Fate/grand order ~精神の顕現者~ 作:刃留兎
魔物が再び、こちらに向かって襲ってきた。
「・・・・・・やれ、イザナギ」
イザナギが魔物に向かっていく。魔物が降り下ろしてきた剣を軽々と避け、イザナギがカウンターを行い、魔物を真っ二つに切った。
「GIーーーーーGAAAAAAAAAAA!!」
魔物が悲鳴をあげる。それを気にせず、イザナギはどんどん敵をなぎっていった。魔物の方も、学んだのか、三体同時に攻撃してくる。俺は、イザナギに指示を出した。
「イザナギ、[スラッシュ]!!」
イザナギが俺の言葉に答え、横に薙刀を薙ぎる。すると、襲ってきた魔物があっという間に真っ二つになった。更に攻撃を加える。
「[ジオ]!!」
遠くにいる弓兵の骸骨に雷が激突。一瞬で丸焦げになる。
十分も経てば、敵はほぼ全滅していた。
「先、輩?」
「マシュ!目が覚めたか?」
魔物が全滅してから暫く経つと、マシュが目を覚ました。
「これは、一体・・・」
「こ、これは・・・・あ、そうだ!こいつだよ」
自分の後ろに立つイザナギを指す。それと同時にイザナギが粒子に変化、カードへと戻る。そして自身の体の前に降りてくると同時に消える。それと同時に、自分に何か、新たな力が宿るのが分かった。
「あの、今のは?」
「イザナギ。俺の、[ペルソナ]だ」
「ペルソナ?精神論のお話ですか?」
それもペルソナだが、違う。説明しようとすると、マシュの通信機に連絡が入る。
『あ、繋がった!もしもし、こちらカルデア管制室。聞こえるかい!?』
・・・誰かと思ったら、フワフワ医師、ロマン君だった。
『今、何か失礼なこと言わなかった!?』
「ドクター。こちらAチームメンバー、マシュ・キリエライトです。現在、特異点Fにシフト完了しました。同伴者は神代真一名。心身共に問題ありませんレイシフト適応、マスター適応、共に良好。神代真を正式な調査員として、登録してください」
「やっぱり・・・・いないと思ったら、真君もレイシフトに巻き込まれたのか・・・。コフィン無しでよく、意味消失に耐えてくれた。それは素直に嬉しい。色々聞きたい事は有るんだけど・・・。まずはマシュ!!君が無事だったのも嬉しいんだけど、[それ]は、どういうことだい!?ハレンチ過ぎる!ボクはそんな子に育てた覚えはないぞ!?」
ロマンがマシュの格好を見てそう言う。確かに、あのマシュがいきなりこんな格好をしてれば、驚くだろう。マシュが答える。
「え・・・・これは、変身したのです。カルデアの制服では先輩を守れなかったので。・・・・・・・もっとも、そんな必要は無かった様ですが」
「へ、変身?何を言ってるんだい、マシュ?頭でも打ったのか?それとも先ので・・・」
「・・・・Dr.ロマン。ちょっと黙って。私の状態をチェックしてください。それで状況は理解して頂ける筈です」
「君の身体状況を?ほお・・・・・おお、おおおおぉおおおおお!!?」
マシュに言われ、ロマンがデータを見ると、大声をあげた。
「・・・・あの、ロマン。うるさい」
「右に同じくです」
「す、すまない。いやそれより!!」
ロマンがデータの報告をする。
「身体能力、魔力回路、全て向上している!これじゃ人間というより・・・」
「はい。サーヴァントそのものです。経緯は覚えてませんが、私はサーヴァントと融合した事で一命を取り留めた様です」
マシュの話では、元々特異点F用に用意されていたサーヴァントが先の爆発でマスターを失い、消滅の寸前だった。だが、同じく命を失う寸前であったマシュに契約を持ち掛けてきたらしい。『英霊としての能力と宝具を譲り渡す代わりに、この特異点の原因を排除してほしい』と。
「人間と英霊の融合・・・デミ・サーヴァント。カルデア六つ目の実験だ」
ロマンが呟く。
(デミ・サーヴァント?)
「マシュ。君の中に英霊の意識は?」
「ありません。彼は私に戦闘能力を託し、消滅しました。最後まで真名を告げず。ですので、私が何の英霊なのか・・・・」
「そうか・・・・だがまあ、不幸中の幸いだな。召喚したサーヴァントが協力的だとは限らないから」
「あの・・・質問をいいか、ロマン」
「?。どうした、真君」
「[ペルソナ]って、知ってるか?」
ロマンに自分の力について聞いてみる。
「ペルソナ?・・・精神論なら知ってるけど、魔術はな・・・・すまない。ボクは分からない」
「・・・・そうか。いや、ありがとう」
「いいさ。ボクも力になれなくてすまない。それより真君。そちらに無事シフト出来たのはキミだけの様だ。あと、申し訳ない。何も事情を説明しないまま、こんな事になってしまった。だが、安心してくれ。キミには、武器がある。マシュと言う人類最強の武器が」
「最強と言うのは言い過ぎです。・・・先程もピンチでしたし。私なんかより、先輩の方がよっぽど・・・」
マシュが困った顔をする。するとロマンが気づいた様に聞いてきた。
「そう言えば、どういうことだい?真君自体も武器を持ってるって事かい?。まさかさっきのペルソナと関係が?」
「ああ。その事なんだけど・・・」
ペルソナについて話をしようとすると、ノイズが走り始める。
『くっ。やっぱり甘かったか。真君!サーヴァントは人類最強の武器と言っても他言ではないが、弱点もある。それは魔力供給源・・・マスターがいなければ消えてしまうと言うこと。現在のデータを解析中だが、これによればマシュはキミの使い魔となっている』
「マシュが俺の?」
『ああ。つまり、キミがマシュのマスターだ!キミが初めて契約した英霊が彼女と言うことだ』
ノイズが酷くなっていく。
「ドクター、通信が乱れています。通信途絶まで、あと十秒」
『そうか。詳しい説明は後だ。二人とも、そこから2キロ先に霊脈の強いポイントがある。何とかそこまで辿り着いてくれ。いいかい?くれぐれも無茶は控える様に。こっちも出来るだけ早く電力をーーーー』
ブツンと音がし、通信が切れた。唐突だった為、目を見開く。マシュは固まってしまっている。
「・・・・よし。まずは移動しよう」
「はい。頼もしいです、先輩。実は物凄く怖かったので、助かります」
確かに、辛いだろう。いきなりこんな場所に転移され、その矢先にあの魔物だ。
「キュ。フー、フォーウ!」
フォウも、自分も居るぞとばかりに鳴く。
「そうでした。フォウさんも居てくれたんですね。応援、ありがとうございます」
「フォーウ!」
どういたしまして、とでも言うように鳴く。
「・・・あ、どうしましょう。ドクターに報告し忘れていました・・・」
「キュ。フォウ、キャーウ!」
「ドクターなんて、気にすんな、だってさ」
「・・・そうですね。フォウさんの事はまた後で報告しましょう。では、出発しましょう」
「ウ~ン。あれが、オレ意外のペルソナ使いか。まだまだじゃん」
そんな真達を、上から見ている一人の少年がいた。
「あれじゃあ、勝てないよ。フラロウスだけでなく、オレにも」
そう言って笑う少年の手には、真と同じ0のナンバーが入ったペルソナカードが握られていた。