昨日徹夜明けで昼の14時から18時まで、仮眠取ったのが失敗だったかも・・・3時間にしとけば良かった。まぁ、その御蔭で更新するのですが(笑)
セバスの先導の下ナザリック大地下墳墓を闊歩するジュンとアンジェ。移動は転移門が設けられており短時間で各階層を通過できる状態となっていた。
第1階層からアンデットと遭遇するも攻撃する様子の無い事から比較的安全と判断したジュンはアンジェと予定を詰める事にした。
「アンジェ。守護者統括のアルベドと、第7階層守護者デミウルゴスと確り話し合ってね。色々とナザリックに運ぶ為にライトは準備させてるから」
「じゃあ、早急にアレを?」
ジュンの言いようから完全にスカイ・スカルを防衛装置として使う予定だとアンジェは判断した。
事実、完全に防衛装置として利用するならば一番の問題は場所を取っている保管庫と居住エリアになる。ジュンがゲーム時代に溜め込んだ物品だけでも圧迫されていたというのに、寝る間を惜しんで狩りに行っていた為、貯蔵率は脅威の250%。運転機能の有る玉座が有る部屋以外のすべてを埋め尽くしているのだ。アンジェは内心その整理をしながら周囲を警戒している妹を不憫に思う。
「ナザリックの隠蔽は大切だからね。ナニが居るか分からないし。アレが終わったら私が偵察に出るけどね」
「危険じゃないかしら?」
そんなアンジェの気持ちも露知らず、自身の予定を述べるジュンに更なる頭痛を覚えるアンジェ。コンビネーションの問題も有るが、そもそも戦闘面の相性は良い様で悪いのだ。ジュンが偵察に出る上で有利な点は
「私と貴女じゃね・・・それに、モモンガさんの事だから単独での偵察は許してくれないだろうけど、大切な事だしね。ソコは追々で」
ソコはジュンも理解していた様だ。また、ジュンの手綱を握れるモモンガに尊敬の念を感じずにはいられない。だが、ゲーム時代に未開で情報の無い土地でもソロで基本生還したジュンの能力をもっても、単独行動を許そうとしないと考えてる点から推測される内容は、アンジェにとっても眉唾物である。
「圧倒的強者がいる可能。か・・・」
「念の為だよ。可能な限り安全策を取るのがモモンガさん。アインズ・ウール・ゴウンの支配者の仕事なんだよ」
ついつい口に出すアンジェだが、ジュンはモモンガがどれ程ナザリックに、アインズ・ウール・ゴウンを大切にしているか知っている。
そして、それ程迄に大切されているモノを羨ましく思う反面、モモンガが過保護にも思えた。
「それに、ナザリックの皆は、モモンガさん以外の皆が残した宝。子供たちみたいに思っているだろうし。傷付けたくないんだと思うよ」
「
一般的には子供を故意に傷付ける親はいない。モモンガは大切なモノを故意に傷付ける者ではないと良く知っているジュンは、モモンガのある一面を思い出した。
「けど、我を忘れて、だよね?」
「らしいわね」
「なら仕方無いんじゃないか?意外と激情家なんだよ」
モモンガは普段は非常に穏やかなのだが、大切なモノを傷付けられたり、侮辱されたと感じると火山の噴火の如く怒る一面が有るのだ。
ジュンは思い出す。1500人の軍勢からなるナザリック侵攻の際、その大半を
ゲームであるのに、まるで『死』が歩いている様に思えた光景は印象深いのだ。脅威の即死率90%以上等、信じられる筈も無かった。事実、ユグドラシルにおいて、一番成功率の低い状態異常魔法こそ『即死』魔法なのである。通常の同100レベル帯のプレイヤーであれば1桁の確立が普通なのだ。モモンガ程即死魔法に特化した者はいないが、そのモモンガですら同100レベル帯プレイヤー相手の即死魔法の成功率は70%なのだ。正に異常だとウルベルトがヤギに似た首を傾げていたのが印象的でもあった。
「アンデットなのに?」
「アンデットでも。だよ。そこは間違えちゃダメだ」
「分かったわ」
アンジェはジュンの言った事に疑問を覚えた。アンデットは吸血鬼を除き、意思が有るのか、激しい感情を抱くのか不明な者が多い為だ。だが、そんなアンジェにジュンは念を押す。それ程迄にモモンガの怒り方を知っており、出来たら避けたいと言っている様にアンジェは思った。そして、トーガの裏にあるいつも持ち歩ている本をソット撫ぜる。
