神の逆鱗 〜逆らう人間の知恵と協力者〜   作:S.Hitta.

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なかなか、感想っていただけないんすね〜。
書き方が悪いのは分かるんすけど、具体的にダメなところが全然分かりません。何処かにきっと居る聖者様、どうぞご指摘のほどお願い申し上げます。。。


拾参 変化

 

任務の失敗、僕にとって初めての出来事だった。前職でも仕事のミス等一度も無かったし、神楽と組んでからは一度だけ捕縛任務を抹消に変えてしまった事はあるが、失敗と言う失敗では無かった。それだけ海神は予想の斜め上を行く強さであり、更には自分の持つ力の過信。事実、僕は神楽と組めば主神ですら蹂躙出来るとさえ思っていた。

蝋燭島を脱出し、本部に戻って来てから何時間が経つのだろうか。僕は一人会議室から出られていない。皆、気を使ってくれたのだろう、僕に多少声をかけた後は触れない様にしてくれていた。神楽も同じ面持ちだったな。本部に着いてすぐ何処かに行ってしまったみたいだが、バツが悪かったのが大きいと思う。あれだけの啖呵を切ったんだ、気持ちも分かる。勝手をして任務を失敗したと言うのに叱られることも無いというのも、またきつい。いっそ罵ってくれた方が楽だったのかもしれない。これがエゴだって言うのも分かっているのだが、そう思わざる得ないほどのショックを受けた。

 

「まだ居たのか。」

「花音、か。」

「なんて顔をしてんの。みっともない。」

「そんな変な顔してるか?」

「してるよ。何時までそこに居るつもり?」

「もう帰るよ。花音も今日は疲れただろ?早く帰りな。」

「あたしは何もしてないから疲れてない。」

「そうか。でも明日は早いだろう?」

「•••お前は何故、人を頼ろうとしない。」

「いきなりどうした?」

「一人で何でも背負い込んで、解決しようとするのは何故かと聞いてるの。」

「そんな事ないよ。」

「なら何故、海神捕縛任務であたし達に手を出すなって言ったの?」

「自分の可能性を試したかっただけだよ。」

「最初はそうだろうね。言ってるのはその後。神楽の心が折れてお前も死にかけたあの時、隊長が出ようとしたのを止めたのは何故かと聞いている。」

「•••」

「隊長やあたし達、破鬼持ちでは役不足?信用ならない?邪魔になると思った?」

「そういう訳じゃない。」

「じゃあ、もっと分かりやすく言う。お前はあの時、あたし達を守ろうと思ったでしょう?」

「•••」

「あたし達は仲間じゃなかったの?あの時、あたしは隊長に止められたのを振り切って出ようとした。だけど、力ずくで止められて隊長はあたしに言った。お前もあいつらが仲間だと思うのなら今は手を出すな。と。その意味が分かる?いや、お前じゃ分かんないね。教えたげる。お前が毛の先程も信用していない隊長が、そんなお前を信用しろと言ったんだ。仲間とはそう言うものだろうが馬鹿たれ!!」

「•••すまなかった。」

「この後に及んで謝る事しか出来ないとは、本当に情けない奴だね。」

 

花音は、そう言い捨てると部屋から出て行った。花音に言われていて、色々と思う事はあったが口には出さなかった。いや、出せなかった。あんなに僕なんかの為に怒ってくれる人はそうはいない、保苅さんくらいだろう。集団で行動する事の難しさが痛いぐらいに感じ取れた。今まで、信用や信頼なんてのは他の人間を騙すための常套文句でしかなかった。それが今、こんな形で言葉の意味を考えるとはあの頃は思いもしなかった。

 

「仲間•••か。」

「いやぁ、結構な言われようだったな。」

 

馬鹿にしたような笑い方で部屋に入ってきたのはシュガーさんだった。

 

「全部聞いてたみたいですね。」

「まぁ、こんな夜更けに若い男女二人でコソコソなんかやってるのを放っとく手はねぇからな。」

「趣味の悪さが半端じゃないですね。」

「キャバクラでも行くか?若いからソープの方がいいか?」

「話が全く掴めませんね。いや、すいません。掴む気もないです。」

「落ち込んでんだろ?なら、優しくしてくれる天使の楽園へと誘われようぜ!」

「何に誘われてるんですか。僕は結構です。」

「つまんねーなぁ。女にきつく当たられた時は、女に優しく癒して貰うのが一番だろ。」

「そんな事で落ち込んでる訳ではないです。」

「自分の力の無さを嘆いたって、何も生まれねぇぞ。強くなりてぇなら前を見ろ。下向いてても落ちてるのは小銭とゴミだけだ。前を向いてりゃその内、綺麗は光が視界に差し込む。」

「え?」

「じゃあな。俺はソルト誘ってキャバクラ行ってくるわ。」

 

核心を突く様な話を最後にサラッとされが、シュガーさんの性格上そういった話が苦手なのだろう、その時だけ目を合わせてくれなかった。

前を見ろ、か。親父にも前に言われた事があった。

 

過去に囚われるな。

前を向いて今を生きろ。

お前の冷たい闇を掻き消すほどの暖かい光が未来には必ずある。

 

