そして、所々エロイかもしれません(^^;)ヤッチマッタ感パネェ・・・ま、R15タグ入れてるし良いかw
あ、ついでに何故幻影が度々出るのか分かりますよw
そして残念ながら、アルベド出ません・・・(´・ω・‵)
事の発端は些細なモノだった。ジュンが持ち込んだ
書かれていた内容はジュンとモモンガの内容だけなのだが、如何にも厨二病であり思わず2人揃って胸が痛くなる内容だった。ふと、ジュンは見覚えが有る気がしたのだ。恐る恐る自身の
モモンガはジュンの無言で俯いている様子から、暫く経って声をかける事にした。
「ジュンさん?」
「モモンガさん。モモンガさんって
唖然とも、硬直ともとれる凍り付いた表情をしたジュンの言葉にモモンガは自分の
2人は無言で一緒に読み進める。そして、あまりにも息の合ったタイミングでページを捲り、全て読み終えた。
「ねぇ、何コレ」
読み終えたジュンはその瞳孔を、竜を思わせるモノに変え、肉体には血管が浮かび上がる。正に力が込められているとモモンガは思った。口を開けば殺気が込められているのだろうか。骨しかないモモンガの体に寒気が奔る。一言で言えば爆発寸前だろうか。
「ジュ、ジュンさん?あのですね。別にワザとじゃ無いと思うんですよ」
「いや、分かってるよ。けど、コレは無いんじゃないか?」
「まぁ、そうですが、少し落ち着いたらどうですか?あ、俺メイドに何か持って来させます」
特に仲が良かったペロロンチーノが書いた事も有り、何とか弁解しようとするも取り付く島もない。故に落ち着かせようと、何か軽食や飲料を用意させようと席を起とうとするも、丁度隣に座っていた事も有り袖をジュンに掴まれた。
「あの、放してくれると助かるんですが・・・」
「モモンガさん。知ってた?」
完全に目が据わっているジュンに、何とか袖を離してもらおうと思うモモンガ。内心、何を?と思わなくも無いがあの本の事だろうと察す。
「いやー、ペロロンチーノさんが題材にして書いたとは聞きましたけど・・・」
「俺もさ。間違ってコピーした時に読んでネタとして笑ったよ。笑ったけどさ」
何とかしようと思うのを諦めようかと思うモモンガ。ジュンが第一人称を『俺』に変える時は大抵頭に血が昇り過ぎている状態である為だ。しかも、冷静に怒っているような状態な為対応を誤れば一発貰ってもおかしくは無い。
フレンドリーファイアが無い状態で戦闘形態では無いが、上位の前衛職や上位種族レベル持ちの同レベル帯の攻撃等、モモンガは貰いたくは無い。支援・強化系以外のスキル未使用時、俗に言う通常攻撃の場合威力を増す腕輪をジュンは着けているのだから余計に。
「いや、ペロロンチーノさんもワザとじゃ無いでしょうし、ね・・・」
「誰が
「いや、設定の件は自業自得でしょう・・・すいません。事故ですね。ハイ」
自分所業が原因だとジュンも理解しているが、第三者であるモモンガに指摘され思わず握り拳を振り被るも、ソコで薄っすらと蛍火の光を放った。怒りが一定以上を越えた為真実の目の効果の一つ。精神攻撃無効による精神安定が発動した証拠である。モモンガは内心助かったと安堵の溜息をつき、座りなおした。
一方のジュンも一度深呼吸し、心を更に一段落ち着かせ、モモンガにも何か有るかと思うのだ。
「モモンガさん。この設定。モモンガさんにも反映されてません?」
「どうなんでしょう?この体になって色々変わっているのは自覚有りますが、よく分かりませんね」
ジュンは
流石は全盛期のウルベルトと言うべきか、書かれている設定は色々と全開である。内心設定魔であったタブラも何らかの関与が有ると2人が思う程説明文が長いのだ。
『正に死の支配者に相応しき・・・』『死は安息である筈だが、其れを超越した・・・』『また、死を超越したが故に現世の・・・』『慈悲深いが死者にしては感情の起伏が有り・・・』等々。読み進めるのは2人の心に一定以上のダメージが及びそうな為、読み進めるのは諦め、目次に当たる部分までページを戻した。
