流石悠、分かってるじゃないか」

「ん?クリがどうかしたの?」

「俺たちのグループに入れよっか、って議題出てただろ?」

「今聞いたよ!」

 

さらりという翔一にモロがツッこむ、五年前よりも切れ味が良い、やるな、なんてくだらない事を悠は感慨深げに思う。

 

「で、俺は良いと思うんだけど?」

「というかなんでその考えに到達するわけさ?」

 

と、大和が問いかける、ずっとこの十人から増える事なくやってきた、慎重になっているのだろう。

 

「だって梅先生のも頼まれたじゃん」

「まぁ面倒みろってぇ事は言われてたな」

「クラスメートとして仲良くするのは当然だけど・・・それと金曜集会《ここ》にまで誘うのはレベルが違うよ」

「そんな事はわかってるさ、でもクリスは逸材だぜ?ここの女子連中に負けず気が強いし面白いし!」

 

眼をキラキラと輝かせながら翔一が言う、こういう時の翔一はテコでも動かない。

 

「俺気に入ったもん、一緒に遊びてぇって思った!で、久し振りの新メンバー加入、どう思うよ皆?」

「皆に聞いてみなよ、キャップ」

 

大和が暗に多数決を提案すればそれぞれが意見を述べ始める。

 

「賛成だ、クリスは欲しい。色んな意味で」

 

百代が賛成。

 

「俺様賛成、理由は簡単だ、可愛いし骨もあるから」

 

岳人も賛成。

 

「クリは要らん子だと思うけど・・・まぁ何時でも勝負挑める相手が増えるのはいいわね、でもアイツ自身こういうの好きかしらね?」

 

一子は保留。

 

「私は反対、他人は増やさなくていいよ、いらない、そんなもの」

 

京は反対。

 

「んー、僕も京と同じで反対かな」

 

モロも反対。

 

「様子見かな、アイツだって異国で寂しいだろうし・・・ちょっと気に食わない事はあったが引きずっても何の得にもならん、だが正直アイツ自身がここに馴染むか・・・」

 

大和は保留。

 

「まぁ・・・良いんじゃねぇか?アイツに決めさせりゃ良いだろ」

 

忠勝も保留。

 

「要らないですよ、この十人がいれば他は要らないです」

 

紫は反対。

 

そして視線が一気にこちらへと向けられる。

 

「悠はどうだ?」

「ん・・・保留で、少しデリケートな問題だしな、五年ぶりでお前らがどういう性格になったか把握できて無いからなんとも言えない」

「賛成3に反対3、保留4か・・・じゃあ状況を見て判断、って事で・・・まぁ空気悪くなりそうだったら遠慮なく切るって事で」

 

悠は、少しばかり驚いている。

 

あれだけ好奇心に任せ突っ込むだけだった翔一が、京を気遣って厳しい言葉を使っている、成長、しているんだな、と感じた。

 

「でもな」

 

「俺は楽しくなる確信があるんだよ、この数年で新規メンバーなんて俺が良いだしたの初めてだろ?それぐらい面白い奴だぜクリスは」

 

自信マンマンに語る翔一、相変わらず、この男はそこがしれない、と感じた悠だった。




まだまだドンドン書いていきますよー、次回はまゆっち加入です。
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