「あ・・・一応皆には素性とか詳しい内容を伝えてね」
「細事は任せなさい。貴女はモモンガ様との会談に集中して」
ついでの如くジュンが軽めに付け加えた内容は意外と重要性が高い。ジュンの情報はナザリックにおいて『人間』である事から重要視されていなかった為だ。事実、先程から情報を少し得るべくセバス達3人は聞き耳を立てていた。だが、意外とジュンの情報は入らず主であるモモンガの情報が入った。正に珠玉の情報なのだが、その入手経路がナザリック所属の者からでない事に悔しさを覚える。
「あと、何でモモンガ様なんだ?」
「彼の方にそう呼ぶ様に言われたのよ。貴女とモモンガ様に仕える様に。ってね」
セバス達がそんな事を考えていると知らないジュンは先ほどから気になっている内容を聞けば、返ってきた答えに、アンジェの設定確認を行ったのが兄である事を思い出す。ジュン視点では変な設定が入っていない事から、ユグドラシルを辞める際に何か言伝を行ったのかと思案した。〇二病が骨の髄まで進行していた兄だが実はかなりクソ真面目で律儀な面も有るのだ。職業も意外と公務員である。
「ついでだけど、言葉使いは統一しなさい」
「慣れてないんだよ・・・」
ジュンの内心小姑の如く指摘する設定の存在の有無を思い出そうとしながら洩らした一言にアンジェは微笑みを浮かべた。地味に膨れっ面になっていた為か可愛らしいと思ったのだ。そんな折、丁度氷原を抜けると空に浮かぶのは満点の星空だ。ジュンは内心懐かしいと思いながらも目の前に有る大きな円形闘技場。アンフイテアトルムの門を潜った。
「ご歓談中の所申し訳ございません。そろそろお着きになります」
「ありがとうございます。セバスさん」
そろそろ出口。闘技場という名の処刑場に着く際セバスが暗に私語の自粛を求めた。タイミング的にも覚悟するには丁度良い為、パーフェクトな執事具合に内心舌を巻くジュン。
そして、見えたのは跪く各階層守護者達と守護者統括。モモンガは絶望のオーラを纏っていた。モモンガは各守護者から向けられる忠誠に、製作者の影を見、過去の遺物では無く皆の思いが伝わってくるかのように思え歓喜している。
「素晴らしいぞ守護者達よ。現在ナザリック大地下墳墓は未曽有の非常事態に巻き込まれている。どうやら不明の地に転移したようだ。そして、この事態に対応すべく協力者となる者が彼女等だ」
モモンガは大きく腕を広げ、支配者然とした態度である。そして、視線をジュンに向けた。緊張の中モモンガの隣且3歩前へ移動するジュンとその三歩後ろに控えるアンジェ。
ジュンは9対の視線が己に集中する感覚を覚える。特に2対の視線に関しては様々な感情が込められている気がしたが、ソレがアルベドとシャルティアである点から何か意味が有るのかと暗に思う。
「改めまして、私はジュン。横にいるのが供のアンジェです」
「さて、アルベドから聞いたとは思うが彼女は人間ではない。先ずはその証拠を見せてもらおう」
出来るだけ穏やかに微笑んだジュンに、モモンガは始めに力を示すことでジュンとの連携が取れやすいようにしようと考えた。
ジュンの人間時のステータスはHPとMP以外の最高値が70(通常時のステータスを最大100として)に固定され、お粗末ながらレベル100の戦闘メインのプレイヤーのステータスと言い難いのだ。その為かモモンガには守護者各員が何所か軽視、及び侮っている様子に見えた。
『戦闘形態でお願いしますね』
ジュンは人間化を解除してもレベル100プレイヤーとしてのステータスでは精々中の中から中の上程度のステータスでしかない。それを打破するのがジュンの戦闘形態だ。この形態になればステータス的には上の中以上になり、守護者どころかMPや魔法系、特殊性、耐性等を除きジュンのステータスはモモンガを大きく上回るが故のオーダーである。視線を合わせるタイミングで
「分かりました」
モモンガの意図をハッキリと認識したジュンは小さく深呼吸し、自身の意識を己の内側に向けた。
