:島津寮:朝
『なんで布団の中にお前がいるんじゃぁああああああああ!!!!!』
島津寮の朝は、大和と悠の叫び声から始まった。
:河川敷:昼
「四番、ファースト島津ーっと」
打席に立つのは岳人。
「三振取りやすい相手かな」
マウンドに立つのは京。
「お前のヒョロ球を太平洋まで飛ばす!」
ビシッとバットでホームラン予告をする岳人に・・・
「結構良い球投げるぞ京は」
と捕手のももが忠告するだけする。
「ライトー、レフトー、よろしくねー」
「おうよ、ズバッと投げやがれ」
「どんな球来ても取るよー」
ライトの悠とレフトの一子が京の言葉に応える。
「痛烈な当たり以外は内野ゴロはアウトだぞ島津」
審判役の忠勝が言えば。
「内野ゴロなんて論外!俺様はHRしか打たねぇ!!」
遊んでいる連中を見物するクリスと今のルールを説明する翔一。
「俺たちは何時もこーやって遊んでるんだ」
「何時も・・・というが立花殿は自分と一緒に転入してきたのでは・・・」
「アイツ、五年前まで川神にいたんだよ、でその頃からの付き合いだからな」
「成程、理解した・・・しかし楽しそうだ」
「そう思うんならクリスも仲間に入れよ」
ちょっとだけ驚いた表情をしてから、翔一の顔を見るクリス。
「いいのか?」
「皆のOKが出てるんだ、歓迎する」
「ありがとう・・・いきなりこんなに友達が増えるとは・・・・・・嬉しいな」
それから夕方近くまで、全力で野球をした。
:島津寮:夕方
「大和!悠!腹減った腹減った腹減ったよぉ!!!」
ジタバタとだだをこねる翔一を、悠と大和が抑え込んでいる。
「川神院から肉が届けられる!それまでこらえろ!」
「モモ先輩たちの稽古終わってからだろ?待てん!!」
「確かに変わるな、とは言ったが変わらなさ過ぎだろう」
ふぅ、とため息をついていれば。
「入るぜ」
忠勝の声、部屋へと入ってきた忠勝は、手にサンドイッチののった皿を持ってきた。
「風間が腹ぁ空かしてると思ってな、作ってきたぞ」
がっつき始める翔一、と一緒に食べ始める大和。
「ホントに世話焼きになったな忠勝」
「そう思うんだったら兄貴もこれから手伝ってくれ、たまにウゼェ」
「善処しようじゃねぇか」
ケラケラと笑う悠に、軽い笑みを浮かべる忠勝。
それから三時間後、ようやく到着した百代と一子と肉(←これが一番大事)
「炭焼きの用意出来たよ」
「よし、じゃあはじめるか、大和は私の肉を焼け」
百代→大和
「京、姉さんの肉を焼いて」
大和→京
「クリス、こういうのは新入りが焼く」
京→クリス
「命令の錯綜が激しいグループだな」
「あたしはひたすらに食べるわね!」
しかし今現在ここにいるのは百代、一子、悠、大和、京、クリスの六人だけ。
忠勝は義父であり学園教師でもある宇佐美の手伝い。
紫は鍼灸院でのバイトで遅くなると連絡があったばかりだ、肉の量に対して常識的に考えて人数が少ない。
「あ、二階の子もここに呼ぶぜ」
と翔一が言った。
翔一が言う二階の子、とは一年の黛の事だろう、何度かこちらに話しかけようとしていたのを覚えているが内向的なのかタイミングが悪いのか未だに話しかけられずにいるようだ、折角同じ寮なのだし気兼ねなく話かけて欲しい、と思うのだが・・・
「女子として二階に上がる事を許可」
「まぁ島津寮の歓迎会だしな」
そして何故か悠が二階まで来ていた。
コンコン、と扉をノックして。
「黛、いるか」
「あ、は、はい?」
驚きの混じった声が聞こえれば、ゆっくりと扉を開ける。
「今下で島津寮の新入寮者の歓迎会をしている、お前にも参加してもらいたい」
「あ・・・・・」
「む?ダメか?」
「いえ是非っっっっっっ!!!!!!!」
「お、おう・・・そうか」
黛も参加しての焼肉パーティー、結局肉は翔一が焼いていた、そちこちで会話などをしている中。
「っつーわけだったんだが」
「へぇ、面白そうだなぁ」
さっきの出来事を翔一に話すと、本気で楽しそうな声でそう言っていた。
「辛いの好き?」
驚いた事に京がクリスとコミニュケーションを取ろうとしている。
「まぁそこそこは」
「イェー」
片腕でガッツポーズをする京。
「イ、イェー」
同じように真似てみるクリス。
「はい、激辛タバスコ、お近づきの記しにどうぞ」
「これをどうしろと?」
「飲むの、ダイレクトで、辛党なら出来るでしょ」
「正直すまなかった!!」
手渡されたタバスコを京に返却するクリス。
そして別のところでは黛がモモ先輩に物凄い勢いでセクハラされていた。
焼肉を全てたいらげた一同、女性陣が風呂へ、翔一がバイトのため外出、黛はリビングに、悠と大和は大和の部屋で世間話をしている・・・と。