書かれている内容は有益だった。
『この書に記されし者は例え存在を消滅する理により体を失おうとも、それは死では無い。如何なる邪法をもってしても存在は消えず、対価として血、若しくは金を用いらば蘇らん。この書は世界の理を持ってのみ消滅する』
ゲーム用語は省かれている説明だが、要するにデータのバックアップをする特殊なアイテムであるという事。また、
「まぁ、万が一ロンギヌス使われても大丈夫の可能性が有ると考えれば、ね」
「ただ、蘇生されたとして、ソレは本当に自分なのか気になりますがね」
「・・・守護者に聞くのがベストでしょうね」
2人ともこのアイテムの存在は知られてはならない物であると認識し、また万が一の際復活したとしてソレは己であるのかという不安は拭いさる事は出来ない。モモンガは状況が落ち着き次第一度宝物殿へ赴く事を決めた。動く己の黒歴史と会うのは気が引けるが、それ程重要なアイテムなのである。ジュンは取り合えず己の
集中力が切れたのかジュンは眠気を感じたのだ。通常の悪魔系ならば『睡眠無効』が有るのだが、ジュンは『睡眠耐性 大』なので眠気が有るのだと判断した。そしてモモンガに申し訳無く思うのだ。モモンガは肉の体を失い、人とかけ離れてしまっているのだから。
「あー、ゴメン。モモンガさん。寝る所借りても良い?眠れないモモンガさんには悪いと思うけど、さ」
「構いませんよ。そう考えると肉の体って不便だったんですね」
そして懸念は当たっていた。モモンガは極めて自然に己の骨の体を認めていた。肉の体が不便であるとの認識はジュンも思わなくもないが、モモンガは人間であったのが過去の事であると認識している様に思えた。
ジュンは、モモンガの認識と心の差異がどの様な事になるのか分からない為、試してみる事にした。同じ男相手にするのは気持ちわるいと思わず、恥ずかしさを訴える己の心に蓋をしてモモンガの膝に手を置き、下からモモンガの顔を覗き込んだ。
「モモンガさん。不安だから、眠れないにしても手を繋いでくれる?」
「え?」
ジュンの突然の申し出に困惑するモモンガ。思わず口を開き、唖然としてしまっている様子が見て取れる。ジュンはペロロンチーノとの馬鹿話で思い出した、本当に女性がするかどうかは不明だが、誘惑する行為を試しに取ってみる事にしたのだ。だが、反応が悪いモモンガの様子にそっとモモンガの膝の上に馬乗りになり、その首の後ろに腕を回す。胸がモモンガの肋骨に当たり、形を変えるも気にせず、モモンガの顔をジッと見つめた。
「ねぇ、お願いしても良い?」
「ちょ!?急に女の子らしくしてどうしたんですか!」
思わず引き込まれそうなジュンの目に意識を持って行かれていたモモンガ。ジュンの形の良い唇が言葉を紡ぎ、蠱惑的な甘い匂いに、ふと蛍火の光を放ち我に返った。
女性的かどうかはモモンガには理解出来ないが、ジュンの行動は思わずなけなしの欲望が刺激されるのを感じた。
モモンガはユグドラシル時代のジュンを男性と認識していた。だが今のジュンは声は女性のモノとなり、女性特有かは不明ではあるが甘い匂いをしている。触感も男性では無い、柔らかでありながらも程よく筋肉がついているのだろう、程よい弾力を持つ。とても男性であると認識できない為、先の集まりの際思わずジュンの数か所に目が行ったのを自覚し、そして冷静になった思考が自己嫌悪を思わせる。
「別に良いでしょう?」
「いや、良くないですよ!って、ぶくぶく茶釜さん?」
だが、それも一瞬だった。ジュンが優しくモモンガの頭を掴み、視線を己に向けさせた為だ。