一度大きく心臓が脈打つ。そして、鼓動が早くなり、全身に血と共に力が巡る。小さく獣の唸る様な声を出しながら心の底から湧き上がる激しい闘争心の存在を自覚した。不用意に蓋を開ければ全てを呑み込む劫火の如き熱さが体の内側から満たされていく。
呑まれないようにゆっくり、意識を闘争心に合わせる。心臓が更に強く脈打ち、脳髄と体幹を貫かれた様な感覚に思わず片膝を着き、大きく目を見開いた。その瞳が一際強く黄金に輝く。ジュンは無意識の内に笑みを浮かべる。まるで久しぶりに枷を外され、開放を喜ぶ獣の様な笑みを。
その笑みは守護者各員に警戒心を抱かせるに足りる笑みであり、特に悪魔であるアルベドとデミウルゴスは背中に嫌な汗が流れる感覚を味わう。
ダークブラウンの長い髪は浮き上がりツインテール状になったかと思えば蝙蝠の翼の様な形を。また額付近より2本の触覚的な形を模る。目尻から頬の中迄の直線の赤い紋様が浮かび上がり、食いしばっている口から覗く歯は鋭く尖り、上下4つの犬歯は長く、全てを噛み切らんとするモノへと変貌し、その手足は獣の如き鋭い爪を持ち、黒い毛皮に覆われた。臀部より、鏃の様に鋭い尾が生え全身の筋肉が発達するかのように大きくなり、身に纏っていた修道服は小さくはあるが、まるで断末魔の様な金属音を立て留め具が外れ脱げ落ちる。それは悲しくも、嘆いているように思える音だった。獣の開放を抑えられなかったと。
まるで蛹から蝶に変わるように、聖職者の皮を脱ぎ捨て獣になるように。
175cm程度だった身長がモモンガよりも少し高い2.2mになり、ジュンは立ち上がった。最後に肩甲骨辺りから翼長3.5mになるかと思われる漆黒の悪魔の翼を生やす。軽く動きを確認しようとしたのだろう。小さく羽ばたけば台風並みの暴風が近くにいた者達を襲う。
衝撃的な姿である。両手足、また攻撃に使える肘と膝以外ではその要所のみを申し訳程度に一見紋様に見える硬質化した艶の有る漆黒の剛毛で隠した物が竜の瞳を思わせる、瞳孔が縦に割れた金色に輝く目で守護者達を無感情に見下ろしていた。
その実力を理解できぬ者が見れば性的興奮を覚えるかもしれない程肉体はグラマラスでありながらも雌豹を思わせるしなやかで筋肉質だ。まるで暴力を無理やり人に似せた形にしたと言わんばかりの姿は美しくも恐ろしい。
モモンガの様に絶望のオーラを纏っている訳では無い。ただ無感情に視線を向けているだけだと言うのに、守護者達はモモンガに匹敵する重圧感を覚えていた。
「改めて紹介しよう。このアインズ・ウール・ゴウンにおいて魔法最強の一翼であるウルベルト・アレイン・オードルの実の妹であるジュンだ」
『ちょ!妹ってなに!?』
守護者各員の目に有った侮りが消えた所でモモンガは満足そうに告げる。特にデミウルゴスはジュンが己の
ジュンは振り返り驚いたようにモモンガを見た。
「・・・モモンガさん。戦闘でも無い時はやっぱりこの恰好は恥ずかしい。通常に戻して良い?」
ジュンは振り返り、モモンガにそうお願いをしいた。大きな羽で出来るだけ体を隠そうとするも構造的に厳しく、無意識に腕を組む形で胸を隠そうとし、少しでも隠したいのか少し膝を曲げた。羞恥で頬を赤く染め、先程迄見る者を威圧する金色の鋭い眼光は成りを潜め、潤みだしていた。
それもその筈。手足を除くと要所
ジュンの地味に胸が強調され、地味に谷間を強調する姿勢をセクシーに思っていたモモンガは内心残念だと思いながらも無言でジュンの頭上に白い特大のシルクみたいな布を
「ありがとう」
ジュンはモモンガから貰った布を全身に巻き付け、サリーの様に着こなした。身長も元の175cmになり何より印象的なのは硬質化し悪魔の翼に似た形をしていた髪がその柔らかさを取り戻し、まるで堕天使の翼を思わせるふんわりとした仕上がりになり、人間を装っていた時同様優し気な微笑みを浮かべていた。
鋭い視線を放っていた目とは思えない程月の光を思わせる穏やかな光を放ち、瞳孔も竜を思わせる縦割れのモノから、哺乳類特有の丸いモノとなっている。硬質化が解かれた事も有り、手足は獣然としたものから輪郭は人のモノと近く、また第三者からの確認は出来ないが毛皮の面積は更に少ないモノとなっていた。
