聖天使学園の教室ではサザンカがネオ・クーロンの時の写真を販売していた。
「は~い、早い者勝ちよ~っ!」
「それってこの前の写真?」
「こんなのいつの間に撮ったの?」
机にずらりと並べられた生写真。
「ふふっ、趣味と実益を兼ねるとは、まさにこのことね。」
サザンカは写真を販売する。
「シュレード様のヤツを一枚!」
「はいはい、シュレード様とカイエン様のツーショットもあるわよ~。」
「ああっ、それもちょうだい!」
サザンカの写真は大盛況であった。
そんな時ミコノの目にアマタが写っている写真があった。
「こ、これください!」
「ん?はっは~ん、かわいいね~。」
サザンカは温かい目で見る。
「で、当の本人は?」
「アンディと一緒に訓練。なんでも普通の人間にどこまで通用するのか知りたいんだって。」
「何故だろう、アンディがかわいそうに思えてきた。」
サザンカの読みは案の定当たり、教室にはボロボロのアンディの姿があった。
本人曰く、“あいつとの訓練はカイエンと十人くらい組まないとまともに渡り合えねぇ”とか。
余談だがパワーアニマルの写真やガオキングやガオマッスルの写真がダントツである。
放課後になりアマタは一人教室を掃除していた。
(そういやえっと・・・・・・・・ユノハって子、いつになったら姿を出すんだろ。)
ふとアマタはそんなことを思った。
ユノハ・スルール。女子のエレメント候補生でなぜか人形だけの姿しか見ていない。生徒の間では彼女は亡霊とまで言われている。
(まあ、彼女が出るときに出ればいいんだけどね。)
アマタはそう思いながら掃除道具を片付けていると誰かが教室に入ってきた。
「誰だ!」
アマタは獣王剣に手を添える。
「ま、待って!わ、ワタシ!ワタシだから!」
教室に入ってきたのはゼシカであった。
「なんだ、ゼシカか。どうしたのこんな夜更けに?」
「あ、あの・・・・い、一緒に寮に帰らない?」
「・・・・・・・・・・・・・・なんで居残りしたかは聞かないけど、お化け怖いのは恥じゃないよ。」
「こ、怖くないもん!」
口ではそう言っているが下半身は震えていた。
(・・・・・・・・・・・正直になろうよ。)
アマタはそう思うのであった。
「まあいいよ。お化けが出たら怖いもんね。」
「だから怖くないって!」
ゼシカはアマタに必要以上に密着しながらアマタと女子寮に向かう。
「言っとくけどスオミ教官に見つかったら正直に言ってね。元はゼシカだから。」
「わ、わかってるわよ!」
そういいながらもゼシカはアマタに引っ付く。女子寮までの通路は赤い非常灯が付いており、お化けが出る雰囲気があった。
「暗い道で影の方を見るとよくお化けが出るっていうな。」
「こんな時にそんなこと言わないでよ!
ゼシカは怯える。そんな時アマタは後ろからの気配に気づいた。
「ん?なんだあれ?」
「へ?」
アマタとゼシカが振り向くとそこには緑のカエル(?)のような人形が宙に浮いていた。
「ヒッ!」
人形が腕を上げた瞬間、ゼシカはアマタを腰からタックルするようにして外へと出る。
「うわぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」
「おー!女子とは思えない筋力。人間ってこういう時に本来の力発揮するんだね。」
悲鳴を上げるゼシカに対しアマタは冷静であった。
ゼシカの全力疾走でアマタは女子寮近くまで強制移動させられた。
「すっごかったねー。あそこまでの運動ができるなんて俺、初めて知ったわ。」
「はぁ・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・こんな・・・・・時に・・・・・・そんな・・・・・こと・・・・言う・・・・・・普通?」
ゼシカは肩で息をしながらアマタに言った。
「お化けなんていないから。」
「でもさっきいたじゃん!お化けいたじゃん!」
「いなかったから。それにあの人形ユノハって子じゃん。」
「人じゃなかったよ!人形だったよ!」
「いやまぁ・・・・・・・・・・・・まいっか。ここからは一人で帰れるでしょ?」
「無理無理無理無理!一緒に寮まで来て!」
「そんなことしたら間違いなく俺も怒られるから。ということでミコノさん、後よろしく。」
「へ?」
アマタが見る方向をゼシカが見てみるとそこにはミコノがいた。