モモンガは思わず視線泳がせた。そして、ジュンの後ろに視線を向ければ半透明のピンク色のナニかに見える者が迎えのソファーに座っているのが見えた。具体的な形状は男性のシンボルに似ているのだが、この形状は伸びている為であり、実際は『粘液盾』と名高い『ぶくぶく茶釜』である。
ジュンは突然別の女性の名を言われた事に不快感を覚え、自身の心の動きに少し戸惑いながら後ろを一瞥するも何も無い。
だが、ウルベルトとたっち・みーが氷の魔竜と炎の巨人。何方を狩るかでもめた際に、ペロロンチーノが己の姉のアバターを肉棒と形容したのを思い出せば無意識に小さく笑った。
「何言ってるんですか?まさか、無くしているのにナニを?」
「いや、確かにこの体では無いですけどね!?え?ジュンさんには見えてないの?」
ジュンはモモンガの肋骨を上から下へ指を添わせる。白魚の様な指が、肋骨の隙間に入り込まない様ソフトな接触である。モモンガはジュンの言いように少し頭にくるも、幻影は自分しか見えていない事に困惑した。
モモンガの困惑に先ほど見たモモンガのページの記載を思い出したジュンは
「もしかしてコレじゃない?」
「残留思念、ですか?」
そこに書かれているのは、『死を超越したが故に残留思念を感じ取り、時にはその声を聴く事が出来る。死者のモノだけで無くその場や物に遺された強い思いも含まれる』
モモンガは残留思念という言葉が何なのか思い出そうとするが分からなかった。だが、文面から要するに仲間達の意思がナザリックに込められている気がした。その事に気付くとぶくぶく茶釜の幻影は一層直立し、空気に溶けるように消えていく。
ふと、モモンガは独りではなく、仲間達が遺したモノが
「嬉しそうですね?」
ジュンはモモンガの様子に
ジュンの体温はモモンガに伝わり、モモンガは胸が、心が暖かくなる感覚に身を任せ、皆を思い出していた。確かに皆、現実の都合で離れて行った。行ったが確実にいた証拠が有る。そう感じずにはいられない。
ゆっくりと心が温かくなり、そして、強制的に感情が抑制され元の平坦なモノとなる。それが何所か寂しげであり、現実を突きつけられている気がしないでもない。だが、モモンガは自身の膝の上にある重みと温かさに孤独感は消えて行った。何所か心に空いた穴が塞がる様な気がしないでもない。思わずジュンを抱きしめてしまい、ジュンは少し驚いた様子だが、優し気な笑みを浮かべた。
「私に寝顔を見られても良いのか?」
ジュンの温もりがありがたいと思う反面、この姿勢等を自然に行い、動揺を見せない事にモモンガの好奇心が刺激される。少し仕返しをしようと考え、頭を下げ出来るだけ耳元でそう囁いた。
守護者達と話すようなモモンガの音程の声と口調。ジュンは己の心臓が急に強く跳ねたのを自覚し、異様な恥ずかしさとモモンガの行為に嫌悪感を感じない事を疑問に思わない事に蓋をした。
「確かに体は2人ともアレですけどね?今の体じゃ行為も何も無いでしょ。それに、これでもまだ男です。今のところ。多分・・・」
「・・・気付いて無いだけだと良いんですが」
この短時間だけで随分と自信が無くなったジュン。語尾がに近づく程声が小さい事から自覚は有る。それに、モモンガの体が骨である事から、ある意味身の危険を感じないのが良かったのかもしれない。
モモンガは先のジュンの行為に、かなり色々と削られているので溜息混じりである。
「だから、ですよ。いくら寝なくても良い状態でも、ね」
モモンガは内心、ジュンと一緒に、この右も左も分からない世界に来た幸運に感謝した。
ジュンがあえてあの様な行為をしたのはモモンガの些細な変化に気付き、少しでも緩和する為にも人間の生活で重要な行為である睡眠、休息を取るよう仕向けた結果なのだ。
恥ずかしさも有るだろう。そして、女になっていく心を自覚してしまっただろう。それでも己に気付かせようと、気遣ってくれたジュンに、モモンガは涙が出そうになる。だが、涙も出なければ感情が強制的に抑制される身。感謝は行動も伴い示すべきだと、ジュンを抱きかかえ、立ち上がった。
