アクエリオンEVOL 百獣の王と空を舞う少年   作:ザルバ

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「ん・・・・・・・・・・」

 アマタが目を覚ますとそこは男子寮のベッドであった。

「あれ・・・・・・・・・・・なんで?」

 アマタは体を起こす。

「おっ!起きたか!」

 アンディがアマタに声を掛ける。

「・・・・・・・・・・えーっと・・・・・・」

「あ、俺?俺はアンディ・W・ホール。気軽にアンディって呼んでくれ。よろしく。」

「アマタ・ソラだ。アマタって呼んでくれ。よろしく。」

 二人は互いに挨拶をした。

「どのくらい寝てたの?」

「そーさなー・・・・・・・・・一日って所だな。なんか機械が暴走してお前気絶したみたいだぜ。」

「あらま。機械は大丈夫?」

「うんにゃ。ほーぼダメだってよ。」

「あっちゃー。」

 アマタは同情する。

「そういやよ、お前が検査受けた後、変な映像が流れたぞ。」

「変な映像?」

「ああ。なんかちっこいお前がどっかの森でさ迷ってパワーアニマルに会うやつ。」

「・・・・・・・・・ああ!」

 アマタは何を言っているのか理解した。

「知ってんのか?」

「多分それ初めて会った日だわ。」

「へー。パワーアニマルってあんなにでかいんだな。」

「まあね。」

「あ、それとよ、あの穴が開いた剣。スッゲー重かったわ。」

「だろーねー。一応すっごい重いって忠告しておいたんだけどねー。」

 アマタとアンディが話をしているとカイエンが来た。

「おい、お前。」

「あっ!えーっと、カイエンさんだっけ?」

「そうだ。アマタ、お前に聞きたいことがある。」

「はい、なんでしょう?」

「お前とミコノの関係は?」

「(ああ、シスコンか。)ただ俺が働いていた映画館で彼女が財布を落して

俺が彼女に財布を届けて彼女が俺にお礼をしたいと言って

そして俺は彼女に町案内をした。」

「おまえ、綺麗に三行に纏めたな。」

 アンディが感心した。

「そうか。話したいことがある。付いて来い。」

 アマタはカイエンに付いて行った。

 

 聖天使学園の食堂で二人は向かい合いながら食事を取っていた。ちなみに料理はカレーである。

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 もくもくと二人は黙って食べる。礼儀正しいのだがその側にいるアンディは重い空気になっていた。

(おいおいおいおい!なんだよこのカオス!俺いずれえよ!抜け出したいよ!でも抜け出すタイミングねーよ!)

 アンディが困惑している状況を打破する様に二人は食事を終える。

「「ごちそうさまでした。」」

 二人とも礼儀正しいのである。

「それで、何か聞きたいことがあったのでは?」

「ああ。お前が召喚したパワーアニマル、アイツ等の合体パターンはいくつある?」

「いくつと言われましても・・・・・・・・・・それこそ組み合わせによって変えられますから。難しいですよ。」

「なに?」

「ガオキングのような合体だと胴体部分はガオライオン、ガオゴリラ、ガオコング、ガオファルコンですし、足となるとガオバイソンとガオライノス&ガオマジロ。コレだけでも八通り。

右腕ならガオシャーク、ガオジュラフ、ガオポーラ、ガオエレファントの剣、ガオハンマーヘッド。

左腕ならガオタイガー、ガオエレファントの盾、ガオベアー、ガオウルフ、ガオディアス。腕だけでも二十五通り。

さっきの胴体を合わせると二百、更に足と胴体が一緒のガオリゲーターも加えると二百二十五通りとなる。」

「そ、そんなにかよ!」

 アンディは驚いた。

「ほう・・・・・・・で、お前は全ての組み合わせを試したのか?」

「大雑把に。特性を理解するうえで必要だったので。」

「成程な。」

 二人がそんな会話をしているとアマタがあることに気づいた。

「そういえばミコノさんはここを後にしたんですか?」

「いや、今日立つそうだ。」

「へー。見送りはしないんですか?」

「しない。」

 カイエンはキッパリとそう言った。

「今頃船に乗って家に戻っているだろ。」

「そうですか。」

 アマタが外の景色を見てふけているとアラームが学園内に響き渡った。

『ネオ・クローンにアブダクター出現。総員、第一種戦闘配置につけ。出撃エレメントはカイエン、アンディ、アマタの三名!』

「おっ!ゲートどっち?」

「こっちだ!ついて来い!」

「おい待てよ!」

 

