真剣で私に恋しなさいSS(ダブルエス)   作:雷の人

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第六話:箱根決戦大和VSクリス~後編~

大和が引いたくじは・・・・・

 

「お前ホントに今日は運ねぇな」

「へ?」

「山頂からダウンヒルランニングバトル、だ」

「くっ、都合のいい時だけ神に祈った報いか・・・・・・」

「まぁルール説明をしよう」

 

そういって百代が一歩前へと歩み出る。

 

「山頂にある展望台からここまで駆け下りてくるランニングレースだ」

「完全に直江が不利だな」

「そこも考えてある、途中に二箇所、チェックポイントを設けてある、ここでクイズに答えてサインボールを貰ってくる必要がある」

「クイズ、知力も必要なわけか」

「ああ、コースから近いところには難しい問題、遠いところには簡単な問題を設けてある、好きな方へと行け、ルートは基本どこをどう走ろうとも乗り物に乗らなければ合法だ、ただし相手への妨害は禁止とする」

「クイズが分からなければ立ち往生か?」

「次の問題を頼めばいい、まぁ間違えた場合にも適用だが次の問題が出てくるまでは一分かかる、そしてクイズは西洋史、日本史、雑学、数学、物理から選べる」

「さらにパートナーが一人つくぜ」

 

ここでようやくキャップが割ってはいる

 

「パートナー?」

「おう、一緒に問題考えてもらってもいいし疲れたら代わりに走ってゴールしてもらうとか、とにかくどちらか一方、ボールを持ってる方がゴールすれば勝ちだ」

「ぶっちゃけパートナーに全委任してもいいのね」

「おう、勝ちは勝ちだ・・・俺はゴール地点で待つ、まゆっちとモロがチェックポイント担当、モモ先輩と岳人がレース中の審判、悠は大和に付き添ってヤバそうだったら止めてくれ、ゲンさんとゆかりんはいざというときのために待機で」

「って事はパートナーは・・・・」

「イェーイ!!」

「いぇーい」

 

一子と京の二人だ。

 

「大和、コイントスだ、表なら一子、裏なら京だ」

 

説明しながら、大和にコインを手渡す悠。

 

「裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏裏」

 

呪詛のように、というかきっと呪詛だろう、裏とつぶやき続ける京。

 

「弟よ、妙な手の動きをしたら・・・わかってるな?」

 

大和の心を見透かしたようにニヤリと口を釣り上げて笑う百代。

 

「ぐっ・・・・・ええい!ままよ!!」

 

表。

 

「サイッテー」

 

拗ねる京。

 

「よし、取り敢えず行こうか」

 

大和は放置することにしたらしい。

 

「放置プレイ・・・・・ああん」

「誰かそいつを止めろ」

 

イマジネーションプレイを再開しかけていた京を百代が止めながら、山頂を目指し歩き出す。

 

その道中。

 

「ワン子、作戦3は?」

「がむしゃらに駆け下りる!!」

「それは五番だゴラァ!!!」

「ひぃぃっ!!?」

 

大和、一子ペアの間ではスパルタ特訓(?)が行われていた。

 

:数分後:山頂

 

「さて、ゲームの進行は私が責任をもって管理する、大和がやばいようなら悠、無理矢理にでも止めろ」

「まぁ善処さして貰おうか」

 

ケラケラと笑う悠。

 

「クリス」

 

クリスの前へと歩み寄る大和、スっ、と拳を突き出して。

 

「これで決着だ」

 

フッ、と笑みを浮かべて、クリスが拳を付き合わせる。

 

「望むところだ」

 

「よしっ、最終戦!始っ!!!」

 

百代の合図で一斉に駆け出す5人。

 

「そらぁああああああああ!!!」

「はぁあああああああああ!!!」

「ついていく!」

 

のっけから全力疾走の三人。

 

「俺も適度に急ぐぜ!!」

「お前ね、見栄ぐらい貼りなさいよ」

 

正直な物言いをする大和と苦笑する悠、その背中に、声がかけられる。

 

「弟」

「?」

「審判は公平にやるが応援している・・・・・・頑張れ」

「見てて姉さん、売った喧嘩だ・・・絶対勝つ!」

「悠」

「ん」

「頼むぞ、弟の事」

「無論」

 

大和は可能な限り全力で、悠はそれに追走する。

 

:山道

 

「なに?!林の方に入った!?流石犬!」

 

どうやら一子は早速ショートカットをしているようだ。

 

「恐らく近道しているはず」

「どうする京?」

 

並走しながら考える京。

 

「林の中の道分かる?」

「正直分からない」

「んーどうせワン子はクイズ答えられないし・・・・堅実に道なりに行こう」

 

:直線ルート:チェックポイント

 

「イェーイ、アタシ一番!!」

 

茂みの中から登場した一子。

 

「うわぁ!!びっくりしたぁー、どっから出てくるのさ!!?」

 

驚きながらもツッコミを忘れないモロ。

 

