Fight for Survivor!   作:藤原守理

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お疲れ様です。続きをどうぞ。


第4話「帰還」

-4月10日-

-秋雨市北東第3ゲート-

 

 

 

 

 日も大方暮れ美しい夕暮れが見える。そんな中、勝山が率いる中央班は大勢で押し寄せてくる感染者の襲撃を無事に切り抜けることができ、保護対象の少女を連れて門前にたどり着いた。すると、

 

 

 

 

「おぉい!勝山!あの大群は一体何だ?!」

 

 

 

 声のした方を見上げると同期の宮下誠(ミヤシタマコト)が見えた。

 

 

「説明はあとだ!奴らをなんでもいいから砲撃でもなんでもしてくれ!」

 

「っ!わかった!」

「おい聞こえたか!砲兵班はそこの壁上砲と監視所から81mmを引っ張り出して奴らに砲撃しろ!81mmは設置しだいすぐに方位計算して撃ちこめ!」

 

「了解!」

 

 

 宮下が部下の分隊員に的確に命令を下す。

 

 

「勝山、今すぐ門を開ける!」

 

「助かる!」

 

 

 

 すると20秒も経たないうちに門が開いた。

 

 

 目の前の門が開き俺たち4人は素早く壁内に入った。

 

 内に入ってまず保護対象の少女を屯所の空室に一時身柄を置き女性の隊員に監視を任せた。俺たちはひとまず壁上の監視所に戻り今回使用した装備の点検を行うことにした。

 

 

 

 

 

-北東防壁壁上-

 

 

 

 

 

 

「…準備よぉし!」

 

「よぉい撃てぇ!」

 

パシュンッ

 

 

 

 

 壁上では第6分隊と第7分隊の兵士たちが105mm壁上砲の105mm多目的弾や81mm迫撃砲L16の砲弾を壁外に向けて砲撃していた。壁外に集まってきていた感染者の大群は砲撃の斉射をもろに受けて、まるでポップコーンがはじけるようにして弾け飛んでいた。

 その横では壁に備え付きの12.7mmM2重機関銃の連続した金切り音が鳴り響き、手持ちの小銃で銃撃を行う隊員の姿が見受けられた。

 

 

 

「勝山…今度は何しでかした?」

 

 

 監視所の入口に宮下が煙草を咥え立っていた。宮下誠、こいつとは入隊当初から絡んでいる同期でみんなからは「先生」と呼ばれていた。あだ名の由来は外見が眼鏡をかけていて精悍とした顔立ち、秋雨市防衛大学次席卒業だったからだ。そんな優秀なやつだったが何故か幹部養成学校に入らずに下士官の曹教育課程から入隊していた。だが、元々有能だったのか曹長どまりの俺に比べて…

 

 

 

「宮下少佐!先程は失礼しました!」

 

 

 

 26歳という若さで少佐の地位にまで昇進していた。俺は30でやっと曹長だってのに。

 

 

「ん?さっきの言葉遣いか?気にすんな。俺たちの仲じゃないか。」

 

「ならいいですが…」

 

「前から敬語なんていらないって言っているじゃないか。普通に話せよ。」

 

 

 宮下は眼鏡の位置を正して微笑む。

 

 

「…なら、今回も助けてくれてありがとな。」

 

「おう!まぁまた今度飯おごってな!……それより今回はどうした?」

 

 

 報酬を要求する宮下だったが、急に声を潜めた。

 

 

「白人の女の子を1人救出した。記憶消失になっていて身元は分からないが…。」

 

「白人?」

 

「そう白人だ。」

 

「なぜ白人がここに?もう国内の白人はほとんど死んだか国に戻っていなくなっていたはず。」

 

「俺にはわからん。」

 

 

 日本にはかつて、米国陸軍第1軍団・海軍第七艦隊・第5空軍・第3海兵遠征軍が駐留し東アジアの脅威に目を光らせていた。

 

 殺人病のウイルスが日本国内に侵入してきた当初、全ての部隊が日本各域・大陸方面・太平洋上・米国本土防衛に展開したが、大半の部隊が感染者の数に耐え切れず基地ごと飲み込まれたり、混乱に乗じて大陸より飛来したミサイルの雨を浴びて壊滅している。

 生き残った在日米軍は本国からの救援要請で日本からできる限り自国民を艦船に乗せて感染で混乱する日本から去っていった。

 

 

「大変なことに巻き込まれそうだな。勝山。」

 

 宮下が煙草を旨そうに吸い煙を出しながら呟く。

 

 

「大丈夫さ。いつもみたいに何とかするさ。」

 

 

 俺は自信を見せつけようと右手で胸を叩く。

 

 

「そっか、とりあえず手が必要になったらまた呼んでくれ。仕事がある。」

 

 

 宮下は吸い終わった煙草を踏みつけ火を消した。

 

 

「了解。またな。」

 

「忘れんなよ今度飯頼むぞ!」

 

 

 

 宮下はそう言って下への階段を下りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…隊長…!!!」

 

 

 

 

 そうこうしているうちに苛烈な地面を耕す銃砲撃の中、入れ違いに半丸焦げ状態になって奥田軍曹の左翼班が戻ってきたようだ。

 

 

 

 

