場所は移ってハナダジムの挑戦者用控室。結果として一時間の作戦会議の時間をもらったミズキは三人全員を前に並べ、それぞれの顔を見る。戦う気満々の表情をしたシークとフレイドに挟まれているスーは、見るからに気落ちしている。
「さてと、じゃあ今から作戦会議をやるぞ。まず順番としては先鋒にシーク、次鋒にスー、大将はフレイドだ。文句ないな」
「ま、待ってくださいマスター! わたしを大将戦に出させてください!」
「……理由を聞こうか」
「わたしの運命がかかってるんです! わたしの力で勝利を決めたいんです! 大将をわたしに任せてください」
涙声になりながら足元で懇願するスーに対し、二人の男がこれでもかというほど冷ややかな目を浴びせる。
「決めりゃあいいさ、次鋒戦でな。先んじて俺たちが二勝すればフレイドの出番もなくジム戦終了だ」
「勝てるわけないじゃないですか! 相手はジムリーダーなんですよ!? ほとんど戦闘もしたことなくて、まだ勝ったことのないシークちゃんが、ジム戦で勝てるわけないじゃないですか!」
そう。実はシークはまだ戦闘で勝ったことはない。
確かにスーのいる前や先ほどのゴールデンボールブリッジである程度の戦闘をこなしたことはあるのだが一人で相手萌えもんを戦闘不能に追いやったことはいまだなく、フィニッシュはすべてスーとフレイドに任せていた。実質的に一対一の実力勝負は今回が初の戦闘となる。
割れんばかりの声で壁に寄りかかっているミズキの足にしがみつきながら訴える姿を見た後、フレイドは自分の右に視線をずらす。
『たぶんいまのスーは勝てない。お前ら二人に勝ってもらわなきゃいけない』
ミズキはそういった。ならばシークが負けるということは今回のバトルはもう勝てなくなくことを示している。
あんな言い方をもろにされたらシークは委縮してしまうのではないだろうか。そう思いながらシークの表情をうかがう。
「……ラプラスは今こんらんしているだけだ。本心であんなこと言いたいわけじゃない。あんまり気にするなシー」
ク、と言おうとしたところでフレイドは気づく。全くもっておびえず、騒がず、祈りをささげるように胸の前で手を組み、“めいそう”しているシークの姿がそこにある。
普段のおくびょうな姿からは想像もできない、
落ち着いた、澄んだ池に落とされた一つの波紋に飲みこまれるような、近づきがたさ。
やせいで生きてきたフレイドは、そんな感覚を覚えた。
ふと顔を上げて前を見た時のシークの瞳は鋭かった。
フレイドは自分の杞憂に憐れみを覚え、心配を消して騒ぐスーに向き直る。
落ち着いた状態のシークと対比してみると、必死の形相で騒ぎ立てるスーの状態はあまりに醜く、苦笑が漏れるほどの道化っぷりだった。
ミズキもそれに気づいてか、少し表情を和らげたが、すぐに引き締め冷たく言う。
「いい加減にしろ、スー。これはお前だけのバトルじゃない。負けられないのは俺たちも同じだ。一人でギャーギャーわめくんじゃねえ」
先ほどまで大暴れしていたスーはその一瞬でピタッと止まる。
駄々をこねるだけの子供。
今のスーはまさにそれだけだった。
親に一括されて、正論を唱えられ崩されて、ただただいじけるだけの子供。
フレイドは理解する。
ミズキは子供に甘いわけではなく、ともに進む同志たちだけに甘いのだと。
「シーク。おいで」
体をスーからこちらに向けたミズキが軽く屈んで手を下ろす。めいそうをやめたシークがいつものようにとてとてと歩き差し出した手に乗っかり抱きかかえられる。
「スー。今から言うことをよく覚えておけ」
シークを抱えながらフィールドへ向かうミズキは顔を向けないままに言う。
「今のお前はすっからかんだ。このジム戦、俺がお前を勝たせることはできない。だから俺はシークを全力で勝たせる」
みておくことだな。このバトルを。
「……これで一時間や。お二人さん、もう時間の延長はでけへんで」
「ええ、大丈夫よ」
「問題ないです」
「了解や。じゃあ両者、萌えもんを」
「GO シーク」
「いっけー、My Steady!」
二人の萌えもんがそれぞれの目の前の浮島に姿を現す。
―――――――――――――――――絶対戦闘開始―――――――――――――――――
「相手の先鋒はヒトデマンか。まあそうだろうな、一手目からエース級を出すこともないだろう。様子見も兼ねてってことか」
「……」