親父がそこまで言い切った光とは一体何なのだろうか。僕はその答えを探す為に今を生きて、目的を定めた。復讐という目的を。この目的が過去に囚われていると、親父に言われると思っていたが、そんな事を親父は言わなかった。多分、僕の生きる目的を奪えなかったんだと思う。

昔から数少ない僕の周りにいる人間はとても温かい人達ばかりだった。

 

「なぁアゼル。僕はもっと強くなりたい。主神を倒せるくらいに。なれるかな?」

(俺に振るな。)

「冷たいねぇ。」

 

ある程度踏ん切りが付いて、部屋に戻ろうと会議室を出る。外の空は既に白んでいて、吐く息は白く染まっていた。マンションに戻ると、ふと神楽が気になった。なんとなくだが神楽の部屋のインターホンを鳴らす。

 

「なに?」

「暇か?」

「暇じゃない。それだけなら閉めるよ。」

「そうか、なら閉められる前に中に入るよ。」

「おい〜。なんなんだよ〜」

 

自分でも何故か分からないが、無理くり神楽の部屋に突入してしまった。中に入ると、部屋の電気は全て消えてテレビだけ付いていた。番組は神楽が見そうに無い通販番組で、今は多機能シュレッダーの実演をしていた。

 

「忙しそうだな。」

「うるせ〜な。」

「まぁ、とりあえず電気付けてお茶くらい出しなよ。」

「もう寝るんですけど〜。」

「嘘だね。寝れないんでしょ?ムカつきすぎて。」

「よく言うよ。レントもそうなんだろ〜。」

「そんな所かな。」

 

そう言って電気を付ける。間取りは僕の部屋とほぼ同じだから電気のリモコンが壁にかかってる場所も同じ。改めて神楽の部屋を見ると僕の部屋とは正反対に物が色々ある。ゲーム、漫画、映画鑑賞用のプロジェクターとかなり立派なサウンドシステム。他の部屋を見るとトレーニングルームなのかダンベルやらサンドバッグやらが並んでいたりしていた。とりあえず、一通り部屋を見終わると冷蔵庫からお茶を取り出す。

 

「神楽もいる?」

「あのね〜。」

「そんな顔するなよ。ほら。」

 

神楽は渋々お茶を受け取り、ソファに座らせる。鬱陶しいのでテレビも消す。

 

「強かったね。海神。」

「そんなくだらない話しに来たの〜?」

「そうだよ。」

「レントらしくないじゃん。」

「僕の全てを分かるにはまだ早いんじゃない?」

「そうゆう茶番好きじゃないんですけど〜。」

「知ってる。とりあえず話そうよ。あの時、神楽の《羅焔降誕(らえんこうたん)》食らわせて、海神はケロッとしてたよね。そっから神楽はフリーズしてたけど何を考えてたの?」

「なるほどね。バカにしに来たの?俺もレントにだって怒れるよ。試す?」

「違うよ。本心から聞いてるんだ。そんな邪な考えで人の傷に塩を塗るような真似はしない。それを乗り越えないと来月の十神集合イベントで僕達は何も出来ずに死ぬことになる。違う?」

「イベントって。レントも冗談言うんだね〜。」

「で、どうなの?」

「•••最初は正直絶望したね。俺の中で結構自信のある技だったし、その後のレントとのやり合い見てて更にへこんだかな〜。でも、途中から見てて楽しくなったんだ〜。変かもしんないけど、俺もやりたいって。だから隙みて出番ぶん取ろうと思ってた。そしたら最後のアレだったね。」

「ふふふっ、ごめん。全部予想通りだったから、つい。」

「いちいち、むかつくな〜。で、話したけど、なんなの?」

「神楽の開けるphaseは5まで?」

「そうだよ〜。」

「多分神楽にもあると思うんだけどphase5迄で、何故か使えない力がなかった?」

「ある。二つ。」

「僕と同じだ。よしっ!きめた。僕は三つ使えない力があったんだけど、海神との戦いで一つは使えるようになった。それでもphase2の《尻尾》とphase5の《央眼》の力の使い方が分からない。それを来月の十神イベント迄に使いこなせるようにする。」

「なんかレント急に変わったな〜。」

「そう?」

「なんか砕けたかんじ〜。」

「ふふっ、悪いことじゃないね。それで、明日から僕達はOFFだろ?だからその間、当面はSPルームで修行する。」

「修行って響きがやだよ〜。明日はスロット行きたいんだけど〜。」

「まだそんなことしてんのか。でもダメだよ。明日昼の12時に迎えに来るから、起きてなかったら最悪の目覚めにしてあげるね。」

「えぇ〜〜。」

 

ということで。僕の思いつきで明日からSPルームでの修行が決定した。その後、僕はある人にLINEで協力を頼んで布団に入った。

神楽は僕に変わったと言った。それに対して僕は分からないフリをしたが、多少自覚はある。なんとなくスッキリした感じがしてる。自分でも不思議なくらい、落ち着いている。前を向いて生きるというのはこういう事なんじゃないかと思いながら眠りについた。

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