「山は私の庭よ!!さぁ問題出しなさいモロ」

「じゃあ先ずはジャンルを選んでよ」

「良く分からないけど物理!」

「1モルの理想気体の圧力p、体積v、絶対温度tはボイルシャルの法則と呼ばれる状態方程式(以下略)」

「ちょっと日本語でしゃべりなさいよ!」

「なんで物理選ぶのさ!バカでしょ!?」

 

一子の理不尽な文句にツッコムモロ。

 

「あ、大和から電話」

《着いたか?問題を言ってくれ!》

「モルモットのボイル焼きについて・・・・・・」

《日本史を選べ!!!!それ物理選んだろ!!!》

《むしろ今の説明で物理と分かるお前が凄いぞ》

「わぁあああああごめんなさいいいい」

 

涙目な一子。

 

「まぁ・・・・次まで一分待ってね」

 

:一分後

 

「はい一分、ジャンルは?」

「日本史!あ、ちょっと待って、電話かける・・・大和に問題そのものを聞いてもらおう・・・・ってあああああああ圏外になっちゃったぁああ・・・・こうなったらアタシがやってやるわ!」

「問題行くよ、江戸幕府十三代将軍の名前!」

「織田信長!!!」

「何勝手に歴史改ざんしてんの!?徳川ぐらいは当ててよ!」

 

そんなコントをしている内にクリス、京が追いつく。

 

「クリス、ジャンルは西洋史?」

「当然日本史で行く!」

「当然なんだ」

「江戸幕府八代将軍徳川吉宗は、コメ相場の安定に頑張った事から何将軍と言われたでしょう」

「ふはははは、もらったな、自分に言わせてくれ」

「うん、良いよ」

 

自信満々なクリスに回答権を譲る京、彼女は直後に、それを後悔する。

 

「暴れん坊将軍!!」

「はい不正解、一分待ってねぇ」

「何故だっ!?」

 

「んー、自分はクイズに向いてないな・・・」

「んじゃ作戦2で」

「作戦2、了解した、行動を開始する」

 

 

:十数秒後

 

「到着した、ワン子!戦局は!?」

「まだお互い不正解、もうすぐアタシに問題が来る・・・クリはちょっと前にここからいなくなったわ」

 

数秒、思案した大和は。

 

「どっち行った?」

「道を下っていったわ、もう一つのポイントじゃない?」

「大和、問題行くよ、日本史?」

「ああ、物理以外ならなんでも良い」

「貞永式目の三条、八条はそれぞれ何の項目?」

「第三条・諸国守護人奉行事、八条・土地占有之事」

「さすがだね、大正解!はいサインボール」

 

ノータイムで答え、受け取ったサインボールを一旦一子へと渡す。

 

「私も一分、西洋史」

「カエサル派に暗殺された共和制末期の政治家は?」

「キケロ」

 

こちらもノータイムで答え、サインボールを受け取る。

 

「さぁ勝負よ京」

「その余裕が命取りすぎる」

「・・・・・ー!!!」

 

その一言で、先ずは悠が京の思惑に気づく。

 

『はい?』

「クリスが行ったのは別のチェックポイントじゃなくてここから遥か下の道路、そして私はこのボールを・・・・・」

「!!!しまった・・・・ワン子作戦3だ!今すぐに!」

 

そして大和も気づく。

 

「え?だってこれ勝ってて・・・・」

「投げる!!!」

 

大遠投されるボール、それは弧を描いて落下していき・・・・・・

 

:落下地点

 

「!飛んできた!!」

 

クリスが、見事にボールのキャッチに成功していた。

 

:チェックポイント

 

「まずい!下でクリがボールを受け取ったのね!?」

 

急いで駆け下り始める一子、悠が一歩前に出れば。

 

「ボールを持ったパートナーがゴールすれば勝利」

「・・・・・チェックアイテムがボールと決まってから、か?この策を考えたのは」

「弓矢があればもっと遠くに撃ち込めるんだけどね」

「・・・・・・一子との差が開きすぎてきてるな、キツイかな」

「あれ?大和は?」

「さっきトイレ行くっつって茂みに入って行ったぜ」

「声かけてくれれば手とり足取り看病したのに・・・・・」

「・・・・・貞操の危機だったな、大和」

 

:数分後

 

「大和遅いなぁ・・・どこまでいったんだろ・・・・・・?ああああああああああ!!」

「京にしては気づくの遅かったね」

「決まった勝負だと思ったから気づけ無かったんだろ」

「いつから気づいていたの二人とも」

「俺は最初から作戦内容聞いてたから」

「僕は見てたから、京がボールを投げる時にワン子が大和にボールを手渡していたのをね」

 

そう、全ては大和の作戦、俺は大和に勝たせたかった、故に、審判の判定に引っかからない範囲で手伝うために、京を足止めしたのだ、そう、全て気づく頃には最早手遅れなのだ。

 

