-中央・勝山拓哉曹長side-
「こちら勝山、ターゲットを無事保護した!総員、持ち場を放棄して撤退せよ!繰り返す、持ち場を放棄して撤退せよ!」
『『了解!』』
俺たち中央班は目的の少女を確保した。そこで俺は無線機に向けて分隊隊員に撤退の指示を出した。
指示を出してすぐさま死亡した隊員の処理を済ませ、早々に俺たち2名の隊員と少女の3人で建物から脱出し奴らを排除しつつ壁まで走っていった。
-左翼・奥田咲軍曹班side-
『…持ち場を放棄して撤退せよ!』
「了解!」
レシーバを取った奥田は苦しい顔をしながら返答する。
「…奥田軍曹。それでどうしますか?奴らたくさん居ますよ…?救援を呼びましょう。」
福田が機関銃を撃ち冷静さを装って奥田に言うが、実際、福田の言う通りで感染者100体は超える数がここに殺到してきている。仁科も福田の言う通りだと首を縦に振る。
今は機関銃掃射で何とか接近を拒んでいるが、撤退となれば別だ。救援を呼ぶのがいいだろう。・・・だが
「いえ、助けなど必要ないでしょう。私たちにはとっておきがあります」
「とっておき?」
「そうアレです。」
そう言う彼女は怪しげな笑みを浮かべる。
「アレ…とは…?」
「わかりませんか?演習でよくやったアレです。」
「え…?まさか…」
2人は悟る。
「…堂々と敵中突破します!」
「……………」
2人は一瞬耳を疑った。堂々と…?
「はい?!正気ですか!?こんなにいるんですよ!あっという間に囲まれて・・・食われるのはイヤっす!」
「そうですよ!何でですか?!」
2か月前、第3連隊第二次歩兵演習が行われた。第7監視分隊からは奥田軍曹を指揮官に、田中伍長、福田圭介一等兵、仁科駿二等兵、箕田ダニエル上等兵の5人が出場した。
演習のプログラム、森林戦の一幕で奥田軍曹指揮の分隊は他の分隊と模擬戦をやったのだが、心理戦で勝利を掴むと考えた彼女は突撃を命令、数十分後には見事全滅判定をくらった。突撃で無鉄砲に突撃したため隊はいつの間にか散り散りになり1人ずつ敵役の分隊に囲まれ各個撃破されたのだ。
演習後に勝山から叱咤を受けたが奥田はむしろ喜んでいたそうだった。
奥田は他二人の反対を屁ともせずに言った。
「カッコイイじゃないの~!敵中突破って!一度やってみたかったの(≧∇≦)bあとで隊長に誉めてもーらおっと!」
「「ぇぇえええぇぇぇ?!?!?!」」
「さぁ行くわよ!2人とも!」カチっヒュイっ
そう言うと奥田は開幕の合図にと破片手榴弾を奴らの中に投げ込み、爆発。爆心地に道が開いた。突破口ができたと同時に銃剣付き小銃を抱え、銃を腰だめに乱射、突っ込んで行った……。
唖然とする二人。
「「……しゃあねー!どうにでもなれっ!」」
遅れて2人も奥田に続いて銃剣を着剣し突っ込んで行った……。
-右翼・田中雅史伍長班side-
『…持ち場を放棄して撤退せよ!』
「了解!」
田中伍長が勝山曹長の命令に返答を返す。
「よし、村石(ムライシ)!箕田(ミノダ)!撤退準備!撤退ルートの脅威を徹底的に狙撃してから開始するぞ!」
「了解!」
「了解です。」
「箕田上等兵はその狙撃銃で撤退ルートの奴らを掃除。村石兵長は観測手をやれ。」
「「了解です。」」
箕田は7.62mm口径のボルトアクション式の狙撃銃・Ⅿ24で狙撃、観測手・村石は数m横で双眼鏡を覗いて風向き目標の位置を狙撃手・箕田に知らせる。箕田の給弾中は村石が89式小銃で素早く狙撃し撤退予定ルート上の奴らを排除していく。
が、しかし…
ズゥゥン
「?」
村石は1体の敵が狙撃で倒れたのを確認し次の目標を狙い始めたとき、妙なものがスコープに映ったのに気づいた。
「…なんかデッカいの来ましたよ…?」
直後に箕田も認識したようだ。
「なんやアレ?とにかくさっさと始末して逃げんと!」
「やつの頭を狙え!一発で仕留めろ!」
「了解っ!」
3人の200m手前の建物から出てきたのは武者鎧兜のようなものを着た2mほどの大男だった。
箕田は妙に思いながらもボルトを引いて装弾し照準を兜かぶとに定め、狙撃した・・・が。
キンっ
「?!弾いた?!」
それを見た3人とも脅威と判断して大男に対して機関銃小銃狙撃銃ですぐさま連続して銃撃を加えた。
ダーン!キンッ!ダダダッ!キンキンキン!ダン!キンッ!
しかし、大男に銃弾を浴びせたものの、全く効果のないようだった。
「「「嘘だろ?」」」
銃弾を弾きながら迫ってくる男に戦慄を抱いた。
「……何やってる?!あんなデカ物さっさと始末して撤退するぞ!」
「伍長!銃弾はじきましたよ!アイツ!」
「重火器もってくりゃよかった・・・これから帰るってときに・・・!ついてない!」
田中班ではそもそも狙撃中心の作戦を想定していたため、機関銃はあるものの対戦車ミサイルなどの重火器を持ってきてなかった。
「とにかく撃て!撃て撃て!アイツを近づかせるな!」
カチっカチャっダン
ダダダダダダダっダダダっ
キンっキンっ
必死に3人は手持ちの火器で銃撃を浴びせるが大男は止まる気配がない。状況は変わらず、ジリジリと接近されていく。
「アカン、これアカンやつや・・・」
「ここは、後方に撤退すr」ザッシュ
「「え…?」」
二人の目の前で田中伍長の首が飛んだ。
「…………………」
「っく、来るな!」タタタタッ
「うわぁぁぁ?!」パンッ
田中班は目の前の大男に注意を向けてしまって、周りから集まっていた奴らに気づくことができず、一気に囲まれ1人ずつ奴らの餌食になってしまった・・・。
次話:壁内へ
独り言:10日後、採用試験だ……。