「え!あ、あ・・・・うん。」
「じゃ。」
アマタはそういうと男子寮に戻って行った。
「・・・・・・・・・・えっと、ゼシカさん。」
「なに?」
「私もお化け・・・・・・・・・・・・苦手です。」
「なっ!そ、そんなことないんだから~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
翌日、ゼシカはアマタに昨日のことをミコノと一緒に話していた。
「だ・か・ら!絶対あれ幽霊だって!」
「私もゼシカさんからの話を聞いてそう思うよ。」
「そんなわけないでしょ。彼女は幽霊じゃないって。」
「でも!」
ゼシカが意見をしようとした時、警報が鳴り響いた。
『ネオ・クーロンエリアにアブダクター出現。各エレメントは直ちに第二種迎撃配置につけ。繰り返す。各エレメントはただちに―――――』
アブダクターの機体はネオ・クーロンのビルを破壊しながら前進していた。
「なあ、こんなときに思うのは変かもしれないけどおかしくないか?」
「何がだよ?」
ベクターマシンに乗っているアマタの言葉をアンディは疑問に思った。
「なんで一機でしか来ていないのかってことだよ。」
「確かに。今回は偵察か?」
「二人共、そんなことより――――」
ゼシカが言おうとした途端、ベクターマシンのすぐ脇をレーザーが通り過ぎた。
「なにっ!」
「こっちにはまだ目視でも捕らえていないのに!」
ゼシカとアンディは驚く。
「不動指令、この距離ですが合体許可を!」
『許可をする。ヘッドはゼシカ、アクエリオンゲパルト合体せよ!』
「ゼシカ!」
「了解。いくよ!GO!アクエリオ――――――――ン!」
ゼシカのベクターイクスをヘッドにアクエリオンゲパルトが姿を現した。
「アクエリオ―――ン、ゲパルト!」
アクエリオンは地面に着地し、ビル群の陰に隠れる。
「ビルを盾にして接近するよ!」
「おうよ!」
「それしかないな。」
ゼシカの言葉にアンディとアマタは相槌を打つ。その時、アブダクターの機体からいくつもの金属球体が出て、ビル群の中を浮遊した。
「なんだこれ?」
「敵はビリヤードでもするのか?ロボット大の?」
アマタがそう呟いているとアブダクターの機体がレーザーを放った。放たれたレーザーは球体を反射し、アクエリオンに直撃する。
「ぐぁっ!な、なに!?」
「まさかこれは・・・・・・・反射材!」
目の前に浮いているものが何なのかアマタは理解した。この金属球体はレーザーの反射材。これがある限りどこにいようとも攻撃を受けてしまう。その攻め方は球体の数が多ければ多いほどある。
「そんな・・・・あうっ!」
アクエリオンの装甲に一点集中でレーザーが放たれる。
「くそっ!考えたな。」
「どういうことだよ!」
「簡単だ。前にアクエリオンとの戦闘でレーザーを放っても装甲事態に傷が付かなかったから今度は一点集中で攻めてきた。ただそれだけだ。」
アンディの問いにアマタは答えた。
「それに・・・・」
「なに?どうかしたの?」
「この攻め方、あの時に似ている。星から俺たちを攻めてきた奴と同じ攻め方だ。」
「なんですって!」
アマタの言葉にゼシカは驚いた。
「でも反射材と分かっているなら!」
ゼシカはガンポッドで金属球体破壊しようとずるがガンポッドでは威力が足りずかすり傷程度しか付けられなかった。
「そんな・・・・・・・・・・あうぐっ!」
アクエリオンの背後からレーザー攻撃が集中する。
(どうする・・・・・・このままだと・・・・・・)
アマタは自分の頭の中で策を考えるがなかなかいい策が思い浮かばなかった。
(ガオマッスルでも駄目だ。ガオハンタージャズティスもガオイカロスも。今のパワーアニマルに遠距離戦闘特化のパワーアニマルはいない。)
アマタはパワーアニマルでも作戦を考えたがどれもダメであった。ガオ魔磁路を使った戦法でも途中で落とされてしまう可能性が高く、ガオジュラフでも距離が短い。
アマタが策を考えている最中でもアブダクターの攻撃は止まない。
「がうっ!」
「アンディ!」
ゼシカがアンディを心配する。
(この状況は不利だ。ん・・・!)
アマタはあることに気づいた。敵が撃ってくるタイミングがほぼ一定であることに。
(もしかしてこいつ・・・・・・リズムに乗せていないか?)
