…大嘘こいてすみませんでしたorz
それでは駄文をどうぞ
そんな事があったのが三週間前の事。
十香もすっかり馴染んで、今は琴里と肩を並べてテレビを見ている。
私はそんな二人の後姿を見ながら朝ご飯の支度をしている。
お出汁と合わせた卵液をフライパンへと何度かに分け流し入れながらくるくると巻いてゆく。
「よしっ、出来た」
数分後、キッチンとリビングにはお味噌汁と卵焼きの香りが広がっていた。
今日の献立はご飯、ネギと岩海苔のお味噌汁、焼き魚、出し巻き卵、付け合わせのお惣菜、等々純和風に仕上がっている。
器に盛りつけながらテレビを見る二人に声を掛ける。
「二人ともご飯出来たよ」
「待っていたぞ、おねーちゃん!」
「うむ!」
その声に二人はソファーから立ち上がり、キッチンの方へと向かってくれば盛り付けの終わったものから順にテーブルに運ぶのを手伝ってくれる。
運び終われば、それぞれ椅子に座る。
「いただきます」
「いただきまーす!」
「いただくのだ!」
三人で手を合わせてそう言えばご飯を食べ始める。
――
朝食後、食器を片付け残りの準備を終えれば三人揃って玄関を出て学校へと向かう。
学校に到着し自教室に着き、扉を開ける。
すると私達の目の前にササっと殿町君が素早く出てくる。
「やあ、士織ちゃん、十香ちゃん。今日もまた一段と綺麗だね」
と開口一番そう言いながら。
殿町君は左手をお腹に当て、右手を後ろに回しながらまるで執事のような礼をする。
「あはは、おはよう、殿町君」
「うむ、おはようなのだ」
毎回のことなのだけど殿町君の大仰なポーズには慣れない。
十香はというと元気に挨拶を返している。
殿町君は体勢を崩せば腰に手をあてうんうんと頷いていた。
「いやー、今日も朝からこうやって学校が誇る美少女二人に挨拶を返してもらえて幸せだな」
と、そんな殿町君の後ろにいつの間にかクラスメイトの男子と少数の女子がもの凄くいい笑顔で立っていた。
そして男子二人がガシッと、殿町君の両脇を抱える。
「え、あれ?」
困惑する殿町君をそのまま教室の外へ連れ出していってしまった。
ポカンとする私と十香だったがしばらくして聞こえてきた悲鳴に顔を見合わせる。
するとちょうど予鈴が鳴ったのでそれぞれの席に着いた。
私たちが席に着くのと同時に先ほど殿町君を連れて行ったクラスメイトがぞろぞろと戻ってきた。
「はいはーい、みなさぁん。おはよぉございます」
それに続くようにタマちゃん先生も教室に入ってくる。
そして教卓に着けば出席を確認する。
「えーと、殿町君は…お休みですかねぇ?」
そう言いながら出席簿に×印を記入する。
哀れ殿町君。
「それじゃあ、連絡していた通り今日は一限から三限は、家庭科になりますぅ。班分けは言われていると思うので皆さん移動してくださいねぇ」
タマちゃん先生の言葉に教室が賑やかになる。
そう今日の家庭科の時間は男女を二組に分けて被服と調理実習を行う予定だった。
私は自分の班分けを思い出しつつ席を立つ。
ふと隣の十香を見れば初めての調理実習にウキウキしているようだ。
「ほら、十香も移動しないと」
「シオリ、私の作る物を楽しみにしていてくれ!」
「うん、楽しみにしてる」
十香はそう言いながら私に手を振りながら教室を後にする。
私も十香を見送れば自分の移動先である被服室に向かう。
――
「シオリ!クッキィというものを作ったぞ!」
午前中の授業が終わったお昼休み、十香が白いプラスチック製の容器を手に持ち、教室へと戻ってきた私の前にやってくる。
そして興奮気味にそう言いながらずいっと容器を突き出す。
「そっか、今日はクッキーだったんだね」
「うむ!皆に教えてもらいながら、私がこねたのだ!食べてみてくれ!」
十香はそう言いながら手にした容器の蓋を開ける。
そこには、ちょっと形が崩れていたり、ところどころ焦げたりした星型だったり人型だったりするクッキーが沢山詰まっていた。
