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そして長い、長すぎる……
プロローグは4話でおさめなきゃと思ってやりすぎました
「それが、ミズキさんがこの町を出ない理由なんですか……」
昔語りの口調で話す俺の話を黙って聞いていたグリーンの第一声は、くぐもって潰れそうな声だった。
「ばーか、ちげーよ。たとえばの話だ。どっかの少年がそういう状況だったとき、同じことをお前は言えるのか? っていいたいだけだよ。俺は」
こんな言葉がやさしいグリーンにどれだけ卑怯で効果的な言葉か、俺はしっかりわかっている。
グリーンはこんなにも大人びているが、俺との四年の差はでかい。口論で勝つなら、そこでつついてやればいい。それだけの話だ。
「百人が山に登るなら、そこには百通りの道があり、山を登った後、後ろを向けば他の奴らが選んだ百通りの道が下につながっている。人がいれば人の数だけ過去と未来があるんだ。過去を探るのは無粋だし、未来を固めるなんておこがましいってもんだ」
グリーンはわかりやすく肩を落とした。
仕方がない。おそらく、グリーンの中の優しい俺は話に耳を傾けていたんだろう。そして、弟分の夢を聞いて、その想いにこたえて立ち上がっていたことだろう。
だが残念ながら、俺の思い描いたコースは、グリーンの直線な道のりとはまったくもって非なるものだった。ということだ。
「悪かったな。でも感謝はしてるぜ。それだけ俺のことを高く評価してくれて、それだけ俺のことを信用してくれて、正直思いが揺らがなかったかって言われたら嘘になるさ。でもな、俺の心も、お前の思いと同じくらい固まっちまってるんだ。俺は俺の夢のために、ここを出ようとは思えない。かといって、お前のためにここを出てトレーナーになったって、それこそ萌えもんはついてきてくれない。だから俺はお前たちとはいけない」
もちろん世話をしてきた子供から目標にされていたっていう事実は素直にうれしい。兄貴冥利に尽きるってもんだ。
しかし、そのほんのわずかな希望も、持たせることはゆるされない。
それがわがままな俺に課せられた使命ってもんだ。
「わかりました」
ふう、と一息つく。
正直言って、レッドはレッド、ブルーはブルーですさまじいものがあるが、グリーンは実は三人の中でもかなりの頑固者だ。自分の考えを絶対に曲げず突き通す。だからこそ、同じように頑固ではあるものの根本的な柱がずれているレッドとはしょっちゅう喧嘩をしていたし、女の子的な考えでグリーンを否定するブルーに対してはいつも言い争いになっていたりした。
まあなんだかんだ言って似た者同士だから結局仲直りするのだが。
そんなわけで、グリーンはとてもあきらめの悪い子なのだ。
「じゃあ、ミズキさん。俺のお願いを一つ聞いてくれませんか?」
「内容によるな」
もし……
だったら……
「……相変わらず底意地の悪いやつだな」
「あなたの助手ですから」
「ミズキ、グリーン。話は終わったのか? それならちょっとこっちを手伝って「グリーン、今日はもう遅いから、お使いは明日の朝にした方がいいんじゃないか? ね、博士」
「いや、萌えもんボールの在庫が見つからないからグリーンには早く「だそうだ、グリーン。今日のところは家に帰って休め。出発はまた明日の朝にすればいい」
「そ、そうですね。ごめんなさいお爺ちゃん。今日のところは家に帰りたいと思います」
「お、おお、そうか。ところでミズキ、お前何かわしに対して隠し事「じゃあな、グリーン。しっかり寝て明日に備えなさい」
博士がわちゃわちゃとうるさい気がするがたぶんきのせいなのだろう。心当たりないし。
そういってグリーンを見送った後、何も気にせず奥の研究室へと戻って行った。
「はあ」
再び『風雲』を挽いて落ち着く。
子供の成長は早いものだ。いや、世間的には自分も立派な子どもなのだが。
多少頭はいいとはいっても、去年まで自分の後ろをとことこと歩いてくるだけだった少年が、いつの間にか後ろから自分の背中を押してくるようになっていた。
そしてそれでも自分は動かない。
本当につくづく情けない兄貴分だ。
グリーンだけじゃない。レッドにも、ブルーにも、俺が勝っているところなんて年齢以外に何一つないのかもしれない。
それでいてあいつらに対して面倒見てきた年上面している自分はどれだけ滑稽なことだろうか。
しかし、自己嫌悪もほどほどにしておかないと、あそこまで俺を尊敬してくれているグリーンにも申し訳ないし変な思考もこの辺にしておく。
「しかしやっぱりうまいな」
「とてもいい香りですね、心が落ち着きます」
「だろ?」
ん? 俺は今誰と話した?