 ベクターゼドに乗っているアマタは冷静の状況を分析する。

(連日の様に攻めてくるがなんでだ?そもそも出兵となるとかなりのエネルギーを使うはずだ。そうなると敵はそれ程のエネルギー機関を持っているかそれとも・・・・・・・)

「おい!」

 ベクターイクスに乗っているカイエンから通信が入る。

「実戦だからと言って緊張して落されるような真似するんじゃないぞ。」

「死んでもしたく無いから。」

「おいおい、随分な口だな。」

 ベクターシロンの登場しているアンディがそういう。戦闘が行われているネオ・クローンは目と鼻の先であった。

『ヘッドはカイエン。アクエリオン、合体しろ。』

 ドナールが指示を出す。

「了解。GO!アクエリオーン!」

 バクターイクスをヘッドとしたアクエリオンが姿を表す。

「アクエリオン、ゲパルト!」

 アクエリオンゲパルトがアブダクター襲撃地点に着地しガンポッドを放つ。

「人型じゃない・・・・」

「いつもの雑魚じゃねぇか。さくっと行こうぜ!」

 カイエンはアンディーの油断に気に入らなかったがそれでも弱いことに変わりなく、カイエンはアクエリオンゲパルトを操作し次々と倒していく。アブダクターの中口径ビーム砲もアクエリオンにとっては脅威ではない。アクエリオンは被害を最小限にし、敵を倒していく。

(なんだ・・・・・・・・・この感じ?何かが違う・・・・・・・・・・でもなにが?)

 アマタは敵の行動に疑問を抱く。

 その間にもアクエリオンゲパルトは多連続ミサイルポッドを追加転送し、アクエリオンゲパルトの両肩に装備し、アブダクターに向かい発射する。一気に敵の数が減り、カイエンに隙が生まれる。

「(っ!殺気!)カイエン、後ろ!」

「なにっ!」

 アマタの言葉でカイエンはアクエリオンをジャンプさせ回避させる。アブダクターの攻撃はアクエリオンに当たらなかったが、着地した地点に更なる弾着。脚部を掠めアクエリオンのバランスが崩れる。

「囲まれただと?」

 何時の間にかアブダクターの機体がアクエリオンを取り囲んでいた。敵は蜘蛛型の機体で大口径ビーム砲を吊るしていた。一斉発射による衝撃がパイロット達を襲う。

「カイエン、ジャンプ!」

「分かっている!」

 アマタの言葉にカイエンはそう答え、高層ビル群にジャンプする。アブダクターは追撃してくるがカイエンは高層ビルを上手く使い回避、時折姿を表してはガンポッドで撃墜するが敵の陣形は崩れず、徐々に追い詰められていた。

「こいつら、今までの無人機とまるで違うぞ!

 既にアンディの顔からは余裕の表情は消えていた。

(敵は恐らく何処からか見ているはずだ。だが何処からだ?ここの見渡す高台は無い。それにビルに隠れているのに的確に知る方法なんて・・・・・)

