「はぁあああい!」
「よっと!」
アマタは白い髪の女性の姿をしたガオタイガーと模擬戦をしていた。
「はぁ!」
「ふっ!」
ガオタイガーはバトンをアマタにつくがアマタはタイガーバトンでそれを流す。ガオタイガーは格闘技と棒術を組み合わせアマタに休む暇なく攻撃するがアマタはそれを時に避け、時にタイガーバトンで流す。
「なかなか、様に、なって、る!」
「そら、どうも!」
徐々にアマタが流れを掴み、押し始める。
(っ!ここまで腕を上げてきたとは驚き。伊達に十二年間修業してきたわけじゃないね。でも私も負けるわけにはいかないから本気出すよ!)
ガオタイガーは手の甲に三本かぎ爪を装備する。
(本気か!やっと出せた!)
アマタは微笑む。
「はいやぁあああああああああ!」
ガオタイガーは足技とかぎ爪を組み合わせアマタに攻撃する。アマタはタイガーバトンを左右の手に滑らかに移しながら攻撃を流す。
(上手い!ここまでの成長は見事。でもそこから先に出られなければ意味が無い!)
ガオタイガーは攻撃ペースを上げる。
(ペースが上がった。でも流れに逆らえば思う壺。ならば!)
アマタは攻撃を流し徐々にガオタイガーの力を奪っていく。
「くっ!(なんて戦闘方法を思いついたのよ!流して相手の力を奪う戦い方なんて!)」
ガオタイガーの蹴りも突きも徐々に力を奪われ、攻撃が甘くなってきた。
(そこだ!)
アマタはガオタイガーの溝にタイガーバトンを突いた。
「ぐぅっ!」
ガオタイガーは後ろに弾き飛ばされ、倒れる。
「そこまで!」
ガライオンが模擬戦終了の合図を出す。
「イタタ・・・・・・あ~、負けちゃった~。」
「ふぅ・・・・・・・・・・ありがとうございました。」
アマタはガオタイガーに礼を言う。
「相変わらずだけどすごいよね、アマタ君。」
「ああ。」
「だね。」
アマタの模擬戦風景をミコノ、アンディ、ゼシカは観戦していた。
アマタ曰く、“戦いを見るだけでも得られる情報は今後大いに役立つことがある”とのこと。実際、戦い方を見ることで目を養える。武術でいうところの“見る”である。
「よーし、みんなもやってみる?」
『ガオマジロをクリアしてからで!!』
三人の気持ちは一つであった。
ちなみにアマタがクリアしたパワーアニマルはガオマジロ、ガオシャーク、ガオイーグル、ガオベアー&ガオポーラ、ガオジュラフである。ガオディアスは回復担当なのでクリア項目からは除外される。
アマタ曰く、ガオライオン、ガオファルコン、ガオコング、ガオゴリラがラスボス。
「でも俺もやっと倒せたからさ。みんなも頑張れば――――」
『無理無理無理無理!』
真っ向から全否定する一同。
「あ、そうなの?」
聖天使学園に戻ればアンディは穴を掘っていた。
「なあ、アンディ。」
「なんだ、アマタ?」
「前々から思ってたんだけどなんで穴掘るの?カイエンから聞いた話だとベルリンの壁があったことは女子寮に行くために穴を掘っていたって聞いたよ。」
「それはな、掘るのを止めたら俺は死んでしまうからだ。」
「お前はサメか。」
「穴の向こうには世界がある。トンネルが山をくり抜けば、見知らぬ土地や文化が出会って世界が広がる。井戸を掘って水が出れば、そこに人が集まり、生活が豊かになる。そうやって人間は進歩してきた。」
「深い考えで言っているけど結局邪な心があるのは変わらないから。で?その穴の先には何があるのかな?」
「女子風呂だ!」
「変態じゃないか!」
アマタはハリセンでツッコミを入れる。
「お前はあほか阿保かアホか!」
「痛い痛い痛い!グリグリしながら言うな!」
アマタはアンディから離れる。
「アンディ、男とは言えそれはするな。」
「何を言うアマタ!男のロマンを馬鹿にするのか!」
「ロマンの方向性が違う!」
アマタが正面から否定すると突如アンディの足元が埋まった。
「な、なんだこれ?」
「かった。」
アマタは叩いてみるがコンクリート並みの硬さであった。
「穴を掘ってたのは・・・・あなただったのね。」
「穴を埋めてたのは・・・・お前だったのか。」
アンディが声のする方向を見るとそこにはMIXがいた。
(ああ、水と油か。)
アマタは二人を見てそう思った。
一言でおちゃらけな性格のアンディに対しMIXはお堅い性格。必ずぶつかる者同士。
その後二人は意見がかみ合わず喧嘩になった。
