本当にお待たせして申し訳ございませんでした、え?待ってねぇ、お前のなんて迷惑だ?
それはそれは、、
それでも読んでくれている読者の皆様に心から感謝しております。
その日はショッピングデートだった。
俺はいつも通り、出来る限りのお洒落をし、待ち合わせ20分前には待ち合わせ場所に来ていた。
胸を躍らせていた。
9時50分
あと10分である。
はやく彼女と会いたかった。恋しくて、恋しくて堪らない。
そう、好きにならずにはいられない、なのだ。
待ちきれなさもあった。
「はやく、こねえかな」
俺は独り言を呟いた。
10:00
待ち合わせ時間。
誰も来ていない…待ち人は来たらず…
まあ、こういう時もあるのではないだろうか。
10分ほど待てば連絡が来るだろう。
10:20
誰も来ない。連絡一つ、電話一つ。
何もない。
彼女は約束を忘れたのだろうか。
メールを入れた。
「おはよう!待ってるよ!」
返信はすぐ帰ってくるだろう。
10:30
彼女がやってきた。走りながら。
「ごめん、遅刻しちゃった。ごめんね。」
「あ、あゝ。全然待ってない。」
彼女は少し間をおいて言った。
「…優しいね。比企谷くんは。」
彼女は独り言ちた。
その呟きはその時は聞こえずべくしてきこえなかったのであろう。
「どうした?」
「んーん!何でもないよ!それじゃ、行こっか!」
「あゝ!」
俺たちはウインドウショッピングや、ショッピングをしながら、街を歩いた。
彼女の笑顔を見れて嬉しい。
俺は心底そう思った。
少しばかり翳りがあったのだが。
恐らく杞憂であろう、自らの思い過ごしであろう、と彼は思った。
昼食は少し外れた所にある、レトロな喫茶店。
ジャズがかかっている。曲は…いつか彼女が教えてくれた。
「ねえ、今かかってる曲って…」
「ああ。」
答える。全て分かっているよ、と。
「曲名はなんでしょう?」
思い出せなかった。
あの曲の名前を…。
「何だったかな…」
「忘れてるじゃん。君は微笑んで、だよ!」
ルイ・アームストロングか。
彼女はとても可笑しそうに笑った。
「じゃ、ありがとうね。いただきます」
彼女はいつも美味しそうに、とても美味しそうに食べる。
彼女の全てが愛おしかった。何者にも変えられない。また一つと無い、本物。
心地良かった。
「少し、待っといてくれるか?」
俺は真珠の指環を買いに行った。
全ては彼女の為に。
俺は彼女に全てを約束したかった。
愛おしい。
最愛の人に。
彼女は喫茶店で待っているはずだ。
俺は走った。
彼女に会いたい。彼女の笑顔が見たい。
喫茶店のドアを開けた。
目に映った光景は信じられないものだった。
彼女は他の男と。
彼女は他の男と口付けを交わしていた。
その日彼はこの世に生きる悲しみを覚えたのであった。