 アマタが考えているとカイエンの頭にピアノの音が響く。

「ぐっ!」

 カイエンの目前を美しい蝶が横切る幻視を見た。その瞬間カイエンはそれが何か理解した。

「これはシュレードの【精神演奏】・・・・・・・・貴様、何をするつもりだ!?」

『親友、君の目を開かせてあげる。』

「シュレード?」

 アマタは聞き慣れない名前に首を傾げる。

「うちのエースエレメントだ。だが身体が弱くてあんまり戦闘に出れねーが攻撃はえげつねーぞ。」

「へー。」

 アンディの言葉にアマタは感心した。

 一方カイエンはシュレードのエレメント能力によってあるビジョンが見えた。

「このビジョン・・・・・・・」

 カイエンは脳裏に浮かぶビジョンを集中して見る。

 カイエンの【絶望予知】が【絶対予知】へと昇華され、アブダクター同士を繋ぐ糸の元を辿り、大きな手が糸を操っているのが見えた。

 天空に浮かぶ、運命の三ツ星の一つに重なる様に未知のアブダクターの姿があった。

「そこかぁ~~~~~~~~~っ!」

 カイエンは多連続ミサイルポッドを放つがミサイルはアブダクターの機体に着弾する前にレーザーガンによって打ち落とされた。

「くそっ!」

「奴さん、かなりの頭脳派だね。」

 アマタはこんな状況でありながらも冷静に分析した。

 一歩その頃ミコノの乗った連絡船はネオ・クローン湾内で立ち往生していた。遠くからでも分かる戦場の様子にミコノは不安があった。

 あの場にいるのがカイエンかもしれない、アマタかもしれない。

 そんな不安がミコノの心に蠢く中、一人の男が声を掛ける。

「ごめんなさいよ。」

「え?」

 突然の男の言葉と共に船は旋回し、聖天使学園へと船を進める。

「運命を動かしてしまって、ごめんなさいよ~~~~~~~~~~~~っ!」

 

「アンディのスピリットレベル低下!このままでは合体の維持が出来ません!」

 アブダクターとの戦闘によりアンディーの方へダメージが行っていた。

「司令!こうなったら切り札のシュレードを投入するしかありません!」

 ドナールはそう言った。 

アクエリオンのテレポートシステムを使えば可能である。しかしスオミはシュレードの身体を心配する。

「しかし彼の身体は!」

「総員チェンジを!ここは女子に戦わせて下さい!」

「MIX!?」

「いや、俺たちが!」

「司令、決断を!」

「司令!」

「司令っ!?」

 言葉が飛び交う中、鶴の一声が響き渡った。

 

「エレメントチェンジ!」

 

 一瞬して司令室は静寂に包まれる。全ては司令の席の更に奥、隠されたシャフトから出てきたもう一つの座席。

 

「アンディ・W・ホールを強制排出。パイロットはミコノ・スズシロ!」

 

 そこにいたのは編み笠をかぶった着物の男とその男の膝の上に乗せられているミコノであった。

「ええええ~~~~~~~~~~~~~っ!?」

 沈黙がはじけ、エレメントたちの抗議の声がわき起こる。

「ちょ、ちょっと待ってください・・・・・・・・私・・・・・」

 ミコノは躊躇う。いきなり聖天使学園に戻されたと思ったらアクエリオンのエレメントの交代要員。普通に考えてもおかしい話である。

「ふざけんなおっさん!部外者に指図されるいわれはねぇんだよ!」

 流石のドナールも怒り、男に掴みかかろうとするが男は編み笠でその手を振り払うと、一瞬で着物から貴族の晩餐会の服装に早変わりした。

「な、なんだこのピエロみたいな野郎は・・・・・・・・!!」

 そんなドナールの問いに答えたのは意外な人物であった。

「お待ちしておりました、不動・ZEN総司令!」

 司令がひざまつきずき、深く頭を垂れた。

「そ、総司令だって!」

 全ての者が不動・ZENに集中した。

「ミコノ・スズシロ、アクエリオンに乗れ!」

「む、無理です・・・・・・・・・私・・・・・」

「見てみろ。」

 浮動の支持に促されたモニターには、アクエリオンのコックピットで苦しんでいるカイエンの姿があった。

「カイエン・・・・・」

「不器用な男だ。大切なものを守る術をひとつしか持たない・・・・そう、自ら傷付く以外の方法を知らない。」

 ミコノは思った。自分はいつも守られていた。カイエンを、アマタを傷付けて。心が傷付くよりも。

「そして私は・・・・・・・・いつも守られて・・・・・・・・見ているだけ。」

“ミコノさんもさ、一歩踏み出してみようよ。どんなに小さくてもいいんだからさ”