公開模擬訓練。それはエレメントたちの実力を図るために行われる訓練。
しかし今日に限ってその訓練に参加するエレメントの組み合わせは最悪であった。メンバーはミコノ、アンディ、MIXの三人。そして余談だがアマタもソウルバードで同行していた。
今回の訓練はガオマッスルにどこまで戦えるかを見るためのもの。しかしベクターマシンに搭乗しているアンディとMIXは互いに嫌がっていた。
「これ・・・・・・・・なんかのいじめゲーム?」
「そ、そんなんじゃないよ・・・・・・・・・・・多分。」
アマタとミコノが会話していても二人は互いに嫌う。
(もうちょっと大人になったらどうなんだろう?アンディは頭の治療としてMIXはなんでだ?ゼシカからは大の男嫌いとしか聞いてないからわかんないけど。これ終わったら聞いてみよ。)
アマタがそう思っていると二人はまた喧嘩を始めた。
「お~い。」
アマタが声を呼びかけるが二人は言い争うばかり。
「お~い・・・・」
再度言うが反応はない。
「お~・・・・・・い」(#^ω^)
アマタは笑顔で言うが二人は反応しない。
「・・・・・・・・・不動指令、演習内容を変えていいですか?」
『許可しよう。それで内容は?』
「ソウルバードの攻撃を回避する訓練。威力は押さえておきます。」
『そうか・・・・・・・・・では始めなさい。』
「はーい。ということだから二人共、お仕置き★」
アマタはソウルバードをベクターマシンの上空まで上昇させると一気に急降下させレーザーマシンガンを放った。
「おわっ!」
「ちょっと!」
急な攻撃にアンディとMIXは驚く。
「お前ら、O★SHI★O★KI★!」
空に男女の悲鳴が響き渡った。
聖天使学園の中庭にある東屋。いつもは憩いの場であるが、今日はアマタが腕と足を椅子の上で組んで座っていた。目の前にはアンディが頭を下げていた。その光景をミコノ、ゼシカ苦笑いしながら、カイエンは呆れながら、サザンカはその光景を写真に収めながら見ていた。
「アンディ、なんで怒ってるかわかるよね?」
「・・・・・・・・・はい。」
「あれが訓練だからよかったけど実践だったらどうなってたか、わかるよね。」
「・・・・・・・・・・はい。」
「何か言い分は?」
「・・・・・・・・・ありません。」
「よしよし、ならば判決だ。」
アマタはそういうと指を鳴らした。その瞬間、アンディの後ろからガオマジロ(小型パワーアニマル体)が高台から勢いを付けて全力タックルしてきた。
「ごはぁっ!」
アンディーはきれいに吹っ飛び、母なる大地にダイブする。
「本来ならMIXも叱りたいところなんだけど本人がいないのと処罰方法が思いつかないので保留とします。で、こっからが本題です。なんでMIXはあんなに男嫌いなのかだれか説明をお願いします。」
「じゃあアタシが説明するね。」
ゼシカが挙手をして発言をする。
「MIXのお父さんね、雑誌のライターだったの。」
「それが?」
「そのお父さんが観光地の取材途中、穴場の温泉で知り合った女性と恋に落ちてそのまま家を出て行ってしまったんだって。」
「だから男も穴も嫌いに?」
「そうみたい。」
アマタは頭を抱える。
「とりあえずトラウマが原因なのは分かった。だがそれを理由に戦いに支障を出すのは見過ごせないな。」
「まあ、心の穴は自分で埋めるしか・・・・」
「それは―――」
「そんなことがあったのか。」
アマタの後ろからボロボロのアンディが立っていた。
「おお、生きていたか。」
「勝手に殺すな!てかガオマジロは痛かったんだからな!」
「自業自得だ。で?アンディは何が言いたいんだ?」
「あいつは自分の穴を埋めたかった・・・・・・それなのに俺は自分の穴を掘ることばかり考えて・・・・あげくにこのざまか。俺は墓穴を掘っていたわけだな。」
「文字通りな。」
「そうだ、あれは自分が掘った穴!だったらきっちり責任取らなきゃ穴にもMIXにも申し訳が立たねぇ!なぁ、兄弟!」
「ガオマジロ。」
「アルアル、マジマジ。」
ガオマジロは頭上からアンディに体当たりする。アンディは文字通り地面に埋まった。腰まで。
「とりあえず責任を取る精神は感心した。しかし俺を巻き込むな。」
翌日、エレメント候補生たちはアブダクター襲来警報によって起こされた。
不動は昨日の模擬訓練メンバーをベクターマシン搭乗員として指令を出した。
