「転校生を紹介します。」
アマタのクラスはスオミが連れてきた転校生にざわついていた。
「アクバルジン・バドヤールです。」
一度では覚えられないであろう名前を名乗った男子はアマタよりも長身であり、目元を髪で隠していた。どこか人見知りな感じがある男子に、女子は興味津々であった。だが、アマタとカイエンだけは別であった。
(あいつ・・・・・)
(なんか怪しいな。それにどこかで会った気が・・・・・・・・・・・・気のせいか?)
「アクバ・・・・・・アクバルジン君は、メソン・エイジア地区の育成過程を優秀な成績で通過し、即戦力として期待されているエレメント候補生です。
外見とのギャップが女子の興味を引き立てる。
そんな中、ユノハは誰よりもアクバジルを見つめていた。
(ん?あれは・・・・・・・・・・ああ、そうか。)
アマタはユノハの気持ちを理解した。
(俺も恋をしてみたいけど・・・・・・・・俺を好きになる人なんていないよね。)
アマタがそう思っているとミコノとゼシカは思った。
((なんだろう・・・・・・・・・すっごくツッコミたい・・・・・))
そんな感じでスオミからの紹介が終わり、アクバジンが席に着くなり女子一同からの質問攻めに遭っていた。
(さすがに可哀そうだな・・・・・)
アマタは席を立ち、声を掛ける。
「あー、ちょっといいか?」
「なーに、アマタ?」
「いきなりそんなに質問したら彼も困るだろうと思うんだけど。」
アマタの言葉に自分たちの行動を気づかされる女子一同。
「そ、そうだね・・・・・ごめんね、アク・・・・・」
名前が出てこない・・・・・・・・・・・と言うよりも難しいのである。
「それとこれから移動教室じゃなかったっけ?」
『あっ!』
「急がなくていいのか?」
『急がないと!』
一同急いで移動する。
「行くぞ。遅れると説教だ。」
「う、うん・・・・・えっと・・・・」
「俺はアマタ・ソラ。気軽にアマタって呼んでくれ。俺はどっちで呼んだらいい?」
「・・・・・・・・・・・呼びやすい方で。」
「じゃあアクバルジンで。ようこそ聖天使学園へ。」
「う・・・・・・・・・・うん。」
アクバジンはアマタに付いて行った。
(なんなんだ、女ってのは?)
アクバルジン・・・・・・・・もといジンは女性というものの理解に苦しんでいた。
ジンの母星は女性がいない。理由は不明。ジンはアブダクターの工作員として聖天使学園に入学。女性というものの生態調査を試みたが、先ほどの攻め寄ってくる様な行動。ジンは苦労した。
「さて・・・・・・・・ここはなんの部屋なんだ?」
ジンが不用心に女子トイレに入ってしまう。
「ここは・・・・・なんだ?」
ジンが散策しようとした途端、いきなり後ろから突かれた。
「うわっ!」
ジンが後ろを振り返るとそこには体操着姿のゼシカたちがいた。
「君・・・・・・・・・たしかアクバルジル君だったよね?なんで女子トイレにいるのかな?」
「え、えっと・・・・」
入学して早々の背水の陣。逃げ場のない個室にただ一人のジンは正に絶体絶命であった。そんなジンをユノハが救った。
「あ、あの・・・・・・」
「ん?どうしたのユノハ?」
「わ、私男女共学になってから女子トイレと男子トイレを間違ったことがあるんで、多分そうなんじゃないかと・・・・・」
「そうなの?」
ゼシカがジンに問う。
「そ、そうそう!は、始めてきたから間違えちゃったんだ!」
「ふーん・・・・・・・・・・まぁ初めてだから仕方ないけど次はないから。」
「う、うん!肝に銘じておくよ!」
ジンは何とか事なきを得た。
ジンが聖天使学園に入って数日、カイエンはジンを疑問視し常に監視している。ジンは女性に関する資料を堂々と読もうとしたところをアマタによって防止、アマタからのアドバイスでその手の資料は表立て見る物ではないと教えられ、助言通りにした。
しかしジンの女性を観察する行動から女子からは距離を置かれるようになった。だがそんなジンなアマタやアンディは声を掛ける。そしてなぜかアマタも含め“穴掘り三兄弟”と言う同盟を組むことになった。
そんなある日のこと、アンディが女子寮に忍び込もうという話があった。アマタは興味なかったがジンは女性というものをよく知りたいためアンディと一緒に行くこととなった。
アンディが掘った(MIXに内緒で)穴で女子寮にまで行くと目の前にはユノハの姿があった。ジンは湯の穂あの方へ飛び話をしようとした。
「動くな!」
突然茂みの中からカイエンが姿を現した。手には拳銃が握られ、ジンを狙っていた。
「答えろ!何の目的でここに入った!」
「なにって・・・・・・・・・・・別に話をしにここに来たんだけど?」
「嘘をつけ!ネオディーヴァに来た本当の目的はなんだ!?」
見た目通りの一直線な質問。
「やめてください!」
ユノハがカイエンに声を掛ける。
「ジン君は何も・・・・」
ユノハが陣の前に立ちはだかろうとした瞬間、ジンはユノハの肩に手を掛ける。
「おいっ、ユノハから離れろ!」
カイエンは思わず引き金を引いてしまった。
「しまっ!」
カイエンが気付いた時には銃弾はユノハに向け放たれている。ユノハは体が硬直し動けない状況であった。
「ユノハ!」
ジンはユノハを庇いながら手を銃弾に突き出す。
ユノハを守りたい、ユノハを救いたい、ユノハを危険から遠ざけたい。ジンの思いはただそれだけだった。
その瞬間、その思いは現実となり、銃弾は見えない壁にはじき返されどこかに飛んで行った。
「壁が・・・・・・・・・アレが奴のエレメント能力?」
「いまのが・・・・・・・・・僕の力?」
ジン自身、初めてエレメント能力に目覚めたことをその時実感した。