控室のモニターを見上げながら述べるフレイドの感想に、まったくもって関心を示さないのはスー。重々しい空気がその空間を包み込んでいた。
(……地獄だな、主もボールにしまって言ってくれればよかったものを)
といっても試合を見せておくことも重要なのは間違いないのですぐさま自分の心の中で撤回をする。
「マスターは、私が要らなくなったんでしょうか?」
「……なんだって?」
聞こえていたし理解もしていたが、形だけの返答で時間を稼ぐ。
スーが言っているのは間違いなくあの賭けのこと、カスミは戦闘開始の直前に申し出てきた追加条件、
『私が勝ったら、その娘欲しいな』
スーを賭けろ。
その要求に対して、ミズキの答え。
『それで納得するのなら』
即答。
「……あの男は勝つ気しかないのだろう。だから負けた時の条件などどうでもいい。そういう事だろうさ」
なるべく何も感じていない体を装い、フォローになるかもわからない、腫物に触るように言葉を紡ぐ。当然スーにはまるで響かず、まったく体を動かさずにモニターを見続けている。体とは対照的に心が暴れまわっていることは見ていて痛々しいほどに伝わってくる。
「わかってます。わたし、わかってるんです……」
呟くたびに小さくなっていくその声にフレイドはスーが少しずつ遠くへ離れていくような錯覚をした。
「やっぱり先鋒はケーシィなのね。その子で本当に勝てると思ってるの? それとも絶対戦闘を私に申し込むための数合わせかしら?」
「うちの面子に捨て駒なんかいません。調子づいてると痛い目見ますよ? タケシさんから教わってないんですか」
「……上等じゃない。後悔するんじゃないわよ! ヒトデマン、“バブルこうせん”!!」
鮮やかな泡の弾幕がフィールド全体を埋め尽くし、こちらへ迫ってくる。純粋にみているだけなら美しいものだがシークにとっては七色の壁が勢いをつけて迫ってきているようなものである。
それだけでも十分恐ろしいこのこうげきだが、ダメージを受けた萌えもんの体を滑らせすばやさを下げる追加効果というおまけつき。
素早さが一つの売りであるシークがこれを受けるわけにはいかない。
「シーク、“テレポート”!」
瞬間シークの姿は消え、バブルこうせんの壁が通過したカスミから見て手前の浮島に着地する。
「……すばやいわね。さすがにただただ負けるわけはないってことか」
「当たり前だ。全員俺の大切な仲間だよ」
「あら、その割にはラプラスを賭けるっていう交渉はあっさり乗ってくれたじゃない。あの娘にはそんなに思い入れはないってことかしら?」
「……おしゃべりする余裕はあるんですか? 油断大敵、火の用心ですよ。シーク、“めざめるパワー”!」
シークが持っているまがったスプーンを前にかざすと、周りにプールの水が集まり一本の光の柱となって、その体からは想像もできないようなスピードと威力で正面のヒトデマンへと向かっていく。
細い身なりから勘違いされがちだが、ケーシィの戦闘適性は二段階進化を残している萌えもんとしては破格の物と言っていい。戦闘慣れしているジムリーダーの萌えもんとはいえ当たれば間違いなくダメージは通る。
そう、あくまで、当たれば、の話。
「火の用心? 私には必要ないわね。消せばいいのよ。“みずでっぽう”!」
“めざめるパワー”の正面に立ったヒトデマンの口からそれは放たれ中心でぶつかり合う。すさまじい勢いの水流は徐々に、というより一気にシークの手元まで飲みこんでくる。完全なる力負けだった。
「シーク、かわすぞ。“テレポート”」
めざめるパワーの力を緩めることなく今度は隣の浮島へと座標を移す。それまでシークのいた場所を弾丸のような水の塊が通過していく。
水とは本来重いものだ。高い場所から海に飛び込んだりした際には、小学生がイメージするような包まれるような感覚はまるでなく、コンクリートに打ち付けられたようなダメージを受け、たいていの場合は死に至る。
水は恐ろしい凶器になりうる。
シークの躱した水流が背後の壁に跡を残しているのを見て、そんな事実をまざまざと見せつけられるのだった。
「やっぱり駄目じゃないですか……」
開戦と同時にぶつかり合ったひとくだりを終えてからの展開は、ただただ一方的なものだった。
最初こそシークはたまにこうげきわざを繰りだしていたが、ヒトデマンとの攻めの割合は時間が経過するとともに、1:2、1:3とどんどん差が開いて行った。徐々にシークとミズキの行動は、テレポートでかわす場所の指示に集中しだして、カスミとヒトデマンはある程度テレポートされる浮島を先読みしてこうげきを繰り出している。
