忠義の騎士の新たなる人生   作:ビーハイブ

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Realta Nuaのヘブンズフィールルートの曲かっこよくて聴きながらノリノリ書いてたら終わってました。


想い出は慟哭の中に

 アースラに帰艦したフェイト達に待っていたのはアサシンによる攻撃と撹乱を受けたと言う事実、さらにはディルムッドの生死不明という最悪の状況だった。

 

「アサシン……ハサンの中の少女の言っていた事が本当ならば彼はどこかで生きています。今はそれを信じましょう」

 

 なのはも守れず、ディルムッドも行方不明という状況に意気消沈するフェイトにリンディが慰めるように声をかける。

 

 もしも宝具を最初から使い、全力の状態のディルムッドであればこのような結果にならなかったのではないか。

 彼を上層部の思惑から守る為に能力を封じた事が結果的に彼の身を危険に晒してしまったので一番後悔しているのはリンディなのかもしれない。

 

 現在、レティ総督と共にリンディは上層部にディルムッドを発見次第、能力を全解放する許可を取るために動いている。

 

 ライダーとアサシンの出現によりディルムッドの宝具の絶対性が揺らいだからだ。

 ハサンが言っていたライダー…フェイト達の報告では自らをイスカンダルと名乗っていた男の能力は未知数であり、ハサンも全く気配を悟らせずに内部にアースラ内部に侵入するなどという驚異的な能力を有していた。

 

 サーヴァントと呼ばれるクラスはまだ他にセイバー、アーチャー、キャスター、バーサーカーが残っており、全て現れる保障はないが、全員が同様に高い能力を有していると考えられる。 

 それら全てが敵となった時、全力でないディルムッドでは対処できない可能性が高く、それどころか管理局が致命的なダメージを負う恐れがある。

 

「イスカンダルもハサンも…伝承を見ても一体どんな宝具が全然わからないのよねぇ…」

「はい。チャリオットの能力とかさっぱりですし、ハサンの分身(?)も全く書かれてなくて…」

 

 ディルムッドの時のように伝承から二人の英雄の能力を探ろうとしたが、全くわからなかった。

 

「バルディッシュの音声データからイスカンダルの乗り物の名前が神威の車輪とはわかりましたけど」

「能力には結びつかないわねぇ…」

 

イスカンダルの結界の中での行動と会話はバルディッシュのデータから見ることができた。

 それからわかったのは、彼に敵対意思はなく、むしろ静観しこちらを見定める様子であった。

さらにヴォルケンリッターの一人が過剰に警戒を示していた事から彼らとも敵対した位置…すなわち中立の立場にいることがわかる。

 

 ハサンの主が接触を妨害したのは中立のイスカンダルを管理局側に入れないためだった可能性も高い。

 

「ディルムッドと合流できたら…わかるんでしょうか」 

 

 フェイトの声色にはまた会えると信じたいといった色があった。

 

「そうね……明日はお友達と会うのでしょう? そんな様子じゃお友達も不安になっちゃうわよ」

 

 明日からアースラの代わりに地球のなのはの家の近所に臨時本部を設置することになっている。

 最初はアースラの整備をを急ピッチで切り上げて使おうという話であったが、ハサンはあの場以外にも現れていたようでアースラの重要部位を数箇所破壊された痕跡があったので、本格的な修復も必要になってしまった。

 

「フェイト、なのはが目覚めたそうだよ」

「本当?! すみません、リンディ提督。私行ってきます!」

 

 モニタールームの扉が開き、クロノがフェイトに声をかけるとフェイトが慌てて飛び出していき、クロノもそれに付いて行った。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

「主。ただいま戻りました」

「みんな、おかえり~。今シチュー温めるからちょっと待っててな~」

 

 ヴォルケンリッターが今代の主の自宅に戻ると、アルバムを見ていた少女…八神はやてが車椅子を操作して四人を迎え入れた。

 

 暖かな家と優しい主。

 

 今までの主と違い、彼女はヴォルケンリッターを騎士ではなく家族として接した。

 闇の書が完成した時、莫大な力を主に与える。だがはやてはそれを望まず、ただ一緒に暮らすことだけを願った。

 

 はやてと過ごす日々は暖かかった。道具ではなく、家族として過ごす日常はとても愛しく、ずっとこんな毎日が続くのだと思っていた。

 

