Fate/Boudica affection 作:柳之助@バケつ1~4巻発売中
そこは世界の最果てだった。
第六特異点エルサレム――かつてそう観測されたはずの神聖円卓領域。
獅子王が統治せし、完全にして神聖なる白亜の聖域。
けれどその地は今まさに世界から切り離されようとしていた。世界からの隔離、それによる人類の救済。それを為すのは、
「――我は女神ロンゴミニアド。救済しよう、愛しき人類を」
嵐の王、ワイルドハント。かつて騎士王と呼ばれ、聖槍の影響を受けた故に英霊を超え、神霊となってしまった――アーサー・ペンドラゴンのなれの果て。
妖しく輝く両眼に、堂々と構えるその身に、放つ威圧すらにも神気を宿している。
英霊ではなく神霊であるが故に、その存在は通常の英霊からは並外れてた霊基を有しているのだ。そしてその手に握り、螺旋を描く光輝――聖槍『
常人ならば見ただけで失神するだろう。
その威圧を受けただけで精神を狂わされるだろう。
穂先を向けられただけで――絶望に落とされる。
だけど、
「――いつものことだ」
その前にして笑みすら浮かべる。
聖槍から発せられる暴風に晒されながら、刻印が刻まれた手を握り――笑う。
「ベディ」
「は、はい?」
声を掛けたのは偽腕の騎士。彼の真実を知った。彼の歩んだ旅路を知ってしまった。彼がなんの為に地獄のような道を生きていたのかを理解してしまった。
千五百年――或はそれ以上。
気の遠くなるような年月を、それでも尚かつての役目を遂げる為に止まらずに走って、歩いて、進んできたのだ。
「だから、行けよベディ」
行けよ――行ってくれ。
輝く右腕の負荷により身体が砕け落ちそうな騎士へと語りかける。
目前、救済の神霊は立ち塞がっている。それに比べたら少年は如何にちっぽけな存在なのだろう。今だって彼は恐れている。正直に言えば右手は震えていて、握りしめてやっと隠せるようなもの。
少年一人ならきっと逃げだしていた。
だけど、
「――頼むぜ皆」
自分よりも前に、自分を守る為に闘うサーヴァントがいる。
最果ての威圧にしかしまるで臆さない。彼ら、彼女らもは神霊には届かなくても、多くの特異点を駆け抜け、戦ってきた英霊なのだ。聖杯の担い手と戦い、魔神を降し、世界を救ってきた――人理救済の英霊たち。
「
彼は千五百年も歩いてきた。
だから、
「――あんまり彼を待たせずに」
●
「行け、
「おうよ!」
真っ先に飛び出したのは赤雷を纏う反逆の騎士だ。
歯を剥き出しにして、獅子王へと斬撃を叩きこむ。それは他の円卓程に美しいものではなく、実用性のみを突き詰めた暴力染みた一刀だ。
愛馬に騎乗したロンゴミニアドにはそれを最果ての槍にて受け止め、
「――モードレット卿、何故お前が私に歯向かう」
「――はっ! こいつは笑えるぜ!」
光輝と赤雷が連続して弾ける。
「笑える……何がおかしい反逆の騎士。卿は聖抜を否定しなかった。私の下で暴走することを良しとするつもりだっただろうに」
「シャーラップ! それはアンタんとこにいた俺の話だろうが! この俺とは別人だからてめぇのその理屈は俺には関係ねぇ、ていうか忘れちまえあの脳みそ空っぽの俺なんて!」
雷閃は槍をしのぎ、馬へと向けられる。
高低さが面倒だと彼女は内心毒付き、そちらを先に狙っているのだ。元よりそのあたりの騎士道に興味がないのがモードレットであり、
「つまんねーんだよアンタの理想は! 崇高かもしれない、貴いのかもしれない、間違ってないのかもしれない。あぁだけど――そこに人々の笑顔がない!」
だから許せない。
かつて彼女が反逆した騎士王は――それを望んでいたのに他ならない。
生前は理解できなかったけれど、しかしカルデアに召喚され騎士王にも出会い、何度もぶつかることができた。ぶっちゃけモードレットと騎士王のいざこざのせいで何回かカルデアが壊れかけたものだ。
あぁそれに、何よりも、
「父上のバリエーションはもういらねぇ……!」
「私の知ったことではない」
「ははははは、皆同じようなこと言うぜ!」
