罪深き萌えもん世界   作:haruko

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みなさん、あけおめ。
年内投稿は叶いませんでしたが、お年玉という事でお許しください。


自分の小説を見返していて思ったんですが、


パワージェムを使えるのはムウマージだけで、ムウマは使えないものだと勘違いしていることに気が付きました。


何でそんな変なミスしたのかわかりませんが、出来る限り書き直しはないようにしたいので今年はもっと丁寧に頑張る年にしたいです。


Episode of gluttony 2/2 暴食

 

 

「うぐぅ……」

 

「かはぁ……」

 

「うぅ……」

 

「……何だこれは……?」

 

皆が雑魚寝するその場所に足を踏み入れた“魔女”は、阿鼻叫喚の地獄に絶句した。

 

近くにいた同志、先ほどまで話していた二人を見つけ、肩を叩く。

 

「おい、お前ら!? 何が起きた!?」

 

「っ! 来たか、見ての通りだ!」

 

「見てわからぬから言っている!」

 

「見ての通り、わからないんだよ! 眠っている我らが同志たちが、原因不明の病に倒れ魘されている! わかっているのはそれだけだ!」

 

「……困惑」

 

「っ! なんだと?」

 

言いながら“魔女”は二人をどかし、魘されている一人のムウマの顔に手を当てる。熱があるわけでも、脈が狂っているわけでもない。しかし、正常な体調のそのムウマは、確かに、体をねじるように暴れながら苦しんでいた。

 

「おい! どうした! 何があったのだ!?」

 

“魔女”が叫ぶ。しかし、魘されるムウマに反応はない。

 

「無駄だ。すでに何度も呼びかけた。倒れている者ほぼ全員が、呼びかけに答える事すらもできずに、徐々に疲弊していくだけだ」

 

「異常」

 

淡々と説明する“戦友”二人の声が、元気なムウマ達がせわしなく洞穴の中に響く。

そんなムウマ達の姿を見て、さらに二人は言葉を続けた。

 

「それに、この病から回復する条件というのもいまだ不明だ。実際、皆を介抱している奴らの中にはつい先ほどまで同じような状態で苦しんでいたという者も少なくない」

 

「何!? 病から突然に回復したものもいるというのか!?」

 

「ああ……だがその者達も、なぜ自分が病から立ち直ったのか、全く理解できていない。全員に共通していることは、なぜか本人には病に伏していた時の記憶や苦痛を、奪い取られたかのようにすっかり忘れてしまっているという事だけだ」

 

「記憶や……苦痛を……」

 

「ああ、短いもので魘されてから数秒。長いものではすでに十分程度。苦しむ時間や度合いもまちまち。治したものも何故治ったのか、そもそも病の存在すら理解していない始末。今我々がこうして何も影響を受けずにいるという事も含めて、全て謎。はっきり言って、手詰まりだ」

 

言いながら一方はもう一方の“戦友”へ目線を送る。

 

すると静かに首を横に振り一言、『限界』と呟いた。

 

「……致し方ないな」

 

そう言い“魔女”に向き直り、鋭い目つきで言い放つ。

 

「“魔女”、決断しろ。このままでは、明日の開戦までに我々は壊れてしまう」

 

「…………」

 

「……“魔女”?」

 

「“魔女”? どうした?」

 

 

 

“魔女”は、そのまま黙りこくっていた。

 

 

 

(……ねむり。疲弊。そして、こうげきを受けた意識がない……?)

 

 

 

“魔女”は、数分前を思い出す。

 

仲間が悲鳴交じりに自分のもとに駆けつける、数分前。

 

 

起きていた自分(・・・・・・・)に、なんのこうかもない。

 

不可思議な一撃を、受けた記憶。

 

 

 

(まさか……そんなはずは……)

 

 

ありえない。

可能性として考えたそれを、れいせいではない自分の想いが否定する。

 

あれは遠距離わざではない。

ましてや、無差別に誰かを攻撃するようなわざではない。

そもそも、昨日今日、突然使えるようになるようなわざでもない。

 

 

そんなことはありえない。

しかし、否定しようとする自分を邪魔するかのように、その考えが正しいと肯定してくる自分もいた。

 

 

自分が信じた、彼女の力。

 

自分が託した、一縷の望み。

 

 

 

自分が想った、最後の願いが。

 

最悪の状態で、叶ったのならば。

 

 

 

 

「“魔女”! 聞いているのか!?」

 

 

 

 

怒鳴り声で、我に返る。

考えふける自分の脇では、“戦友”二人が険しい表情を浮かべていた。

 

「聞いていなかったのか……決断をしろ、と言ったのだ」

 

「あ、ああ。すまない、そうだな。このままでは、倒れている者たちも、介抱している者たちも持たん。すぐに、対処の手段を」

 

「……やはり、聞いていなかったのか……」

 

「……上の空」

 

「なに?」

 

明日の戦い(・・・・・)のために、決断をしろと言ったのだ」

 