 あの日……はやての病状が悪化しているという事実を伝えられるまでは。

 担当医である石田医師が告げたのは、原因不明の麻痺が徐々に内臓方面に侵攻していっている事、このままでは命を失うという最悪の事態が迫っているという事だった。

 

 現代医療では原因不明であったが守護騎士達にはすぐにわかった。闇の書が成長途上にある彼女のリンカーコアを侵食していたのだと。

 

 彼女を救うには蒐集を行い、闇の書を完成させるしかない。そうなれば守護騎士達が取る道は一つだった。

 

 はやての命を救い、彼女と過ごす日常を守るために……例え主の願いに反してでも、このかけがえのない毎日を彼女と過ごすために。

 

 

―――だから守護騎士達は戦う道を選んだ

 

 

 彼女の未来を血で汚さないために誰かの命は奪わない。だが、それ以外ではどんなことだってするし、その後にどのような罰を受けたっていい。

 

 四人はそんな覚悟を胸に秘めていた。

 

 ふと、テーブルの上においてあったアルバムの一ページが目に入る。

 そこにある写真は殆どが守護騎士達との想い出が占めており、写真の中の彼女たちは皆幸せそうであった。

 

「この写真は……!」

「ウソッ……?!」

 

 偶然開いていたそのページの中の一枚に写っていた人物にシグナムとシャマルが反応する。

 

 そこには笑顔の主と共に写っている少年がいた。顔に包帯を巻いているがそこから覗く整った顔は見間違えようがなかった。

 

「どうしたん? あ、ディル君か~。そういえば最後に会ったんはシグナム達がうちに来る前やったからなぁ」

 

 その写真に写っていたのはディルムッド・オディナ。先程戦い、倒した男だった。

 かっこいいから見とれちゃった?と冗談混じりで尋ねてくるはやての言葉を聞きながらシグナムは内心の動揺を隠しきれなかった。

 

「遠くにいかなあかんっていってお別れしてんけど、その時にこれをくれてんよ」

 

 彼女は大事な友達を傷付けた自分たちを許してくれるのだろうか。

 

 首にぶら下げていたチェーンに通された銀色の指輪を取り出しながら笑顔を向ける主の姿を見ながら、二人は葛藤するのだった。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

――『十二月三日』――

 

 

 

 アリサ・バニングスの土曜日の朝は優雅な物であるはずだった。

 

 今日の昼にずっと楽しみにしていたなのはの友達であるフェイト・テスタロッサと会うことになっており、ウキウキとした気持ちで廊下を歩いていた。

 

 まだ出発の時間ではないのにカバンを持っていることから、どれだけ浮かれているかがわかる。

 

「ん? おぉちょうどいい。ちぃと聞きたいのだが…」

「あぁイスカンダルどうし―――」

 

 だから廊下の角から出てきた新たな同居人の質問にも上機嫌に答えようとしてそのまま固まった。

 

「いやぁ朝から酒を飲んでたのだが、履物に零してしまってなぁ。代わりの物を頂戴しようと思ったのだが…」

 

 同居人イスカンダルの言葉はアリサには届いていない。

 

 

 

―――なぜならズボンを履かずパンツ一丁であったからだ

 

 

 

「―――――――っ?!――」

 

 それに気がついた瞬間。声にならない声を上げ、持っていたカバンを神速のレベルで振るった。

 

「ぬぅっ?! 余の反応を上回るとは! 小娘…見事である…!!」

「見事である! じゃない! ズボンを履かずに廊下を歩くな――!!!」

 

 膝を付き、こちらに賛辞を送るセクハラ男にアリサが怒鳴る。

 朝からイスカンダルの股間の神威の車輪を見せられるという悪夢に少女の心にはトラウマが残りそうだった。

 

 

 

 そんな朝のハプニングから二時間後、アリサは庭でため息を吐いていた。

 

「どうした? 小娘、ため息なんぞ吐きおって」

「誰のせいよ誰の」

 

 朝の事なんてすっかり忘れて昼前に酒を飲む駄目人間…自称征服王イスカンダルにアリサが突っ込んだ。

 

「全く乙女になんて物見せてんのよ…」

「あー。そりゃすまんかったなぁ…それで? お主は何を悩んでるんだ?」

 

 ポリポリと頬を掻きながら侘びを入れたイスカンダルがアリサに尋ねる。どうやら悩み事があった事に気が付いていたようだ。

 