モモンガ、ジュン、アンジェ、アルベドの4人以外の者はジュンの余りの変貌ぶりに言葉を失っていた。
弱々しい姿は擬態であるのは間違いないが、先程垣間見せた獣性と現在の優しそうな姿が繋がらない為だ。ジュンは静かに会釈をするとモモンガの左隣に移動した。
「ジュン。私に見せたい物が有るとの事だが」
モモンガは守護者達にジュンの正体と侮れない実力を持つ事を理解させる目的は達成したと判断し、ジュンがナザリック勢へ敵対行動を取らないと知らしめる為の行動を取る事にした。モモンガの一言に理解したセバスはジュンを一瞥すると、ジュンは頷きセバスはパンドラボックスを持ってジュンの下へ向かう。
ジュンはあえて一度守護者達へ見える様に箱を開けた。上質な紫紺のクッションの上に置かれているのはで成人男性の親指程の大きさであり、赤い雫状の形状をした鉱石と古びた羊皮紙で出来た一見魔導書を思わせる黄銅色の表紙の本だ。この2つが並々ならぬアイテムである事をその魔力の内臓量からして守護者に知らしめる。
セバスが跪く形でモモンガが良く見える様に宝箱を差し出した。
「モモンガさん。コレが見てもらいたい物。
「ほぅ。2つもか」
「たまたまね」
(化けモノかっ!)
感心するかのように2、3度頷くモモンガに少し恥ずかし気に微笑むジュン。実際は内心絶叫しており、ソレに気付いているジュンは悪戯を成功させた子供のような笑みを浮かべそうになるのを我慢している。
アルベドとしては見逃せないアイテムだ。
「セバス。パンドラボックスをジュンの傍に置き、下がれ」
「畏まりました」
モモンガはアルベドの鋭い視線から逃げようと思った訳では無いが、話を進めようとセバスを下らせた。そして思案する。一先ずの行動として、情報の有効性を重視するモモンガは現状のナザリック。特にNPC間での組織形態や運用がどうなっているか分からない為、再構築する事に決めた。
「ふむ。アルベド、デミウルゴス」
「「はっ!」」
「アンジェを加え、情報共有システムの再構築と防衛システムの見直しを行え。第8階層は一先ず立ち入り禁止にし、第9、第10階層を含めた防衛を行え」
思案が纏まったモモンガの言葉にアルベドも先の感情に蓋をして守護者統括の仕事に努める。至高の方々の住居も有る第9、第10階層の防衛は現状ではセバスとプレアデス達ぐらいしかいないのだ。その警護を厚くするとなれば人手が足りないとアルベドは判断した。新参者を加えるとしても記録上は中々有益な者であり、同僚であるデミウルゴス級の智謀の主となればナザリックに有益な限り手を出すのを控えると考えるしか無い。そもそも絶対なる上位者の命令である事からソコまで思案できる者も少ないのがナザリックの特徴であるのだが。
「シモベの立ち入りは如何なさいますか?」
「構わん。警護を厚くせよ」
故にシモベの配属を提案した。モモンガの許可を得た事から内心見た目が良く、煩わせずまた気骨が有るシモベの厳選が必要であるとも判断した。
「次にこのナザリックの隠蔽だが、マーレ。壁に土を盛り上げ丘の様なモノを形成し、その周囲にも幾つかダミーの丘を作れるか?」
ナザリック大地下墳墓の隠蔽は急務であるが、その方法としてモモンガは平坦な草原を多数の丘が乱立する地域に変え、その中の一つに隠すというものだ。仮に旅人がいたとしても地上を歩く者ならば発見される確率もある程度低いと考えた為だ。仮に発見されたとして、丘が乱立している以上意外と移動速度が削れるのではとも思っている。
「はい。可能ですが。その・・・本当に宜しいのですか?」
「安全には代えられん。許す」
マーレとしてはナザリックの壁を土で汚すのは、その栄光に泥を塗る行為の様に思えた。ナザリックの周囲を覆う白亜の壁が見られなくなるのはモモンガ的にも残念なのだが、必要な事だと割り切っていた。また、上空からの隠蔽については既に考えてある。
「上空に関してはスカイ・スカルと中央霊廟と接合させ、幻術を展開せよ。アルベド。詳しくはアンジェと調整せよ。構わんな?」
「畏まりました」
通常、永続的に幻術を展開するのは多大なMPを持つモモンガでも難しい。ソレを解決するのが