 

 

 

 

 

そいつらは、諦めろ。

 

 

 

 

 

 

「っ!!! 何を」

 

「『何を』はこっちのセリフだ、“魔女”。いつまで腑抜けている」

 

「慢心」

 

当たり前だと言わんばかりの口調で、信じられない者を見るような表情で、まっすぐにこちらを見つめる二人を見て、“魔女”はハッと我に返る。

 

 

 

(そうだ……当たり前のことだ。いつも、そうやってきたじゃないか)

 

 

 

我々は、一に戦、二は存在しない。

 

戦場こそが、我々の場所。

 

自分が、常日頃より掲げていた、この族のすべて。

 

 

自分の娘の首よりも重い、鉄の掟。

 

 

 

 

(それを……何だ! 何に毒されているんだ……わたしは)

 

 

 

 

一度深呼吸をして、“魔女”は両手で自分の顔を張る。

 

 

その大きな音に反応し、洞穴中の視線が“魔女”に集まる。

 

 

 

 

「皆の者。今から自分の寝床に戻り、戦に備えよ。倒れ伏す者どもはひとまず捨て置く。削がれた戦力を補強できるよう、各々日が昇るまで研鑽しておくように」

 

 

 

 

「「「「「っ! は、はいっ!」」」」」

 

 

 

 

一瞬だけ驚いた様な反応を見せたムウマ達だったがその後は直ぐに納得し、続々と“魔女”の脇を抜け、魘され助けを求める声から逃げるように洞穴を後にした。

 

「……あ、あの……」

 

「……ん?」

 

その中に一人、“魔女”の前にきて声を出すものがいた。

俯き、申し訳なさそうな声を出すそのムウマに、“魔女”は嫌な予感を覚えた。

 

 

 

「じ、自分は、もう少しだけ、看病に回っていてもよろしいでしょうか? やはり、今の戦力だけでは、バンギ一族との戦は厳しいものになるでしょうし……もう少し、彼らの回復に努めても……がっ!!!」

 

 

 

言い終わる前に、そのムウマは壁の中にめり込んでいた。

 

“魔女”の深いため息と冷たい視線が、咳き込むムウマに突き刺さる。

 

 

 

「……もう一度だけ言いましょう。わたしは、『戦に備えよ』と言ったのです」

 

 

 

「っ!!!!!! わ、わかりました!」

 

 

 

そう言いムウマは、急いで先に出て行った者たちと合流する。

 

その様子を後ろから見ていた“戦友”二人は、満足げな表情だった。

 

 

 

 

 

(……これでいいんだ。私のすべきことは、これでいいんだ)

 

 

 

 

 

 

“魔女”は去りゆく同胞たちの姿を見ながら、自分に言い聞かせた。

 

 

 

 

 

 

 

「……貴様がそう振る舞えるのであれば、明日の戦も問題はあるまい」

 

「安泰」

 

「……油断をするな。ただでさえ戦力が減ったのだ。より気を引き締めて……」

 

 

 

 

 

その決意を込めた発言は、

 

爆音と、仲間の悲鳴ともにかき消された。

 

 

 

 

 

「っ! なんだ!?」

 

「外だ! 行くぞ!」

 

 

 

“魔女”たちは急いで外に出ようとする。

 

……が、すさまじい風圧に、思わず穴の奥に押し戻される。

 

 

 

 

 

「こ、この力は!?」

 

「砂嵐……」

 

「“すなおこし”! 奴らか!」

 

 

 

 

 

 

 

「出てこい!!!!!! 脆弱で卑怯なゴースト共があ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

戦意を奪いとるという役割を十分に担う事の出来る、咆哮。

シロガネやまのカースト制度の、最上位に位置する萌えもん。

自らが起こしたその“すなあらし”で姿は見えないものの、その大地を揺らす声が、あふれ出る力の気配が、その強さを雄弁に語っていた。

 

 

 

 

 

「……なぜ、ここにいる。バンギラス!!」

 

 

 

「許さんぞ……許さんぞお!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

「ぎゃあああ!」

 

「がはあ!!」

 

「く、来るなあ!!」

 

 

 

 

穴を出られない三人の耳に、鈍い音と、仲間の悲鳴がこだまする。

劣勢、どころか、一方的な蹂躙という事は、考えるまでもなかった。

 

「ちっ! まずいぞ、“魔女”! 外の者たちが、こんらんを起こしている! このままでは……」

 

「……崩壊……」

 

 

 

 

 

「下がれ。お前ら」

 

 

 

 

 

“魔女”は、低い声で言い放つ。

 

 

二人は、狼狽えていた自分の振る舞いを恥じながら、言われた通りに一歩下がる。

 

 

 

そうだ。“すなあらし”がなんだ。

バンギラスがなんだ。

 

 

 

我々が付き従うこの人は、

 

 

最強無敵の、“念の魔女”なのだ。

 

 

 

 