ちなみにアマタは天空島で訓練していて気づいてないのでカイエンとゼシカが呼びに行っています。
「よっしゃ!合体だ!」
「ムリ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
「おろっ?」
合体に意気込むアンディに対しMIXは真っ向から反対した。
「あんな敵、私一人で!」
「ええっ!」
MIXの発言にミコノは驚いた。MIXはベクターゼドでアブダクターの機体に攻撃を仕掛ける。
「MIX、無茶は止めて!」
ミコノはMIXを心配しそういうがMIXは頭上からの攻撃という利点を活かし、急降下と急上昇を繰り返す一撃離脱で敵を次々と撃退する。
「すごい・・・・」
ミコノその光景に感心していた。しかしその攻撃も数回すれば敵にパターンを読まれる。
三度目の攻撃の際に回避させられ後ろからレーザーを喰らってしまう。
「きゃっ!」
ベクターゼドの装甲に傷が付き、ベクターマシン内部が見える。
「くっ!」
MIXのエレメント能力で損傷した装甲を修理する。
「すごい・・・」
ミコノはMIXの能力に感心する。
「まだやれるわっ!」
修理を終えて機体を立て直したMIXは、ミコノたちを無視して再度攻撃を挑もうとする。
「いい加減にしろ!」
一人突っ走ろうとするMIXにアンディが怒鳴った。
「うるさい、男は黙ってて!」
「確かに俺は男だ。それに穴を掘ることばっかり考えてきた。お前の気持ちも考えずに・・・」
「な、なによ・・・・・・いきなり。」
いつもなら喧嘩になる流れであるが、どこかの雰囲気の違うアンディにMIXは戸惑う。
「お前が穴を埋めたい気持ち・・・・それは否定しねぇ。だけどよ、お前は男に関係するものをはなっからはねつけているだけじゃねぇか。そんなのは・・・・・・・・・・まるで・・・・・・・・・・・・・・まるで・・・・・・・・」
アンディは必死に頭の中で言葉を探す。
「落とし穴だ!」
「どういうことよ?」
「穴を埋めもしないでうわっつらだけを蓋で閉ざしているだけだって言うんだよ。蓋を閉めて誤魔化しているだけじゃいつまでたっても土は入ってこない・・・・本当に埋めたかったら、閉ざす前にまず開け!」
「アンディ・・・」
「俺はどんな穴だって受け入れる。俺の心の中でお前の穴を受け止めてやる。いいか、MIX・・・俺は初めての男女合体の相手をお前しかないって決めたんだ!」
「そんなに・・・私のことを・・・」
「だからMIX、・・・・心の穴を俺に開け!」
アンディの熱意のこもった言葉にMIXは心を動かされる。
「MIX、合体しようぜ。
「合体しよう、MIX.」
ミコノも呼びかける。
「ミコノ・・・・」
「アンディを信じて・・・・・・・・・・ね?」
ミコノには感じ取れた。アンディの思いが。アンディの本気がMIXに届いていることが。
「私は・・・・」
MIXはしばらく考えた。
「わかったわ、合体しましょう!」
MIXは単独行動から一転し合体フォーメーションへと移行する。
「よっしゃ!とうとうこの日がやってきた!ビックバン合体――――」
『地下からネオディーヴァに接近する移動物体を検知!』
「おろろっ!?」
合体をしようとしたところに邪魔が入る。
『アブダクターの機体と推定。移動経路から推測して目標は・・・・・ネオディーヴァ地下の反応炉!?』
「なんだと!じゃあこいつらは囮か!?」
アンディーは合体フォーメーションから単独飛行に移る。
「ちょっとアンディ、どうすんのよ!」
「悔しいが合体してからじゃあ間に合わねぇ!」
『移動物体の解析結果、あれは巨大な地底ミサイルと判明しました!』
その言葉に一同は驚きを隠せなかった。
「こうなったら俺のエレメント能力で!」
『さらに地下から急速に接近する物体あり!これは・・・・・・・・生命反応!?』
「なにっ!?」
アンディはその報告に驚く。
『大きさは・・・・・ベクターマシンより少し小さいですが回転しています。』
「ベクターマシンより小さい・・・・・・まさか!」
アンディには思い当たる節があった。
地下からはドリルの音とともにこんな音が聞こえてきた。
・・・・ジマジ、マジマジ、マジマジマジマジ!
地下を掘り進む巨大ミサイルの軌道を強引に変え、巨大ミサイルは地上に押し出される。そしてその巨大ミサイルを大きなブーメランが切り裂き、海の上で爆発させる。
アゥウ―――――――――――ン!