アルベドは了承しながらも、先程より返事もしない者がいる事が気になっていたが、ナザリック所属では無い為どう切り出すか迷っていたが一先ず一瞥した。
「あぁ。アンジェだけど、自然体で接するように創られているからある程度は見逃してね。口を開けば『不敬だ』って言われるだろうから黙ってるの」
「不満、疑問については先ず考え、然るべき時に私に述べるがよい」
ジュンはアルベドがアンジェを見た事に気付き、現在の態度は無駄な対立を生まない為の処置であると説明した。モモンガ的にはアンジェの性格等が分からない為、後ほど確認する必要が有るが、衝突の前に己に話しをする機会を守護者に与えることで回避する機会を増やそうとの判断である。
「セバス。客室3つを彼女等に宛がう。調整せよ。この後に私はジュンと話が有る。無用な詮索は不要だぞアルベド」
「「はい。モモンガ様」」
万が一侵攻された際に安全なのはナザリックの方である。その為ジュンとNPCの部屋を用意する必要が有った。また、モモンガ的にはアルベドがどの様な事を考えるのか分からない為予防線を張る事を忘れない。
モモンガの付け加えた一言にジュンは少し首を傾げたが、以前リア充であるたっち・みーが奥さんとケンカになり、その原因が皆目検見当がつかない為洩らした『女って良く分からん』の一言から判断したのかと思う。
モモンガは急務である数点の指示を終え、これから重要になる事の確認を行う事にした。恐怖は有る。有るが、もし他のギルドメンバーがこの世界に来ている可能性が有れば確認せざるを得ないのだ。
「では最後に、お前たちにとって私はどの様な存在であり、ナザリックを去った皆をどう思うか述べよ。先ずはシャルティアからだ。遠慮はいらん」
守護者達は自身に向けられているプレッシャーが増したとその身で感じていた。モモンガの揺らめく真紅の双眸が一層輝きを増し、凝視されてるのをシャルティアは感じた。通常であれば悦ばしい事なのだが、現状では非常に危険であるとしか思えなかった。
守護者達にとって初めの方は問題ない。だが、続けざまに問われた内容は問題でしかない。
「は、はい。私としてはモモンガ様は正に美の結晶。その白きお体の前では全ての宝石がその輝きを失う事となりましょう」
「私は遠慮はいらんと言ったぞ?シャルティア」
思わずいつもの廓言葉を付ける事も忘れ混乱気味に答えるが、その後に言葉が続かない。シャルティア自身、問われた内容を考えた事もかなったのだ。置いて行かれた身であり、その帰りを待ち遠しく思っているのだが、ソレを上手く伝える言葉が浮かばないのだ。その様子に『不敬』と思わせるのだろうかと思い、話せないのかと考えたモモンガは更に念を押した。
だが、シャルティアには早く答えろと迫られたに等しく、自身の造物主がこの地を去る前に述べた事を思い出し、咄嗟に口に出した。
「己の夢を叶え、万進していると考えてありんす。私の造物主たるペロロンチーノ様が夢を叶えたと申しておりましたがゆえ」
モモンガ的には、シャルティアが何か言っていない気がしてならなかったのだが、一先ず置いておく事にした。
「コキュートス」
「我々守護者ヨリモ強者デアリ、コノナザリックノ絶対ナル支配者ニ相応シキ方カト・・・我ノ造物主。武人武御雷様ヲ初メ更ナル武ヲ追及シテイルカト思イマス」
だが、それが悪かったのだろうか。コキュートスはシャルティアの答えを参考に、何も言わず去った自身の造物主を思い、言葉を紡いだ。
「アウラ。マーレ」
「慈悲深く、深い配慮に優れたお方です。恐らく本来のお仕事が忙しいかと思います」
「すごく優しい方です。けど、少し寂しいです」
アウラとマーレ的には自身の造物主であるぶくぶく茶釜について述べた。質問に対しては少々食い違いが有るのだが、その寂しげな様子から帰って来て欲しいと思うのが伝わってくる為、モモンガ的には有りだ。
「デミウルゴス」
「賢明な判断力と瞬時に実行する行動力をお持ちになられる。正に端倪すべからずの言葉に相応しき方です。お隠れになられた方は幾万の言葉は不要。己の道を信じ旅立ったと考えております」
