ストライク・ザ・ブラッド ~真祖の子孫~   作:豚肉の加工品

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〈序章〉    真祖の羽化 Ⅲ

「よう、じゃないでしょう。危ないですよ?普通の人が殺し合いに参加するのは」

 

「俺が”人”ならお前にされた変なお札でお前を忘れてるだろう?それに、この真紅に輝く瞳と吸血鬼を殴り飛ばす力を持ってんだぜ。」

 

謎の少女Aがハッとなっていきなり距離を取る。

銀色の十字架の形をした剣を低く構え、臨戦態勢に入る。

入ったのはいいが敵は俺ではなくあの遊具で伸びている吸血鬼とせっかくの上着を無駄にする獣人だ。

 

絶対に闘う相手を間違っている。

やはり、この謎の少女Aはアホか天然かバカだ。

 

「とまぁー、まずお前は置いておく…」

 

少女と対面していた体を回転させ、もう既に戦闘態勢の獣人と向き合う。

獣人はかなり殺気立っているが関係ない、そんな殺気では怯えない。逆に燃えてくるだけだ。

 

「お前らは、俺が毎日通る大事な場所を壊そうとした責任を取ってもらう」

 

「はっ、バカかお前は?ただの吸血鬼が俺に勝てるわけねぇだろうが!!!」

 

「ただの…?」

 

真っ直ぐバカ正直に突っ込んでくる獣人に”ただの”と言われた瞬間に月光の体から赤い稲妻が迸った。

その稲妻は周りに飛び散り壊していく。

 

バリバリと鳴りながら、周りを無差別に破壊していく…

そして、それを避けるかのように後ろに回り込んだ獣人だったが、

 

「私の争い(喧嘩)の邪魔をしないで貰えますか?」

 

回り込んだ先には、さっきまで月光と話していた少女がいた。

その少女は銀色の剣を下から上にかち上げるように獣人の体を切り裂く。

 

叫ぶ声もなく、一瞬にして斬られる獣人は何とも言えない表情をして地に伏せる。

周りには血が飛び散り少女の綺麗で整った顔にも血が飛び散っていた。

 

「顔に血がついてる」

 

すぐさま吸血衝動を抑えるために常備しているティッシュで少女の顔を拭こうとする。

だが、その手は払いのけられる。

 

「私に触れないでください。斬りますよ?」

 

「んじゃ、せめて血を拭いとけ。綺麗な肌と顔が台無しだろうが」

 

ティッシュを渡し、この場を立ち去ろうとすると攻魔官が駆けつけてくる。

それはついさっき見た顔で会った瞬間に「お前か…」といった感じで頭を抱えていた。

 

「わりぃー那月ちゃん。やっちまった」

 

「仕方ない。私がお前の手柄を貰おう。まぁー手柄にすらならんがな、それとちゃん付けで呼ぶな…」

 

普通に頭を扇子で叩かれる。

何て言って、やってくれる那月に危うく惚れる勢いだが、自分は絶対に女と関わらないようにしているのでその思いを消す。

なんせ、自分。吸血鬼ですから…

 

「んじゃな。ちゃんと拭いとけよ」

 

軽く手を振ってその場を立ち去る。

軽く後ろを向いた時にはもういなかったが…

てか、早く家に帰らないと凪沙ちゃんと浅葱ちゃんに何て言われるか分かったもんじゃない。

折角、本土。つまり、日本から来てくれているというのに俺が挨拶しないわけにはいかないし、もう既に待たせているけどこれ以上待たせるわけにはいかない。

 

「もう少しこのままでいてくれよ…っと」

 

吸血衝動のおかげで体の身体能力は馬鹿みたいに跳ね上がっている。

その勢いで高層ビルの十二階まで飛んでいく。

 

「こりゃ、怒られるな…」

 

家まではすぐに帰れるが、家に帰ってからが問題だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいま」

 

「おかえりー!久しぶりだね?月光君」

 

「ですね」

 

帰った瞬間に笑顔でお出迎えしてくれるのは親父の妹、浅葱ちゃんの義妹の凪沙ちゃん。

髪は短く、だがキッチリ抜かりなく手入れをしている。

どっからどう見ても月光よりも年下にしか見えないが、結構な年の差がある。

魔女かよ…なんて突っ込んだら何されるか分からないからやめておこう

 

「月光、あんた遅すぎない?」

 

「気のせいだよ、気のせい」

 

暑苦しいパーカーを脱ぎ洗濯機へ放り投げる、ほぼ何にも入っていないバックを手から離し置いておく。

 

 

「嘘つくな、バカ月光。目が紅いのよ」

 

「え!?」

 

「何があったの…?」

 

「えーと、まぁー簡単に話すと獣人と吸血鬼に襲われた少女を助けてこうなった」

 

色んな部分をすっ飛ばして本当に簡単に説明する。

唐突な出会いと殺されそうになったことは黙っておこう。

言ったら何するか分からない人達だからな。

 

「いやーしかし、この頃大きな事件がなくて暇ね」

 

「いいじゃないですか、平和で」

 

「でもねー、刺激が足んないのよねー」

 

凪沙ちゃんと浅葱ちゃんが危ないことを笑いながら話している。

どうしようもなく鳥肌が立つ、なんか嫌な予感がする。

 

そしてこのフラグ回収はとても早かった…

 

 

 

街中に甲高いサイレンが鳴り響きこう放送したのだ。

 

吸血鬼しか操ることはほぼ不可能な眷獣がこの絃神島の航空船場で暴れまわっていると…




みじけーっす。
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