そしてカスミのこうげきで変化があったのはもう一つ。
「“スピードスター”を乱用してきたな。ある程度のこうげきをしていちげきひっさつは難しいと判断したからか、躱すのが極めて困難なわざを使って体力を削りに来ている。シークも躱しきれないと判断したものはなるべく浅く受けてダメージを軽減はしているがこのままではそれもただの時間稼ぎだな」
フレイドは腕を組みながられいせいに状況を分析する。いくらテレポートが優秀な移動わざだとしても当然わざとしてのスペックの限界がある。シークの使っているテレポート、あれには使うわざとわざの間に何秒かのタイムラグが生じるという攻め手として使うには致命的な欠陥がある。つまりシークがテレポートを使って近づいたところで次のこうげきもテレポートも使えないと瞬間的に使うことはできないということだ。だからこそ、テレポートを使ってわざを避けるということはフレイドが先に言った、時間稼ぎにしかならない、という現実に直結する。
「さあどうする主。今のままでは着実にダメージレースで負けるだけだぞ」
にやにやとしながらモニターで苦しそうな表情で思考を巡らせているミズキに対してつぶやく。
「……フレイドさんは、マスターを信頼されてるんですね」
「ん?」
右に首を回す。自嘲的な笑みを浮かべながらスーが少しだけうつむいていた。
「フレイドさんは……マスターが絶対に勝つと思われているから、そんなに楽に見ていられるんですよね。だってわたしはマスターに負けると思われてるんですから。シークちゃんが負けたらフレイドさんに回るまでもなくジム戦は終了、そうならないと思っているからそんなに余裕でいられるんですよね」
どうしてこんなことを言うのだろう?
どうしてこんな嫌味な言い方しかできないのだろう?
自分で自分のことがどんどん嫌いになっていく。
フレイドさんが来てからというもの、
わたしはどんどん汚くなる。
いや、違う。
わたしの汚いところがどんどん浮き彫りになっていく
「……別に信頼してないさ。負けたら負けたで面白いじゃないか」
「えっ?」
あまりに予想外な答えに思わずスーは目を丸くする。
「あれだけ自信満々で、わっちに喧嘩を売ってくるような主が自分の憎くて憎くて仕方のないR団にぼこぼこにやられて涙目で帰ってくるだなんて、面白くて面白くて仕方ないじゃないか。そうは思わないのか?」
「で、でも! シークちゃんと私が負けたらこのジム戦は」
「負けてもいいさ。わっちには特に実害はない。お前がいなくなったところで新しい仲間を探せばいいし、主がそれで心が折れて契約破棄を行うようならそこで見限って新しい主を探せばいい。シークはどうするかはわからないがな」
どうでもいいさ、という声が聞こえてくるような口調で言うフレイドに、スーは感情を抑えきれずにフレイドの胸ぐらをひねりあげて壁にたたきつける。
肺の空気を一回すべて外にはじき出されたフレイドは全身で足りない酸素を補うように呼吸しながらつかみかかってくるスーの腕をつかみ返す。
「なん、で、あなたみたいな人がぁ!」
ふー、ふー、と息を荒らげ下から血走った目で見上げにらみつける。そのまま何を言うわけでもなくフレイドを釣り上げたまま膠着する。
「本当に、本当に、なんなんですかその眼はぁ!」
「……」
今日何度スーに向けたかわからない冷ややかな目。チクリチクリと刺すような、憐れみという刃をのど元に突き立て苦しめるような、それでいて此方のことなどどうでもいいとでも言いたげな、しようと思えばいくらでも負の解釈ができるような、残酷な瞳。
「マスターは、マスターは、わたしのマスターだったのに! わたしが弱くても、ダメでも、情けなくても、群れから追い出されたわたしでも、そばにおいてくれる理想のマスターなのに。わたしはマスターが大好きなのに! どうしてあなたみたいな人がマスターの隣にいるんですか!? どうしてそんなどうでもいい人があの人と一緒に戦うんですか!? どうしてわたしじゃなくてあなたがマスターに信頼されるんですか!? なんで、なんで、なんで………………
「なんでわたしじゃなくてあなたなんですか!?」
ああ、わたしは本当に…………
「わっちは主を利用する。それが主の願いだからだ」
「!!!」
それって……