爆発音、しかも風呂場の方からだ。
事情を聞けば、頭を抱える悠と大和と麗子さん。
「まぁそろそろリフォームしようと思ってたからねぇ」
の一言で許してくれた麗子さんだった。
:島津寮:翌日夕方
どうやら黛が昨日の焼肉のお礼にと夕食を作るらしい、まぁ最悪自分が作る可能性もあったのでありがたいと言えばありがたい・・・・・が。
「手伝うよ」
「え?ですが・・・」
「何もしないというのは性にあわんのだ」
「えっと・・・その・・・」
「そういう時ぁ大人しく、お言葉に甘えますって言うんだよ、黛」
ポン、と頭に手を置いて軽く撫でてやれば。
「ひゃいっ!えと、では・・・お言葉に、甘えます」
「ん、宜しい」
そして二人で並んで調理を始める。
「おいおい美少女の手料理と聞いてきたのにむさくるしい奴の手が入ってるじゃないか!!」
と、シャウトしたのはモモ先輩だ。
「あのなモモ先輩、その美少女とやらに、十二人分も一人で作らせるか?」
「む」
「まともな料理出来る奴が手伝うのが道理だろ」
「私料理出来るよ」
「黙れ激辛女王」
「義兄様、私も出来ます」
「黙れ甘党大臣」
「俺も手伝うぜ」
「頼むぞ忠勝」
エプロンをつけて調理に参加する悠と忠勝。
しばらくして完成した料理は、料亭顔負けの品揃えと見た目だった。
皆が美味いと言ってがっつくのを見た黛は、実に良い笑顔をしていた。
「で、なんか俺たちに話があるんだろう、後輩」
話を切り出したのは翔一だ。
「は、はい・・・!」
すぅ、と息を吸えば
「お願いしますっ!!!」
突然頭を下げての言葉に、一同が驚くと、矢継ぎ早に言葉を紡いでいく黛。
「私も、皆さんの仲間にいれてくださいっ!!皆さんと一緒に遊びたいんです!」
「私、ずっと地元で友達いなくて・・・それで・・・それで・・・今度こそ友達をって思ってこっちに出てきて、それでも作れなくて・・・」
「ここに来て皆さんが楽しくしているのを見て、仲間に入れたらどんなに楽しいだろうって・・・だからお願いします、仲間にいれてください!」
熱意、真剣さ、全てが伝わる一言だった、言葉選びは不器用だが・・・アイコンタクトで悠と翔一が前に出る。
「黛由紀江さん、だっけか、今のままじゃ仲間には入れられない」
「・・・・・」
「仲間ってのは基本的に対等なもんだろ?土下座みたいな真似して入るもんじゃないよな」
「だな」
「じゃあ・・・どうすれば・・・」
「簡単だ」
悠が更に一歩出て、その頭を撫でながら
「楽しそうだから混ぜて、で良いんだよ」
ニカッ、と笑いながら言う。
「あ・・・・・はい、楽しそうだから私も混ぜてください!!!」
「断る」
「はぁあああうっ!?」
翔一の心無い一言に倒れる黛。
「鬼かアンタは!!」
と思わずモロがツッコミを入れる。
「ははは、冗談だってこれから一緒に遊ぼう!」
「おい翔一、ショックで気絶してるぞ黛」
キャーキャーともめる皆、それを遠巻きにする翔一、京、モロ。
「キャップ・・・」
「分かってる、これ以上増やしはしないさ、遊んでみてなんか違うって感じたらフツーの友達に戻る、で良いだろ?京」
「・・・・・分かった」
「・・・・・」
一人、外で涼んでいる悠。
「おやおや義兄様はどうしたので?」
「何か考えごとか?」
「・・・京、前より閉鎖的になってねぇか」
「・・・そうか?」
「お前らずっと近くにいたから差異に気づかねぇか・・・まぁまだ良いさ、今は、な」
「どうせだからここにいる全員で自己紹介をしよう」
とのモモ先輩の発案で一人ずつ、自己紹介を始める。
「川神百代三年、武器は拳一つ、好きな言葉は誠!」
「川神一子二年、武器は薙刀、勇気の勇の字が好き」
「二年クリスだ、武器はレイピア、義を重んじる」
「椎名京二年、弓道を少々、好きな言葉は仁・・・女は愛」
「一年黛由紀江っです、刀を使います、礼を尊びます」
「一年上泉紫、私も刀、好きな言葉は愛、故に結婚してくだい義兄様」
「二年立花悠、武器は刀と体術、侠が俺の信条よ、あと兄妹で」
「二年風間翔一!己の体が武器だぜ!好きな言葉は自由!!」
「二年直江大和、頭脳が武器、知とかそういうの好きだな」
「二年島津岳人、このタフなボディが武器だぜ、力こそ全て!」
「二年師岡卓也、パソコンとか得意かな、絆、とか好きだな」
「俺もやんのかよ・・・二年源忠勝、そこそこ戦える、信・・・の字とか好きだ」
この後、一悶着あるのだが・・・それはあえて語らないで置こう。
まゆっちも加入ですねー、次回は最初の青春シーン(?)、どんな感じにするか楽しみですヨ。