“魔女”が、構え、力を込める。

 

瞬間、掌から紫色の小さな台風が巻き起こり、次第に大きく成長していくそれは、砂の嵐とぶつかり、飲み込み、支配する。

 

 

 

「むうっ!? この力、やはり立ちふさがるか!?」

 

 

 

ほどなくして“すなあらし”状態は収まり視界が開けてくると、もはや見慣れた顔ぶれが怒りの形相で倒れるムウマ達の真ん中に陣取っていた。

 

「よお、バンギ。夜襲とは、ずいぶんとあくタイプらしい汚い真似をするじゃあないか。『力を持つ者として、真っ向勝負が敵への礼節』ではなかったのか?」

 

「……敵が敵ならその限りではない。俺は戦人として、許せることと許せぬことがあるだけだ。貴様らは、俺の許せぬ領域へ足を踏み込んだ!」

 

緑の体を鋭くとがらせ、全身で怒りを表現するバンギの振る舞いに、“魔女”は驚く。

軽い“ちょうはつ”で牽制を入れるだけのつもりでした発言に予想以上の反応で返されたため、思わず隠さずに戸惑いの表情を浮かべてしまった。

 

「……おい、バンギ。それはどういう……」

 

「問答無用! やれぃ!」

 

しかし、“魔女”の問いに答える事無く、バンギは進軍を宣言した。

やれやれと一言つぶやいた後、掌を再度前にかざす。

 

「貴様も学習せん男だな。我の“サイコウェーブ”の力、忘れたのか?」

 

そう言い終わるや否や、“すなあらし”を巻き込んだ念の竜巻が、残るムウマ群の掃討へと向かうバンギラスのしんか前萌えもん、ヨーギラスやサナギラスの部隊を横なぎにする。

砂のダメージと“サイコウェーブ”本来のダメージを合わせて受けたことで続々と倒れていく前衛たちを見て、サナギラスを中心とした後衛部隊はひるみ、逆に“魔女”の援軍にムウマ達は歓喜に沸いた。

 

「くっ! なぜだ! なぜその力を持ちながら、姑息な手段に手をかけた!? 貴様とは、正面からぶつかり合える、全力で殺しあえる、好敵手だと思っていた。なのに……」

 

「姑息な手だと……? 落ちたなバンギ。我等のわざを、技術を、生きる術を、姑息と申すか。確かにわたしたちに、貴様らのような力はない。だからこそ、わざを鍛え、力に立ち向かうべく鍛錬を重ねた。そのわたしたちの力を、姑息であると申すか?」

 

「……飽くまでしらを切りとおす気か……ならば、容赦などしない!」

 

「……?」

 

話がかみ合っていない、と口にする前に、鋭い岩が“魔女”の真下から“ストーンエッジ”がつきあがる。“魔女”はそれを軽く払い砕き、それをエスパーの力でコントロールして、再度、“パワージェム”としてバンギラスに返すが、バンギラスもまた、どうという事もない様子でそれをはじきくだく。

 

 

 

「……まあ理由など、我々にとっては何の意味もない事か」

 

 

 

“魔女”のその言葉に、後ろに集った“戦友”二人をはじめとするムウマ達が軽くうなずく。

 

“魔女”は手を振り上げ、高らかに宣言した。

 

 

 

 

「少し時間が早まりはしたが……開戦だ! 一人残らずなぎ倒せ!」

 

 

 

 

 

「「「「「おうっ!!!!」」」」」

 

 

 

 

 

「やれ貴様ら! あの卑怯者どもを、血祭りに上げるのだ!」

 

 

 

 

 

「「「「「おおーーーーー!!!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開戦後、ほどなくして気づいた。

 

 

(……おかしい)

 

 

自分達が劣勢であるため、ではない。むしろ、逆。

 

突然の病により数を減らしたこちらの群に対して劣勢をとっているバンギ一族に、“魔女”は違和感を覚えていた。

 

バンギたちは自ら、夜襲を仕掛けてきた。

それは自分達ムウマを、確実にしとめるための戦略だったはず。

 

 

夜襲を仕掛ける利は少なくないが、こと我々、ムウマに仕掛けるとなれば不利が増す。

 

夜は我々、夢魔(ムウマ)のフィールドだ。

もともと明るくない山の内部は、月明かりという唯一の光では照らしきれない暗闇があった。

 

闇に溶け込み、敵に仕掛ける。

力を透かし、わざでたたく。

 

まさしく、ムウマのための戦略。

 

言い換えれば、力で押し、正面からぶつかることを信条とするバンギ一族には圧倒的に向かない戦略。

 

 

それでも、夜襲には仕掛けるメリットがある。

 

 

敵の不意をつける。

戦力を整え、自分のタイミングで仕掛ける事が出来る。

 

 

わざとして使えるわけではないが、あくタイプのバンギラスがつかうとしたら、“ふいうち”は最高峰の戦術だ。

 

 

 