「ボールを持っているのは大和の方・・・・・でも分からない、ワン子が追いかけているなら油断せず走るからすり替える意味無いのに・・・」

「さっき審判の岳人と待機の忠勝からメールが来てよ、一子、道路で転んで怪我したからノロノロ走ってるってよ」

「それをクリスが見ていれば・・・・」

「油断して楽するかもね、クリスはワン子がボール持ってるって思い込んでるだろうし」

 

珍しく狼狽する京。

 

「クリスの携帯・・・・は、番号知らなかった・・・・!悠が話かけてきたのはこのため!?」

「さぁ?何の事だかな」

「今からじゃショートカットしてもクリスには追いつけない・・・・でも大和なら、私のヒーローならもしかして・・・・・・」

 

:山道裏道

直江大和は、ただひたすらに、全力で駆けていた。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁ・・・・・」

 

汗だくになり、必死に林を駆け抜ける姿は、彼を少しでも知る者ならば、彼はそんなキャラでは無い、という。

だが彼を深く知る者ならば、必ずこう言う、奴はただ、負けず嫌いなのだ、と。

 

「ここだ」

 

大和が到達した場所、真下は川。

昨夜、逃亡中、百代の手により川へと放り投げられた場所、ここから飛び込めば最速のショートカット。

高さがかなりある上に5月の冷たい川、体調は風邪、一瞬の戸惑い、だが、親友の言葉が脳裏を駆け巡る。

 

《オメーならやれる、気張ってこい》

 

「・・・・・・よしっ・・・・揺るぎない意思を糧として闇の旅を進んでいく!!」

 

思い切って、駆け出し、踏み切る。

 

「くだらない事でも、俺は負けたくねーんだ!!!」

 

:ゴール地点

翔一の待つゴール地点。

 

「おーい、クリスこっちだ!俺にタッチすれば勝ちだぜー!」

 

その声を聞くはクリス、既に視界に入る距離。

 

「ゴールが見えた、犬は遥か後方・・・ふっ、風邪とはいえぬるい勝負だったな、直江大和」

 

余裕の笑みを浮かべたクリス、だが翔一が、まったく反対側を向く。

 

「大和こっちだ!!俺にタッチすれば勝ちだぜ!!!」

「!?どこに向かって言って・・・・・・」

 

川の上流から駆けてくる大和、自分よりも距離は近い。

 

「!!!?何故!?ボールは犬がもって・・・・」

 

反射的に後ろを振り返る、遥か後方、脚を引きずる一子は、ニヤリと、してやったりと笑っている。

 

「っしまった!!!!!」

 

全てに気づき、全力疾走する。

 

「俺の・・・・・・勝ちだぁああああ!!!」

 

ダイブする大和。

 

「えぇえええええ!?飛び込んでくんのかよ!?」

「避けるな風間ぁ!!!」

「避けたら十連デコピンだぞキャップ」

 

忠勝と百代からのプレッシャーに。

 

「あーもうしゃあねぇ!!バッチ来い!!!」

 

クリスも手を伸ばすが、最早遅く、大和が翔一へと突撃した。

 

「ぬぁああああああ!!!!ビチョビチョだぁああ!!!」

「勝者!直江大和!」

 

:夜:旅館

皆でメアド交換をする、岳人にだけ届かなかったり、まゆっちが幸福のあまり松風が機能停止したりしたものの、今日一日でクリスの態度は軟化し、まゆっちも自分の意見を言うようになった、本格的に加入だ、そう確信した翔一、大和、百代、悠が顔を見合わせ頷き合う。

 

「よーし、後はお前たち二人に川神魂を授けるぜ!」

「川神魂?」

「こういう詩があるんだ」

《光灯る街に背を向け、我が歩むは果てなき荒野、奇跡もなく導もなく、ただ夜が広がるのみ、揺るぎない意志を糧として、闇の旅を進んでいく》

「これが川神魂だ」

「敢えて荒野を行かんとする男の詩だぜ」

「女の子のアタシだって分かるけど長いわ」

「勇往邁進、ってぇ事だな」

「勇往、邁進」

「困難をものともせずに突き進む事です」

「いい言葉だな、前に進む意志が溢れてくる」

「辛いときは口にしとけ」

「同じ旅を行く仲間がいる、力が出るぞ」

「それさえ刻み込めばほかには何も言う事ねーな」

「んじゃ乾杯しようぜ」

 

皆がそれぞれ思い思いの飲み物を確保する。

 

「皆行き渡ったわ、キャップ!」

「えー、若葉薫る頃となりましたが「かんぱーい!!!」ちょっ!?」

 

翔一の挨拶を遮り乾杯をする悠。

 

『カンパーイ!!!』

 

十二個のグラスが音を立ててぶつかり合う、新生風間ファミリーの誕生だった。




決着!ですね。これにてプロローグは完了です。次回から話が広がっていきます、順番としては川神大戦、KOSをやってからニューフェイス編、マジコイSのシナリオに突入してきたいと思いマス。
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