感動?ヱクセリヲンは海を行く!(凍結中) 作:プレダコンボイ
金剛さん達に連れられ鎮守府に向かう、その間はずっと夕立が話しかけてくれたので有意義な時間を過ごせたと思う。なにより一人ではないというのは安心するのだ。
「でね提督さん、この間夕立にお饅頭くれたの。とっても美味しかったっぽい。」
饅頭かぁ、俺は昔から甘いものが大好きだ。特にお茶をすすりながら食べる茶菓子は最高の幸せを与えてくれる。
「ヱクセリヲンさん、見えてきましたよ。あれが私達の鎮守府です。」
榛名に声をかけられ目の前を向くと水平線の向こうから建物が確かに見えてきていた。近づけば近づくほどはっきりと見え、赤レンガ造りの大きな建物は時代を感じさせるものだった。
「あれ?あそこに立っているの提督ちゃう。ま~た執務室抜けてきたんやな、長門に怒られてもしらんで~まったく。」
あきれているようでどこか嬉しそうなのは提督にすぐに会えることが嬉しいんだな。
それにしても出撃した艦隊の出迎えまでするとは……皆の雰囲気から見てもここの提督はいい人そうだ。
「お~い、提督さ~ん。ただいま~。」
「はぁ、夕立は元気よね、ほんと。」
「そういうお前も嬉しそうだが五十鈴。」
「当り前じゃない、ああまでしてくれて嬉しくない娘なんていないわ。」
なるほど随分と慕われているんだなあの提督は。
「お~い。」
「提~督、第一艦隊ただいま戻ったネー。」
「はは、お帰り金剛、皆もお疲れ入渠はいつでもできるよ。」
「わ~い、お風呂っぽい。五十鈴さん行こう!」
「ちょっと夕立腕引っ張らないで。」
「相変わらず仲ええなぁ。」
「では提督、失礼します。」
お風呂に入れると知って夕立が五十鈴の腕を引っ張って行くとそれに龍驤と不知火が続く。
妖精さん達も着いた瞬間提督と一緒にいた妖精さん達と一緒に鎮守府に戻って行く。
この人がこの鎮守府の提督かぁ、なかなかにイケメンではないか。
「提督に会わせたい人がいるんです。」
「僕に会わせたい人っていうのは後ろの青い人のことかな?」
ここの提督が俺に視線を向けると同時に俺は榛名の前に出て自己紹介を行う。初対面は第一印象が大事だからな。
「ヱクセリヲン級ネームシップのヱクセリヲンだ。よろしく提督。」
「ああ、よろしく。話は不知火が事前に無線で連絡をくれたからだいたいわかっているよ。妖精さん達をありがとうね。」
不知火あまり話しかけてこないなぁ、と思っていたけどなるほど不知火は鎮守府に連絡してくれてたのか。
「いえ、自分は当たり前のことをしたまでだと思っております。」
「はは、そんなに固くならなくても大丈夫だよ。それにしてもヱクセリヲン級かぁ、すまないが聞いたことないけど君はどこの国の船なんだい?」
「えっと……その……気が付いたら砂浜にいて、それより前の記憶がないので……なんとも……」
もちろん嘘だ、ただ馬鹿正直に言っても信用してくれるかわからないのでここはごまかすしかないのである。
「……そうか、いや悪いことを聞いたね。榛名はヱクセリヲンさんを入渠の場所まで案内してあげて。金剛は悪いけどここに残ってね。」
「はい、榛名にお任せください。じゃあ行きましょうかヱクセリヲンさん。」
「あ、ああ。じゃあ金剛またな。」
「Ok see you later」
「それで金剛、あの子は本当に信用しても大丈夫なんだね。」
「Exactly 彼女はと~っても良い子ネー。」
金剛が言うなら間違いないか、最初は一目見たときから怪しいと思った。なにせ普通の艦むすには見られない鎧のような恰好にバカでかい砲のついてない艤装。艦むすなのかも怪しいのにヱクセリヲン級などという聞いたこともない名前。聞いても要領の得ない解答。でも……
「いい目だった。しっかりとした意思のある目だ。」
「Yes それになにかあってもno problem ネー、私がなんとかしてみせるよ。だから提督も彼女のこと信用しなくちゃNOなんだからね!」
「あはは、大丈夫さ。金剛もいるしな。」
お……ねい…………ま……
この声は……ほんと金剛のことが好きなんだよね。