「お前ら無事だったか!救援は必要なかったか?負傷はないか?」

 

 

 

 見る限り戦闘服や装備はなぜか焦げているが傷は少なそうだった。

 

 

「はい!全く問題ありませんでした!」

 

 

 そう答える奥田は何やらニヤついて輝いていたが、後ろの2人は目が死んでへとへとになっていた……。

 

 

 

「…?後ろの2人はどうした?見るからにやつれてるが…?」

 

 

 

「大丈夫です!それにしても何も問題が起こらなくて良かったです。」

 

 

 奥田は微笑み代わりに答えていた。奥田軍曹たち3名は黒こげになりつつも奇跡的に装備が焦げているだけのようだ。

 

 

 

「まぁ、そうだな。無事に帰って来れて。見たところ本当に問題は「…問題?問題はありましたよ…。」」

 

 

 

 

 疲労困憊の福田と仁科が唐突に口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…奥田軍曹がいきなり奴らに凸ったんすよ!」

 

 

 福田が奥田を指差し睨みつけた。

 

 

「そうっす!何回奴らに噛まれるかと思いましたよ…!ただのライフルだけだったら今ここに立ってなかったっすよ!おまけにそこらで榴弾の飛び交う中に奥田軍曹が闇雲に突っ込んだんですよ?!」

 

 

 

 

 仁科も同様であり、2人は奥田に引きずられるかのように壁からの砲弾の雨と感染者の群れの中央を無理やり突破していったと迫真に迫って証言してきた。

 

 

 

~3人の回想~

 

『ひぃぃぃぃぃ』

 

『福田!右!怯えんじゃない!それでもチ○ポ付いてんのか?!』

 

 周りからは感染者の大群、頭上を掠め近くに着弾する無差別砲撃の中、3人は銃弾をバラマキ進撃している。

 

 

 

『ホゲェェェェェ!』

 

 突如3人の傍に砲撃が当たって近くにいた仁科が上空に吹っ飛ばされる。

 

『にしなぁぁぁぁ!!!!!』

 

 

 福田は叫び仁科はそのまま地上に激突するかに見えたが奇跡的にハリウッドスター並みの受身で着地。

 

『…アレ?俺生きてる…』

 

『仁科ぁ!行くぞゴラァ!福田も突っ立てんな!』

 

『『YES!MAM!』』

 

 奥田の怒鳴り声で再び突き進むがそのあとも2人は何度も死にかけながらも砲撃の中を駆け抜け…

 

 

 …今に至る。

 

 

~回想終了~

 

 

 

 勝山は2人の回想場面をテレパシーで感じ取り2人の境遇を悟る。それを知らずか奥田が嬉しそうに報告するのとは反対に部下2人が激怒している。……敵中突破っておい。それでか全身まっくろくろすけなのは…。

 

 

 

 

「あっ?そんなこと?気にしない気にしない!」

 

「はいぃぃ?!あの砲撃食らってたら3人まとめてオシャかになってましたよ!」

 

 

 2人の抗議を聞いた奥田は軽く受け流したため何度か走馬灯を経験した2人はブチギレていた。

 

 これはまずいと思った俺は、

 

 

「奥田……お前はあとで懲罰房行きだ」

 

「そ、そんな!?隊長、イジメですかっ?!無事に帰ってきたカワイイカワイイ部下に対して!むぅん嬉しっ!あっでもまさかあの房ですか…?」

 

 

 

 奥田が逆にブーブー言ってくる。おまけに急に可愛子ぶっている。気味が悪いくらいに。

 

 

 いや…でも…こうしておかないと…後ろの2人(福田&仁科)の視線がなんかヤバいし…。

 

 

 

「とにかく、1日だ、1日だけ我慢しろ!仲間の危険を冒して敵中突破やったり、極め付きは砲撃の中を無理やり突破し部下を危険にさらした罰だ!」

 

 

 

(と、言いつつも、俺もあの女の子救助のために装備不充分で出動命令出しちゃったしな………)

 

 

 

「鬼~!勝山鬼曹長!…って仕方ないですね!懲罰房から出たらたくさん●●●やXXXXしに行きますからね!」

 

 

(おい。やめろ。みんな一瞬凍りついたぞ。人前で肉体関係があったかのように誤解される…大声で喚くな!)

 

 

 

 奥田軍曹はその後、なんかプンすかプンすか怒りながら1人で行けますと言い、懲罰房のある方へ歩いて行った。残された俺に対する周りの視線が痛かった・・・。

 

 

 

 

 

 

 それから3時間待ったが、いっこうに田中伍長の右翼班が戻ってくる気配すらなかった。俺は上に田中班の捜索隊派遣を要請し、今回の作戦の損害は大きかったと反省した。

 

 

 それにしても、昔よくやった某ゾンビゲームに出てくるような生物兵器のようなアレは何だったのだろうか?

 もしかしてあの大男の残骸にあったコード名の『made in outside』って・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…おい!勝山!下でお前んとこの小隊長がお呼びだ!女の子の件だそうだ!」

 

 

 

 去ったはずの宮下が伝令にきた。

 呼び出しがかかったため、それはそれとして深く考えるのはあとにして上官の小隊長の元に赴いたのだった。

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