デミウルゴスの言葉に内心、端倪すべからずって何!?と思わなくもいモモンガだが、デミウルゴスの何所か誇らしげに見える様子からウルベルトが去る前に何か言葉を残したのだろう推測する。ウルベルト・アレイン・オードル。悪ロール・プレイヤーであるが、やはり意外と律儀な男なのである。
「セバス」
「至高の方々の統括であり、最後までこの地に残っていただけた慈悲深き方でございます。皆さまはたっち・みー様同様。己の守るべき者の為にこの地を離れたと考えております」
モモンガはたっち・みーらしく、何か言い残したのかと思う。
だがそれ以上に気になる事が有った。アウラ、マーレ、デミウルゴスの3人は何かしらの自身の思いが込められている気がするのだが、他の3人は自身の感情を押し殺している様にも思えたのだ。ならば、一石を投じるには一興である。
「最後になったが・・・アルベド。忌憚なき言葉を述べよ」
再度の通告である。玉座でジュンについて述べさせた事を知っているセバスとナーベラル、ルプスレギナは、先程聞かれた答えがモモンガにとって不十分である事を認識し、アンジェとデミウルゴスはどの様な答えを求めているのか図りかねていた。他の守護者に関しては己の不手際が有ったと困惑している中、アルベドは自信を持ち、冷静に微笑んだ。
「はい。貴方様は至高の御方々の最高責任者であり、厳しくも慈悲深い私たちの、最高の主人でございます。そして、私の愛するお方。他の至高の御方々に関しましては私は語る言葉を持ち合わせておりません。貴方様だけがいれば良いのです」
アルベドの答えは不敬と取れる程モモンガに傾倒しているものだ。更に、守護者統括が述べたという事実は大きく、ナザリック勢に緊張が奔った。守護者達はモモンガが命じるのであればアルベドの首を刎ねる為に少し膝を浮かせる程だ。だが、すぐさま元の姿勢へ戻す事となった。モモンガが無言で一度アルベド以外の守護者を見渡し、視線で動きを許さぬと言っていた為だ。
ジュンはアルベドの目を見つめ、始終ナザリックについての話に関与する気が無かったが、口を開いた。
「もし皆が戻ってきたらどうするの?」
「答えよ」
ジュンが口を開いた事に対し、無言で睨みつけるアルベド。ウルベルトの妹君ではあるが、ナザリックに正式な席が無いジュンに聞かれるのが、ナザリック大地下墳墓の守護者統括としても気に食わないのだ。だが、モモンガに答えを求められたらすぐさま微笑みを浮かべた。
「モモンガ様をお連れになり、共にお隠れにならないのであれば今まで通り忠誠を誓います」
「その、もしが目的ならばどうする?」
「私の全てを賭けて抗わせて頂きましょう」
何の事は無い。アルベドの真意は純粋にモモンガと離れたくない。そう言っているだけなのだ。モモンガとジュンの記憶にある製作者のタブラはアルベドの姉であるニグレドの部屋の作成に実用性が無いにも関わらずかなりの額を課金して残した猛者である。目的の為ならば全てを賭けると言う物言いに2人はタブラの影を見た。
(そう。モモンガ様に逢えなくなるというなら、モモンガ様の手で・・・)
アルベドの言いようにナザリック勢はその真意を理解し、不敬であると自覚有るにも関わらず表情に陰りを見せた。デミウルゴスでさえ仕えるべき主の喪失の可能性から苦痛に顔を歪めている。アルベドは心の中で思うのだ。どうしても離れられるのであれば、モモンガの手で命を奪ってほしい。他の誰でもない愛する者の手に掛かりたいと。モモンガはアルベドには設定の改変で罪悪感を得ていたがその率直な視線と、各階層守護者の親と離れ離れになった幼子に似た雰囲気に言葉を失い。その様子を見ていたジュンの表情にも陰りが見えた。
何の事は無い。皆、現実を重視し離れて行ったのだ。だが、遺された者達が意思を持てば親に捨てられたと思ってもおかしくはない。
モモンガ、いや、『鈴木 悟』は幼き頃に事故で両親に先立たれ、孤児に対しては小学校卒業で働く事が認められた時代が自身の価値観を歪めたと思う。成人と認められない年齢で社会人となった『悟』は仕事に忙殺される日々に、親の愛や友人との友愛を忘れてしまい、そして、ユグドラシルというゲームの中で己が失っていたモノを知ったのだ。自身もジュンが居なければNPC達以上に寂しさを覚えたのだろうとぼんやりと思う。
