……ふぅ、何とか間に合ったな、まさかチョップチャプスがきれてるとは思わなかった、この辺はコンビニも少ないから行って帰るだけでも時間がかかるんだよ、そのせいで買いに行って帰って来たらHRぎりぎりの時間になった
……なんだよ、そんなもん帰りに買えって?よし、ちょっとこっち来いや、チョップチャプスの素晴らしさを肉体と精神に刻み込んでやるから
んんっ!すまんな少し取り乱した、確かに高校は怠いがあの中学の時の騒動やらなんやらから解放されたかと思うとモチベーションが上がってるみたいだ、大変だったからなぁ、本当に
でもまぁ、あいつと会うのもほとんどないだろうしなぁ、それは若干残念?かねぇ、性格は似てたしダウナーでめんどくさがりとなかなか気が合ったな〜………そのせいで厄介なことにも巻き込まれたが
っと、着いたけどなんかおかしい、普通新しいクラスってもっと騒がしいと思うんだが今は全く騒がしくない寧ろ静かだな、なんでだ?いや一応話し声は聞こえるな、多分男の声だがそれしか聞こえん……まぁいいや、とりあえず教室入るか
ガラガラ
ドアを開けて中に入るとかなり変な空間だった、俺が入っても誰も反応せずにクラス全員がある一角の様子を伺っている、いや別に自意識過剰なんじゃなくてHRの時間ぎりぎりに教室に誰か入って来たら視線向けるだろ?普通
それが全くなく窓際に座っている二人の男女に視線が向かっている、男の方は何と言うかあれだ、イケメンだ、しかも爽やか系の男女両方に受けがよさそうな、生粋のイケメンだな、で女の方は
………なんでお前がいんだよ、またかまたなのか、結局俺は普通に過ごせないのか?いやまだだ、まだ大丈夫だ、この中であいつと俺が知り合いだと知ってる奴はいねぇ、他人のふりをしてやり過ごしたら大丈夫な筈だ
とりあえず空いてる席は………あいつの隣しかない、名簿の順じゃないのか?あぁ、あれのせいか、黒板に書いてある席は適当に座ってて下さいっていう俺に対する嫌がらせとしか思えない指示のせいか
あいつが座ってるのは窓際の1番後ろでその前に座ってるのは爽やかイケメン君、あいつの隣に座ろうとする猛者が居なかったんだな、まぁ無理だよな、あいつに初対面で何かアクション起こすのは、そう考えるとあの爽やかイケメン君は凄いな、多分初対面なのに全く頓着せずに話しかけてるし……あいつがそれに対して反応しているかは別にして
さて、ぐだぐだ考えてても仕方ないしあいつが反応しないことを願って逝くか
スタスタ、カタン
……よし!多少見られたが普通に座れた、これでこのままHRが始まって何事もなくいけたら
「久しぶり、悠夜」
良かったんだけどなぁ〜、そんなことある訳もなく……はぁ
「……はじめまして」
俺が顔を背けながら初めて会いましたみたいな挨拶をしたらめっちゃ微妙な顔をされた、何言ってんのコイツ?って感じだな
「希咲はこの人と知り合い?」
「しょた「中学の時の同級生」……」
初対面って言おうとしたら先に潰された、普段めんどくさがる癖に何でこんな時だけ反応が早いんだよ
「そうなんだ、これから一年間よろしくな悠夜」
ニッコリと嫌味じゃない爽やかな笑顔で初対面の俺に挨拶をしてくるイケメン君。ナチュラルに名前で呼んできたけど訂正すんのも面倒なのでスルーだ、別にどう呼ばれようが関係ないしな
というか今のイケメン君の笑顔でこのクラスの女子の大半がほぅ、と熱っぽいため息をついていた……こいつに関わったら駄目だ、厄介事の気配がする
「……一年間よろしくイケメン君」
「なんだよイケメン君って、あぁ!そうか名前言ってなかったな、俺の名前は植野 春秋って言うんだ、気軽に春秋って呼んでくれると嬉しい」
「分かった、植野だな」
「や、春秋って」
「植野だな」
「春あ」
「よろしく植野」
「……もう植野でいいです」
イケメン君こと植野君は諦めたように力無く了承した、中々おもしろいが深く関わるのはめんどくさそうだから絡まないようにしよう
……はぁ、そろそろ現実逃避も限界か、しかたない
「久しぶり、って言っても一ヶ月ぶりくらいだったな希咲」
「そうだね」
なんとも形容しがたい顔でこっちを見て……傍目からは睨んでいた希咲にも挨拶する。なんかもはや普通の学園生活が過ごせない気がする、切実に
「ていうかお前引越したんじゃなかったのかよ」
「ここから20分くらいのとこに引越した」
「……まぎらわしい」
「どこに引っ越すかは言ってなかったかしそっちが勝手に勘違いしてたんだからぼくは悪くない」
「まぁ確かに、でも何でこの高校なんだよ、お前の頭だったらもっと上の……いや、どうせ家が近いからとかいう理由だろうな、希咲だし」
「失礼な、その通りだよ、でもそれを言ったら悠夜も同じだろうに」
「あってたのに何で俺は怒られたんだよ、それから俺にはこのレベルで限界だ」
これ以上勉強するのはめんどくさかったし
「相変わらずだね」
「お前にだけは言われたくねぇよ」