突如、どぱぁーん、という音が二重になって響き渡る。扉の向こうから聞こえてきたおとと、モニターから聞こえてくる少しだけ遅れた音が重なったのだろう。
「試合が動いたみたいだぞ。どうする? 愛しのマスターの命令を、守らなくていいのか?」
よくみておくことだな、この試合を。
確かに、ミズキはそういった。
フレイドは、もう何をすればいいのか、砂漠で道標をなくした旅人のような目でこちらを見てくるスーのもはや自分をつかむことのできていない手のひらを乱暴に払い落としてモニターの前へすたすたと歩いていく。
「ラプラス。お前にいいことを教えておこう」
嫉妬の心は卑しい罪だ。
わっちはそれを誰よりも知ってる。
覚えておけ、と一言付け加えて、抱きつきあう姿の変わったシークとミズキの姿をモニター越しに笑みを浮かべながら見上げる。
スーがフレイドにつかみかかる少し前、
カスミは焦りを覚えていた。
(ちょこまかと逃げ回り続けて……このままじゃまだ決めきれない)
何回似たような指示を繰り返し続けているだろうか。みずでっぽう、バブルこうせん、スピードスターと此方が叫べば、テレポートテレポートめざめるパワーとあちらが叫ぶ。確かにスピードスターだけは少しずつ命中しているが、クリティカルヒットは一度もない。それどころかもはや相手はスピードスター以外のこうげきは完全に見切り、テレポートもなしに体捌きだけでこちらのこうげきをかわす始末。大したダメージではないとはいえめざめるパワーの制度と威力も少しずつだが上がってきている、というよりは相手がヒトデマンの動きに慣れ始めてきてしまったのだろう。
(このままわざの打ち合いを続けたら、ラッキーパンチで負ける可能性が出てくる……)
ならば水中に入ればいいか、と考えるがすぐに頭で否定する。
(この状況で水中に入ってもアドバンテージを生かしきれない……)
ヒトデマンは今わざを三つみせている。萌えもん協会が定めた公式戦のルールより、一試合に使える技は四つ。そのうちの三つを見せてしまいしかも三つともこうげきわざ。もっと言えばその三つのこうげきわざは水中で放っても特に利点のない、むしろ失敗したり勢いが死んだりとマイナスの面が強いわざばかり。この作戦で仕留めきれなかった時のことを考えると四つ目の選択肢を新しいこうげきわざで潰してしまうことは好ましくない。
相手のテレポートとめざめるパワーに、陸上戦でのわざをかなり引き出されてしまっていたことに気づきギリッと下唇を噛む。
時間がたてばたつほど相手の勝率はかさ増しされる。
ならば……
「ヒトデマン、“バブルこうせん”よ!」
三度、バブルこうせんの指示が飛ぶ。しかし、ミズキは直ぐにそれまでのこうげきとは方向性が違うことに気付く。
「弾幕系……いや、違う。目くらましか!」
「正解。でも遅いわ。行くのよヒトデマン!」
あわの向こう側でカスミから行動の指示が飛ぶ。しかしその行動に対してミズキが対策をとることはない。いや、できない。
(泡のカーテンか。考えやがったな。これで戦法が先バレすることはなくなった)
カスミの指示と同時にヒトデマンがとった行動は、バブルこうせんをフィールド全体にばらまく、というものだった。
これによりシークとミズキは周りの状況を把握しきれないということに加え、シークの行動を制限することにもつながる。周りの浮島が見えなければシークが動き回ることもテレポートすることもできない。一回でも水に落ちようものならヒトデマンに水中に引きづりこまれてぼこぼこにされてお陀仏だ。
(俺がスーによくやらせる戦法だけどな……対面するとこうも鬱陶しいもんか)
今度はミズキが歯噛みする。しかしすぐにシークに指示を出す。自分が使う戦法だからこそ、打開策を思いつくのも早かった。
「“めざめるパワー”で泡をぶち抜け! 視界を晴らすんだ!」
指示を受けたシークは回転しながら先ほどのヒトデマンのようにフィールド全体にわざを打ち込む。スーのしろいきりもそうだが所詮は別の用途のわざ、適当な攻撃をうてばすぐに晴れる。
しかしそれでもカスミの策を止めるには少し時間が足りなかった。
「……消えたか」
ある程度視界が晴れてきたところで見えた来たのはしたり顔で腕を組みながら対面に仁王立ちしているカスミの姿だけ。どれだけ二人が見回してもヒトデマンをとらえることはできない。
まずい。今のバブルこうせんが次の行動への仕込みだったとするならば、次の一撃で確実に決めにきてるはず!