アマタはそう思いながら撃ってくるタイミングを計る。
「(1・・・2・・・3・・・1・・・2・・・3・・・1・・・2・・・3、やっぱり。こいつはゲーム感覚だ。勝ちゲー感覚か。それなら!)みんな、よく聞け。」
「なに、アマタ?」
「奴はゲーム感覚で撃ってきてる。三拍子のリズムでな。一旦合体を解除してエレメントチェンジをする。それしか今は方法がない!」
「でも誰と誰をチェンジするの?」
「アンディ、お前が今状態が最悪なんじゃないのか?」
「ちょっ!俺まだ女子と―――」
「チェンジエレメントは―――――――――――――ユノハ。ユノハ・スルール。」
アマタのその言葉に不動以外の一同が驚いた。
『アマタ君、君は気づいてたのかね?』
「ええ、まあ。」
聖天使学園作戦室では人形が一人でに動き、席に座っていた。
「二人共、準備はいいな?」
「もうこうなったらアマタの策に乗ってあげるわ。」
「え――いっ!ここでだだコネたら男としての恥!やってやらぁ!」
「サンキュー。じゃあ・・・・・・3・・・2・・・1!」
アマタのタイミングと共に合体が解除され、アンディとユノハがエレメントチェンジした。
「じゃあいこうか。心霊合体、GO!アクエリオ―――――――――!」
ベクターゼドをヘッドにアクエリオンEVOLが姿を現した。
「アクエリオン・・・・・EVOL!」
アクエリオンのコックピットには幽霊ではなく、肉体を持つユノハの姿があった。
「やっと会えたね。本当の姿で。」
「え?・・・・・・・・・・・あっ!み、見られてる・・・・・・・・恥ずかしい//////////」
ユノハは恥ずかしくなり消える。するとアクエリオンも透明になり、襲い掛かってくるレーザーをすり抜けた。
「消えた!」
「やっぱり。彼女は感情の高ぶり、要は羞恥心によって姿を消すエレメント能力。でもそれをアクエリオンに乗ることで存在の矛盾を生ませることに成功する!そんでもって、これができる!ハスラーロッド!」
アクエリオンの手にハスラーロッドが握られる。
「アマタ、いくらその武器の銃があるからってアレは・・・・・・」
「大丈夫。それにこれ、もう一つの使い方あるから。」
アマタはそういうとハスラーロッドを変形させる。
「ブレイクモード!」
アマタはハスラーロッドをブレイクモードに変形させると腕を大きく回しレーザープールを周りに作る。その時レーザーが襲ってくる。
「ユノハ!」
「は、はい!」
ユノハはエレメント能力を使いアクエリオンを透明にする。
「ナイス。」
「は、はい・・・・・でも長く持ちません。」
「いいや、これだけでもだいぶ時間を稼いだ。」
アマタはそういうとアクエリオンの手に宝珠を三つ手に召喚し、レーザープールに置く。
「ビリヤードだ。破邪聖獣球!邪鬼、玉砕!」
アクエリオンはトリガーを引き、宝珠を射出。浮遊する金属球に次々とぶつかり、金属球同士をぶつけ破壊する。
「すごい・・・・・」
「こんな戦い方があるんですね・・・」
ゼシカとユノハは驚きを隠せなかった。
「さあ、止めと行こうか!」
アマタはそういうとアクエリオンをアブダクターに向け走らせる。アブダクターはレーザーを放ってくるがユノハのエレメント能力がそれを通り抜けさせ、回避する。
「はぁああああああああああああああ!」
アクエリオンは止まることを知らぬかのように走り続ける。
「距離800、もうちょっと!」
アブダクターからミサイルが放たれる。
「ミサイルはダメです!」
「それなら!」
アマタはハスラーロッドからシャークカッターに切り替える。
「斬るまでだ!」
透明になったアクエリオンはシャークカッターでミサイルを切り裂いていく。そしてアブダクターとの距離は目と鼻の先にまで来ていた。
「見えない拳が敵を打つ!」
《幻影明滅拳 SUBLIMINAL PUNCH》
アクエリオンの拳がアブダクターの機体を破壊した。
(この感覚・・・・・)
アマタはその時何かを感じ取った。
三人が聖天使学園に戻ると改めてアマタはユノハと対面した。
「あの・・・・・気づいてたんですか?」
「うん。姿は見えないけど気配は感じ取れたからね。それにしてもステルスとは驚いたがあそこまでとは。」
「え?じゃああの時のアレって・・・・・・・・」
「ぶっちゃけ賭け。」
ゼシカの言葉にアマタはナチュラルに答えた。
「はぁ~、まあ勝ったからいっか。それに、アマタが言ってた通り幽霊なんていなかったね。」
「俺はいないとは言ってないぞ。それに今日のアブダクターはある意味幽霊だったし。」
「どういうこと?」
スオミがアマタに問う。
「殴った時に生の気を感じ取れなかったから多分あれは遠隔操作。」
「あ、あれで!」
「まあ敵は射撃型。格闘と違って多少のタイムラグは問題じゃなかったんでしょう。」
「あ、あの・・・」
ユノハがアマタに問う。
「幽霊がいないってどういうことですか?」
「ああ、それ。あの時俺はゼシカに“ユノハは幽霊じゃない”と言った。けど“幽霊はいない”とは一言も言ってない。」
その言葉を聞いた瞬間一同青ざめた顔になる。
「だってここにるからね。」
アマタが自分の真横に顔を向けるとそこには足がない白い人間がいた。
『キャ―――――――――――――――――――――――――――――ッ!』
『ギャ―――――――――――――――――――――――――――――ッ!』
その日、聖天使学園に女子と男士の悲鳴が響き渡った。