「ありがとうございます」
「それより、もっと素をだしたら?」
急に横抱き、属に言うお姫様抱っこされたジュンは驚くが、穏やかなモモンガの声に軽く本来の口調素の自分を出し事を薦めた。
2人は何方が先かは不明だが、笑い出した。モモンガは、そのままの状態で寝室が有る部屋へと歩いて行き、戸が閉まる音が意外に大きく無人の部屋に響いた。
『勇気あるモモンガさんに敬礼!』
戸が閉まる瞬間に半透明であり、猛禽類の頭部を持ち、4枚と翼を持つ白と黄銅色が目立つ鳥人。ペロロンチーノが2人が消えて行った部屋の扉に敬礼しているのは誰にも分から無いだろう。何所か涙を流し気味であり、歯を食いしばっている様な声である事は誰も知らない方が良いかもしれない。
寝室へ続く部屋の扉が閉まる音は本当に大きかったのだろう。執務室へ続く扉の前に立つナーベラルとルプスレギナは動揺していた。
モモンガの部屋の構造的に、執務室には寝室と道具置き場的な部屋、廊下へ続く扉が有る。
「ナ、ナーちゃん。今、扉が閉まる音が聞こえなかった?」
「一先ず確認よ。・・・失礼します」
ルプスレギナは聴いてはいけないモノを聴いてしまったと言わんばかりに焦りが顔に出ており、一方のナーベラル薄っすらと額に汗をかいており、そのままノックし、返事が無い為扉を開けた。無人である。応接用の机の上に本が一冊置かれているだけで、本来居るべき者達の姿が無かった。そして、道具が置かれている部屋も同じ手順で確認するが、2人の姿は無く、気配的にも寝室にいる事を認識してしまった。
「え?モモンガ様骨だよ?もしかして、もしかしたりする!?」
「分からないわ。けど、睡眠を好まれる可能性は高いと思う」
誰の目で見ても分かるほどルプスレギナの目は輝いていた。正にワクワクした様子である。ナーベラルは純粋に、ジュンが睡眠を欲し、寝る前にモモンガと話している可能性も考慮に入れるが、あくまで可能性であり、低いだろう。
「ナーちゃんは、モモンガ様の姿が無いのはどうしてだと思うの?」
「アルベド様に報告すべき。なのでしょうけど・・・」
「下手にジュン様が起きて、モモンガ様に注意とかされそうだよね」
ルプスレギナの余りにも楽しそうな声と視線に、話題を逸らすナーベラル。
だが、ナーベラルの言葉に2人は報告した際のデメリットを思い浮かんだ。現在ナザリックは緊急事態であり、守護者もその対応に追われている筈である。そして守護者統括であるアルベドのモモンガへの傾倒・懸想っぷりは2人は良く知っている。この件を報告すれば間違いなく寝室へ突撃する事も。
「ルプスレギナ。楽しそうなのは結構ですがあまりハメを外さない様お気を付けなさい」
「セバス様!いや、コレは、あのぅ・・・」
かなり動揺していたのだろう。ルプスレギナは突如聞こえたセバスの声に振り向けば、先程も見たステキ笑顔仕様のセバスが立っていた。ルプスレギナが何か話そうとすが、何を言えば良いのか分からない為しどろもどろになっている。
「2人共。御静かに」
セバスは気の使い方に優れており、寝室ではジュンがベットに横になり、ジュンの右手をモモンガが握っている様に感じた。そして、先程会った時と比べジュンの気が程よく弱めになっている為、寝ている可能性が高いと判断する。話声等が大きく、起こさない様ルプスレギナとナーベラルに指示をだしたのだ。
セバスは考えすぎでは有ると自覚しつつも、必要な事を済ませるべく部屋を一瞥した。危険物の類は見当たらず、応接用に見慣れぬ本が一冊置かれているだけである。手に取れば著者はペロロンチーノである様子。素早く本を読み始めた。一見適当にパラパラ捲っている様だが、確りと内容を把握しており、読み終わればそっと元の位置へ寸分違わず置く。
