※夢要素しかないです、苦手な方はよむのをお薦めいたしません。見なかった事にして立ち去るのが吉。
※エルメロイ二世教授ことウェイバーちゃんとの少し暗め?なお話
※繰り返しになりますが、読めると思った方だけ読んでください。読んでからの苦情は受け付けかねます。
※タイトルは安I藤I裕I子さんの楽曲「のうぜんかつら」より引用
のうぜんかつら
「おかえり。」
彼が自室の戸を開け、中に入ると同時に、奥の部屋から小さな声が聞こえた。
その声を聞くと、彼は叩きつけるように扉を閉め、声のした方の部屋に飛び込む。
その部屋は寝室で、窓際の寝台には寝台のヘッドボードと枕を背もたれにして上半身を起こした女が一人、彼を見つめていた。
それを見る彼の眉間には、先程よりも皺が寄り、つかつかと寝台へと近づいていく。
「何度言えば分かるんだ?体を休めていろと言っただろう?」
「今日は調子がいいんだもの…それに、お帰りを言うくらいいいでしょ?」
「ならばもう横になれ、お前は病人なんだ。」
随分過保護になったわ、そう言いながら彼女は素直に起こしていた体を動かして寝台に身を横たえる。
彼女がどんなに気丈に振る舞おうと、彼には分かってしまうのだ。
そうして話している間にも彼女は息が上がっていることを、笑顔を作りながら冷や汗を流している事を。
そうしてようやく横になった相手を見れば、彼はふうとため息を漏らしてから「待っていろ。」とだけ言うと、一度その部屋を辞した。
自分に心配をかけまいとする姿に、そしてそんな気を使わせてしまう自分の不甲斐なさにただただ苛立ちが募る。
男は、ロード・エルメロイⅡ世と呼ばれている。
寝室で床に伏している女は、坂上稲波(さかのうえ いなみ)という。
二人は、彼がまだ19の青年だった頃、第4次聖杯戦争の行われていた地で「魔術師」と「呪術師」として出会い、その後紆余曲折あって婚姻関係となった、つまりは夫婦である。
稲波は今、呪術師として自分が引き受けてきた呪いがついに体の許容量をこえ、それがじわじわと命を蝕み、そしてゆっくりと人生の終わりへと進んでいる状態だ。
そんな彼女を、彼が娶りたいと言ってきたとき、彼女は拒んだ。
今後動けなくなり、そして寝たきりになるだろう自分を娶るなど意味のないことだとそう思ったのだ、
しかし、彼は食い下がらず、そして弟子や師範代たちの後押しもあって、最後は彼と夫婦の契を結ぶことになった。
「…ホットミルクくらい飲めるか?」
「ん、大丈夫。」
彼女の体は、本当に少しずつ蝕まれている。
こうして言葉を交わすのだけでも息切れしてしまうほどに、体力が落ちているにも関わらず、胃はあまり食料を受け付けない。
それゆえに、やせ細っていく一方だ。
「…少しは食べられるといいんだが、な。」
「…あとで試す?」
「いや……また戻されても、片付ける手間を考えると面倒だ。」
「それもそうね。」
そんな事を言いたいわけではないのだが、憎たらしいこの口は憎まれ口ばかり叩いてしまう。
その事に苛立って舌打ちする彼を尻目に、彼女は窓から外を眺める。
寝台が窓際なのは、彼女の気を紛らわせるためだ。
何もないところに一人で置くよりはいいだろう、という判断だった。
そんな彼女の姿を見ていた時、彼女がぽつりと呟いた。
「…ね。……私と結婚して、幸せ?」
まるで喉から絞り出すような声。
その小さな問い掛けが、彼の胸に重くのしかかる。
だが言葉に詰まってはいられない、彼は何とか口を開いた。
「…当たり前のことを聞くな、馬鹿者。」
なるべく、いつもの調子に聞こえるように言葉を吐き出した。
彼女が振り向き、2人は暫し見つめ合う。
「本当?」
「嘘をついてどうする。」
「…そう、ね。…ありがと……私も…幸せ…。」
そう、噛みしめるように言うと彼女は「少し疲れたから眠るわ。」とだけ言うと、そのまま身を横たえて眠り始めた。
彼は布団をかけなおしてやり、眩しくないようロールカーテンを降ろし、部屋を出る。
閉じたその扉にもたれ掛かり、片手で目を覆い隠す。
その瞬間その目には、確かに涙が溢れていた…。
end
Q.日本人お嫌いではなかったんですか?
A.もうイギリス籍だから日本人じゃない(くそ屁理屈)
頭にも書いた通り、ツイッタで盛り上がったのでモヤモヤしたものを書き出しただけなのでしっちゃかめっちゃかです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。