だというのに……

 

 

 

(戦力を整えてきた様子も、“ふいうち”のために罠を仕掛けてきたような様子もない……)

 

 

 

そう。

バンギたちが、万全の態勢で戦に臨んでいる様子はない。

むしろ自分たちが追い詰められ、戦いを選んでいるかのようなその姿に、自ら夜という舞台を選び、戦を始めるという行動をとった者たちの振る舞いとしては、どうしても噛みあわないと感じていた。

 

(この振る舞いは、むしろ逆。焦り、怒り、憎しみ。感情にただ任せて暴れまわる、まさしく獣)

 

「はぁ、はぁ……ムウマあああああああ!!!!!!!!!」

 

「っ! ふっ!!」

 

直線的に突っ込んでくるバンギラスの“かみくだく”は、ムウマの体を透かし、後ろの岩壁に炸裂する。“魔女”が躱したわざをいくつも受け、とどめと言わんばかりに削られた岩肌から決壊するようにバンギラスの頭へ崩れた壁からの“いわなだれ”が降り注ぐ。

 

しかし、そんな様を見ていても、“魔女”は気を抜くことはない。

 

せんとうふのうを見届けるまでは、戦いは終わらない。

そして何より……バンギラスが、互いの強さを信じ、殺し合ってきたバンギラスが、この程度のはずはないと信じていた。

 

「……相変わらず、にげるのだけはうまいじゃあないか……」

 

だからこそ、バンギラスが岩の下から這い出てきても、“魔女”が驚くことはない。

 

しかし“魔女”の顔は、あきらかに強張っていた。

 

(“かみくだく”というわざ選択と、この威力……)

 

一撃で仕留めると言わんばかりの威力を感じたうえで、自分の推測と疑念が間違っていないと確信し、理解できないことが起こっているという事実を理解した。

 

「“魔女”! このまま耐えきるぞ! バンギたちの消耗を待ち続ければ、この戦の勝利は盤石だ!」

 

「……確信!」

 

背中合わせに体を預け、戦いの最中であるという事を考え高揚を押し殺した声を届けた“戦友”二人に対し、“魔女”の表情は依然として歪んだままだった。

 

 

(そうだ……このままならば勝てる。長きにわたるバンギ一族との戦いの歴史に終止符を打つ事が出来る。できるのだ)

 

 

なのに、何なんだ。

何が、何が引っ掛かるんだ?

 

 

追撃を止めた“魔女”の葛藤を余裕と捉えたバンギラスは、さらに怒り大声を上げた。

 

「随分と、舐めてくれるじゃあないか! 我等を、力だけの一族だと思ったら大間違いだ! 行くぞ!」

 

そうしてバンギラスは大きく振りかぶり、四股を踏むが如く足を地面にたたきつけた。

地面の揺れは大きくなり、次第にそれは地上の萌えもんの体にダメージを残す大わざに変化した。

 

 

「じ、“じしん”だと!? 我等のとくせいを、知らないわけではあるまい!」

 

「……こんらん?」

 

バンギラスによってもたらされたそれに、“戦友”二人は大きく狼狽する。

 

“じしん”は確かに強力なわざだが、その効力を受けるのは飽くまで、地上の萌えもん(・・・・・・・)に限る。

 

ムウマのとくせいは、“ふゆう”。

 

ゴーストとしての力を利用し、空中を自由に動きまわる事が出来るムウマにとってじめんタイプのわざなどという選択は、意味をなさない不発のわざ。どころか、地上にいる萌えもんを無差別に攻撃してしまう性質上、味方にダメージを与えてしまう可能性すらあるもろ刃の剣。この場面で使用する意味はほとんどない。

 

 

そう、ほとんど。

 

 

「っ! しまった! おまえら!」

 

 

“魔女”は気づく。が、ヨーギラスやサナギラス、そしてムウマ(なかま)が倒れ反応しない、死屍累々の様子が手遅れであったという事を物語っていた。

 

 

「ば、馬鹿な!」

 

「……怪奇」

 

二人は呟く。

理解できない、という表情。

二人のそんな表情を戦場で見たのは、初めてだった。

 

 

 

 

そりゃそうだ。

 

戦場で感情を表に出すこと。

 

対面を倒すこと以外を考える事。

 

 

 

 

それを、

我々は、油断と呼ぶのだ。

 

 

 

 

「っ! 危険!」

 

「! しまっ!」

 

「喰らえ!」

 

 

 

 

 

目を瞑る二人の顔が、

 

迫りくるバンギラスの動きが、

 

 

 

空間を切り取られたが如く、止まって見える。

 

 

 

 

実際に(・・・)、止めて見せた“魔女”以外は、

それは、脳の錯覚だと認識していた。

 

 

 

 

「……間に合ったようだな」

 

「「……ま、“魔女”!!!」」

 

「く、“くろいまなざし”!!!? おのれえ!!!!」

 