まるで遠くの過去を見ている様子のモモンガにナザリックの者は恐怖を覚えた。『まさか』が現実化するのでは無いかと。
「モモンガさん。アルベドを褒めないの?」
モモンガの意識を戻し、硬直した空気を切り裂いたのはジュンの一言。そもそも本当に有りえるか判断出来ない事に言及した結果がコレなのだから。そして、この問いは重要な確認でも有った。
モモンガは知りたかったのだ。もし、皆がナザリックに『来た』として、ナザリックは彼等を受け入れるかどうかを。そして多数決を重要視していたアインズ・ウール・ゴウンにおいて無事に合流出来たとして、万が一意見が完全に割れ、ナザリックの崩壊に行き着きそうな際にNPCは『誰』に就くのかを。ウルベルトとたっち・みーが日常的に衝突していたのだ。当然、モモンガの行動を良く思わないギルドメンバーもいるだろうと、モモンガの冷轍な部分が告げていたが故の質問だったのだ。
「アルベド」
「はい・・・」
「良くぞ心の内を明かしてくれた。皆も我が友等を思っている事が良く分かったぞ」
絶望のオーラが、漆黒の靄までも優しく揺らめく中、モモンガの穏やかな声はナザリックの者達に浸透する程自然に入って来た。その眼窩に宿った灯火は実に穏やかだったが、内心では結論を出すには早いと思っている事に気付いているのはジュンだけだ。
「私はな。一人、また一人と友が去る中、お前達が何を感じ、何を思い、何を切り捨てたのか知りたかったのだ。この件については何の罰則も無い。素晴らしき働きを願う」
モモンガはゆっくりと両手を広げ、立ち上がるのを薦めるかのようにゆっくりと上げた。早速仕事にかかれと言っているかのようだ。
「私はジュンと先に戻る。ジュン。アレを付けて私の下へ」
モモンガの言葉にジュンは空中に収納空間への入口を発生させ、先ずパンドラボックスを入れてから再び手を入れ、目的の物を、ある指輪を取り出した。ソレが何であるか知っているナザリック勢の目が大きく見開かれた。リング・オブ・アインズウールゴウン。至高の41人が装備していた、彼等にとっては至宝であり、信頼と友愛の印。そして、填められた右手薬指には様々な意味が有る。その中には円滑な関係を望むというモノが有るのだ。
ジュンはモモンガが左手にスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを持っている為、見栄えが悪くなりそうと考え、自然にモモンガの右側へ立った。モモンガはそっとその細い腰を掴み、抱き寄せた。少し力が強かったのか、ジュンはモモンガにしな垂れかかる体勢となる。モモンガ的には同じ場所に転移するのだから、身体的接触が有れば問題無いだろうという軽い気持ちでの行動だ。
ソレを見たアルベドの白目の部分に再び一瞬だが血管が浮かぶが、彼女はソレを無理やり抑えて微笑みを浮かべた。デミウルゴス的には興味深くも微笑ましいと思っているのか笑みを深めた。
「モ、モモンガさん?」
「皆、忠義に励め」
困惑するジュンを他所に、モモンガは指輪の効力で己の執務室へ転移した。
その姿が消える間際、アルベドの我慢が終に限界に達した。努力したのだ。玉座の間で思案した最悪の可能性を除く為に冷静な己を演じた。モモンガが望んだ答えを自身の思いを率直に伝えたのだ。だが、モモンガはジュンが変身した際自身に向けられた臀部を、そして、通常形態になる際には寄せ上げられた豊かな双丘に目を奪われていた。男のサガと言えば我慢のしようも有るモノだが、最後に抱き寄せた事に嫉妬と憤怒がアルベドの全身を内側から蹂躙した。故に、口から感情が溢れ出たのだった。
「あのヴィッチィイッ!!!」
罵声である筈なのに、悲嘆の叫びにも聞こえる。思わず両膝を着き地面を殴るアルベド。その威力は局部的な震度1程の地震を起こす威力が有った。
転移した2人は執務室で何か聞こえたような気がして揃って首を傾げる中、闘技場では色々と騒がしくなり始めた。
ウチのアルベドさんはシリアスメイカーであり、ブレイカーwあと、今回の後書きは長いよ!
