遥か昔、堕天使と人間の永きに渡る戦闘があった。
人間は幾度となく堕天使に挑んだが、挑む度に敗れていた。
しかし、ある人間の女性と、男性の堕天使が恋に落ちたことでその状況は一変し、機械天使アクエリオンが生まれた。
人間は堕天使に勝利した。
しかしその代償として、二人の恋は芽生えなかった。
その戦いから一万年と二千年が経ち、再び堕天使と人間の戦闘が行われ、歴史が繰り返された。
その戦いの中で、一万二千年前の生まれ変わりの男女が出会ったが、その恋は叶わなかった。
戦いの終極で世界中が枯れ、世界は滅びそうになった。しかし堕天使と人間が力を合わせ世界の崩壊を防いだ。
だが、その代償としてアクエリオンに乗った者は二度と日の光を浴びること無く、アクエリオンと共に地中の中に眠った。
別れ際に男女は誓いを立てた。
一万二千年後にまた会おう、と。
堕天使との戦いから一万年と二千年が経った。
世界は新たなる敵、アブダクターと戦うためにネオディーヴァを結成しアクエリアを開発。アブダクターとの戦いを繰り広げていた。
そんな世界とは離れたある森で、一人の青年が目を覚ました。
「ふあー・・・・・・あ。」
青年は目を覚ますと身体を伸ばし、外に出る。外に出れば雄大な自然が広がり、その自然の中で活きる動物たちがいた。
「みんなおはよー。」
青年が呼びかけると動物達はそれに答えた。
青年に一匹の赤いライオンが近づく。
「ん?何か用?」
ライオンは青年に話し掛ける。
「今日はなんだか嫌な予感がする・・・・・・・・・・・・・か。うん、わかるよ。でもね、何でか知らないけど今日行かないといけない気がするんだ。心配してくれてありがとう。」
青年は赤いライオンにそう言うと腰に一本の短剣を装備する。その短剣は柄と刃の間に穴が開いた変わった短剣であった。
「サモナーソード今日は置いてくね。じゃあ皆、行ってきまーす!」
青年は動物たちにそう言うとその場から一瞬にして姿を消した。
アクエリアパイロット、エレメント候補生を育成する聖天使学園女子等では生徒たちによる歌が歌われていた。
女子生徒たちを監督する指令補佐兼女子教官のスオミ・コピネはピアノを弾いていた。
歌が終わるとスオミは生徒たちに話し掛ける。
「この曲が作られた頃には、再びアクエリアが争いの地に立つとは思わなかったでしょう。」
そう言うとスオミは席を立つ。
「次元ゲートの彼方より襲い来るアブダクター。都市を、破壊し人をさらう。その目的は今だ不明です。」
その言葉を聞くと生徒達は不安になる。
「アブダクターは得体の知れない敵。しかし、わたしたち天空の乙女が手を取り会うことで――――」
彼女のそこから先の言葉は無かった。理由はその言葉を耳に蛸が出来るほど聞いた生徒、ゼイシカ・ウォンが声を出したからである。
「ゼシカさん!」
「はい・・・」
「貴女は出撃により、アクエリア合体を四度経験していますね。星なる守り手に選ばれし喜びを是非皆さんに伝えてください。」
ゼシカに生徒たちの視線が集まった。
「んー、そうですねー。っ!まぁ気持ちいいかなー。」
「その通り。アクエリアに清き心を捧げることにより至上の――」
「でも、女子と合体するより男士と合体する方がもっと刺激的かなーって。」
ゼシカのその言葉に生徒達は反応する。そんな中スオミは指導棒でゼシカを刺す。
「破廉恥な!天空の乙女は、グイゼ・ストーンによりその純潔を守られています。男女の合体など、断じて有り得ません。」
「でも・・・」
「アクエリアは聖なる揺り籠。遺跡の穢れを知った乙女は乗ることを赦されないのです。」
「その通り!」
スミオの言葉にMIXは拍手する。回りもそれに釣られ拍手する。
ゼシカはヤレヤレと言わんばかりに呆れた。するとある生徒がこんなことを口にした。
「スオミ教官、アクエリア以外にも向かい聖なる獣がいたって話しありますよね?」
「ええ。神話の中での話といわれますが、百対もの聖なる獣、パワーアニマルがいたという話はあります。しかし、アクエリアの戦いから一万二千年が立った今でも、パワーアニマルの聖地は見つかってないとの話しです。一説では先の大戦で変わってしまった地形と共に消失したと言われています。」
「でも、もしそのパワーアニマルがいたらアブダクターに勝てるんですよね?」
「ええ。ですが聖なる獣、パワーアニマルは心を赦した者のみにその力を授けると聞きます。ですが聖なる獣を探すよりも今は目の前の敵を倒すことが重要なのです!」
青年は映画館の投影室で映画を見ていた。映画は大分昔に流れた“アクエリアの舞う空”である。
「私はあなたを、待ち続けます。たとえ一万年と二千年でも・・・」
そしてエンドロールが流れる。が、館内はガラガラ。ゴミもあちらこちらとあった。
「今日も客は少ない・・・・・・・・・・・か。」
「ま、仕方ねーなー。」
館長が青年に話し掛ける。
「でもよくコレ流しますよね。」
「最近アブダクターが襲ってきてるだろ。それに乗じて上映したら儲かるかなーって。」
「結果はコレですけどね。」
「まあな。じゃあゴミ掃除したら帰っていいぞ。」
「分かりました。」
青年は館内を掃除し始める。
「ゴミはちゃんと片付けろよ。・・・・・・・・・・・・・ん!」
青年は館内に人がいたのに気付いた。
「あのー、お客さん?」
「っ!」
客の女性は青年に声を掛けられ、青年の方を向く。女性の目には涙があった。
「えっと・・・・・・・・・もう終わりましたよ。」
「あ、はい・・・・・・それじゃあ。」
女性は急いでそこから走り去る。青年は片づけをしていると彼女がいた席に近くに財布が落ちているのに気づいた。
「あらら、これは大変。」
青年は急いで掃除を終えると外に出て瞳を閉じる。
「・・・・・・・・・・・・いた。」
青年は目を開けると女性がいる方へ走り出した。
「すみませーん。」
女性は声を掛けられ振り向いた。
「あのこれ、落してましたよ。」
「す、すみません!」
「いえいえ。じゃあ俺はこれで。」
「あ、待ってください!」
女性は青年を呼び止める。
「あの・・・・・・・・・・・その・・・・・・・・お、お礼をさせてください!」
「え?でも俺仕事でしたようなもんだし。」
「そ、それでもさせて下さい!」
女性は頭を下げる。
「・・・・・・・・・・・わかった。じゃあそのお礼受け取るよ。」
「あ、ありがとうございます!」
女性の顔は笑顔になる。
「私、ミコノ・スズシロって言います。貴方の名前は?」
「俺?俺の名前はアマタ、アマタ・ソラ。」
この出会いが今後の運命を変えるとは誰も思いもしなかったであろう。