神の逆鱗 〜逆らう人間の知恵と協力者〜   作:S.Hitta.

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弐話 才能

ピッピッピッピッ........

 

 

「んっ、うぅ」

 

異常な程の頭痛で目が覚めた。起きてみると身体が上手く言うことを聞かない。捕縛されてる訳では無いが身体を動かそうとすると関節が軋み筋肉が痙攣し身体が鉛のように重たい。

(どうなってんだ)

首を動かし周りを見ると薄暗い狭い部屋の中に機械が徐に立ち並んでいて中央にベットがあり、そこで俺は横になっている様だ。腕には何やら色々と医療用と思われる器具が刺さっており、口にはやはり医療用と思われるマスク。

(此処は?)

なぜ僕はこんな所に....

思い出そうとすると激しい頭痛が襲う。

 

バタバタバタ

「探せーっ!まだこの中に居る筈だーっ!」

 

何やら部屋の外が騒がしい。時間が経つにつれ少しづつ頭痛が治まってゆく。僕は確かパクられて留置所に居た.....そうだっ!あの時っ!!!

 

「よ〜。お目覚めかい?」

 

いきなり声をかけて来た。扉に背を預け留置の時と同じスウェットにTシャツ姿の、特徴的なあのふざけたニヤけ顏。

《11番》

そのツラを見た瞬間全てがフラッシュバックする。あの時僕は撃たれたんだ。そうか、麻酔銃かなんかか。傷口が無いという事はそういう事だ。それでも此奴の所為で撃たれた事に違いはない。兎にも角にも怒りが先に立ち、起こせない身体のまま格好は付かないものの。いきり立つ。

 

「てめぇ」

「ニシシッ、まぁ言いてぇことも色々あるだろうが、まずは此処からバックレようぜ〜」

「ふざけんなっ!てめぇの所為で僕が何発銃弾食らったかわかってんのか!?」

「悪かったと思ってるよ〜。ごめんな?テヘペロ〜。だから今度は俺が助けてやるから水に流せよ〜。な?7番....いやシノノメ君か?ニシシ。」

「!?」

 

悪そびれた態度を微塵も見せずに軽口を叩く。

ん?僕の名前を知っている?なんだ此奴は

ますます状況がわからなくなる。《11番》は、そう言いながらズカズカと僕に近づいてくる。

抵抗しようにも身体が全く言うことを聞かない。

 

「先に謝っとくな。ちょっとチクッてするぜ?」

「な、何を!?」

 

ブスッ

大袈裟に振りかぶった右手に何かが握られていたらしく、それを僕の首筋に刺した。すると身体中が一気に熱くなる。

 

「ゔっ、ぐぅ」

「ダイジョーブだよ〜もう少しだ。早くしろ〜」

「てっ、てめぇ、、な、何を.....何をしやがったーっ?!.......!?」

 

身体が動く。

 

「アドレナリンだよ〜。お前の分もかっぱらっといてやったんじゃねーかよ〜。」

「?!」

「まぁ、そんな事話してる暇も無さそうだぜ〜?さっさとずらかろう。ハラショー」

「状況が全く掴めない。此処は何処なんだ?何が起きてる?」

「そんなこと•••」

「そこからは私が説明しようか。」

「「?!」」

 

突如現れた男は《11番》が言葉を言い終える前に口を挟んできた。軍服を身に纏い左胸には数え切れない程の校章や勲章が規則正しく羅列して、如何にも偉い奴の風格を醸し出す。ジャケットがはち切れんばかりのガタイを露見して育ちが良いのだろうか、頭髪もビシッと決まった七三分けに横を刈り上げた、清潔的な印象を与えるゴリラ野郎。

 