私は十香が一生懸命にクッキー生地をこね、形を作る姿を想像しながら容器から一枚、クッキーを手に取ろう手を伸ばそうとした、が。
「待って」
私の右側から聞こえた聞き覚えのある声にピタッと手を止める。
視線をそちらに向ければ想像した通りの人。
肩に届くか届かないかの髪に、整った顔だちの少女。
鳶一さんが左手に十香が持っているものと同じ容器を持ちながら立っていた。
「鳶一さん?」
「ぬ」
私は首を傾げながら名前を呼ぶ、対して十香は不機嫌そうに眉根を寄せ不満げな声を上げる。
鳶一さんは私達二人を見つめながら、ゆっくりと近づいてくる。
そして私の目の前、とどのつまり十香の隣に辿り着くと、左手に持った容器の蓋を開け、十香と同じように私に向けて突き出してくる。
「夜刀神十香のそれを口にする必要はない。食べるならこれを」
容器の中には整然と同じ大きさ、形のクッキーがびっしりと綺麗に並んで詰まっていた。
「え、えっと…」
「邪魔をするな!シオリは私のクッキィを食べるのだ!」
私が困惑の声を上げると、十香がぷんすか!といったようなふうに声を上げる。
けど鳶一さんは微塵も怯まず、表情も動かさず、声を出す。
「邪魔なのはあなた。すぐに立ち去るべき」
「何を言うか!あとから来ておいて偉そうに!真似をするでない!」
「焼いた時刻は私の方が早い。そしてあなたのクッキーを彼女に摂取させるわけにはいかない」
「な、なんだと!?」
「あなたは手洗いが不十分だった。加えて調理中、舞い上がった小麦粉で咽せ、くしゃみを三度している。これは非常に不衛生」
「し、シオリは強いからそれくらい大丈夫なのだ!」
「因果関係が不明瞭。…それに、あなたは材料の分量を間違えていた。レシピ通りに仕上がっているとは思えない」
「っ!?」
鳶一さんの指摘に十香は眉をひそめ、自分のクッキーと鳶一さんのクッキーを交互に見る。
「な…っ、何故その場で言わんのだ!」
「指摘する義務は私にはない。…ともあれ私の方が、彼女を満足させる可能性が高いことは明白」
「う、うるさいっ!貴様のクッキィなぞ、美味いはずがあるかっ!」
十香はそう叫ぶと、目にもとまらぬ速さで、鳶一さんの容器からクッキーを一枚つかみ取り、自分の口へと放り込んだ。
そして数回咀嚼すると。
「ふぁ…っ」
白い頬をほんのりと桜色に染め、恍惚とした表情を浮かべる。
どうやら相当に美味しかったみたいだった。
けど十香はすぐにハッとしたように首をブンブンと横に振り、再び不機嫌そうな顔を作る。
「ふ、ふん、大したことはないな!し、シオリ早く私のクッキィを食べるがいい!」
十香はそう言うやズイズイと容器を私の顔の目の前まで突き出してくる。
「私のを食べるべき」
鳶一さんも対抗してか同じように容器を突き出してくる。
二人の射貫くような視線に私は少したじろぐ。
…どちらかを先に食べてしまったら大変な気がする。
私はちょっとお行儀が悪いと思いつつも両の手で十香と鳶一さんの容器から一つづつクッキーを取り、同時に齧る。
「う、うん。とっても美味しいよ二人とも」
十香と鳶一さんはそんな私をジーッと見る。
「私のほうがちょびっと速かった」
「私の方が、○.○二秒速かった」
十香と鳶一さんが同時にそう言い放ち、そして静かに顔を見合わせる。
「えぇと…」
いつものパターンだとこのまま取っ組み合いになりそうになるので私は二人の間に割り込むように身体を進める
二人も私が間に入れば取っ組み合いは自重してくれたようだ。
「はあぁ…」
どうしたものかと一度大きなため息を吐く。
瞬間。
ウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ――
街中にけたたましく不快な警報音が鳴り響く。
お昼休みでざわついていた教室がシーンと静まりかえる。
空間震警報。
