「おりゃっ!はっ!」
「くっ!」
「うおっ!」
聖天使学園の中庭でアマタは両サイドから掴みかかってくるカイエンとアンディを蹴り飛ばす。カイエンは防御を取ったがアンディは吹っ飛ばされた。カイエンはすぐさま体勢を立て直しアマタに接近、近接格闘術をアマタに向け繰り出す。アマタはそれを流しては突くを繰り返す。
(くそっ!これが実力差とでも言うのか!)
カイエンはアマタとの実力差を妬ましく思った。
「はぁっ!」
アマタはカイエンの顎を手の平で押し突く。
「ぐうっ!?」
カイエンは弾き飛ばされるがその隙にアンディが後ろからアマタにタックルを喰らわそうとしてくる。
「ほいっ!?」
「ちょっ!グゲ!」
アマタはその場でバク宙をして回避、そしてそのままアンディを踏みつける。
「ぐぅううう・・・・・・負けだ。」
「ふむ、3分15秒・・・・・・・・まずまずだな。」
ガオライオンがストップウォッチで計った時間を読み上げる。
「まずアンディは一直線な攻め方ばかりだ。鍛錬が足りん。」
「面目ねぇ・・・・」
「カイエン、お前は基本に忠実であるが応用が効いていない。というか出来ていない。今後は応用及び変化を加えることだ。」
「わかった。」
「アマタ、蹴りの腰が少し甘いところがあったぞ。」
「すまない。今後の改良点の一つだな。」
ガオライオンは三人に指導する。
「まあ、最も改良すべきことはカイエン、そしてアンディの二人に言えることだがせめて五分は持て。武器に頼りすぎだ。」
ガオライオンは容赦のない指摘を二人にした。近年の戦闘において銃は最も多く利用される。が、銃も万能ではない。天候による命中率の低下、予期せぬ故障、環境による使用不可能。それらの要素を考慮すれば近接格闘術を習得するもの一つの手である。
かと言ってなにも武器で戦うだけが戦闘ではない。時の情報、時に権力、時に民衆、時に科学と戦い方は様々である。
「今日はここまでだ。」
「ありがとう、ガオライオン。」
ガオライオンはそういうと天空島に戻った。
「なあアマタ、ガオライオン大丈夫じゃないのか?」
「いいや、一見大丈夫そうに見えるけど結構歩き方や立ち姿からも疲労の色は見えるよ。まだ本調子じゃないんだ。」
アンディの問いにアマタは答える。
「ガオディアスの力で何とかならないのか?」
「ガオディアスの治療を受けていても時間が掛かっているんです。」
「そうか。」
カイエンはアマタの言葉を聞いて納得した。
「そういやアマタ、あの銀色のオオカミはなんなんだ?」
「ガオウルフのこと?」
「へー、あれガオウルフって言うんだ。」
「ガオウルフは別の合体で使うからガオマッスルの時には使わないよ。」
「確かにガオマッスルって力の戦士の異名を持つから、あんな細いのは使わなそうだな。で?なんに使うんだ?」
「それは―――」
アマタが説明しようとした途端、警報が鳴り響いた。
『ネオ・シャンハイにアブダクター出現。総員、第一種迎撃態勢に入れ。繰り返す、第一種迎撃態勢に――――』
ネオ・シャンハイには新型のアブダクターの機体が動かずにその場に留まっていた。
「今回も捕獲目的じゃなさそうだな。」
カイエンが状況を冷静に分析する。
「見たところ両手に銃を持っているから前襲ってきた奴と同じね。」
「でも何?あの機体のところどころにある突起物は?」
ゼシカは前回襲ってきたアブダクターと類似していると推定し、MIXはアブダクターの機体の突起物に注目した。
「とにかく攻撃を仕掛けるぞ。指令、合体の許可を!」
『許可する。ヘッドはカイエン、アクエリオンゲパルト、合体せよ!』
「了解!いくぞ、ゼシカ、MIX!GO!アクエリオ――――――――――ン!」
カイエンの乗るベクターイクスをヘッドにアクエリオンゲパルトが姿を現した。
「アクエリオン、ゲパルト!」
アクエリオンが地面に着地するとすぐに両手のガンポッドをアブダクターの機体に向け放つ。しかしアブダクターの機体は動こうとせず、ただそこに立っていた。着弾の瞬間、アブダクターの機体の突起物からシールドが展開され銃弾全てが防がれた。
「なんだと!」
カイエンが発砲を止めた途端にアブダクターは両手のレーザーガンをアクエリオンに向け発射する。
「くそっ!」
カイエンはブースターを吹かしてダッシュ移動、ビル群の陰に隠れサイドからの攻撃を仕掛ける。しかし何処に撃とうにもすべてが防がれてしまう。
