トキノスナ   作:<凪>

3 / 3
初心者特有の急展開


第3話

あれから数日間私は彼女を甲斐甲斐しく世話をした。

怪我は薬のおかげか、みるみるうちに消えてった。

体力の方も順調に回復しているようだった。

そして、その間私は彼女にいくつかの質問をしてみた。

 

名前は?ご両親は?どこに住んでいるの?

 

もちろん最初は聞くのを躊躇ったが

いつまでもこのままではいけないと思い、勇気をだして聞いてみた。

しかし、質問には答えてはくれず、どこか遠い所を見るような目で窓の外ばかりを見ていた。

やはり、私には彼女の助けにはなれないのだろうか?

彼女を助けたいとは思うが、彼女から何も聞けない以上私も何もできない。

彼女は救うことはできないの?

 

*******************************************

 

「もう包帯はいらないわね。傷ももう見当たらないわ。」

 

彼女の傷もすっかり癒え、体調も充分に回復した。

最初に会った時とは見違えるくらいに顔色も回復していた。

もう私の介護も必要ないだろう。

だが…。

アリスは安心しながらも、不安に思う。

この後彼女はどうするのだろうか?

もしかしたら、彼女には帰る家がないのでは?

そもそも、なぜ彼女は傷だらけだったのだろうか?

いくつもの疑問が浮かび上がっては消える。

 

(名前も教えてくれないアナタは何者なの?)

 

いくら質問しても答えてくれない彼女が異常なのか

執拗に助けることに拘る私が異常なのか

答えはでない。

 

ベッドの上で窓の外を見ている彼女に、顔を向ける。

その横顔はどこか憂いを含んでいるようで無表情に近いものだった。

なにを考えて、なにを思っているのか。

彼女を見ても分かるはずもなく、ただ彼女を見続けていた。

そんな時

 

「……なくしたんですよ。」

 

彼女は唐突に独り言のように切り出す。一切こっちを見ずに。

 

「きっと…一番大切だった…はずのものを。」

 

もしかしたら本当に独り言だったのかもしれない。

彼女の言葉には感情など篭ってなどなく、他人事のように語っていた。

大切なことを言ってる。

それはどんなバカでも分かる。

私は次の彼女の言葉を待つ。

 

「でも…今は涙すらでないんですよ…なんで…ですかね?」

 

彼女はゆっくりとこっちを向く。表情は無表情のまま。

 

(あなたこの前泣いて…もしかして。)

 

瞬間、私は理解する。理解すると同時に涙が流れ出す。

拭っても、拭っても、涙は止まらず溢れ出す。

この少女の不幸に…。

 

「…なんで…あなたが泣いてるんですか?」

 

不思議そうに首をかしげる彼女に私は近づく。一歩、また一歩と。

なぜ表情がないのか。なぜ泣けないのか。

私は理解した。

 

彼女の ‘ココロ’ が壊れてしまったことに。

 

だから私は、泣けないあなたに代わって泣いているのよ。

今となっては泣くこともできない、彼女のために。

完全に‘ココロ’をなくしてしまったあなたのために。

そして彼女を抱きしめる。彼女の体は少し冷たい。

それでもしっかりと血は流れている。

彼女は生きている。感情がなくなったって生きてる。

 

「…大丈夫よ。…大丈夫。」

 

私は繰り返し言い聞かせる。

間違えていた。私は間違えていた。

彼女を救うことは出来る。彼女は私に助けを求めてる。

 

(私が間違えていたんだね。)

 

これはすぐに解決できることではない。

長い長い年月が掛かる。とても長い年月が。

私は決意する。必ず彼女の‘ココロ’を元通りに直すことを。

 

異常なのは私の方だった。




他の方の小説を見ていると1話1話とても長いですね…。
3000字位の小説が多い気がします(私の小説の約2倍)
私の友人に言われたのですが。
「もっと早く更新して、名前覚えてもらえ。初心者なんだから、文より
 更新ペース!」
これはどうなんでしょうね?正論のような違うような…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。