 ミコノの頭に響く。

「合体解除されました!」

「あっ!」

 アクエリオンの合体が解け、ベクターマシンに戻る。モニターにはアンディのスピリットレベルが低下していることを表示していた。

 それを見てミコノは決意する。

「・・・・・・私、行きます!」

「できるのか?できないっ子のお前に?」

「確かに、私は何も出来ません・・・・・・」

 ミコノのはぜしかたちの強い視線を感じた。

「でも・・・・・・・・・どんなに小さくてもいいから一歩踏み出して、もう一度手をつなぎたいんですっ!」

 ミコノの強い決意に、不動は微笑むと何処からかトランプを取り出しシャッフル、その中から一枚取り出す。

「その意気や、よし!!」

 不動はハートのA。

「エレメント・チェ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ンジッ!」

 

 ベクターシロンに乗っていたアンディが消え、ミコノが搭乗する。

「ミコノ!」

「あらま。」

 カイエンとアマタは驚く。

「ミコノ、何故お前が!」

 ミコノに対してカイエンはまた怒鳴る。しかし彼女はそれに全く動じない。

「アマタ君、合体して!」

「・・・・・・・・・どうやら、一歩踏み出したようだね。OK、じゃあいこうか!

 雪解け合体、GO!アクエリオ―――――――――――――ン!」

 ベクターゼドをヘッドに合体し、アクエリオンになる。

「アクエリオン、EVOL!」

 アマタはアクエリオンを操作し、頭部のビーム砲、拳を使い次々と撃退していく。

「ちょっと雑だけど・・・・・あれ使うか!ライオンファング!」

 アクエリオンの手にライオンファングが現れる。

「そんな武器で何を―――」

「変化(メタモルフォーゼ)!ガオメインバスター!」

 ライオンクローがガオメインバスターへと姿を変えたことに一同驚く。

「そら!」

 アブダクターの機体に向けビームを放つ。

「ミコノ、何故乗った!」

「カイエン・・・・」

「お前は・・・・・・お前だけは戦場に立たせたくなかったのに・・・・」

 カイエンの表情は暗くなる。

「カイエン、まだ気付かないのか?」

「ない?」

「ミコノさんは守られるばかりが嫌なんだよ。ずっと逃げてばかりで、それで他の人か傷付いて、結局辛くなってしまう。アンタは妹思いのいい兄だ。だが思うばかりで見ていなかった。違うかい?」

 アマタの言葉にカイエンは言い返せなかった。

「大雑把に行きますか。ファイナルモード!」

 ガオメインバスターの口が開き、銃口が姿を表す。

「邪鬼、退散!」

 ガオメインバスターからエネルギーが放たれ、アブダクターの地上にいる機体が一掃される。

「後は・・・・」

 アマタは運命の三ツ星を見る。

「ねえミコノさん、何で乗ったのかな?」

「私・・・・・・・アマタ君やカイエンと、もう一度手をつなぎたかったから。」

「そっか。じゃあつなごう。」

 その時、三人の心がときめいた。

「なんだろう・・・・・・・・・・ワクワクする。」

「このトキメキ・・・・・・・・手と手をつなぎ、心をつなぐ・・・・・・・・高鳴る鼓動!」

「天まで届け!俺たちの思いは―――――――無限大!」

《無限拳 MUGEN ATTACK 》

 アクエリオンの背中のスラスターが開き、アクエリオンは運命の三ツ星に向け拳を伸ばす。すると拳がどこまでも伸びていく。アブダクターの機体はその場から回避しようとするがその拳は何処までも追いかけ、そしてアブダクターの機体を破壊した。

《伝説の技、無限拳が・・・・いま蘇ったっ!!》

 その技にふさわしい名前が不動の口から言い放たれた。

 そんな時アマタが気づいた。

「ねえ、コレどうやって止めるの?」

『え?』

 アマタの言葉に一同間抜けな声を出すのであった。

 

 結果、アクエリオンの無限拳は地球を二周して聖天使学園のベルリンの壁を一部破壊。よって聖天使学園は男女共学となったが不動からの“恋愛禁止条例”が発表された。

「で・・・・・・・ここだけ壊れてますけど他も壊しますか?」

「できるのか?」

「ゴリさんと赤ゴリさん呼べば何とか。」

「じゃあ頼んだ。生徒達は避難させておくからな。くれぐれも問題は起こすなよ。」

「はーい。」

 アマタはドナールからの依頼の下、ガオゴリラとガオコングを召喚し二人にベルリンの壁の撤去と破片の回収を頼んだのであった。

 

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