「おね~い~さ~ま~!!」
比叡は……
「ここが入渠場所ですよ。」
「お、おう。でも俺は今じゃなくてもいいかな~って。」
いろいろありすぎて考えないようにしてきたが俺は男だったのだ、今は女だが自分の裸も見たことないのに他人の裸を見ることができるほどの勇気は……俺にはない。
「そういうわけにはいきません、砂浜の上で寝たりしたんですよね。髪が傷んでしまいますよ。さあ行きましょう。」
「……はい。」
しかしここで入らない理由は俺にはないわけで……
これは。は、恥ずかしい……
周りはタオルを巻いている人もいるがほとんどが裸だ。目のやり場に困る。
「あー、ヱクセリヲンさんやっと来たっぽい。お風呂気持ちいいよー」
「あ、ああ。そうか。」
いかんいかん、気をしっかりと持てとりあえず体を洗わないと風呂に浸かれない……体を洗う……俺本当に女になっちゃったんだ。
「大丈夫ですかヱクセリヲンさん、慣れないことで疲れましたか。」
ちょっと気が沈んでいたら、隣で榛名が体を洗っていた。声をかけられて思わず顔をそちらに向けてしまい余計に気にしてしまう。
たぶん今の俺の顔は真っ赤になっているのではないだろうか。
「いや、髪の毛どうやって洗うのかわからなくて……」
「ああ、そういうことでしたら。榛名にお任せください。」
……へ?
あの後榛名にみっちり髪の手入れの仕方と体の洗い方を習い、俺は風呂に浸かった。
その時の描写?よせよ思い出すだけで恥ずかしい。
それにしてもだ、風呂とはいいものだ。疲れがどんどん癒されていく。ここまで気持ちいい風呂があっただろうか、いやない。
「ふぅ、いい湯だ。」
「ヱクセリヲンさん顔がゆるんでるっぽい。」
「そろそろあがらないとのぼせますよ。」
「ああ、わかった~」
気持ち良すぎて眠くなってきた、名残りおしいがそろそろあがるか。
「やっぱりお風呂あがりは牛乳よね。」
「え~フルーツ牛乳っぽい。」
「コーヒー牛乳意外ありえません。」
ギロッ!!!
なんだ、飲み物片手ににらみ合いなんてして。お、ラムネあるじゃん大好きなんだよねラムネ。
「っか~ぁ、やっぱり風呂上りのラムネは最高!」
「なに言ってるの牛乳が一番に決まってるわ。」「甘~いフルーツ牛乳が一番っぽい。」「コーヒー牛乳です。」
ギロギロ!!!!
風呂上りのラムネ、これだけは譲らん!!
こうして風呂上り飲み物戦争が始まるが後から来た榛名さんにしめて叱られるのであった。
龍驤?なんかずっと榛名と五十鈴を見ながら牛乳を何本も飲んでたよ、お腹壊さなきゃいいけど。
「提督。榛名です、ただいま戻りました。」
「ああ、入ってくれ。」
この鎮守府の執務室、その扉の前まで来ていた。
「「失礼します。」」
俺と榛名が二人して入ると大きなデスクで仕事をしている提督とその手伝いをしている長門がいた。
「忙しかったですか?」
「いや、今一区切りしたところだ。問題ないよ。さてヱクセリヲンさんだったかな、君に質問があってね。どうかなこの鎮守府にいないか?」
「え!?」
「悪い話じゃないと思うんだ。夕立も随分と懐いていたし。金剛も君のことは信用できると言っていた。記憶が戻るまででいいんだよ。」
「えと、いいんですか?俺ここにいても。」
「ああ大丈夫さ、君さえ良ければ。」
夕立達からも随分と信用されるみたいだし、ブラックじゃないっぽいし、悪い人ではなさそうだから……もしかして優良物件?
「あの……精一杯頑張ります!だから、よろしくお願いします!!」
頭を下げる。これは誠意だ、これから世話になる相手にと改めて今後この世界で戦っていく自分に対する。
「頭を上げてくれヱクセリヲン、これからよろしく頼む。ようこそ我らが鎮守府へ。」
「挨拶が遅れたな、私は戦艦長門だ、敵戦艦との殴り合いなら任せておけ。」
「はいよろしくお願いします、長門さん。俺はヱクセリヲン級ネームシップのヱクセリヲンです。」
こうして俺は新たに、鎮守府の艦むすとしての第一歩を踏み出したのだ。
銭湯の描写って難しいですねぇ。
キャラをたたせるのも意外と難しい……他の作者さんの凄さがよくわかります。