天使がダンジョンに堕ちてくるのは間違っているだろうか 作:河灯 泉
私が書いたのはアニメ1話終了のとこまでなんですよね。
( ゚д゚)
というわけで。
もうちっとだけ続きます。
「ってぇな馬鹿野郎! どこに目ぇつけてんだ馬鹿野郎!」
「あ、ごめんなさい……」
「んだよボロのガキかよ馬鹿野郎! よく周りを見て動けよ馬鹿野郎!」
「いえあの、だから。ごめんなさい、って」
「まともな服もねぇのか馬鹿野郎! ちょっとこっちこい馬鹿野郎!」
「あーれー」
手を引かれて辿り着いたのは迷路のような住宅街。
というか、改築に改築を重ねて立て直すこともできなさそうな状態になっている。
迷ったらどうするんだろうかこれ。
それともここの住民は迷わないのか?
「ここだ入れ馬鹿野郎!」
誘拐?
拉致?
いえいえ。
そんな物騒な話にはなりませんよ。
「妹のだ着れ馬鹿野郎! 遠慮なんかすんじゃねぇぞ馬鹿野郎!」
なんかめっちゃ良い人みたいなので。
古着を貰った。
水色のワンピース。
なまはげみたいな顔をした大男は「俺は部屋の外にいるぞ馬鹿野郎!」と吐き捨てて出て行った。
マントと申し訳程度の布を取っ払って着てみた。
あらかわいい。
ヒラリヒラリ、クルリクルリと踊ってみる。
「てか私は女だから野郎じゃないんだけどなぁ……」
「終わったか馬鹿野郎!」
「あ、はい」
「そうか! 連れが来てるぞ馬鹿野郎! 心配かけてんじゃねぇよ馬鹿野郎!」
「……連れ?」
窓を開けて、入り口に立っている人物を見た。
ちなみにここは2階である。
階段は裏にあったんだけどね。
「おや。ベル君だ」
「エ、エルさん! 大丈夫ですか!?」
「さん付けはいりませんよー。今行きますから待っていて下さい」
顔面凶器とでも言われてそうなモヒカンのあんちゃんに礼を言って出る。
その際に「兄に甘えるのは妹の義務だぞ馬鹿野郎」と言われた。
……自分の妹に言いなさい。
誰が妹だ誰が。
「やっほー、ってかどうしました? てっきり今頃は神ヘスティアといちゃこらしているとばかり」
「エルさn……エルが服を着ないで出て行ったって聞いて慌てて追いかけたんだよ! それで怖い人に連れて行かれたって話を聞いて……」
「あぁ。ご心配をおかけしました。なんの問題もありませんよ」
「よかったぁ」
ほっと一息吐いてへたり込むベル君。
ここで叱らないのは……まぁ、いいか。
なにもなかったのだから。
なにかあったとしても、それを気に病む必要はない。
ベル君には、些か難しい話だと思うが。
……どうでもいいか。
IFの話なんて。
私が問題ないと感じ思い考え動いた結果がこれなのだから。
全ては自己責任。
全てが自己責任。
……しかし、ファミリアに属するというのは、それが通じなくなるということだ。
神ヘスティアもそうだし、ベル君も人が良いんだから。
まぁ私だって好きで面倒を起こしたい性分ではないし、善処しよう。
できるだけ、心配をさせない方針でね。
「ベル君と呼ぶのもなんだか面倒なので呼び捨てにして良いですか?」
「え? いいよ。なんだったら敬語もやめてくれると嬉しいな」
「んじゃお言葉に甘えて。ベル」
「何かな、エル」
「バベルとやらに一緒に行かない? 登録と換金をしたいの」
「いいよ。僕も丁度換金に行こうと思っていたから」
二人で並んで歩く。
私よりは土地勘のあるベルが案内してくれるのですぐに人通りが多い道に出る。
屋台がいっぱい出店もいっぱい。
「……訊かないんだね?」
「何を……って、エルの種族のこととか?」
「うん」
ベルは私を堕天使だと知っている。
そして今、私はヒューマンになっている。
正直、色々訊ねられると思っていた。
「エルが話したくなったら、話してくれるでしょ?」
「……たぶんね」
「待つよ。その時が来るまでね」
「……ありがと」
こういうところは、なんというか……男らしいというか。
イケメンなんだよねぇ。
とても単純なことだが、好感が持てる。
好意を抱ける。
人の触れられたくない場所には触れず、ただ優しく待っていてくれる。
うっかり地雷を踏み抜くことはしそうなのに、本当に入ってはいけない領域だけはしっかり避ける。
そんな印象だ。
合っているかは、わからないがね。
それを確かめるのはこれからだ。
それが、付き合いってやつだ。
慣れ始めはフェザータッチで。
もっと親しくなってから、色々と心を開いて話をしよう。
で。
そんなこんなでバベルに着いた。
中の受付カウンターでベル担当のアドバイザーさんとやらに話をつけることになった。
「エイナさーん!」
もしもベルに尻尾があったら勢いよくブンブンと振られていることだろう。
庇護欲と保護欲と母性が刺激される存在だ。
お姉様方にモテそう。
「ベ~ル~く~ん~?」
現れたエルフ……いや、なんかちょっと違うな。ハーフエルフかな?
彼女は非常にわかりやすく私怒っていますという態度を露わにしていた。
見れば解る。見なくても察する。
「ちょっと、こっちでお話しようね~」
「え、あの……エイナさん? なんでそn――」
……ベルは別室に消えていった。
南無。
合掌。
……OHANASHIとやらが終わるのを待とう。
エイナさんの同僚っぽい人が淹れてくれたお茶を飲む。
……ふぅ。
おいし。
このペースだと祭りが終わるまでどれくらいかかるのかな……。