「…………」
隣の鳶一さんは一瞬逡巡のようなものを見せるも、容器をどこかに一瞬でしまうと目にも止まらぬ速さで教室から出て行ってしまう。
「……ッ」
私は複雑な心境でその後ろ姿を目で追う事しか出来なかった。
鳶一さんはASTの隊員。
空間震が起こるということは精霊が出現するという事。
戦いの場。
――すなわち精霊を殺すための。
「……」
私はギュッと手を握りしめた。
私には鳶一さんを止めることは出来ない。けど…。
そこに先ほど鳶一さんが出て行った扉から、ぼうっとした調子の声が教室に響く。
「…皆、警報だ。すぐにシェルターに避難してくれ」
声の主、白衣を纏った令音さんが廊下の方へ指を向けながら言う。
クラスメイト達はその言葉に続々と廊下へと出てゆく。
「ぬ?シオリ、一体皆はどこへ行くのだ?」
十香がクラスメイト達の様子を見て首を傾げる。
「えっとね…シェルターだよ。学校の地下にあるの」
「シェルター?」
「うん。説明はあとでするから私達も行こう、十香」
「ぬ、ぬう」
十香は怪訝そうな顔をしながらも手にした容器に蓋をする。
そして、一緒にクラスメイト達の後に続いて廊下に出ようとしたところで。
「…シア。君はこっちだ」
私は令音さんに首根っこを掴まれる。
「れ、令音さん?こっちって…<フラクシナス>…ですか?」
「…そうだ、<フラクシナス>だ」
私は他の生徒に聞こえないように声をひそめながら問う。
令音さんも同じように声をひそめ答える。
「…前に君は精霊を助けると決めてくれた。だからもう一度しっかりと見てほしい。精霊とそれを取り巻く現状を」
「…わかりました」
令音さんは私の返事に眠たげな半眼のまま小さく首肯する。
そしてクラスメイト達が全員列に並ぶのを見れば昇降口の方へと顔を向ける。
「…さぁ、急ごう。空間震まで、もう間もない」
「は、はい。とお…あ、令音さん。十香は…一緒に行かなくてもいいんですか?」
私は十香の方に視線を向け令音さんに訊く。
十香はシェルターに向かう為に列を作るクラスメイト達に驚いたような視線を送っていた。
「…ああ、そのことか。…うむ、十香は皆と一緒に避難してもらおう」
「え?いいんですか?」
「…ああ。力を封印した今の十香は人間とそう変わらない。それに、精霊とASTの戦いを見て、自分のときのことを思い出されても困る。言っただろう?<ラタトスク>としては出来るだけ十香のストレスを蓄積させたくないんだ」
「え、でも…」
私がそう言いかけたところで廊下の奥から甲高い声が響いてくる。
「ほ、ほらっ、五河さんに夜刀神さん、それに村雨先生までっ!そ、そこで立ち止まらないでくださいっ!早く避難しないと危険が危ないですよ!」
私たちのクラス担任のタマちゃん先生が焦った様子で言ってくる。
先生、ちょっと言葉が支離滅裂ですよ。
「…ん、捕まっても面倒だ。行こうか」
令音さんは目配せすると昇降口の方へと足を向けた。
「あ、れ、令音さん――」
昇降口へと向かう令音さんにはぁと息を吐く。
私は十香の手を取り、その手をタマちゃん先生に預ける。
「先生。十香をお願いします」
「ふぇ?あ、え、は、はい。それはもちろん」
私から急に十香を任せられたタマちゃん先生が呆気にとられたような目と口調で言う。
十香はというと不安そうに眉を寄せ私を見てくる。
「シオリ…?」
「十香。いい?先生と一緒にシェルターに避難しててね」
「シオリは、シオリはどうするのだ?」
「わ…私はちょっと大事な用事があるんだ。先に行っててね。ね?」
私はそう十香に言えば先を行く令音さんの後を追う。
「! し、シオリ!」
「五河さん!村雨先生まで!?」
心配そうな二人の声を聞きながら、私と令音さんは校舎の外へと走ってゆく。
――
「…ああ、来たわね二人とも。もうすぐ精霊が出現するわ。令音は準備をお願い」
