「ん?なんだこれ?」
アマタがパワーアニマルたちとの訓練を終えると居住スペースに一枚の指令書が置かれていた。
「なになに?“エレメント候補生は明朝六時にグラウンドに配備しているヘリに乗ること。必要なものは水着”・・・・・・・・て、なんだこりゃ?」
不動からの指令であることから何かしらの意味があるのであろうと思うがその意図がわからなかった。
翌日、アマタ、カイエン、アンディ、モロイの男士陣とゼシカ、ミコノ、MIX、サザンカの女子陣がグラウンドのヘリの中に集まっていた。
「このメンバーってよく出撃するよね?」
「確かにな。一軍メンバーは前線に出るからな。アマタ、お前は別の意味で前線に出ているが。」
カイエンの言葉に一同頷いた。
アクエリオンの出撃に加えパワーアニマルたちとの出撃。多くの機体に多くの武装を状況に応じて使い分ける。ある意味一番前線で活躍している。
「まあ・・・・気にしないで乗ろうよ。」
アマタが率先してヘリに入るとみんなも入った。
ヘリの中に入るとコンテナがあり、コンテナの中には大量のバナナがあった。
「バナナ?」
「ガオコングとガオゴリラが欲しそうだな。」
アマタはそういいながらバナナを一本手に取り皮を剥き、口に運ぶ。
「っ!」
アマタはバナナの中にある硬いものに驚く。
「なんだこれ?」
アマタは口の中から固いものを取り出すとそれはバナナの種であった。
「これ全部種アリ!よくこんなに集めたな。」
アマタは種アリバナナに逆に感心した。するとアマタはあることを思い出した。
「そういえば・・・・・ガオコングが言ってたっけ。」
「何をだ、兄弟?」
「いやね、生きてる内に子種を撒いとけって言ってた。」
『ブホァッ!』
アマタの言葉に思わず吹いてしまった一同。無理もない、堂々と性の話をしたのであるから。
「でも正直好きな女性?っていうのが見当たらないんだよ。」
「お前だったら誰でも付き合ってくれそうな気がするのは俺の気のせいか?」
「そんなわけないでしょ。確かにミコノさんやゼシカと言った仲のいい友達はいても心から好きってなる人はそう相違ない・・・・・・・・・・というか、俺を好きになる人なんていないか。」
(お前は阿保か――――――――――――――!?)
全員が声を出して突っ込みたかったがそこはぐっと堪えた。
(でも・・・・・この戦いもいつまで続くか・・・・・いや、それはないか。始まりがあれば終わりがある。だからこの戦いにも終わりがあるはずだ。だが・・・・・アブダクターの目的は女性エレメント、つまり子孫を残せる女性だ。一人二人程度じゃ解決しない・・・・となると向こうの問題をこっちと共同して解決するのが無難だな。)
アマタがそう考えている中、ヘリはプライベートビーチに到着した。
到着するなり不動からは“満喫しろ”と言われた。各自水着姿になるがひと際目立ったのがアマタであった。
鍛え上げられた肉体は細く引き締まっていて、まるで鋼の様であり、身体中には修行で付いたであろう傷がいくつもある。
「兄弟、正直お前が羨ましいぜ。」
「ん?」
アマタはアンディが言いたいことがわからなかった。
とはいえそんなことに気を取られず、各々くつろいでいた。アマタを除いて。
「ふ・・・・ふ・・・・・ふ!」
ビーチに来てまでトレーニング、アマタはブレない。
「アマタ君・・・・・」
「楽しむってこと知らないのかな・・・・・」
ミコノとゼシカはアマタにどこか悲しい目をしていた。と言うか悲しいを通り越して泣きたくなってしまうほど。
「そういえばアマタ君、ずっと天空島で過ごしてたって言ってたっけ?」
「そうだね。」
エレメント能力者。それはアクエリオンを操縦できる特殊能力を持った人間。
しかしそれは同時に人々からは異端扱いとされるためイジメや人種差別の対象となってしまう。持って生まれた能力は全員が制御できるわけでなく幼少期には暴走が多発するケースが多い。
アマタの場合はパワーアニマルたちによって守られていたこともありその経験は少ないにしろあった事実に変わりはない。故に楽しむという感覚がわからないのである。