はっとして横を見る。
血の色をフラッシュバックさせる、遠くを見ているような眼が必死によじ登ってこちらを見ている。
「おお、お前か。もう体は大丈夫なのか?」
「ええ、おかげさまで。あなたがわたしを助けてくれたのですか?」
かわいらしい声で俺に反応してくれたのは、昨日自分がここに運び込んできた、小さなラプラスだった。頑張ってこちらの顔を見ようとカプセルから出ようと背伸びしてこちらに顔だけをのぞかせた姿はまさしく年相応の子供といったところだろう。だが随所に昨日の傷が残り、やつれたかのようなパーツがちらほらと見える。
しかし、それを感じさせないほどに、かわいらしく透き通った声が印象的だった。
「あ、ああ。治療をしたのは博士だし、回復したのはその萌えもんセンター特注のカプセルのおかげさ。俺はここまで運んできただけだよ」
「博士?」
「オーキド博士、この研究所の主さ」
「ああ、あの方がそうなのですか。その方とは今朝、わたしが起きた時に軽く話し、その時にあなたのことも聞いたのです。わたしをここまで運んできてくれたのはあなたなのでしょう? 礼を言います」
そういう言いながらカプセルをよじ登り、上に立つが、萌えセン使用のベッド型カプセルの外ガラスは、唐突な落石などの外からの衝撃に弱くならないよう反円を描くような形で作られている。
よって上の開き口から一人で出ようとすると、
「わー!」
落ちる。
「ぎゃん!」
予想通りラプラスは滑り台のようにカプセルの表面をなぞり、床へお尻を強打した。病み上がりということもあり倍痛いだろう。
「大丈夫か」
「だ、大丈夫です」
腰をさすりながら立ち上がる。あまり大丈夫そうには見えない。
それでも体裁を保ち、自分の方に向かって礼をしてきた。なんだこいつ、かわいいな。
「ところで、ここはいったいどこなのでしょうか? もともといた島から、どれだけ流されてしまったのか……わたし、これまでに陸に上がったことがなくて、地上の地形はあまり詳しくないんです……」
「ん?」
「え。わ、わたし、何かおかしなこと言いましたか?」
「ああ、いや」
意外だった。実は今全身を見て気が付いたのだが、このラプラスはかなり陸上の戦闘に優れたタイプの個体だった。海上で生活するラプラスは、基本的に半身が海に使っているため、残りの半分の急所を覆い隠すため、『シェルアーマー』と呼ばれる甲羅を背中に背負っている。しかし、この娘のシェルアーマーはかなり小さくまとまっており、スカートも少し短く、歩くのに苦にならないような進化を遂げている。
てっきり、どこかの陸上で生活しているタイプの変異個体だと思っていた。
まあ、海での生活に支障をきたすほどの変化ではないし、ラプラスは生活ベースが水中での萌えもんなのだから不思議でないと言えば不思議でないのだが。
大方、陸で卵がかえったラプラスが物心つく前に本能的に海に出たとか、その辺だろう。
「んで、島だっけ? ここはマサラタウン……って言ってもお前らにはよくわからないよな。近くに人間が住んでる場所とかはなかったのか?」
「人間……ああ、住処から西の方にずっと泳いで行ったら一度だけ人間の島に着いたことがあります。確かそこの方々は、ぐ、ぐ、グリムトウ? って言ってたかな?」
「グレン島のことか……てことはお前の出身地の近くの島ってふたご島か。なるほど……あの辺は知性が高くて縄張り意識の強い萌えもんが多いということでB級危険区域に設定されてるからな。今までラプラスの生息地が不明なままだったわけだ」
独り言のように感心してつぶやくと、目の前、いや、正確には目下にいるラプラスが口を抑えながら、明らかに失言したと言わんばかりのポーズをとっている。
いきなりなんだ?