「今日、今から友達と会うんだけど……」

「友と会うのになーにを悩む必要がある?」

 

 イスカンダルにビデオレターの説明をする。そして直接会うのは今日が始めてであることも。

 ずっと会うことが楽しみであったが、いざ会う時間が迫ってくると、どんな風に話していいかわからなくて緊張してきたことを伝える。

 

「お前さんはぁ、難しく考えすぎだ。変な遠慮などせんで、ありのままのおぬしの態度で行けばよい」

 

 話を聞いたイスカンダルは茶化すことなどなく、珍しく真面目な顔で言った。

 

「小娘はそやつと真の友になりたいのであろう?」

「うん…」

「だったら遠慮などせんで良い。おぬしが心を開いて接していけばそやつも心を開くだろうさ。時間はかかるかもしれんが、諦めずに何度もぶつかる事が大事であるぞ?」

 

 そう言って、イスカンダルがその大きな手でアリサの頭を撫でた。彼の雰囲気と言葉には不思議とこちらを引き込む力があった。

 

 先日の一件と彼を屋敷で匿う旨を伝えたらアメリカから両親が翌日に駆けつけたのだが、彼のその不思議なカリスマに引き込まれてしまい、その日の晩には信頼を勝ち得ていた。

 

「まぁ愚痴ならば今晩余が共に酒でも飲みながら聞いてやるわ」

「未成年どころか小学生にお酒を飲ますつもりかあんたは!」

 

 そしてその日の夜、無事にフェイトと仲良くなれたアリサはイスカンダルに嬉しそうに報告するのであった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

――『十二月四日』――

 

 

 

「うっ…くっ……」

 

 洋館の一室でディルムッド・オディナが目を覚ました。

 

「ここはどこだ? 俺は烈火の将と戦って…」

 

 思い出そうとするが、謎の腕に胸を貫かれてからの記憶が曖昧で何故ここにいるのか全くわからない。

 起き上がると左肩に痛みが走り、見るとシグナムに付けられた傷に包帯が巻かれていた。おそらくはこの家の者が処置してくれたのだろう。

 

 窓から外を見ると、そこにあった光景に見覚えがあった。

 

「ここは…俺が目覚めた森の近くの屋敷か」

 

 この世界に来て街に向かう時に通りかかった場所であると気が付いた。

 場所はわかったがシグナムと戦った場所はここからかなり離れた場所のはずだ。

 

「まずは住人と話をする必要があるな」

 

 面倒を避けるためには黙って出て行くのが得策かもしれないが、治療を施して貰った恩を伝えずに出て行くなどディルムッドにはできない。

 そう思って窓辺から離れ、ドアに向かい、ドアノブを掴もうと―――

  

「ようやくお目覚めですか」

 

 背後から声をかけられ、ディルムッドが反射的に振り返る。そこにいたのは黒ずくめの骸骨の面の男――

 

「直接お会いしたのは初めてですな。アサシン、ハサン・サッバーハが一人、ザイードでございます」

「可能性はあったとはいえ…俺以外のサーヴァントもこっちに来ていたとはな…」

  

 手元には武器がなく、身体にかけられたリミッターは残っている。いくら格下のアサシンが相手でも今のディルムッドでは充分に脅威と言っていいだろう。

 

「ご安心を。戦いの意思はありません。少々お願いがあって参りました」

「願いだと?」

「はい。しばらくは管理局の関係者と合流しないでいただきたいのです」

 

 ディルムッドはアサシンの能力を知らない。ケイネスとソラウがマスターの権限を奪い合っていたので一時的に情報網を失っていた間にアサシンが正式に敗退したので、ディルムッドの中ではアーチャーに速攻で殺されたサーヴァントという認識のままだ。

 

「勿論、ランサー殿の判断を尊重いたします」

「ならば答えは決まっているだろう。そのような頼み、聞く義理も意味もない」

 

 そういってハサンの言葉を一蹴する。そのまま部屋を出たいがいくら最弱のサーヴァントと呼ばれるアサシン相手でも暗殺に特化した英霊に背を向けるなど愚の骨頂なので、警戒しながら睨みつける。

 

「それは残念です。ですが…よろしいのですかな? ここは高町なのはの友人の家。貴方が離れた後に何が起きるかわかりませんが?」

 