モードレットのクラレントより赤い稲妻が迸る。雷撃は空間を破砕し、轟かせ、彼女を中心に光輝が満ちる。
「喰らっとけよ、頑固父上――物分かりが良くなった一人息子からのお叱り斬撃だァ!」
振りかぶった大剣が稲妻を纏うどころではなく、剣そのものが稲妻となり、
「
愛する父へと叩きこんだ。
「――
最果ての地に轟く反逆の赤雷。
ただただ騎士王を超えたいと願った不貞の息子の怨念が刻まれ続けた故にそれはアーサー・ペンドラゴンという存在へと特攻能力を保有し、
「――無為。我は既に女神ロンゴミニアド」
全身より放たれた魔力にて赤雷を相殺する。
「騎士王を倒す為の剣では私には勝つことは不可能―――」
「ゴールデン!」
「ハッ! 下らないわね!」
「!」
モードレットの宝具の直後、叩きこまれたの彼女のそれを上回る雷撃を纏った斧と数十本の闇剣だった。雷斧は聖槍で受け止め、闇剣群は魔力放出にて相殺。金色の魔力の残滓の先に見えたのは、
「ゴールデン……ゴールデンじゃねぇなお前は!」
「モドレが言ってたけど、本当に見飽きた顔ね。……隣の阿呆の言葉も聞き飽きたけどそれ以上に飽きてるわ」
破顔一笑と共に叫ぶ金色の偉丈夫。
せせら笑いながら隣の阿呆に顔を歪める復讐者。
坂田金時とジャンヌ・ダルク・オルタ。
宝具を叩きこみ、しかし弾かれたモードレットを庇いながら二人は女神へと立ち塞がる。
「――人の英雄と人に裏切られた反英雄。無粋だな。天を統べる私に如何なる理由で牙を剥く」
「人の英雄だからこそ、だぜ女神さまよぉ」
鉞を担いだ英雄は快活な笑みを浮かべ答えた。
「俺っちに関しちゃあ驚くこたぁないだろう? お前の言う通り俺っちは人間の英雄だ。人の為に生きて、人の為に戦った英霊だよ。そんな俺っちがお前さんの崇高すぎる野望様を否定するのは当然だろう?」
天の女神と人の英雄では目線が違うのだ。
「てめぇは人類の為あれこれ考えてこんなことしてるんだろうけど、俺っちはそこまで視点広くねぇからよぅ! 永遠に残る人性よりも、明日一緒に飯食べる仲間の方が大事ってわけよ! だからお前さんとは相いれねぇ! てーわけで邪魔させてもらうぜ!」
「……理解しよう、怪異殺し。ならばお前はどうだ復讐者。貴様もまた何故私に――」
「はぁ? どうでもいいでしょうそんなことは」
「……」
「随分と悠長ですねロンゴミニアド。余裕? 慢心? まぁなんでもいいですけど。貴方の言う通り、私は復讐者ですもの」
ジャンヌは皮肉げに嘲笑を浮かべる。
獅子王の問答など興味がないと言わんばかりだ。
「ただそうですね。敢えていうならあれですよ、ほら―――上から目線が気に食わない」
「神の視点だ。人のそれと合わさると思うか?」
「無理でしょうね。だから、それが癇に障るんですよ。えぇ、別に自分の庭ごと引きこもっても別に私はどうでもいい」
どうでもいいけれど、
「そのすまし顔を歪めたら、楽しそうじゃありませんか」
「――不愉快だ」
「おぉ……おめぇここぞとばかりに悪役ムーブを……」
「兄貴、行ってやるな。この前タベブロガーやってるのばれて復讐者(笑)って言われてるの気にしてるんだから」
「やかましいそのチンピラ兄弟!」
「あぁ――確かにうるさいぞ卿ら」
「――!」
漏れた嘆息と共に――聖槍の一撃が薙ぎ払われる。
大剣や鉞、旗をそれぞれ大地に突きつけて凌ぐが、
「元より卿らに理解されようなどと思っていない」
「が――っ」
一発一発が並の対軍宝具に等しい。それらを無造作に放つ様はまさに神の審判だ。ただの通常攻撃でありながら、魔力放出と最果ての加護によりそれだけの威力を有している。さらには溢れる魔力がそれらの攻撃の中でも蓄積され続けているのだから手に負えない。
「ちぃ―――マスターちゃん! もっと魔力を寄越しなさい!」
「見ろ兄貴! あの復讐者さっきあんだけ悪役ムーブしといてまっさきにマスターに助けて求めてるぜ!」
「そいつはよくねぇな、もうちょっと頑張れよ」
「そこはゴールデン使いなさい!」
真顔で励ましてきた金時にキレ気味に返しつつ、
「あぁいいじゃない頑張ってやるわよ――」