動きを封じられたバンギラスは全力で腕を振り回すが、足が動かず今一歩のところで手が届かない。

そんな様子を見てくたくたと地面に倒れこむ二人に、“魔女”は言った。

 

 

 

「お前ら、他の場所へ加勢してこい。ここは、私が引き受ける」

 

 

 

「っ! なぜだ!? お前がバンギを抑えている、この状況。仕留めるなら、今しかない!!!」

 

「好機」

 

「否。“くろいまなざし”は相手の足を奪うわざ。“まひ”状態になるわけではない。甘く見たら反撃されて終わるのがオチだ。それよりも今は、仲間を減らされ、押し込まれている他の部隊をてだすけし、戦況を変えることが先決! それに……この状態も長くは持たん」

 

「ぐぉおおおおあああ!!!!」

 

“魔女”がそう言うと同時にバンギラスの声が山をこだまし、それを聞いた三人はほんの少し、無意識のうちに後ずさりする。

するとバンギラスの周りを覆う、“くろいまなざし”の力がパリンという音と同時に解除されたのがわかった。

 

 

 

「……“ほえる”で戦闘状態を強制解除か。さすがだな」

 

強張る二人に対し、“魔女”は邪悪な笑みを浮かべ、バンギラスに相対する。

 

「行けっ! お前ら! ムウマ一族に、勝利を!」

 

「「っ! おう!!」

 

 

 

 

 

二人が去っていく様を見送る暇も与えずすぐに次のこうげきへ移るバンギラスに、“魔女”は苦笑いを浮かべた。

 

右手に作った岩の弾丸を二人へ向けたバンギラスの手を“シャドーボール”ではじき、弾丸を相殺してから改めて相対する。

 

「やはり、“うちおとす”か。だが、同じ手が二度も通用すると思うなよ」

 

「くっ……」

 

“魔女”はすでに、バンギラスが立てた作戦を見抜いていた。

 

 

いわタイプわざ、“うちおとす”。

空を舞い、地上をはい戦う萌えもんをあざ笑う“ひこう”や“ふゆう”を有した萌えもんを、その名の通り“うちおとす”わざ。

 

 

全体を一網打尽にするため。優勢に事を運んでいると見せかけて、一気にひっくり返すため。あらかじめヨーギラスとサナギラスに倒す事よりもこのわざを当てることを優先して戦うように指示していたのだろう。

 

その策により、現在ムウマ一族とバンギ一族の戦力は、ほぼ五分のところまで近づいた。

 

そう、五分。

 

バンギラスたちは、きれいに我々を作戦にはめた。

にもかかわらず、戦況は五分。

 

我等ムウマが強い。などと、楽観視できる話ではない。

 

(それにそもそもこの策なら、夜襲を仕掛ける理由にならない)

 

 

まだ、何かある。

そう考えた“魔女”は二人きりの状態になったバンギラスにしゃべりかける。

 

 

「……やはり、お互いどれだけ奇策珍策を練ろうが、最後にはこういう舞台(1vs1)が整うのだな。シロガネの者として、戦いの神に感謝すべきかな」

 

少しでも新たな情報を。

はたして、バンギラスに策はあるのか、ないのか。

何を考えているのか。

 

それを探るための言葉。

 

しかし、バンギラスの反応は予想の斜め上だった。

 

 

 

 

 

 

「ならば、なぜ……なぜ最初から、そうして挑まなかった!? なぜ、俺の部下に手をかけたのだ!? 答えろ!」

 

 

 

 

 

 

「……何?」

 

“魔女”はその発言にこんらんし、固まってしまった。先の“戦友”二人の一件の通り、それは戦場において、大きな隙だった。

しかし『隙をついて、バンギラスがこうげきしてこなかった』という事こそが、バンギラスが嘯いているわけではないという事の証明でもあった。

 

「丑三つ時に眠るころ。俺の部下たち、ヨーギラスとサナギラスの悲鳴で目が覚めた。今もなお、ほとんどの部下は衰弱し、いつ限界が来るやもしれぬ状態。なぜ、俺を狙わない! なぜ、そのような汚い戦術を取った!? シロガネの誇りを持ち、戦いに行き、戦いで逝くと言った貴様自身の言葉に、なぜ背く様な選択をした!? 答えろぉ!!!」

 

すさまじい剣幕で“にらみつける”バンギラスに思わずたじろぐ魔女だったが、それでも声を絞り出し、反論した。

 

「ち、違う。それは我々の仕業ではない! 我々の部下たちも、同様の状況に苦しんでいるのだ!」

 

「おのれ……この期に及んでそのような戯言を……」

 

「バンギ……」

 

震える拳で力強く胸をたたいたバンギラスは、低い声で言った。

 

 

 

「……ならば、なぜ俺は無事なのだ!?」

 

 

 

「……どういうことだ?」

 

 

 

 

 

「あくタイプの俺が! 無傷であるという事実そのものが! 『エスパーわざの襲撃』であること、そして……“念の魔女”である貴様の襲撃であることの証明だと言っているんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