「シーク! 気をつけろ! くるぞ!」
その大声を最後に水面に気を張り、それまでの乱戦で荒れに荒れたプールサイドや欠けた浮島のある空間に不似合な静寂が訪れる。
シークは軽く足を開き、スプーンをより強く握りしめながら胸の前にかまえて足元からの襲撃に備える。
水面を見る。穴が開くほど見る。しかし居場所はわからない。それどころか波紋一つとしてたたず、生物の気配も感じない。
!!
「シーク!! 前だ!!!!」
「ヒトデマン! “みずでっぽう”、最大出力よ!!!」
正面の浮島に突如現れるヒトデマン。
その口から放たれる激流に、一気にシークは飲まれ見えなくなる。
「っ! “ほごしょく”……」
姿が消えたとした瞬間に、水中に潜んだとしか考えなかった思い込み。
その時ヒトデマンは隠れもせずに、堂々とシークの正面の浮島に移動していたのだろう。
四つ目のわざ、“ほごしょく”で、周りの景色に同化しながら……
シークとヒトデマンを正面に見据えた視界の端で、カスミが誇る。
どんなものだと。
くそ、くそ、くそ、
「くそがああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
なんてな。
予定とは違うが……待ってたぜ、ヒトデマン。お前が射程に入るのを!
「シーク。“こらえる”!!!」
ミズキの叫びにシークは答え、相手のわざに対し、足を扮地張り正面から受け止める。
「! しまっ」
カスミの表情が一変する。
気づいたな、だがもう遅い。
勝利のカードは出そろった。
「ヒトデマン! 距離を取りなさい!」
「逃がすかよ! “でんじは”!」
みずでっぽうを打ち終わったヒトデマンがよろけながらも思いっきり後ろにジャンプしようとかがむその瞬間に、すべてを耐えきりぼろぼろのシークが不可視の縄で相手をからめ捕る。ヒトデマンは足元を誰かに掴まれたかのような動きで浮島からにげることに失敗する。
「大技で仕留めようとしたのが裏目に出たな! シーク、“めざめるパワー”! 最大出力だ!!」
見せつけるかのように相手の敗北の原因の一つとなった最大出力を宣告する。
しかしさっきとは状況が違う。
しびれで片膝をついたヒトデマンに、もはや逃げるすべなんかない!
「いっけぇえええええええええええええええ!!!!!」
あまりのわざの光の強さに目を閉じたカスミが最初に見たのは、
半泣きになりながら主人に飛びつくユンゲラーと、
愛しいわが子を抱きしめるようにぼろぼろの体を受け止め離さない挑戦者で、
後ろを見て最初に瞳に映ったのは、
壁にたたきつけられた自分のヒトデマンの、完全敗北した姿だった。
――――――――――――――――――絶対戦闘――――――――――――――――――
一戦目
×ヒトデマン‐ケーシィ○
決まり手 めざめるパワー
ねんりき萌えもんのシークがねんりき使えないという事実を知ってたやつ出てこい
俺は知らなかった(滝汗)
故にプロットから大分変化した出来となった