聖槍の一撃に正面から身を晒した。
「――ぬ?」
「さぁ、どうだ?」
眉をひそめたのは女神だ。
直撃したはずの聖槍の光輝が復讐者に触れた所から――泡のように弾けて消えている。しかし彼女自身の身体は僅かであるが自壊しているようにも見えていた。
「この身は泡沫の夢だとしても―――全ての邪悪をここに」
手にした旗が翻る。
瞳に宿るのは憎悪の炎、憤怒の灼熱。彼女の持つ魔力と怨念が具現化する。
「憎悪によって磨かれた我が魂の咆哮――『
「―‐っ!」
獅子王、そしてその愛馬の足元より発生したのは闇色の炎を宿した杭だ。
憎悪と憤怒を宿した復讐の咆哮。ロンゴミニアドの足元より発生したそれを受けたのは、彼女ではなく位置の関係上ドゥン・スタリオンだった。腹下より生じた焔杭は白馬を貫き、
「ちっ――」
女神が飛び降りる。
神馬はジャンヌの宝具により一瞬で火だるまとなり、ロンゴミニアドが地面に着地した瞬間、
「『
轟雷の一撃が叩きつけられた。
「ぐっ――」
流石の女神には顔を顰めた。先ほどのモードレットとは違う雷光、単なる衝撃では先ほどとはくらべものにならない。その上着地という不安定なタイミングで叩きつけられたからこそ反撃の体勢は整っておらず、
「―――がぁ!」
女神が吹き飛ばされ、
「モの字ぃ!」
「任せろ兄貴ぃ!」
妹分へとつなげ、
「『
再び反逆の雷光を叩きこんだ。
「――!」
今度こそ獅子王が赤雷に飲み込まれた。迸る剣雷は背後の玉座ごと吹き飛ばす。
「やればできるじゃないですかチンピラ妹」
「兄貴ぃ! 馬潰しただけの復讐者がなんか言ってるぜ!」
「できればあそこでまとめて串刺しにしてくれればよかったんだけどよぉ……」
「なんですかそれ!? ていうかアンタ、私にちょっと厳しくない!?」
ジャンヌが叫び、
「――!」
三人は粉塵と雷光の残滓の先に見た。
「―‐連携は見事だ。だが――足りないな」
先ほどよりもさらに強い光輝を槍に宿した獅子王をだ。
宝具を完全に解放したわけではないのだろう。恐らくは本来の数十分の一程度。
だが、それは宝具により魔力を使いきった三人が消し飛ぶのには十分だった。
「最果てを見る前に散るがいい」
放たれ、
「――それは訪れない光景だよ」
飛来する車輪が槍光を受け止めた。
高速回転する十数の戦輪は女神の一撃を受け止めた後に主の下へ帰参した。
それを成したのは――赤い長髪長身の女性だった。
「……悲しいことにね、いろんな意味で」
「姉御っ」
「はいはいブーディカさんですよー。皆もう少し真面目にねー」
「私は真面目ですよ! このダブルチンピラがチンピラしてるだけで私は立派な復讐者です!」
「立派なタベブロガーな復讐者」
「モの字、後で姉御に怒られるぞ」
「そうだねーモードレットはあとでちょっと説教だねー」
だけど、
「――今は、貴女かな。獅子王さん?」
「…………ブーディカ。貴女には槍を向けたくないのが本心だ」
言葉通りに彼女は少し聖槍の穂先を下ろし、
「貴女があったからこそブリテンはある。我がブリテンも、円卓も、私も……貴女の子供に等しい」
「あっはっは、神霊様にそんなこと言われるほど私は偉くないんだけどねぇ、このメンツでも一番地味なサーヴァントだし」
だけど、と彼女は悲しそうに笑みを漏らし、
「私がなんの為に戦ったかなんて――貴女になら解るよね?」
「無論」
下がった穂先が――再び上がる。
ロンゴミニアドもまた苦笑し、
「復讐――そこのよりも貴女はよっぽどに復讐者の英霊に相応しいでしょうに。霊基を落として、憎悪すら忘却に捨てさったのですか?」
「さぁ、どうだろうね。ローマじゃそれで結構葛藤したものだけど……ただ結論は同じだ」
「ならば――」
一度目を伏せ、
「―――果てるがいい。貴女の子である私が貴女を亡ぼそう」
最果ての一閃を叩きこみ、
「それは無理だよ――だよね、マスター?」
「
●
I thank thee, Andraste, and call upon thee as woman speaking to woman.