ようやく、全てわかった。

 

バンギラスの、確信的怒りの意味も。

 

そして…………

 

 

 

 

信じられない。

信じたくない。

 

 

 

 

そんな思いの妨害で届かなかった、真実も。

 

 

 

 

 

(やっぱり……あなたの仕業だったのね……)

 

 

 

 

 

シロガネに、自分以上のエスパー使いなどいない。

 

 

自分の血を継いだ、奴以外は。

 

 

 

 

 

放心状態の“魔女”の意識を戻したのは、バンギラスの声だった。

 

 

 

 

「っき、貴様! 1vs1などと申しておきながら……どこまで心を汚したのだ!?」

 

 

 

 

我に返るまでの一瞬、バンギラスが何を言っているのか、さっぱりわからなかった。

 

そしてバンギラスを見て、バンギラスの視線の先を見れば、それは直ぐにわかった。

 

 

 

 

先ほど、戦いの神に感謝、などという言葉を吐いた“魔女”だったが、

 

今、この瞬間を、この状況を作り出した神が存在するというのなら、

そいつを、ぶん殴りたくなった。

 

 

 

 

バンギラスの視線のしばらく先には、暗闇に溶け込み、ふらふらと一人彷徨い逃げる『ムウマ』がいた。

 

 

 

 

こんな時に、戦いもせず、一人で彷徨っている“ムウマ”など、

“魔女”には一人しか思い当らなかった。

 

 

 

 

なぜ。

どうして。

 

 

 

 

そんな言葉を紡ぐよりも前に、

怒りの形相のバンギラスが駆け出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なぜ。

どうして。

 

 

 

“ムウマ”の頭は、それでいっぱいだった。

 

 

 

 

逃げよう。

抗おう。

 

心に決めた自分の意志に従い、動いただけだった。

 

 

 

それだけだったはずなのに。

 

“ムウマ”は『なぜ』でいっぱいだった。

 

 

 

“魔女”にぼろぼろにされ動けなかったはずなのに、見る見るうちに体力(HP)が回復していったこと。

 

外に出てみると、意識のない同族(ムウマ)敵族(バンギたち)でいっぱいだったこと。

 

今なら逃げられるかもしれないと出口を探して彷徨えば、“魔女(ははおや)”とバンギラスが向かい合い、叫びあっていること。

 

目が合ったその瞬間、バンギラスが、すさまじい殺気をこちらに向けたこと。

 

 

 

 

逃げるわたしにバンギラスが、全身全霊の“おいうち”を向けてきたこと。

 

 

 

 

そして…………

 

 

 

 

 

「…………き、貴様…………」

 

 

 

「な、なんで……どうして…………?」

 

 

 

 

 

 

「ごほっ。な、なぜ? そんなの…………わからないわよ」

 

 

 

 

 

目の前にいる“魔女”が、バンギラスの“おいうち”を、体で受け止めているということ。

 

 

今目の前で血を吐き出しているこの人が、身を挺して自分を守ってくれたということ。

 

 

 

 

 

一番状況が理解できていない状態ではあったが、それでもやせいの本能のままに、バンギラスは一番早くに動いていた。

 

(こいつは、倒さなければ!)

 

自分の拳を顔で受け止める“魔女”のまっすぐな瞳を見て、シロガネの地に馴染んだ体が頭より勝手に反応した。

 

 

それは、正解だった。

だがしかし、それでも、“魔女”の方が上手だった。

 

 

「……バンギ……お前には謝らねばなるまい。作為的ではなかったとはいえ、ムウマ一族はシロガネの意志に背く戦い方をした。それは……謝る」

 

 

その“魔女”の言葉の途中から、バンギラスは体が自由に動かなくなっているという事を認識したが、その時にはすでに遅かった。

 

 

「っ! ま、“魔女”! き、さ……ま……」

 

 

「だが、悪いな。それ……でも……この娘を……殺らせることは、出来んのだ」

 

 

言い切ることもできないまま、バンギラスは振り上げた腕をそのままにそのムウマよりも一回り二回り大きな体を支え切る力を奪われる。

倒れる寸前、黒い力のような何かに、自分が包み込まれていくのを感じた。

 

(み、“みちづれ”……だと……)

 

大きな音と土煙を立ててバンギラスが倒れこむのと、“魔女”が力尽き地面に横たわるのは同時だった。

 

 

 

 

 

 

「なんで……なんで…………なんでよ?」

 

 

“ムウマ”は、呆然としていた。

 

 

争っていた意味も、自分が狙われた意味も分からない。

だが、それ以上に、目の前のムウマが、自分を守ってくれた目の前のムウマがあの“念の魔女”で、自分の母親であるという事が信じられなかった。

 

 

「ム……ウ…………マ……そこに……いますか?」

 

 

「なんで……なんでなのよ……」

 

 

返答になっていない言葉。

しかし、直ぐ近くにいることを理解した“魔女”は、うっすらと笑った。

 

 

 

「あなたには……言わなければならないことがあります……あなたの、父親のことです」

 

 

 

“母親”としての言葉など、父親のことなど、聞いたことがなかった。

“ムウマ”は驚きのあまり、何を言うこともできなかった。

 

 

 

 

 

「あなたの……父親は……死んでなどいません……今も……どこかで生きているはずです」

 

 

 

 

 

“ムウマ”の心が、はねた。

 

 

衝撃の言葉が、いくつもあった。

 

 

父が、死んでいない?