「どうした? また具合でも悪くなったのか?」
「い、いえ! な、何でもないです」
? ああ、なるほど。
「心配すんな。生息地のことは別に誰にも言わねーよ」
ラプラスが驚いた表情をこちらに浮かべている。
その頭を、軽く、優しくなでてやる。
「信じろ、な?」
「はい、ありがとうございます」
優しい子だ。この子は、自分以外を思える萌えもんなんだ。
なのに、どうしてなんだ。どうして。
「ラプラス」
「はい? なんでしょうか?」
「そんなにお前が大切に思っている同種に、どうしてやられてしまったんだ?」
当人は口を半開きにして俺の目の前で固まってしまった。
まあその反応をくれるだけで、それほど俺の発言は予想外で、的を射たものだったってことがわかる。
軽くうぬぼれは入るのだが、この研究所を支えるトップ2の俺とオーキド博士の考察だったのだ。それなりに当たってる自信はあった。
当たっていてほしくなかった。
「なんの、話ですか?」
やめろよ、とぼけないでくれ。痛々しくて見てられない。
いったい、なぜ俺はこの子にこんな質問をしたのだろう?
こうなることはわかっていたことじゃないか。
どうしてこんなことを聞こうと思ってしまったんだ?
この子を守ってあげるため? 違う。
この子の今後を心配したため? 違う。
命を助けたことで気持ちが上からになっていた? あるかもしれないけど本質じゃない。
俺はいったい、この子に何を感じたのだろう?
「わたし、わたしは別に、辛くも、何もなくて。ただ、ちょっと……
「いい」
「えっ」
「答えなくていい、悪かった」
何とも言えない空気が部屋を包み込む。
時間が止まったかのようにすら思えるほど、そこは無音で、不動だった。
いったいラプラスは今どんな思いなのだろう。
どれほどまでに辛いのだろう。どのようにつらいのだろう。
それをわかろうともしてないくせに、俺はいったい何がしたかったんだろう。
「頭を冷やしてくる。適当にあるもの食ってくれ」
研究員の共有スペースへと戻るとさっきまで大騒ぎしていたオーキドが、すでに自分のデスクに腰をおろし、ラジオを聞いていた。
探し物してたんじゃなかったのかよ……
その探し物の原因が自分であるということも忘れて、ミズキはただひたすらにオーキドに対して苛立ちを覚えていた。
理由は簡単、ただのやつあたりだ。
自分のとった行動がよくわからない。自分が何をしたかったのかよくわからない。
そんな状態に、ミズキは今までになくイラついている。
だからだろう。博士の真剣な表情に気が付けなかったのは。
「ちょっと! 探し物してたんじゃないんですか!? 周りも汚いまんまだし、片付けてくださいって言いましたよね!?」
「ミ、ミズキ、お、お前!」
依然、黒づくめ集団の目撃情報を追っています。以上、萌えもんニュースでした。
続いては、オーキド博士の萌えもん講座……
黒づくめ?
まさか!?
まさか!!!!!!!!