感想は特になく、ジュンの食事は人間が食べる物を用意する様、料理長へ伝える必要が有ると判断したくらいだ。
「2人とも、ココはお願いします。万が一が有るか、モモンガ様がお出になられれば、分かりますね」
「了解っす!」
「ルプー・・・」
セバスはすべき事を終え、次の仕事へ向かう事にした。小声ながらも元気良く返事するルプスレギナにナーベラルは頭痛を感じた。
モモンガは時間がゆっくり流れているのを感じながら、ジュンの寝顔を見ていた。
モモンガは考える。姿が変わり、価値観の変化が顕著になれば、本当にソレは己なのか。
ジュンは女の体に。自身は骸骨に。性別の差異程度ならばまだ良いのかもしれないと思うが、結局の所五十歩百歩であり其々の苦悩が有るとも思う。今の己は『鈴木 悟』であった存在でしか無いと判断を既に下している。だが、己が人間であったのをジュンが思い出させてくれている。
思えば、己の心に暖かさを覚えさせたのは仲間達であり、ジュンであった。もし、皆に出会わず擦り切れた精神でこの体に宿れば外見通り、全てに無感情・無慈悲に判断を下すモノとなり果てていた。仲間がいたからこそ、ジュンが傍にいたからこそ、今の己は『鈴木 悟』であったアンデットと認識出来ているのでは無いかと。
モモンガは何故か、目の前にいる無防備な存在を収納できる宝箱が有れば閉じ込めたいと思った。だが、ナニかが叫ぶ。自由に飛び回れるからこそ、鳥は美しく気高いのだと。野に咲く花を手折れば、幾日かで枯れると。
自身は過去の動画でしか鳥が空を舞う姿を、緑の大地に咲く花を見た事しか無いのに。最終学歴が小学校卒業であった為、教養が少ないと自覚有るのに何故かそう思うのだ。
結局の所、『ジュン』を手放したくない。そう考えているのだろう。『ジュンを閉じ込めてでも』欲しいという欲望を抱いているのか?自問自答が続く。
だがそんな思考とは裏腹に、モモンガの心には『幸せ』という単語が浮かび、空虚なナニかが満たされる感覚を味わっていた。
どれ程時間が経っただろうか、ジュンの長い睫毛が震え、その瞼が開いていく。モモンガは先程迄の思考を脳裏に隅へ追いやり、無意識に忘却した。
「おはよう。モモンガさん」
「おはようございます」
少し眠たげな目でモモンガを見るジュン。その目には拒絶の感情無く、澄んだ目でモモンガの姿を捉えており、その瞳に映った骸骨の姿が己であるとモモンガは理解しているのに、落胆せざるを得ない。
ふと、ジュンは己の右手を見れば、モモンガの骨の手が、傷付けないよう優しく握られているのが目に入った。そして、己が何も不安を覚えずに目が覚めた要因であるとも認識した。
「本当に一晩中、就いててくれたんですね」
「えぇ。あ、食事はどうしますか?」
笑みを浮かべ、感謝の意が伝わる事にモモンガは恥ずかしくなり、手を放して振り返りながらそう聞いた。その姿が何所かコミカルで面白かったのかジュンは小さくクスクスと笑い、モモンガ照れた様に右手人差し指で自身の頬骨をカリカリと掻いた。
「あ、それですが、2人分お願いします」
「分かりました。あ、着替えておいて下さいね」
ジュンの要望にモモンガは少し変だとは思ったが、そう言って寝室を出た。ジュンは自身の恰好が白い特大の布を巻いただけだと思い出し、アイテムボックスに入っている、登録した装備を瞬時に装備させる指輪を取り出した。指輪の装備制限が無い為、ソレを右手小指に填めて発動させれば、昨日着ていた修道服モドキの恰好になる。
地面に落ちた先程巻いていた布をアイテムボックスに収納して、手早く寝室を出た。
ジュンが出れば、モモンガはナーベラルに食事の件を言い渡し、ルプスレギナが持って来た書類を読みだしていた。執務用なのか、黒曜石調の机に置かれた書類は意外と多い。所々付箋が有るので、恐らくナザリックの運営に関するのか、周囲の調査結果等の報告かと判断し、自身は応接用のソファーに腰掛けた。
