支配者な眷属物語   作:珈琲飲料

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<ティアマト・ファミリア>遠征の話は置いといて、原作通りに進みましょうか。
また後日、遠征の話は書いていこうと思います。

そういえば今期の秋アニメはごちうさに期待しています。皆さんは何か気になるタイトルは見つけたでしょうか?
ごちうさは一期を見ていないですが早くも心がぴょんぴょんしています(笑)

お気に入り登録、ありがとうございました!

それでは第4話をお楽しみください!どうぞ!


4話 怪物祭

「ん……?」

 

<始まりの道>と呼ばれるダンジョンの入口を抜けて地上まで戻ってきた俺の視界に、巨大なカーゴの群れが飛び込んでくる。取り付けられた車輪を転がしながら進んでいく箱、それらが列を成してゆっくりと運送されていく様子を眺めていると、横から話し声が聞こえてきた。

 

「今年もやるのか、アレ」

 

「あんな催し飽きずに続けて、意味あんのか」

 

ああ、そういうことね。

 

終始笑いを交えて通り過ぎていく冒険者の言葉に、俺は大箱の中身を確信した。そういえばそろそろそんな時期だったか。

 

「アークさんっ!」

 

冒険者の会話から一人で納得していた俺に元気そうな、聞き覚えのある声が飛んでくる。

 

「お、ベルじゃないか」

 

とてとて近づいてきた兎に手を上げて久しぶりだな、と返す。

 

「お久しぶりです。それと遅くなりましたが遠征、お疲れ様でした!」

 

「ありがとう。ベルも少し見ない間にまた強くなったみたいだな」

 

「そ、そんなことないですよ」

 

ぽんぽんと肩を叩く俺に少しだけはにかんだようにベルは笑う。

 

「そういえばあの箱って何なんですか?それに怪物祭(モンスターフィリア)って……」

 

「ベルは初めてだったか。怪物祭っていうのはオラリオで年に一回開かれるお祭りのことだよ」

 

<ガネーシャ・ファミリア>主催で開かれるその催しはモンスターの調教を目的としている。モンスターの調教の様子を一般人に見せて楽しませよう!というのがコンセプトだ。

 

首を傾げて訪ねてきたベルに、そんなことを掻い摘んで話していると今度は心配そうに聞いてくる。

 

「でも、調教って危なくないですか?」

 

「そこは腕の見せ所だよ。ガネーシャ様のところは実力もあるし、調教(テイム)に関しては技術として確立されているから……ベルもやってみる?」

 

「遠慮しときます!」

 

神速の否定をしたベルはところで、と俺に話題を振ってきた。

 

「アークさんは誰かと一緒に行ったりしないんですか?怪物祭に」

 

「誰かと?そうだな……」

 

行くとしたら誰だろうか?リリアナを誘えば……間違いなく襲われるな。かといってほかの三人はこういう祭りに興味がないような気がする。他に誰か――――そこまで考えた俺の脳内に電流が走った。

 

「……いや、いる」

 

「ですよね。やっぱりアークさんぐらいにな―――」

 

「ベル、ありがとう!お前のおかげで最高の祭りになりそうだ!」

 

「え?あ、ど、どういたしまして?」

 

「こうしてはおれんな。さっそく行動を起こさねばっ」

 

ありがとうベル!もう一度お礼を言った俺は足早に<バベル>の出口へと歩き始めた。

 

「……何だったんだろ?」

 

最後まで状況を掴めなかった兎はぼそりと言葉を漏らす。騒がしさを増していく<バベル>の喧騒にその言葉は瞬く間に飲み込まれていった。

 

 

 

―☆―☆―☆―

 

 

 

「というわけで祭りに行きましょう!」

 

「どういうわけなのかまったく分からないのですが」

 

力説する俺を、リューさんは困惑した表情で見つめてくる。

 

ベルと<バベル>で別れた俺はダンジョンで得た魔石やドロップアイテムの換金もせずに全速力でリューさんのところへ向かっていた。<思い立ったが吉日>という言葉を教えてくれた極東の武神(タケミカヅチ)様に今、物凄くお礼を言いたい。