「でも・・・・・アマタ君なりに楽しんでいるのかな?」
「どうだろう・・・・・でも私たちの知ってる楽しむ感覚を教えてあげた方がいいって思うね。」
「う、うん!」
二人が決意をした途端であった。急に冷え込み始め、水温が下がってきたことにアマタが気付いた。
「(ッ!水温が・・・・・まさか!)みんな、急いでヘリに戻れ!」
「え?」
「どういう・・・・・」
その意味をすぐに一同は理解した。周りの空気が下がり、寒くなり始めていた。そして寒さの中心には角の生えたケルビム兵がいた。
「ちったぁ休ませろ!」
アマタはサモナーソードを手に召喚し抜刀、宝珠を五つ嵌め剣先を天に向け突き出す。
「百獣召喚!」
天空に響き渡る音色が天空島に届き、ガオライオン、ガオシャーク、ガオタイガー、ガオイーグル、ガオバイソンを召喚した。
「百獣合体!」
サモナーソードに嵌めているガオライオンの宝珠を獣王剣に嵌め、叫ぶ。ガオライオンを中心に百獣の王が誕生する。
「ソウル・・・・て、なんでみんなここにいるの!?」
アマタが後ろを振り向くとそこにはアンディを除いた全員がそこにいた。
「ヘリに行こうにも道が凍っていて無理だ。と言うかたどり着く前に凍え死ぬ。そうなるくらいならお前のガオキングに乗ったほうがマシだ。」
「なるほど。」
アマタはカイエンの言葉に納得した。
「ピヨちゃん!」
ソウルバードはアマタたちの下に降りる。
「みんな、適当に乗って。」
アマタがそういうと各々空いているスペースに乗る。ミコノとゼシカはアマタを挟むようにしている。
「いくよ。」
ソウルバードは飛翔する。
「ソウルドライブ!ガオキング!」
アマタたちはガオキングの中に入り、操縦席に獣王剣を嵌める。
「誕生!ガオキング!」
ガオキングはケルビム兵に接近する。
「シャークアタック!タイガークロー!」
ガオキングの繰り出す攻撃はケルビム兵に直撃するが、どれも手応えが無くダメージは少ない。
「こいつ・・・・・ガオキングの攻撃パターンを学習しているのか?いや、違う・・・・・・・・・・・これはまさか!」
アマタはあることに気づいた。ガオキングの中にいるにもかかわらず空気が冷たいことである。パワーアニマルとはいえ動物、寒さにには弱いものである。そして寒さは徐々にアマタたちにも襲い掛かって来た。
「寒っ!」
「さ、寒いよアマタ君。」
ミコノとゼシカはアマタに抱き着く。
(このままだとみんな危ない・・・・・・・・・・けど、どうしたら・・・・・)
アマタが策を考えている時であった。突如地面から温泉が噴き出し、ガオキングを温めていた。温泉はガオキング内部も温めてきていた。
「(温泉・・・・・・・・・・・熱・・・・・・・そうだ!)みんな、ちょっと一回外に出るよ!」
アマタはそう言うとガオキングから一旦出る。
「あ、アマタ君!」
「どうするつもり!」
「寒いなら熱を持って動けばいい。やっと出番だよ、ガオコング!」
アマタはそういうと獣王剣に宝珠を嵌める。
「召喚、ガオコング!」
天空島の火山に獣王剣の音色が届き、火山の中からドラミングをしながらガオコングが姿を現した。
「もういっちょ!」
ガオエレファントの宝珠を嵌める。
「召喚、ガオエレファント!」
天空島からガオエレファントが下りてくる。
「いくぞ、百獣合体!」
ガオコングを中心に炎の戦士がその姿を氷上の大地に姿を現した。
「ソウルドライブ!ガオナイト!」
ガオナイトの中にアマタたちは入る。
「君臨、ガオナイト!」
第五の戦士、ガオナイトが君臨する。
「暖かい・・・・・」
「これって・・・・ガオコングの熱?」
「正確にはマグマによって暖められた熱だけどね。これだけ暖かかったらいけるぞ!」
ガオナイトはケルビム兵に接近し、剣を振るう。寒さに負けぬ暑さで動く。早い剣捌きにケルビム兵はダメージを受ける。
「一気に決めるぞ!炎滅消斬・ファイヤースラッシュ(オリジナル)!」
炎の剣を振るいケルビム兵を真っ二つに焼き切った。ケルビム兵は爆発し消滅した。