「私の名前は郷原 段次。陸軍技術部中将だ。君達は我々の行った適正検査に合格した優秀な人材だ。大人しくしていてくれれば悪い様にはしない。東雲君に神楽君。」

「検査、だと?」

「そう検査だ。詳しい話はまた後日にしよう。君達の身体はまだ動いていい状態では無い。無理をして折角合格した身体をお釈迦にされても困るのでね。」

「ふざけるなよ?そんなんで納得できるほど僕は育ちが良く無いんだよ。」

「そーゆー事だ〜。気が合うな〜シノノメ君♡」

「全く。仲村組系徳成會若頭東雲蓮刀君。君は、もう少し頭が切れると思っていたのだがね。まぁ、この状況なら、そうなっても可笑しくはないのかもしれ無いな。」

「?!.....素性は粗方調べられてるみたいだね。」

「そういう事だ。ではもう少し眠っていて貰おう。それとも大人しくしていて貰えるかな?」

 

カチャ

 

また銃口を向けられる。もう慣れたものでそこからの対処法を幾つか冷静に考える。ただ、この男全く隙がない。足のスタンスは肩幅程度に、片手を上げて銃を構え、もう片方の手はポケット突っ込まれている。ただそれだけ、なのにも拘らず隙がない。言うならばあの眼。全ての者を威圧し押さえつける。そんな重圧のある眼力。少しでも目を逸らそうものならば1秒もかからずに確実にヤられる。

暫し、10秒ほど対峙したか。冷たい汗が頬を伝う。それくらいの時間が今は途轍もなく長い。頭の中で行われるシミュレーションは尽く潰されるイメージしか湧かない。もし、仮に、《11番》とのコンビネーションを使えれば或いは。。。だがそれもifの話でしかない。それくらいにこいつはヤバイ。経験が脳が身体が警笛を鳴らしている。さて、どうしたものか。

「また諦めの算段か〜?シノノメ〜」

「うるさいな。今集中してるから黙って此処を切り抜ける方法でも考えろ。」

「なんだ〜、また蹴り飛ばしてやろうと思ったのに〜、ニシシッ」

「先に君から殺してあげようか?神楽君。」

「おぉ〜、こえ〜な〜。シノノメ君♡」

 

会話の中で名前を呼び合う時に一瞬、ほんの一瞬だけ神楽と目を合わせる。その瞬間アイコンタクトにも似たような何かを感じ取った。恐らく神楽も同じ様なものを感じたのであろう。特徴的なニヤけ顏が強くなる。

 

「この状況で余裕があるじゃないか。獅子に睨まれたハイエナ共が。」

 

刹那

僕と神楽は互いに逆方向に飛び出す。パシュッ。パシュッ。2回のサイレンサー付きであろう静かな銃声が僅か聞こえた。そんなものは御構い無しに動く。俺は極限まで姿勢を低くし郷原の右側から膝を狙いタックルの体制に、神楽は徐に置かれていた機械を足場にして上へ飛び左側から拳を繰り出す。瞬間で同時に肉薄する僕達を目の前に郷原は動かない....そう視えていた。気づけば神楽の繰り出した右手を掴みその推進力をそのまま利用して僕に叩きつ付けんとしていた。一瞬気付くのが遅れたものの気づけた僕は郷原の目の前の足元に回転し、神楽を避けて転がり、立ち上がり様に顎をめがけて渾身の右アッパーを射出した。(もらったっ!)内心でそう呟いても可笑しく無い程にタイミングが合った攻撃。クリーンヒット....したが吹き飛ばされたのは僕の方であった。ベットに背中を打ち付け呼吸がし難くなる。何が起こった?パシュッ!

撃たれた。瞼が重くなりながら必死に目をひん剥いて最後まで奴を睨みつけていると奴の足に郷原が絡みつく形になっている。パシュッ!

 

「危うく足が取れちゃうところでしたねぇ」

「面白い。素の身体能力であの動き。ふっふっふ。楽しみだ。なぁ?シュガー」

「中将殿。口から血が出てますよ。スボンも右足部分がビリビリに破けてるじゃないっすか。さっさと着替えちゃって下さい。もうすぐ例のプロジェクトの会議っすよ。」

 

気を失う最中そんな会話が聞こえていた。

 

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