 

「だから怪物祭ですよ!今年は是非、リューさんと一緒に見て回りたいです!」

 

「怪物祭……ですか?」

 

そうです!と頷く俺にリューさんはいつぞや見た申し訳なさそうな顔をして口を開いた。

 

「お誘いは嬉しいですが……店を離れるわけには」

 

「ですよねー」

 

うん、何となく分かってたけどやっぱり忙しいよね。怪物祭のタイミングともなると普段より多くお客が入るなんて容易に想像ができる。

 

「申し訳ありません……」

 

「いやいや!俺のほうこそいきなりすんません」

 

目を伏せがちに謝ってくるリューさんに、慌てて言葉を返す。うむ、非常に残念だが今年は無理か。……なら今年もダンジョンにこも―――

 

 

「行ってやりな、リュー」

 

「えっ?」

 

諦めてダンジョン一人合宿の計画を立て始めていた俺の耳に突如、女神の慈悲が聞こえてくる。カウンターの向こうで何やら作業をしているミアさんの突然のお許しに、俺は目を丸くした。

 

「い、いいんですか?」

 

おそるおそる聞く俺にミアさんはふんと鼻息を鳴らす。

 

「リューは最近働いてばかりだったからね。……たまには羽を伸ばすことも必要だろう?」

 

そう言ってにやりと笑うミアさん。やだ、かっこいい。

俺の目には今のミアさんがどんな神よりも尊く、敬うべき存在に映っていた。店を照らす照明が後光のようにかかっている気さえする。……あれ?後光が差してるのって神様だったか?

 

「ただし!怪物祭までの間はみっちり働いてもらうよ!アーク、あんたも手伝いな!」

 

「了解です!」

 

そんな疑問を解消させるよりも先に、俺は速攻でミアさんの提案を了承した。断る理由なんてない。リューさんとデートできるなら深層の階層主とだってタイマンで戦える自信がある。

 

「それじゃあ改めて……」

 

隣に座るリューさんに向かい合い、手を差し伸べ、恭しく頭を垂れる。

 

「俺と一緒に来ていただけますか?」

 

そっと重ねられた細い手。頬を染めたリューさんが微笑んだ。

 

「はい、喜んで」

 

ちなみにこのやり取りだけをほかの店員に見られ、あらぬ誤解をされてしまったのはここだけの話。「リューが求婚されてるニャー!?」とのたまった猫人(キャットピープル)には俺とリューさんからチョップを入れておいた。

 

 

 

―☆―☆―☆―

 

 

 

<豊穣の女主人>で手伝いを始めてから三日が経過した。

怪物祭当日である今日は大通りがいつも以上に込み合っており、その大通りから少し離れた銅像の前に俺は立っている。

 

「少し早く来ちゃったか……」

 

待ち合わせの時間より三十分ほど早く集合場所に到着した俺は、それでもリューさんを待たせるよりはましだと自分に言い聞かせた。落ち着きなく鼓動する心臓を鎮めようと集合場所に建っている銅像を見上げる。

 

「……いつ見ても独特なセンスだ」

 

一気に気持ちが萎えたというか、落ち着いたというか……。

謎のポーズをとった群衆の主(ガネーシャ)像を見上げていたらだいぶ気が静まったような気がする。

 

「アーク」

 

そんな謎の銅像のおかげで気が緩んだ俺の耳に待ち人の声が聞こえてくる。

 

「お待たせして申し訳ありません」

 

「いや、楽しみ過ぎて早く来ちゃっただ―――」

 

耳を癒す可憐な声が聞こえて振り返った俺はいつもと装いが違うリューさんに目を奪われた。

 

「あの、アーク?」

 

白を基調としたワンピースに首元で控えめに光るペンダント。普段のウエイトレス姿を見慣れているせいか、清楚な感じで着飾った今の姿は新鮮で、凄く眩しい。

 

いや断言する。めちゃくちゃ可愛い!