即死成功率高すぎだろ!と書いてて思いましたが
モモンガ様!ジュンちゃん視線に気づいてないけど、アルベドさんは御見通しだったねw
ウルベルトさんの公務員設定は捏造ですwまぁ、たっちさんがリア充の警察官らしい事から、何か比較できる職。ヤ〇ザ以外で。っと考えた結果、とりあえず公務員でwってな感じです。個人的な偏見ですが、仕事が真摯で真面目な人って、何所か欠点有った方が魅力的かも?から来てます。
モモンガ様の身長を公式では177ですが、当作品では208としています。アニメ版が下手すると230以上に見えてしまうので大きい方がカッコイイwと軽い気持ちでの変更です。(クレマンだいちゅきブリーカーより、クレマン160と仮定。遠近・迫力の描写の為大きく見せる為数値を大きくしていると推定。実際1.3倍として208)
しかし、ジュンの変身シーン上手く書けてるかな?一応レディー(漫画版)では性欲うんぬん有りますけど、デビルマン(漫画版)の如く基本戦闘欲・破壊欲>性欲メインになってます。精神が男性なので。まぁ、心は肉体に引っ張られますからねぇ。その片鱗も書けてるかな?あと、恥ずかしがる描写は変身が解けて感じる設定はレディー(漫画版)でもあるよ。
アルベドのモモンガ様以外への感情はEDを参考にしてます。愛に狂っているのか、狂ってる愛なのか、ソレが問題だっ!
デミウルゴスについては次回描写が更に多めなので、デミえもんスキーな方はお待ちを。
アンジェの影やプレアデスの影が薄い?うん薄いってか、皆無(笑)けど、メイドや執事って主人の指示が無く喋ったらダメらしい。貴族もいない者として扱うのが普通って、どっかで聞いた。お茶を新しいものをカップに注ぐ際も、場合によっては無言でするらしいし、確認も会話が丁度良い区切りの時に薦めるって何?
アンジェ?自然体で接する→タメ口→失礼・不敬である→じゃ、黙るかwって感じで黙ってます。
サリーはインドの民族衣装です。マジで布一枚なのか!?とチョイ興奮してしまいましたw興味が有ったら画像検索してね。いや、普通にエロくないよ。
ジュンちゃんデミウルゴスに目を付けられたwあえて言うならチェンジ!真・シスコン2wアカンw地球最後の日見たからか変な感じw
次の更新は多分木曜までには。ちと面倒ごとが・・・
以下は、読む人には不快になるかもしれません。あくまで私個人の考えですのでテキトーに読んで下さい。活動報告やメッセージに反論書いても良いですが、モノによっては返信しない可能性が有るのでご容赦ください。返信の仕方調べないと分からんし。
小卒で社会人になった。両親も親しい友人もいない。って原作設定から『鈴木 悟』さんには孤児になって戴きました。そして、小卒が最終学歴として認められているって事は・・・との考えた結果が本文です。何時の時代も庇護者がいない弱者が犠牲になるものです。実際は更にエグイかもしれないけど、大学教授のギルメンいたらしいから、これでもソフトかもしれないのが恐ろしい。恐らく初めに切られただろう予算は社会保険・福祉系列なのでしょう。その一方で様々なIQテスト・小学校での細かな行動観察・心理テスト等により、優秀と判断すれば援助金を出す形となっていると漠然に思いました。
原作のモモンガ様も癇癪持ちに見える事から精神的に未成熟な部分が有る。基本的に自身に関心も無い。他人をあまり信用しない。って所が顕著ですから、可能性として12~15辺りで過度のストレスを受けたと考えられます。もしくは、『弱者』であったが為、『犠牲』になり続けてしまったのかもしれませんね。慎重と言えば聞こえが良いですが『未知=敵』に対して過剰に怯えてる気がします・・・
『鈴木 悟』の状態であっても、親しい友人がいないっ・・・最低でも一人くらいはいた(過去形)可能性は捨てきれませんが、もしそうで無いなら、既に精神構造が逸脱している気がしますね。なんか、アニメのOPが自分を探している様に思えました。そして、気付かない内に色々『人』の部分が剥がれてく気もします。