「これならどうだ!」
カイエンは多連続ミサイルポッドをアクエリオンに装備させミサイルを放った。しかしミサイルもそのシールドの前では無力であった。
「ちぃ!」
カイエンは多がひたすらにガンポッドをアブダクターに向け放った。
「どうなっているんだ・・・・・・・あれは?」
ドナールがアブダクターのシールドに思ったことを口にした。
「解析完了!どうやらあのシールドは一定の距離に近づくと自動的に発生するようです。物理的攻撃やビームによる攻撃は効きません!」
「そんな!それじゃあ勝ち目がないじゃない!」
オペレーターの言葉にスオミは驚いた。
「アマタ・ソラ、出撃しなさい。」
「わかりました。」
アマタはそう答えると地上へ通じるエレベーターに乗り、聖天使学園のグラウンドに出ると獣王剣に宝珠を嵌めパワーアニマルを召喚する。
「召喚、ガオイーグル!」
獣王剣から発せられる音色に連れられガオイーグルがアマタの下に飛んでくる。アマタはガオイーグルの中に入る。
「頼んだよ。」
ガオイーグルは咆哮で答えた。
「ちくしょうっ!?」
カイエンはガンポッドで攻撃を繰り返すが全く効果が無く、ただ弾を消費するばかりである。
「カイエン、どうするの!」
「わからん!だがここで攻撃を止めたら奴の攻撃が始まる。町への被害を最小限にするためにはこうして撃つしか他に無い!」
ゼシカの問いにカイエンはそう答えた。
アブダクターの機体に銃弾の雨を帯せているアクエリオン。しかし、ガンポッドの弾が切れてしまう。
「次弾転送を!ぐぁ!」
アクエリオンの銃撃が止んだ瞬間をアブダクターの機体のレーザーの雨が襲ってきた。アクエリオンはレーザーを喰らい倒れる。
アブダクターが追撃をしようとしたっ途端、アブダクターの頭上から光弾の雨が降りかかってくる。
「なんだ?」
「あれは・・・・」
「ガオイーグル!アマタ!」
カイエンたちが見る先にはガオイーグルが空にいた。ガオイーグルの中からアマタが出てくる。アマタはビルの屋上に着地する。
「よっと・・・・じゃあ行くか。」
アマタはサモナーソードに宝珠を嵌め、剣先を天に向ける。
「百獣召喚!」
サモナーソードから天に響き渡る音色が鳴り響き、天空島からガオゴリラ、ガオバイソン、ガオベアー、ガオポーラが虹の道を伝い地上に舞い降りる。アマタはサモナーソードをからガオゴリラの宝珠を抜き、獣王剣のガオイーグルの宝珠と取り換え左手を胸の前に添え、叫ぶ。
「百獣合体!」
ガオゴリラを中心に筋肉の戦士が誕生する。
「ソウルバード!」
アマタが呼ぶとソウルバードが現れ、アマタはソウルバードに飛び乗る。
「ソウルドライブ、ガオマッスル!」
ソウルバードがガオマッスルの中に入る。
「誕生!ガオマッスル!」
ガオマッスルが地上に立つ。
「大丈夫、みんな?」
「なんとかな。」
「助かったわ。」
「一気に反撃よ!」
アクエリオンは態勢を立て直し、アブダクターの方を向く。
「マッスルアンカー!」
ガオマッスルの手にマッスルアンカーが握られ、ガオマッスルはマッスルアンカーをアブダクターに向け投げる。アブダクターは移動することなくシールドで防ぐ。
「今だ!」
「わかった!」
ガオマッスルより高い場所からアクエリオンがガンポッドを放つ。
アマタはシールドが一面にしか展開されないと思っていた。しかしアマタの予想をアブダクターは凌駕していた。
「なんだと!」
カイエンは驚いた。ガンポッドの銃弾はシールドによって防がれる。
「なんて奴だ!」
「分厚いシールドってのが厄介だな。なら力技で行く!カイエン、援護射撃を頼む。」
「わかった。」
ガオマッスルはアブダクターに向かい歩き始める。カイエンはガンポッドでアブダクターの動きを止める。
「どうやら防御と攻撃は同時にできないみたいだな。でも、厄介なのに変わりない。」
「でもおかげでこっちの攻撃が通しやすい!剛力無双・マッスルラリアット!」
ガオマッスルはアブダクターの機体にマッスルラリアットを喰らわせる。しかしその攻撃はアブダクターの機体に通ることなく弾かれてしまう。
「くっ!だったら!」
ガオマッスルはバルカン砲をアブダクターに向け発射しながら距離を取る。
「氷牙炎滅・ベアーストライク!」
ガオベアーとガオポーラから砲身が姿を現し、アブダクターに向け光線を放つ。