『アンドラスタの神よ、感謝を捧げます。一人の女として、女性である貴女へ――』
●
「―――――なに?」
その光景を前に、ほんの一瞬だけ女神ロンゴミニアドは己を忘れた。
内心を支配していたのは人であった頃、最早残骸となってしまった記憶だ。聖剣も聖槍もなく、選定の剣を握るよりもさらにずっと前。
ただの少女であった頃、生きていた世界。
「私は緑の大地と青い空と皆の笑顔の為に戦うんだ」
そう、彼女の言葉通りに。
視界一杯に広がる緑の大地と青い空。蒼穹の天では暖かい太陽が世界を照らしている。
頬を撫でるその風は、
「――ブリテンか?」
「そうだ、ロンゴミニアド」
応えたのは――刻印の消えた右手を掲げるマスターたる少年だった。
「決着術式――サーヴァントを従えるマスターのハイエンドスキル。……まぁ俺の技量だとそこまで行かないけれど令呪三角によるサポートで実現させてもらった」
それは即ち、
「
固有結界と呼ばれるものにそれはよく似ている。
ただ術者の精神世界で現実を塗り替えるのに対して決着術式とは、
「マスターがサーヴァントに最も適した世界に空間を改変する――」
世界改変、魔法一歩手前の絶技に他ならない。
この空間においてのみ、サーヴァント・ブーディカの霊基は跳ね上がり、保有するクラススキルやスキルが強化され、ステータスも数段階上昇する。
ブーディカの為だけに生み出された世界。
カルデアのバックアップを差し引いても、破格の大魔術だ。
つまりそれは、
「――五つの特異点を救済したのは伊達ではないというわけか」
そして今、
「ふっ、こうして私の前に立っている」
「そうだ。お前を倒して、七つ目に。そして七つ目も超えて――人理を救う」
「は――」
思わず女神から笑いがこぼれる。
その先に何が待ち構えているかも知らないで、未来を信じているのだ。
「青いな」
「若いからね」
「はっはー、それはブーディカさん耳が痛いなぁ」
「のぅ! ブーディカは若い! 可愛い! 綺麗! 美人! 大好き!」
「こらそこのバカップル主従! 真面目にやりなさい!」
「そうだぜマスター、何気に一番真面目なブロガーが怒るぞ!」
「上乳より先にアンタを地獄に沈めるわよ!」
「ジャンヌよぉ……人の身体的特徴を言うのはやめようぜ?」
「だからなんでアンタは私にマジレスするのよ!?」
「はいはい皆、こんな時でもいつものノリはいいけれど、自分たちの仕事は忘れてないよね?」
返事は頷きで帰ってくる。
モードレットは口端を歪めて。
金時は快活そうに。
ジャンヌは憮然として。
背後にいるマスター、そして本命であるマシュとベディヴィエールを護ることこそが四人の使命であるのだから。
「――笑止」
対して、獅子王は揺らがない。
キャメロットから引きはがされ、ブーディカの為の世界に落とされたとしても。
女神にはとっては些事であると言わんばかり。
「ブーディカの世界であろうとも、だからなんだという。我が槍は世界を繋ぐ最果ての槍」
ならば、
「―――‐世界を裂くことも容易いと知れ」
宣告と共にかつてない光輝が聖槍が放たれる。
「―‐!」
その魔力は単なるスキルによるものではない。
決着術式により展開されたブーディカの為の世界が軋み、震えている。
―――宝具の開帳だ。
「地に増え、都市を作り、海を渡り、空を割いた―――――」
祝詞と共に聖槍の輝きを増していく。
螺旋の閃光は、もはや巨大な光となって世界に起立する。
「っ……ブーディカ!」
「りょーかい、マスター!」
少年から漏れたうめき声はそのまま世界への負担を意味する。