「博士!」
殴りかかるような剣幕でオーキドの胸ぐらをつかむ。
「奴らが帰ってきたんですか!? 解散したんじゃなかったんですか!? どういうことですか、博士!?」
「落ち着け! 落ち着けミズキ!」
「落ち着けるわけないでしょう! なんで隠してたんですか! こんな、こんな、こんなことを」
「落ち着け!」
「っっ」
博士が無理やり、手を口に覆いかぶる。
呼吸が整ってきたころに、博士の顔に目をやる。
ああ、俺は何をやっているのだろう。
勝手に苛立って、勝手に切れて、勝手に暴れて。
大切な恩人の胸ぐらをつかんで。
さっきラプラスに言ったじゃないか。頭を冷やしてくるって
「すみませんでした。博士」
博士の手から離れ、一歩下がった位置で深々と頭を下げた。
「いや、きにするな」
博士も落ち着いた様子で返す。
「いえ、今のはただのやつあたりです。やってはいけないことをしました。本当にすみません」
「だから気にするなと言っておろう。二、三日お前さんにかくしていたことは事実じゃ。今奴らの情報を渡すことは、お前にとってプラスにならんと思ってのう」
「すみません、ありがとうございました」
しかしどうする。
R団を野放しにすることは絶対にしたくない。
それをしてしまえば俺がここで懺悔をする、誓ったことの意味がなくなる。
そもそもなぜ今更復活したのだ。それさえ分かれば対処の使用もあるというのに。
ああだめだ、今日は本当にいろいろなことがありすぎてうまく思考ができていない。
どうすればいい? どうすれば奴らを止められるのだ。
「ミズキ、わしからお前に提案じゃ」
ずい、といきなりオーキドがミズキへと顔を近づける。
超直ちょっと気味が悪かった。
「な、なんですか、博士。いきなり」
「ラプラスと一緒に旅に出ろ」
「は?」
本日二度目のTHE W○RLD。
時が止まる。
「なんですか博士藪から棒に。昨日行かないってしっかり答えたじゃないですか。俺にはまだ自分を許すことは……」
「これはお前が許すための旅ではない。お前が過去のお前を切り離すための旅じゃ。お前は今、過去という足かせのせいでほかのだれにも頼るという行動をとることができない。だからここに閉じこもり萌えもんももたない。そうじゃろう」
本筋ではないが全くないとは言い切れない話にミズキは軽くうなずく。
「こんなことをお前に言うのは無神経だと思うかもしれん。だがあえて言おう。ミズキ、今R団が復活したことをお前はチャンスだと思うべきじゃ。自分の怒りの清算どころにも逃げられてしまい、罪の居場所すらなくなってしまったあの時とは違う。どうじゃ? 今がお前を縛る鎖のカギを捜しに出る一世一代のチャンスだとは思えんか?」
ミズキはその場で考え込む。いや、しかし、
「博士が言いたいことはわかります。でも、そんな俺の私欲のために、ラプラスを巻き込むことはできません。そもそも俺はそれをやろうと思えばやるタイミングはいくらでもありました。ですが俺は、絶対にそれをしないとここで働くことを決めた時に誓ったんです。俺にはラプラスを利用するなんて、そんなことできません」
「ああ、わしも昨日まではそんなことを言うつもりはなかった。だが、今日になってこんなことを言い出したのにはわしなりの理由がある」
「理由?」
「そのラプラスじゃよ。あの子はお前と一緒に、お前を引っ張るわけでも、お前の陰にいるわけでもなく、お前と一緒に横を歩ける萌えもんだと思ったからじゃ」
いいか、ミズキ、よく聞け。あのラプラスはな、
お前と同じ目をしていた。
お前がこの町に来た時と同じ、先を見ることができない瞳をしていた。
まぬけな理由だと思うか? わしは本気でそう思っておる。
あの日のお前と今朝のあの子は、同じようなおびえ方をしておったからのう。
きっとお前らはお互いがお互いの弱いところを支えあえる存在になれるじゃろう。
わしはそう思う。
「だそうだぜ、どうする、ラプラス。行くか行かないかはお前の自由だ」
オーキドの最後まで聞くや否や、ミズキは何も言わずにすたすたとラプラスのところへと戻り、一言一句正確にオーキドの言葉を復唱した。
「それをこたえる前に、お聞きしたいことがあります」
「俺の過去以外なら大抵のことにこたえよう」
「あなたはその話を聞いてどう思ったのですか? 私と一緒に旅に出たいと思ったのですか?」
まあ、その質問は来るだろうとは思っていた。
萌えもんとしては当然の疑問だ。自分がしたがう親を決めるのだから。
完全に予想通りだったから、予定通りの答えを言う。
「わかんね」
「わからない?」
「ああ。まったくな」