アブダクターは光線に押されるが、全く傷が付かない。
「ダメか!」
「カイエン、アタシと交代して!」
カイエンは合体を解除する。
「GO!アクエリオ――――――――――――ン!」
ゼシカの登場するベクターシロンをヘッドにアクエリオンスパーダが姿を現した。
「アクエリオン、スパーダ!」
アクエリオンは地上に着地すると一気に距離を近づけ剣で付く。
「うぉおおおおおおおおおおおおお!」
ゼシカは力技で押すがシールドによって弾かれる。
「きゃあっ!」
アクエリオンは弾き飛ばされ倒れる。アマタはガオマッスルのバルカン砲を放ちながらオペレーターに問う。
「さっきの攻撃でシールドが一部消失したみたいだけど違う?」
『た、確かめます!』
オペレーターは情報を整理する。
『確かにさっきの攻撃でシールドに穴が開きました。でもあれの十倍くらいの威力がないと貫けません!』
「わかった。ゼシカ、少しばかり敵の注意を惹いてくれ。」
「まさかガオジュラフを使うつもり?」
『でも威力が・・・・』
「三人目の戦士を出すから時間が必要なんだ。」
『三人目の戦士?』
またの言葉に一同疑問符を浮かべる。
「そういうことだから頼むよ。合体解除!」
アマタの掛け声と共にガオマッスルの合体が解除される。
アマタはビルの屋上に立つ。
「アマタ!?ああ、もう!」
ゼシカはアマタに言われたとおりにアブダクターの注意を惹く。
「ハスラーロッド!」
アマタの手にハスラーロッドが現れる。アマタはハスラーロッドをブレイクモードに変えるとハスラーロッドを振り回しレーザープールを形成、レーザープールの上に三つの宝珠を置く。
「百獣召喚!」
獣王剣とは違った音色が天空に響き渡り、ガオウルフ、ガオハンマーヘッド、ガオリゲーター姿を現した。
「あれは・・・・・・・・・・ガオウルフ!」
「ということはまさか!」
三人は気づく。
「百獣合体!」
ガオリゲーターを中心に第三の戦士が姿を現す。アマタは操縦席に立つとハスラーロッドを挿す。
「降臨!ガオハンタージャスティス!」
正義の狩人が降臨する。
「ガオハンター・・・・」
「ジャスティス・・・・」
「新たな・・・・戦士・・・・」
カイエンたちはガオハンタージャスティスに驚く。
「一気に壁を貫く!リゲーターブレード!」
ガオハンタージャスティスはリゲーターブレードを手に持つ。
「悪鬼突貫・リボルバーファントム!」
リゲーターブレードを螺旋回転させながらアブダクターの機体に突撃する。アブダクターはシールドでその攻撃を受け止めるが展開したシールドは徐々に削られ、シールドが破壊される。アブダクターの機体は弾き飛ばされる。
「今だ!」
「うん!はぁあああああ!」
「クレセントブーメラン!」
アクエリオンは剣で、クレセントブーメランでアブダクターの突起物を破壊する。
「よし!これであいつのシールドは壊れた!アマタ、最後は頼んだよ!」
「任せろ。天地震撼・ビーストハリケーン!」
ガオハンタージャスティスのガオリゲーターの口が開き、アブダクターに向け巨大な光線を放った。アブダクターはシールドを展開しようとするが先ほどの攻撃による突起物の破壊によってシールドは一部分しか展開出来ず、攻撃を防ぎきれず破壊された。
「アマタ―、腹減ったー。」
「ここの飯食わせろー。」
「はいはい、わかったからへばり付かないでくれ二人共。」
聖天使学園に戻り食事をとろうとするアマタに二人の女性がへばり付いていた。ミコノとゼシカはその光景を見て頬を膨らましていた。
「なんか・・・」
「羨ましいね。」
「すまないな、うちのメンバーがアマタに引っ付いて。」
二人に声を掛けてきたのは短髪で銀髪、スレンダーな身体つきの女性。腰には黒いブーメランが装備されていた。
「もしかしてあなたは・・・・」
「ガオウルフ?」
「ああ、そうだ。」
二人の目の前には擬人化したガオウルフがいた。
「すまない。あいつら二人は戦った後で食事を求めるんだ。アマタは料理が上手だからあいつらは甘える。私も何度も注意するんだが言うことを聞かん。アマタとの時間を割いてすまないな。」
「な、なにを言っているのですか//////////////」
「わ、わかんないわね///////////」
二人は顔を赤くしながら否定する。
「ふふふ、ガオディアスの言った通りかわいい子たちだ。」