暫くするとナーベラルが2人分盛られた食事のトレーを持って来た。メニューはハムや各種野菜等を挟んだ掌大のサンドイッチが10種類。何故かコーンスープとクラムチャウダーがカップに入っており、冷たい飲み物は無い。量は多いが、正直朝食としては疑問を抱かざるを得ない献立である。
モモンガがナーベラルに問いかけようとするも、ジュンが袖を掴み、静かに首を横へ振った。
「外で待っていろ。ジュンは気軽に食べたいようだ」
モモンガの言葉にナーベラルとルプスレギナは退出し、モモンガは朝から頭痛を覚えなくもない。モモンガの部屋へ運ぶ事から、毒物等は考えられないが、この様な献立ではホストであるモモンガの面子に傷が付くモノなのだが、アルベドの指示で用意された物である。
トレイの一往復で運べ、手早く取れる食事である事から、非常事態を前面に出して押しきれる。また、叱咤して貰えるならばモモンガに逢えると判断したのだ。そして非常事態である為、今アルベドを謹慎処分にすれば更に調査等の効率は低下し遅延するため、下手な処分は下せないだろうとも考えている。
「多分ですけど、手早く食事をして、仕事して欲しいって意味でしょうね」
「だからと言って、コレは・・・まぁ、飲料系の食事を持って来なかっただけ良しとしますか。非常事態ですし」
だが、アルベドの狙いは見事に外れた。2人は企業戦士として、飲料系の食事と言えぬ栄養補給で働いた経験を持つ者達なのだ。モモンガ的には持成す側として不快感を感じなくも無いのだが、現状から不敬覚悟でこの食事を用意するよう指示を出した者を褒めるべきか、叱咤すべきかで悩むが、ジュンが不満を感じていない様子に褒める事にした。
「アルベド、か・・・」
視界の隅に蹲って震えているタブラの幻影を見ながら指示を出した者の見当をつけながら、ふとアルベドの設定を弄った件をジュンに伝えていない事を思い出すが、一先ず書類の処理を続ける。モモンガの書類仕事を横目に、ジュンも食べながらモモンガが見ている書類を確認する。その際、余りの美味しさに呟きそうになるが気合で我慢した。
「モモンガさん
丁度読み終わったのを良いタイミングとして、ジュンは
「コレは・・・!」
モモンガは何が変わったのか己の両手を見てみれば、肉が、皮が付いていた。咄嗟の行動なのだろう。
「なっ!俺の顔!?」
35才程で何所にでもいそうな黒髪の男の顔。現実では慣れ親しんだ己の顔がソコには有った。だが、何所か精鍛な雰囲気であり、肌蹴てさせている服の隙間から見えるのは俗に言う細マッチョであり、筋肉質な体だ。思わずペタペタと触りながら、感触が有り、幻術で無い事を確認した。
ジュンはモモンガの表情があまり変化せず、見開いた目と声で驚愕している事を判断するのだが、それを一先ず置いて置き、真実の目が残り時間をカウントしているのが見えた為、仕様をどう説明するか迷う。
「どう?」
「えぇ、ですが、コレは・・・」
だが、取り合えず感想を聞く事にした。モモンガがさり気なく己の股間を服の上から確認しているのを見ていない事にして。
「何だが、選べる仕様だったんで取り合えず人の体にしておいたんです」
「種族に対応する物なのか、それとも・・・」
ジュンが今回
種族レベルも込められる仕様なのだが、対応した種族に一時的になるとは判明しているのだが、様々な検証が必要なのである。また人族以外ならば、対応するレベルの付与の際、元の姿か、人間の姿かを選択できるのだ。地味に筋肉質なのはファイターを入れた為かとも考えるのだが、それよりもすべき事が有った。
「取り合えず食事にしませんか?」
ジュンの一言にモモンガもサンドイッチに手を伸ばした。