不思議そうな声、とも言えない、ある程度棒読みに近い声でやり取りが続く。
「お前と接していて、自分の中に気持ち悪い違和感を感じていたことは事実だ。だが、それがお前と俺の類似点にシンパシーを覚えたものなのかはわからないし、同族嫌悪だったのかもしれない。別にお前をパートナーにするために助けたわけでもないし、っていろいろ考えたらよくわかんなくなった。俺がここにとどまる理由はほとんど博士に完全ロンパされちまったし、もう俺にきめられることはない。だからもうお前に直接聞きに来た」
「なるほど」
「さあ、ラプラス、どうする。
外に出るとしたら俺の目的はただ一つ、
『R団の壊滅』だ
俺と一緒に来ることになれば必然的にお前にもそれに手伝ってもらう事になる。決して楽な旅にはならない。それでも俺についてくる、と言ってくれるか?」
「もうひとつ、質問させていただきます」
「なんだ」
「あなたのその目的は、『野望』と言えるものでしょうか?」
「俺が生きる理由のすべてだ」
「お爺ちゃん、ただ今戻りました」
「おおグリーン、すまなかったのう。昨日なくなったボールの補充まで頼んでしまって。ほれ、これは小遣いじゃ」
「い、いや、いいよ。大丈夫」
翌日、軽い罪悪感を一人で感じてしまったグリーンは、朝一でトキワのフレンドリィショップへと足を運び、お使いの命を果たしてきた。
「それじゃあ、お爺ちゃん。今日こそ俺も出発します」
「ああ、しっかりやるんじゃぞ。正直渡しておいてこういうのもなんだが、ほかの二人に任せても図鑑が完成するとは思えん。お前だけが頼りじゃ」
「ははは。そうだお爺ちゃん。ミズキさんは? 最後に挨拶がしたいんだけど?」
「ミズキはまだ寝とるようじゃのう。全く、こんな日に限って寝坊しよって。ちょっと待っとれ、はたき起こしてやる」
「いや、それならいいよ。代替のあいさつは昨日済ませたからね」
「おお、そうか? よし、それじゃあ行って来いグリーン」
「はい、頑張って一人前になって見せます」
その日、遅ればせながら、三人目のトレーナーがマサラから旅立った。
そして、
「いきましたか?」
「ああ、もう行ったよ。しかしなんでわざわざグリーンと時間をずらしたんじゃ? 一緒に行けばよかったじゃろうに」
「いいんですよ、これで」
今、一緒にここを出ちまったら、約束が違っちまうもんな。
昨日情けない姿を見せちまったぶん、
俺は過去を清算して、
お前の理想の‘‘萌えもんトレーナーミズキ,,として、お前と約束を果たして見せる。
「それにお前、ボールはもっと持って行った方がいいと思うぞ。萌えもんを捕まえることはそう簡単なことじゃないことはお前もわかってるじゃろう」
「捕まえませんよ」
「な、なに?」
「昨日も言ったでしょ。俺は自分の目的のために萌えもんを使うのはしたくない。
だから俺は俺たちと一緒に野望をかなえようと言ってくれる萌えもんと一緒に旅をします」
なっ、相棒。
「出てこい、スー!」
赤い光線とともに現れるその姿。
昨日までまとっていた重苦しい雰囲気が消え、
体が本来の美しい色を取り戻している。
こちらももうすでに、少し鎖が外れたようだ。
「お呼びでしょうか。マスター」
「出発だ。これから俺たちは絶対に逃げられない旅への一歩を踏み出すんだ」
「逃げませんよ。わたしたちは為すべきことを為さなければいけません」
「そう、俺たちには罪がある。逃げてはならない過去がある」
「この旅は、贖罪と払拭の旅でもあるのです」
「行こう」
「行きましょう」
「「望まれない者たちの旅へ」」
「一晩のうちにずいぶんと仲良くなったもんじゃのう」
研究所の外から聞こえる、きまった、とか、練習の甲斐が、とかがオーキドの溜息を一つ増やした。
なら契約をしませんか?
契約ねえ。
はい。わたしとマスターはそれぞれの野望を達成するまで、この契約を守り続ける、というものです。
お前にもあるのか、野望とやらが。
はい、もちろんマスターにはこれを私が達成するために協力してもらいます。楽な旅にはならないと思いますが。
はっ、じょうとうじゃねぇか。弱音はいて逃げるなよ。
逃げませんよ。そのための契約なんですから。
契約者 2人
ミズキ、スー
契約1
我々は互いの過去に関せず
契約2
我々は互いの野望のために尽力し、中断およびそれに準ずる行為のすべてを禁ずる
契約3
大なり小なりの野望を携え、既存の契約者と同等およびそれ以上の野心を持つ者のみ、新たな契約者としてパーティに加入することを許可する。
野望
ミズキ
R団を壊滅させる
スー
誇れるような自分となり、故郷に帰る
契約4
楽しい旅であれ
過去
ミズキ、スー 不明