マジマジ、マジマジマジマジ!
地底から現れたのはガオマジロ、そしてミサイルを壊したのはガオウルフであった。
「ガオマジロ!・・・・と、あのオオカミはなんだ?」
アンディはガオウルフのことを聞いていないので知らなかった。そんな時、アンディの頭上をアブダクターの機体が砲撃しようとする。
「アンディ!」
MIXが声をかけた時にはすでに迎撃体制に入っていた。
「やばっ!?」
絶体絶命の危機。しかしそんなアンディを救う者がいた。
「急降下型マッスルラリアット!」
空からガオマッスルが急降下しながらマッスルラリアットを喰らわせる。
「アマタ!」
「遅れてごめん。それと俺だけじゃないよ。」
ガオマッスルが地面に着地するとモニターにはカイエンとゼシカが映し出された。
「くぅ・・・・・・もう少し静かに下りれないのか!」
「これ地上戦闘向きだっけ?結構衝撃来るね。」
「カイエン!」
「ゼシカ!」
その光景にミコノとMIXは驚く。
「さ、早く合体しろ。牽制はこっちでしとくから。」
アマタはそういうとアブダクターの機体に向けてバルカン砲を発射する。
「アマタ・・・・よしっ!MIX、お前がヘッドだ!」
「わかったわ!ビックバン合体、GO!アクエリオ―――――――ン!」
ベクターゼドをヘッドにアクエリオンが姿を現す。
「アクエリオン、EVOL!」
アクエリオンが地上に着地する。
「アマタ、離れて!」
「了解!」
ガオマッスルはアクエリオンから離れる。
「俺の穴を・・・・」
「私が埋める!」
《絶対封印 ABSOLUTE CLAM 》
アクエリオンの手が光り、アブダクターの機体の砲身全てが塞がれる。アブダクターの機体のふさがれた穴から激しい爆発が発生した。
「敵の力を利用して勝つ・・・・・・・・・いい戦術だ。」
アマタはその光景に感心した。
「さーて、お待ちかねの説教だ。」
「やっぱりするんだ。」
中庭ではアンディとMIXがアマタに対面する形で立っていた。ミコノたちは苦笑いしながらその光景を見ていた。
「今回の活躍はよかったよ。結果として敵を撃退できたし二人のわだかまりも解消された。けど・・・・あの時のことは、まだ落とし前付けてないから★」
アマタが黒い笑みを浮かべる。
(正直に思う。アマタを怒らせてはいけない。)
(俺への制裁はあれで済まなかったんだな。)
「二人に与える罰・・・・・・・・・それは・・・・・」
「「そ、それは・・・・・」」
アマタの発する言葉の時間の間に二人は冷や汗を掻く。
「ガオマジロから三時間逃げ切る鬼ごっこコースだ。」
「ギャ―――――ッ!?」
「へ?そんなこと?」
アマタの言葉に対しアンディは恐怖し、MIXは間抜けな声を上げる。
「おい、MIX!ガオマジロから逃げるの大変なんだぞ!」
「何言ってるのよ。たかがアルマジロでしょ?」
「ちげぇよ!追いかける方ならまだしも追われるってことは・・・・」
アンディはアマタの方を見る。
「そ。ガオマジロからのタックルがもれなくサービスで付いてきます。」
「いらね――――!」
「大丈夫。ガオマジロも当たるときに威力を調整してくれるから。二回目から。」
「おい!今なんか変な言葉聞こえたぞ!しかも二回目って!」
「じゃあ今から三十秒でできるだけ遠くに行け。」
「聞けよ!」
「いくぞー。1・・・・2・・・・3・・・・」
アマタのカウントダウンが始まる。
「やべっ!MIX、早く逃げるぞ!」
「あっ!ちょっと待ってよ!」
アンディとMIXは一緒に逃げる。
そして三十秒後。
「ガオマジロ。」
マジマジ。
アマタの側に丸まったガオマジロが姿を現す。
「いくよっ!」
マジマジ―!
アマタはガオマジロをリフティングする。
「行ってこ――――――――――――――――――――――――――――――い!」
数回リフティングをしてアマタはガオマジロをアンディとMIXの方に向け勢いよく蹴る。
キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン
「キタ―――――――――!」
「うそ!ホントに!?」
アンディとMIXが後ろを振り向くとジャイロ回転をしながら接近してくるガオマジロの姿があった。
「それは反則だろ!?」
アンディとMIXのすぐ後ろにガオマジロは突っ込む。その衝撃によって土が盛り上がった。
「どわ――――――――――――――――っ!?」
「キャ――――――――――――――――っ!?」
その後、179分間、二人は走り続けるのであった。