 

 

どこかで……生きている?

 

 

 

 

 

じゃあ……私の父は……

 

 

 

 

 

「あなたの父親は……シロガネのムウマの歴史でただ一人、外の世界へ出て行ったムウマなのです」

 

 

 

 

 

“ムウマ”は、絶句した。

 

驚きのあまり“ふゆう”を維持する事すらできず、へなへなと力なく地面に落ち、“母親”の隣に座りこんだ。

 

頭が、真っ白だった。

 

 

 

 

あの人は……あなたと同じ、異端な存在。シロガネのムウマでありながら、戦いを嫌い、外を望むムウマだった。

 

彼は、それをひた隠しにし、仲間のために闘い続け、戦果を挙げ、族長にまで上り詰めた。わたしは、そんな彼が、大好きだった。

 

でも、彼は外の世界を求めた。わたしと、わたしたちと共に戦い続ける毎日よりも、まだ見ぬ明日に希望を見た。

そして……群れを抜けたい。わたしにそういった。

 

そんなこと、出来るはずはない。だってあなたはわたしたちの長なのだから。そんな言葉が喉まで出かけた。でも一方で、彼の望むようにしてあげたい。願いを、想いを理解することはできないけど、彼の伴侶として、彼の夢を応援してあげたい。そう思うようになった

 

 

そして……わたしは、決めた。

 

 

彼の代わりに、族長を務める。

 

 

そうして、彼を戦場で命を落としたと皆に告げ、彼を外へと送り出した。

 

 

そしてわたしは、次の長になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しゃべる“母親”を、止めるべきだった。

そもそも、倒れるほどつらいはずの彼女が、なぜ今になって、こんなことを聞かせてくれるのか。それをもっと考えればよかった。

 

後に後悔する“ムウマ”はその時、衝撃のあまりに聞き入っていた。

 

 

 

「わたしは……あなたが外の世界に行きたいと言っているのを見て、うれしくもあり、悲しくもあり、羨ましくも思った」

 

 

 

“魔女”は、涙を流した。

 

 

 

「自分で送り出したはずなのに……わたしが背中を押したのに……彼を送り出したことを、後悔している自分がいた。だからこそ、あなたにはどこにも行ってほしくなかった。わたしの傍で、ずっとわたしと一緒に戦ってほしかった。あの人みたいに、わたしの傍から消えて欲しくなかった。だから、あなたの中にある、わたしと、あの人の力を引き出したかった」

 

 

 

軽く咳き込んだ“魔女”の口から血が飛び、“ムウマ”の頬に付いた。

それはいつの間にか流れていた、“ムウマ”の涙と混ざり、地に落ちる。

 

 

 

「でも、それでもあなたは、外に出たいと言った。それを聞いて、『やっぱりあの人の子どもだ』と思った。そして、『自分には、あの人の想いがわかるんだぞ』って……言われてるように感じたの……だからっ……わたし……ごほっ!」

 

 

 

 

 

「っ! お母様!!!!!?」

 

 

 

 

 

もう意識は薄れ、自分のことさえ見えていないのだろう。

ぼろぼろの体を必死に動かして伸ばした手を、“ムウマ”は自分の手で優しく包んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ムウマ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめんね。

戦いしか知らない母親で。

戦いしか教えられない母親で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな愛し方しかできなくて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“魔女”は、倒れた。

 

 

“ムウマ”は息を飲んだ。

 

発狂しかけた自分を、真白になった頭で無理やり落ち着かせた。

 

 

死んではいない。“ひんし”になっただけ。

傷さえ治れば、また起き上がる。

 

 

手を握る“ムウマ”が、それを一番理解していた。

 

 

 

 

 

 

 

それと同時に、

 

ムウマの中に、エネルギーがなだれ込んだ。

 

 

 

 

 

 

「っ! うそっ! なんで、どうして!?」

 

 

 

 

 

 

その答えは、

“ムウマ”の手の中にあった。

 

 

 

 

 

 

温かかったはずの“魔女”の手が、

見る見るうちに、冷たくなっていった。

 

 

 

 

「っ! ま……さ……か……」

 

 

 

 

“ムウマ”は、青ざめた。

 

そこまでくれば、よく分かった。

 

 

 

 

自分を回復させてくれるこの力が、

 

あの時、少年が言った自分の力が、

 

