転生して氷の滅悪魔導士をしています    作:ヒーくん

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 コメディ?

 シリアスだよ!!!


#.3 過去と未来と希望

1

 

 

「いやはや、コヤツの命はおいくらか? おいくらか?」

 

 ゲヘヘヘヘ―――、単眼の刺々しい容貌をした悪魔――フランマルスは嗤う。

 眼前にあるのは、再生機関ヘルズ・コアの培養液に包まれた一人の男性。黒い短髪の顔に傷があり、体自体の傷は深刻ではあるが肉体の損傷はない。

 

「しかしこの人間の魔力は相当お高いですねぇ」

「ふんっ、我がデリオラが暴れた箇所へと赴き見つけ出したのだ。当然であろう」

 

 フランマルスは液晶画面に映し出された魔力数値に驚愕を浮かべる。

 それに呼応する様に、黒衣を身に纏うまるで亡霊の様な雰囲気すら醸し出す髑髏の悪魔――キースは答え、フランマルスと共にくつくつと笑みを浮かべる。

 

 ゴボゴボゴププ……男性の口から酸素が漏れる。

 微かに瞼が動き、目が開く。

 

「ふむ、回復が中々に高いですな。魔力の質の良さ―――と、言うべきですかな」

 

 ポチッとな。フランマルスがヘルズ・コアの開閉器のボタンを押す。

 男性の手足首を拘束していたチューブが剥がれ、男性は前のめりになり冷たい床へと倒れる。

 

「がふっ! 痛ェ……ここは、どこだ」

「げへヘヘヘ……ようこそいらっしゃいましたね。ここはマスター『END』が統括するギルド―――――冥府の門(タルタロス)。歓迎しますよ」

 

 

2

 

 

「―――――……っち、嫌な事を思い出しちまった」

 

 ビュォォォ―――。吹雪く丘で、黒髪の鎧を着込んだ男性――シルバー・フルバスターは目を覚ました。

 どうやら、墓参りをしながら座り込み寝ていた様だ。コキコキッと首の骨を鳴らし、一つ伸びをする。

 

「もう、三年か……年を取ると時間が流れるのは早いもんだ」

 

 立ち上がり。目の前の墓代わりの木板を見つめクスリと笑い、「まぁ、死人の体だからこれから年取る事も出来ねぇんだけどよぉ」まるで、目の前に愛する人がいるかの様にシルバーは微笑み、語りかける。

 

 木板には二人の名前。一人は愛すべき妻――ミカ。そして二人の間に産まれた愛すべき息子――グレイの名前。

 二人は死んだ―――シルバー含め。ただ、姿かたちを取っているのはシルバーだけだ。

 もし本当に神がいるのなら、シルバーは喉が裂け声が声じゃなくなるその時まで叫びたい。

 

 なぜ、オレなんだ!

 

 なぜ、オレだけなんだ―――っっ!!

 

 と。

 

「…………なっちまったモンは仕方が無ぇもんな。ハハッ、何の為に手に入れた力だよ」

 

 こん畜生、舌を打つ。魔力を練り上げ右手を振るう。

 ただそれだけの動作、それだけの行為により降り積もった雪原に身を隠していた一体のスノーウルフと呼ばれる魔物の体が、音も無く凍りついた。

 

「だけど、終わるワケにはいかなくなったんだよミカ……オレ、死人として生き返ったけどさ。()()()目的見つけたんだ」

 

 さっきまでの切ない感情は掻き消え、その顔には喜びの色が張り付いていた。

 クスクスと笑う。

 

「報告が遅くなっちまったんだけどさ。冥府の門(タルタロス)に入ったその日、出会ったんだよ。今、十歳の男の子なんだけどよ……異母―――とか、そんなんじゃねぇけど。息子みたいなヤツがいるんだ」

 

 チッセェ癖に妙に鋭かったり聡い所があるんだけど、コイツがまた面白い子供(ガキ)でよぉ―――――。

 

 シルバーは微笑む、あの悪夢の様な日々が続く様に思えたその時に降り注いだ希望(コドモ)の事を思い出して。

 

「ハハッ、グレイのお兄ちゃんだな。喜べよ、オマエの兄貴だぞ? めちゃくちゃなヤツだけど、オレが覚えた悪魔を殺す魔法―――さながら滅悪魔法っつぅのかな。教えれば教える度に覚えていって強くなっていくんだ」

 

 オレもいつかは抜かれちまうのはかな、義理だけど父親としてしっかりしなきゃなんねぇよなぁ。

 墓標に笑い語りかける。その顔にはぬくもりがあった。

 ハハハハッ、一頻り墓標に向かいギルドで見つけた希望の存在を話す。

 

「レイン・ドロップって言うんだよソイツ。今度連れて来てやるよ、オレには負けるが男前だぞ」

 

 そんな話をもう何時間話しただろうか……いや、実際は数十分しか経ってはいない。それだけ、密度が濃い時間だった。

 だから―――、そろそろ戻らなくては。そう思い、墓標に背を向ける。

 

「―――――今度こそは守り抜いてやる。終わってもいい、だけど……もう、オレの目の前で大切な人が亡くなっちまうのは勘弁だからよ。グレイ、嫉妬すんなよ。オトコなんだ、我慢しろ」

 

 小さく手を振る。

 靴底を通して、雪の柔らかさを感じ取る。

 

「ミカ、見守っといてくれよ」

 

 小さく呟いた言葉は、雪風に攫われる。

 

(何言ってんだよ、ハハッ。声が聞こえるワケでも、見えるワケでもねぇのにな)

 

 そんな自分につい自嘲気味に笑う。

 その時だった。

 

 フワリ―――、背中を包み込む様な、抱かれた様な暖かさを感じたのは。

 シルバーは振り返る、そこには―――――

 

 

『行ってらっしゃい……シルバー。がんばってね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――あぁ、言われなくても足掻いて見せるさ。意地汚くしがみついてやる、何にだってな」





主人公がいきしてねぇ
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