 そう言ってハサンがその手の中に黒塗りの短刀《ダーク》を表出させる。管理局と合流すればここの人間の命は保障しない。と言う事だろう。

 

「下種め」

「暗殺者めに高尚な精神を求めないでいただきたいですな」

 

 人質を使った脅しをかけるなど心底腐った根性の相手にディルムッドが嫌悪感を露にするがアサシンはそれをさらりと流す。

 正面切った戦いを好むディルムッドと奇襲に特化したハサンでは考えが合わないのは当然である。

 

「それではわたくしは失礼致しましょう」

 

 そういうとハサンの姿が掻き消えていき、ディルムッドだけが部屋に残される。いつまでもこうしていても仕方がないので扉を開けて出ようと再度ドアに向き直った。

 

「あ…」 

 

 その瞬間タイミングよくノックが響き、すぐに開いたドアから少女が小柄な少女が顔を出した。

 

「あぁ、すまない。先程目を覚ましたので家主に礼をしに行こうと思ったのだが……勝手に部屋を出たら拙かったかな?」

 

 この部屋にノックをしたという事はディルムッドがこの部屋にいることはわかってはいただろうが、扉を開けた先に素性のわからない人間が目覚めて立っていたら驚くだろう。

 

 なので、敵意がない事を示すために笑顔で尋ねた。だがディルムッドは致命的な事を失念していた。

 

 ディルムッドの人生を狂わせる呪い『愛の黒子』はディルムッドへの能力限定によって大幅にステータスダウンしている。

 その影響で女性と会話しても即惚れられるなどという最悪の事態が発生しなくなったせいで、顔を見ただけで惚れられる事なんて無いと思い込んでしまっていたのだ。

 

「あ、あの…えっと、その…」

 

 しかし呪いがなくてもディルムッドは絶世の美男子と言われた男である。

 そんなのが扉を開けたらいい笑顔で尋ねてくる破壊力は凄まじく、またダウンしてるが『愛の黒子』自体が消えている訳ではない。

 

 そんなものを恋愛経験ゼロの純粋な少女が見ればどうなるか。

 

「あ! あのっ! 私! 月村すずかって言います! 二日前に森の前で倒れてるのを私が見つけて…!」

「そうか、それは助かった。俺はディルムッド。色々と説明をしたいのだが、どこか皆が集まる場所へ案内してはもらえないか?」

「は…はいっ!! 今はお姉ちゃんいないんですけど…! こっちでしゅ!!」

 

 惚れた。それはもう焦って噛むほどに。

 

(さて何と説明すべきかな…ひとまずは礼とデバイスの回収…その後はここを出てアースラに見つからないようにどこかへ潜伏する必要があるな)

 

 それに気付くことなく、今後の行動を考えながらディルムッドはすずかの後ろを付いていった。

 

 

 しかし、この後やたらとメイドの一人に気に入られ、ここを出て数日野宿をする予定だと答えると、すずかの強い要望もあり、この家に数日住まう事になった。

 槍に関しては心苦しかったが、管理局の事を言うわけにも行かないので、自分のものではないと言って誤魔化し、その上で自衛のために欲しいと頼み返してもらうことに成功した。

 

 

 征服王の『カリスマ』と輝く貌の『愛の黒子』……魔力を持たない者にはその影響が顕著に出るのである。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

  

――『――月―日』――

 

 

 夢を見ていた。

 

 荒廃した工場で二人の騎士が戦っている。

 黄金の剣を持った美しい女剣士と真紅の槍を持った美男子が流麗な舞いを彷彿とさせる鮮やかな剣戟を繰り広げている。

 

『左手を使わないつもりか』

 

 幾度か斬り結んだ後、真紅の槍を自在に扱う男がいぶかしげに尋ねる。

 それに女騎士が答える。左手を使えば慙愧が剣を鈍らせ、それが致命傷に繋がると。

 

『故に―――よ。これが全力で貴方を倒すための私にとっての最善の策だ』

 

 黄金の剣を鮮やかに三度振るいながら笑顔で宣言する。それを聞いた槍騎士が喜色満面の表情になり、闘志をみなぎらせる。

 

『騎士道の剣に誉れあれ! 俺は…お前と出会えてよかった!』

 

 先ほどの剣士に対するように、真紅の長槍を自在に振るい、槍を構えなおす。

 

『フィオナ騎士団が一番槍! ―――――――!推して参る』

『ブリテン王! アルトリア・ペンドラゴンが受けて立つ!』

 

 互いに名乗りを上げ、剣士と槍騎士がぶつかり合う。

 全力でぶつかり合う二人は、命を賭けた戦いであるというのに楽しそうであった。

 

 誇りを賭けた騎士の戦いは両者共に一歩も譲らず、見ている者を引き込む。

 

 

 

――グシャッ!!