私と令音さんが<フラクシナス>艦橋に到着すると、艦長席に座った琴里からそう言葉が飛んできた。
「…ああ」
令音さんは小さく頷くと艦橋下段のコンソールへとつく。
「さて…士織」
無言でいた私に琴里が声を掛けてくる。
「この前に腹は決めてもらったのだけれど、心の準備は大丈夫かしら?」
「だ、大丈夫…だと思う…」
私は緊張した面持ちで答える。
そこへ艦橋内に警報音が鳴り響く。
「な…なに?」
「非常に強い霊波反応を確認、来ます!」
私が警報音にたじろいでいると艦橋下段から男性クルーの声が聞こえてくる。
琴里は報告を聞くと指を鳴らす。
「オーケイ。メインモニタに出現予測地点の映像を出してちょうだい」
琴里の指示でメインモニタに街の映像が映し出される。
映し出されたのは私もお買い物に行く時に通ったりもする大通りだった。
当然の事だけど人の姿はなく、ゴーストタウンを思わせる様子だった。
そんな映像の中心が撓んだ。
「え…?」
モニターが故障したのかと思った、けど違った。
何もないはずの空間に水面に石を投げ入れたときにできるような波紋が断続的に出来ていた。
「な、なにこれ…」
「ああ、士織は見るのは初めてだっけ?」
琴里がそう言うのと同時に小さな閃光がディスプレイに生じ、瞬間轟音と共に画面が真っ白くホワイトアウトする。
「――!」
私は両手で口を押さえ声にならない声を上げる。
数秒後、ディスプレイは再び景色を映し出した。
そこに映る景色は先ほどとはまったく違う物になっていた。
オフィスビルやショップが立ち並んでいた通りの一部がすり鉢状に綺麗に削り取られていた。
また爆発の余波のせいだろうか、街路樹や看板などは折れ曲がったり、建物のガラスなども軒並み割れてしまっている。
その様は、ひと月前に私が初めて十香と出会った場所と同じだった。
「これが…空間震…」
私が震える声でそう呟くと、琴里が「ええ」と言いながら首肯する。
「…精霊がこちらの世界に現界する際の空間の歪み。それが引き起こす突発性災害よ」
「……」
十香と出会ったときなどで廃墟を見たことはあったけど、実際に起こる瞬間をはっきりと見たのは初めてだった。
小さく指先が震える。
「ま、今回のは比較的小規模ね」
「そのようですね」
艦長席に座る琴里が腕組みをしながら言い、右斜め後ろに立つ神無月さんが相槌をうつ。
「僥倖…と言いたい所ですが<ハーミット>ならばこんなものでしょう」
「まぁ、そうね。精霊の中でも気性の大人しいタイプだし」
今のが小規模?
私は一瞬何を言っているの?と思ったが、すぐに思い直した。
確かに最初に十香と出会ったときはそれこそ被害範囲は直径で百メートルはありそうだった。
けど今回はだいたい十数メートルほど、何度も見てきたことのある琴里達にしてみれば確かに小規模なんだろう。
けど、頭では理解できても、早く大きく鳴る心臓は静まってはくれない。
「…ねぇ、琴里」
「何?士織」
琴里たちの会話の中に聞いたことのない単語を聞き、私は琴里に声を掛けた。
「<ハーミット>って、一体なんなの?」
「ああ、今現れた精霊の識別符号…まあコードネームよ。ちょっと待ってなさい。――画像拡大できる?」
琴里はそう言うとクルーに指示を出す。
すぐに映像がグングンとズームアップされてゆく。
「…雨?」
小さく呟く。
映像に雨と思われる水滴が降り注いでいた。
けどそれはすぐに気にならなくなった。
クレーターの中心に小さな少女の姿が確認できたから。
「……っ!?」
衝撃が全身を駆け抜けた。
画面の中心に映る、一人の少女。
その姿を私は一度見たことがあったから。
「あ、あの子…」
フードにウサギの耳のようなものがついた緑色のコートを羽織り。
左手にはウサギのパペットを付けた、十三か十四歳くらいの青い髪の女の子。
私の記憶違いか見間違いでなければ間違いない。
三週間前、十香が家にやってきた日に出会った女の子だ。