 

「リューさん!今日の服すごい可愛いです!」

 

手を握って早口でまくし立てる俺に、一瞬だけ呆気をとられたリューさんはほんのり顔を朱くさせて俯く。

 

「ありがとうございます」

 

消え入りそうな声で呟くリューさん。その間、耳はピコピコと動いている。照れているその様子をもう少しだけ見ていたかったが。

 

「は、早く行きましょう!」

 

手をぎゅっと引っ張って、俺を賑々しい雑踏の中へ誘っていった。

 

 

大通りにはたくさんの出店が軒を連ねる。手軽に食べられる料理や怪物祭にちなんだアクセサリーを売る店を見ながら、さすがオラリオだと内心で思った。

 

「これからどうします?」

 

「腹ごしらえでもしてから闘技場に行こうかと。リューさん何か食べたいものとかあります?」

 

これからの予定を聞いてくるリューさんに闘技場へいくことを告げて、ついでにメニューのリクエストを聞く。珍しいものを売っている屋台があれば立ち止まって冷やかしをしていたので、時刻は昼を少し跨いでいる。そろそろ腹が減ってくる時間だろう。

 

「私は何でもいいです。アークが食べたいものを選んでください」

 

そう冷静に言うリューさんだが若干視線が揺らいでいる。視線の先は―――クレープだな。

 

「ならあそこの屋台のクレープでも食べますか」

 

ちらちらと屋台を見ていたリューさんが少し驚いたように俺の方を向く。あれだけ見てたら普通に気付くような気がするけど、それはこの際気にしない。

 

「はい、どうぞ」

 

「ありがとうございます。……それとアーク」

 

買ってきた焼き菓子をおずおずと受け取ったリューさんは少し考える素振りを見せると、なぜか受け取ったばかりの焼き菓子を俺に向けてきた。

 

「あーん、です」

 

「……なぬっ!?」

 

予想してなかった突然の攻撃に俺は思わず絶句した。いや、すごく嬉しいよ?でもいつものリューさんならまずしないというか……。

 

「男の人はこうすると喜ぶのだとシルから教わりました」

 

そういって種明かしするリューさん。見ればリューさんも恥ずかしいのか、顔を真っ赤にさせている。

 

……シルさん、あんた流石やでぇ。

 

道化師(ロキ)様の口癖が移ってしまうくらい動揺した俺に、さらにリューさんが焼き菓子を突き出してくる。

 

「は、恥ずかしいので早く私(の焼き菓子)を食べてください!」

 

「リ、リューさん!? それセリフがアウトです!」

 

聞く人が聞けば誤解を生んでしまう言葉を放つリューさん。それを慌てて落ち着かせようとする俺。いかん、ここまで騒ぐと―――

 

 

 

――――『殺スゾ?』

 

「ひっ!?」

 

突如、殺気をはらんだ視線を一斉に浴びて思わず声を出してしまう。気が付けば近くを通り過ぎていく冒険者(野郎共)が忌々しげにこちらを見ているではないか。

 

「リューさん、ここじゃダメです!場所を変えましょう!」

 

「ア、 アーク?」

 

とりあえず通りを抜け出さなければ! じゃないと俺が殺される。

 

ぽかんとするリューさんを連れて、俺は大急ぎで出店が並ぶメインストリートを通り抜けた。

 

 

 

 




第4話、お読みいただきありがとうございます!いかがだったでしょうか?

怪物祭は2話構成にしたいと考えています。次回に戦闘でも……
ヴァレン某さんと絡ませましょうか。

ご意見ご感想いつでもお待ちしております!それでは次回またお会いしましょう!

※文章変更

冒頭部分のベル君のセリフ
「お久しぶりです。それと遅くなりましたが遠征、お疲れ様です!」

「お久しぶりです。それと遅くなりましたが遠征、お疲れ様でした!」
に変更しました。過去形にしないとなんか気持ち悪いですよね。




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