元より数分しか持たない世界だが、内側に生じた
「何の為に―――」
伏せた眼で呟いたその言葉は誰にも届かず、
「――聖槍よ、果てを語れ」
ただその終焉の宣告のみが世界に落とされた。
そして、
「
最果ての光輝が放たれた。
ブーディカたちにはただ光ったという風にしか見えなかった。
閃光が目に焼き付いたと思ったが、その直後には爆音と振動と共に聖抜という終焉が青空と大地を破壊しながら放たれた。
「勝利の女王なんて柄じゃないけれど――」
聖光を前に、しかしブーディカは一瞬だけ苦笑を漏らし、
「――それでも守りたいものがある」
彼女は毅然として立ち向かった。
彼女の周囲を転回する車輪。それらが彼女の目前にて大きな円を生み出しより巨大な盾――ラウンドシールドとなり、
「―――
聖槍の光輝を受け止める。
「っぐ、あ、あ―――アァァァアアアアアアアアアッッッッッ!」
らしからぬ絶叫と共に世界を裂く槍撃を女王は受け続ける。一秒毎に彼女を構成する霊子が砕けて、霊核に尋常ではないダメージを与えていく。決着術式の発動に伴い、体力も魔力も上限が大幅に上がっているにも関わらずに。
「は――はは――こんな子が私の後かぁ―――本当なら嬉しいんだけどなぁ――」
嬉しいけれど。
でも、やっぱりダメなのだ。
「負けられない」
車輪が砕ける。
「終われない」
身体が軋む。
「――守りたい子がいる」
霊核に亀裂。
それでも――いいやだからこそ。
「守ってみせる―――!」
叫び、
「『
「『
「『
赤雷、轟雷、焔杭が連続して最果ての光輝へと放たれた。
「なに――」
驚愕は獅子王からこぼれたものだった。
三人とも直前に宝具を放ったばかり。特にモードレッドはこれで三回目。二回目の発動がマスターからの魔力供給だとしても今この瞬間、少年は決着術式の維持とブーディカへの魔力供給に全力を注いでいる。
にも拘らず、全力――いいやそれ以上の魔力を持って宝具は放たれた。
三種の宝具が聖光を穿ち、そしてその光が散る中でロンゴミニアドは見た。
――――三騎の周囲を浮遊するブーディカの車輪を。
「っ――そうか、貴女の真価は――」
「そうだよ。言ったでしょう私が守りたいものは皆の笑顔だもの。だから、私の力は――――」
防御力の超上昇、ダメージカット、そして―――――仲間への魔力供給。
それにより合計四種の宝具により聖光は相殺され、
「ぶち抜けェ!」
「レッドゴールデンアングリーアタックだぁ!」
「その名称は絶対に認めない!」
「あーいつも通りだなぁ皆は!」
「が――――!?」
赤金の炎雷となってロンゴミニアドへと叩きこまれた。
憤怒の怨念により最果ての加護は引きはがされ、二種の稲妻により体の動きが停止する。
それは、戦いの中で生まれた明確な隙だった。
その一瞬を作る為に、四騎は命を懸けた。
「―――――行って、マシュ、ベディ」
五種の宝具の激突により崩壊していく蒼穹に苦笑し、
「私ちょっともう疲れちゃったけど――」
膝から崩れる自分をすり抜ける二人へと語りかけ、
「全部終わったら――皆で一緒に美味しいゴハンでも食べようね」
薄れゆく視界の中目にしたのは――あらゆる疵を癒す理想と忠義の銀の輝きだった。
自分以外の味方に無敵付与(1回)+味方全体の防御力大UP(3T)+ダメージカット+NP供給
みたいなイメージ。
ここに普段なら皆の娘のジャックちゃんとか妖怪てけてけブリュンとかちゃんとした方のアベンジャーな巌窟王とか最近加わった静謐ちゃんとかいたりするのが我がカルデア。