モモンガは無言で食事を取る。噛み切る感触を味わい、ハムに付けられた黒コショウの風味を楽しみ、野菜特有の甘さに感動すら覚えた。現実では新鮮な作物は貴重であり、コレ程瑞々しい野菜なぞモモンガは食べた事が無かったのだ。
「美味しいですよね」
「えぇ・・・」
ジュンの笑顔にモモンガはそう答えるしか無かった。先に食べていたジュンが、己が食べるまでその一言を我慢した事にありがたく思いながら、2人は食事を楽しんだ。食べながら喋らないのはこの味を楽しむ為である。
「さて、取り合えず残り時間がどれぐらい有るか分かります?」
「何故か体感ですが、残り12時間位の様ですね」
シメに2人揃ってスープを飲み干した後にジュンが聞く。モモンガの述べた時間にジュンが頷いている事から間違いは無い様だ。
「一日に効果を発揮する時間は込めるレベルで変わる仕様みたいです。込められているの、何か分かりますよね」
「えぇ。ファイターとか、実験には丁度良いですが」
ジュンの説明に、魔法詠唱者である己が戦士職とか合わないと思いながらも、このアイテムの有用性は強力であると認識した。時間制限付きだが、実質レベル100を超えるのだから。初期選択可能な下位職の職業レベル分のステータスの上昇だが、同レベル帯の戦闘では馬鹿に出来ないのだ。詳しい仕様はまだ判明していないが、上位職が込められるならば、PvPの勝率は一気に上がるだろう。
そして、それ以上に己が再び食事できる事に感動を覚える。
「手放せなくなりそうですね」
「普段はモモンガさんが持っておいて下さい。けど、人の肉体で戦うのはかなり感覚が変わると思うので、控えてくださいね」
モモンガが思わず口にした一言は感慨深いモノだった。
食事は魅力的だった。だが、ジュンの一言に、人間の姿を取るのはナザリック内であり、限られた時間が良いとも思う。軽く手を握ったり開いたりするだけなのだが、何所か違和感を覚えた為だ。
「この姿で出歩かない様にした方が良さそうですね」
「いや、人間とかの前に出るのはその姿で。人間の感覚だと骸骨ってマズいですよ」
「何故ですか?ユグドラシルでは・・・あぁ。そうか」
モモンガはジュンの指摘に、己がまだユグドラシルという『ゲーム』の認識を持っている事を理解した。そいして戒める。『現実』であると認識せねばならないのだから。そして、己の価値観の差異がどれ程有るのか予測できない不便さが気になる。
モモンガは後ろ髪を引っ張られるように、名残り惜しそうに使用を止めた。夢から覚めるように、肉は消え去り、元の骨だけの姿へ戻る。だが、モモンガはこの骨の姿こそ己であるという認識をしている事に気付いた。
「懸念してましたけど、飲食は問題ないみたいですね」
「えぇ。さて、手伝ってくれますよね」
モモンガが先程食したモノが解除と同時に、ぶち撒かれない為ジュンはそう判断した。そして、モモンガの何所かスッキリした様で、ストレスが解消された様な声音に自然と笑顔になる。
「勿論ですよ」
ジュンは笑顔と共に了承し、モモンガとは別の書類に手を伸ばした。
書類の処理をしながらジュンと問答するのは今後の裁定にも関係するので、地味に壁を一定の間隔で殴るペロロンチーノの幻影をモモンガが完全に無視している事は本人しか知らない。
数刻後、ナーベラルとルプスレギナが次の書類を持ち込んだ時には、既に決裁済みで談笑する2人の姿に驚くのだった。
てな感じにお送りしました。甘いのかドロドロしてるかw
ウチのモモンガさん。無自覚の肉食系ヤンデレかもしれない・・・
さて、今回。色々と暴れ斃しました。私が。まぁ、どんな結果になるのか予測はしてますが・・・某メイジンは言いました!ガン・・・二次創作は自由だと!(笑)
ですので私も開き直る事にしましたw評価を恐れて二次創作は書いてられんでしょw
次の更新は遅くても水曜日になります。