「…?どうしたのよ、士織」
私の様子を不審に思ってか琴里が怪訝そうに声を掛けてくる。
一度唇を湿らせると私は唇を開いた。
「私…あの子に、会ったことがある…」
「なんですって?一体何時?」
「三週間前…十香がうちに初めて来た日に…」
私はあの日のことを一つづつ思い出しながら琴里に話す。
一通りの話を聞いた琴里はクルーに指示を飛ばす。
「三週間前の一六〇〇時から一八〇〇時までの観測データを私の端末に出して。大至急よ!」
数秒後データが送られてきたのか琴里は手元の端末に視線を落とし、しばし見つめる。
「…目立った数値の乱れは確認できないわね。十香の時と同じか。…士織、なんで早いうちに言わなかったの?」
「だ、だって精霊だったなんて思わなかったのから…」
私が答えるのと同時に先ほどとは違う警報音が艦橋に響く。
「!?、こ、こんどは何?」
「精霊が現れたんだもの。動くのは私たちだけじゃないわ」
琴里のその言葉で私は分かった。
「AST…」
「そっ」
画面に再び視線を向ければ少女…<ハーミット>と呼ばれる精霊がいる場所に向けいくつもの白煙が向かっていくそして爆発が発生する。
爆炎と土煙の中から小さなシルエットが飛び出す、<ハーミット>だ。
彼女はパペットを掲げるような格好のまま宙を舞い、上空に浮遊するAST隊員たちの間をすり抜けるように身を翻し、飛翔する。
けどAST隊員たちは間髪いれずに対応する両腕や肩部に装着している機関砲やミサイル、ロケットなどなどありとあらゆる火器を使用して攻撃を行う。
「あ、危ない!」
私は思わず叫ぶ、がそんな声は無意味であり放たれた機関砲弾やミサイルは<ハーミット>に吸い込まれるように命中する。
「あんなに小さな子なのに…っ」
口に両の手をあて霞むような声でいう。
「…今更何言ってるのよ、士織」
琴里がそんな私を半眼で見ながら言ってくる。
「十香の時に学習しなかった?ASTにとって精霊がどんな姿形をしているかだなんて一切関係ないわ。あるのは日本、ひいては世界を守る使命感と、人類にとって最も危険な存在を排除するっていう至極まっとうな生存本能だけよ」
「だからって…そんな…」
私がそう呟いたと同時に爆炎の中から少女が再び飛び出してくる。
そして私は気づいた、さっきもそうだったが彼女は…<ハーミット>は一切の反撃などをせず只々逃げ回っているだけだったから。
「あの子は…反撃しないの…?」
「えぇ。いつものことよ。<ハーミット>は精霊の中でも極めて大人しいタイプだし」
「なら…っ」
「ASTに情けや容赦を求めるのは無駄よ。彼女が、精霊である限り」
「……っ」
琴里の言葉に私は唇を噛む。
自分でも分かっていた。
彼女の<ハーミット>の気性や性格なんてASTには関係ない。
彼らはただ、この世界に仇なす敵を討つだけなんだから。
それを止める方法は一つしかない。
私にしかできないこと。
「……琴里」
「何よ」
「私は――あの娘を、助けたい!」
琴里は無言で私を見つめ、口の端を僅かに吊り上げる。
「だから――手伝って!」
そこまで私が言い切ると、琴里はニヤリと口角を上げ、口にしたチュッパチャプスの棒をピンと立てる。
「それでこそ私のおねーちゃんよ」
そして身体を正面に向き直すと艦橋の全クルーに向かって声を投げる。
「総員、第一級攻略準備!!」
「「はッ!」」
その言葉に全クルーが一斉に返事をし端末を操作し始める。
琴里はその光景を眺めながら唇をペロリと舐める。
「さぁ…私たちの戦争<デート>を始めましょう」
次話投稿は11月第1週中には上げたいなーとか考えてまふ。
あ、あと凛緒リンカ―ネイション買ってきました。
しおりん可愛いよしおりんprpr。
あと凛緒ちゃんかわゆいですねー、もし書くならあれですかねー「士織ママー、凜祢ママ―」とか言っちゃうんでしょうねー(慈愛の眼差し)
ではでは。