今、発動してしまっている自分の力が、

 

 

 

どんな力なのかを。

 

 

 

 

 

 

「っいや! いや!! いや!!! とまれ!!! とまれ!!! とまれぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 

許せたわけではない。

あんな風に言われても思い出されるのは、

 

たたきつけられたこと。

しばりつけられたこと。

戦わされたこと。

 

辛い事ばかりだった。

 

 

 

 

 

でも、それでも、

生きていてほしい。

 

死んでほしくない。

 

 

 

今まで話せなかったことを、

もっともっと、いっぱい聞きたい。

 

 

 

 

 

「いや……やめて……やめて……やめてよ!」

 

 

 

 

叫び、喚き、のた打ち回り、喉元を自分で掻き毟った。

 

しかし、ついた傷は、片端からすべて治っていった。

 

 

 

 

 

それに反比例するように、

目の前の、“母親”の限界も、近付いてきた。

 

 

 

 

 

 

自分の体を壊してしまおうと思った。

でも、出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

自分一人が癒されていくその感覚が、

 

 

“ムウマ”を苦しめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてシロガネの地における、バンギ・ムウマ一族の戦いは、“いたみわけ”という形で終戦を迎えた。

 

 

 

戦前から倒れ、苦しみ続けた者。

そして、戦中に倒れ、そのまま体力が回復するどころか、みるみる衰弱してしまった者。

 

 

 

もはや、バンギ一族にも、ムウマ一族にも、戦を繰り返すだけの戦力がなかった。

両一族は、苦虫をかみつぶす想いで停戦し、他のシロガネ部族に対抗するだけの戦力を整え、一族の存亡に力を入れるようになった。

 

両族とも否定的な態度を取り続けていたものの、バンギラスのひと声により方向性が決まり、これからしばらくは協力体制を取っていくことを約束した。

 

 

 

 

 

 

 

シロガネの地に生まれた者の運命とまで言われた、終わらない戦いを終わらせたのは……

 

 

 

 

 

 

戦いが、大嫌いな少女だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、その萌えもんにもらったデータは、役立ちそうですの?」

 

「ああ。すごいよ。“ひかりのいし”を作るためのエネルギーが、一気に集まってきた! コントロールするのが難しいくらいの、とんでもない力だ!」

 

「ふーん。じゃあミラのしんかは決して、夢物語ではなくなりそうですわね」

 

「夢物語って……約束だぜエリカさん。『あなたがわたしの役に立つことが出来たなら、本格的な萌えもんバトルを教えてやる』。そういったよな?」

 

「ええ。言いました。二言はありませんわ」

 

「よっしゃあ!」

 

「……ところで、つかぬ事をうかがいますけど、その萌えもんはそんな強力な力を使いこなすことが出来る娘なんですの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっ? うーん。考えてなかったなあ……もしかしたら使いこなせないかもしれないね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふふっ」

 

「なんだよ、エリカさん。急にくっつくなよ。作業しにくいよ」

 

「大丈夫ですわ。私がこうしていたいだけですから」

 

「俺が大丈夫じゃないってのに……」

 

「……ねえ、ジョーカー」

 

「……何?」

 

「その娘に、また会いたい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、会えるなら会いたいかな。またいろんなデータが取れそうだし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……悪い子」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん? なんで?」

 

 

 

 

 

 

 

 




マリム番外編、求む暴食。完結です。長かった。


はっきり言って個人的には当初よりもえぐい話になりました。
詰め込み癖が治ってない感じがします……



ここから先は裏設定。




7-6に書いていた通り捕獲時のマリムのレベルは32という事になっていました。
シロガネ出身としては低めになっていますがこれは本話で書いた通り、マリムは全く戦ってなかったからです。
このレベルのほとんどは”ゆめくい”で勝手に倒してしまった萌えもんたちのけいけんちなのでシロガネにいたころはもっと低かったという事です。
戦い方と呼べる下地はほとんど整っていなかったという事ですね。


そしてジョーカー君の方ですが
本話における彼は、施設からR団に移ってから数年たって、BOSSになつき、エリカに言葉づかいを筆頭とする礼儀や、戦闘の基礎を学び終わった後。という事になってます。
9-5のエリカとのやり取りより少しあと、という時系列です。
ちなみにミズキはマリムに会ったことは覚えていません。
ムウマのデータを取りに行った、という記憶はあっても、どんなムウマにあったか、という想い出が残っていない、という状態です。

ただ言葉は丁寧でも性格悪いのが見え見えで書いてて面白かったです。


ついでに? マリムと”ひかりのいし”の適合率の複線回収。
そもそもあの石がマリム本人のデータを多分に利用して作られたものだったので適合率が異常に高かったという話ですね。


今回はなすべき設定はこれくらいでしょうか?
ではまた次回、久しぶりに本編を書いていきたいと思います。










フレイド「……半年」




haruko「……本当にすみませんでした」
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