 

 

 

 それは唐突に終わりを告げた。槍騎士が『自身の槍』で貫かれたことで。

 

『あ……? ガファッ!!』

 

 自らを穿った槍騎士がその身に起こった出来事に一番驚き…そして

 

『貴様らは……そんなにも……』

 

 絶望していた。彼の無念が流れ込んでくる。

 

『そんなにも勝ちたいか?! そうまでして聖杯が欲しいか?! この俺が……たったひとつ懐いた祈りさえ、踏みにじって……貴様らはッ! 何一つ恥じることもないのか?!』

 

 ただ騎士として戦いたかった。ただ忠義を尽くしたかった。それだけであったのに。

 

『赦さん……断じて貴様らを赦さんッ! 名利に憑かれ、騎士の誇りを貶めた亡者ども……その夢を我が血で穢すがいい! 聖杯に呪いあれ! その願いに災いあれ! いつか地獄の釜に落ちながら、この――――――――の怒りを思い出せ!』

 

 そんな小さな願いを! その想いを……自らの目的のために踏みにじる者達が憎い!!

 

 

 憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い――――――ッ!!

 

 

 最期の瞬間に顔を上げた槍騎士の美しい顔に面影は無く、憤怒の血涙を流した鬼相と目があった。

 

 

『お前も…俺の誇りを踏みにじるかッ!!』

「っ?!」

 

 

 その声を聞いた瞬間、シャマルは目を覚ました。

 

 

 

 

 

――『十二月六日』――

 

 

 

 

 

「……夢?」

 

 鮮明な悪夢から目覚め、辺りを見渡すとそこは廃墟となった工場などではなく、愛しい主と共に住んでいる一軒家の居間だった。

 

 下を見ると、カートリッジの薬莢が転がっている。どうやら魔力を込めている間に眠ってしまっていたようだ。

 

「今のって……」

 

 夢の中に出てきた二人。そのうちの一人に見覚えがあった。

 背丈も武器も全く違うものであったが、その戦い方も外見もはやての友人であり、先日シグナムが戦った少年。ディルムッド・オディナと酷似していた。

 

 

 

――――さぁなぁ…余もそこまではわからん。それがセイバーとの一騎打ちの最中であったと聞き及んではいたがなぁ

 

 

 

 そして思い出すのはイスカンダルの言っていた言葉。

 アルトリアと名乗った女剣士がセイバーなのだろうか。だとすれば彼が言っていた事と今の光景が一致する。

 

「だったらこの夢は彼の過去の出来事?」

 

 そんなものを見ることになったきっかけは一つしか浮かばない。

 彼のリンカーコアを狙って現れた金色の破片。取り出す瞬間までは彼からは殆ど魔力を感じなかったが、あの破片を取り出した瞬間に魔力が膨れ上がった。

 

 その結果、かなりの量の魔力を蒐集できたが、代わりに彼の破片から出てきた泥に触れた左掌は、見た目は変化はないが、感覚が無くなってしまった。

 

 言えば余計な心配をかけることがわかっているのでこの事は誰にも伝えていない。

 

「あのイスカンダルって人には手を出しちゃ駄目ね」

 

 高い魔力を有しているのはわかるが、同じ世界から来たといっていた。ならば彼もリンカーコアではなく黄金の破片を持つ者であるかもしれない。

 

「惜しいけど、これ以上危ない物に手を出す必要はないわね……」

 

 そう判断し再び作業に戻る。守護騎士として生まれて初めてシャマルは眠るのが怖いと思ったのだった。

 

 




申し訳ありません。くだらない下ネタに走りました。とめられなかったんです。
最初は漫画版ZEROみたいに履いてないでいこうかと思ったんですが、相手小学生だって途中で思い出してパンツをはかせました。

英霊三体をバランスよく出すように書くのに苦戦します。キャスターは・・・ちょっと待っててください。

真剣に悩んでるのは、なのはさんが出てこないという・・・

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