と言い終えたところで担任らしき人が入って来て入学式をするために体育館にクラス全員で移動した、で今はおそらく何処の学校でも恒例の校長のやたら長い無駄話を聞いている。が、やはりというか、なんというか、植野と希咲の周りの生徒は二人のことをチラチラと見て校長の話なんか欠片も聞いてねぇ
そりゃそうか爽やか系イケメンである植野にあの希咲が近くにいるからなぁ
ん?植野は分かったけど希咲の方はなんでかって?……そう言えば言ってなかったな、あいつらの対処方を考えてたからすっかり忘れてた
まぁあれだ、簡単に言うとだな、美人なんだよあいつは(この場合は美少女か?)……ただ美人なだけだったら良かったんだが希咲は美人の前に超絶とか付くクラスの容姿をしている
形容の仕方としておかしいと思うが美少女の天才とかそんな感じだ、それこそ植野君が霞むくらいのレベルで、だ
なんでそんな美人で頭もいい希咲が性格が多少似ていただけの俺と仲がそれなりに良かったのかというとだ、これもあいつの容姿、というよりも見た目が関係してた
確かにあいつは近寄りがたいレベルの美人だったがそれだけだったらそれでも近づこうとしたりする奴がいただろうが、それだけじゃなかったんだよなぁ
何と言うか、相手を睨み付けるような、それでいてやる気がないような、死んでいるような、全く活力とか覇気が感じられないダウナーな目をしていて、しかも普段からデフォルトでムスッとした表情をして学校で生活してたから中学生の弱いメンタルでは話し掛けることすら出来る奴がいなかった
まぁあんな『世の中全部恨んでます』みたいな目をしてたら無理だわな、んで、長くなったが俺と希咲がそれなりに仲が良かった理由っていうよりきっかけだな
そんなたいしたきっかけでもないんだが、あれだ、類は友を呼ぶ?ってやつだな……友かどうかはわからんが
中一のときにペアになって作業をするっていう小学生かよとツッコミたくなる授業があったんだが、希咲も俺も他のクラスの奴らがペアが決まっていく中でぼーっとしてて気付いたら残りは俺らだけ、で、なし崩し的にペアになった
……おい、誰だ?お前友達いないのかよって言った奴、逆に聞くが精神年齢が倍以上離れた奴らとどうやって仲良くしろと?俺にはめんどくさくて無理だ
話しがずれたな、って言っても後は特にすごいことがあった訳でもない、ペアになって若干話して、それなりに気が合って多少普段から話すようになったってだけだ
希咲はあの年頃にある無駄にハイテンションって訳でもなかったから他の奴らと話すより楽だった、たまにドラゴン○ールのベ○ットとゴ○ータのどちらが強いか等のよく分からん話しにもなったのだが……
あれはあれで面白かったから良かったけどな、とまぁこんな感じの理由だな
中一から中三まで同じクラスだったからそれなりの頻度で話してたんだが……なんと言うか最近の中学生は違う方向でアグレッシブだったな、希咲が気になるけど本人に何か言う勇気はない、だから俺に対して突っ掛かって来る奴らがたくさんいた、おかげで親に教えてもらっていた合気道の技がやたらと上達した
何回も諦めずに突っ掛かって来てたなぁ、そのエネルギーを他のところで発揮しろと言いたくなった俺は悪くない
しかも元凶であるあいつは俺がなんでこんなに絡まれてんのか全く理解してなかった……殴ってやろうかと何度思ったことか
希咲は自分の見た目に全く頓着しない奴だった、いや頓着しないというか理解してなかったな、あれは
中学生の中でも普段から話しかけていこうとするメンタルの強い奴はいなかったが思春期に入ったばかりの中学生だ、いきなり告白をするという勇者も居たには居たんだが、希咲は全て斬って捨ててた
その上俺に、なんでぼくに告白なんてするんだろう、頭でも打ったのか?とウンザリとした表情で言ってくるのだ
一度、真剣に理由が分からんのか?と聞いたんだが、分からないから聞いてるんだよ、と返された……告白した奴が誰か知らんがかわいそうだったな、というかそんな話しを唐突にするなよ、誰かに聞かれたらかわいそうだろうが、告白したやつが
鈍感ってレベルじゃなかったな、あいつは、そのくせ他人の容姿はちゃんと理解してるのだから訳が分からん
だから希咲は俺が突っ掛かって来られる理由が分からなかったようだった、はた迷惑なことに、別に希咲が悪いわけじゃないんだが、俺にばっかり厄介事がきて理不尽だ
そこまで頭のいい中学でもなかったからこの学園にいる中学からの知り合いはほとんどいないのが救いだな
まぁそんな感じの中学生活を送り卒業ってときに希咲が引っ越すという話を聞いてもう会うこともほとんどないんだろうなぁ、とか考えてたらこの様だよ
ここの学園には植野っていうイケメンで希咲に話しかけられる奴もいるから関わらなければのんびり平穏に過ごせんだろ……多分、おそらく、きっと、Maybe
俺は校長の話を右からすら入れずにシャットダウンしながらそんなことを考えていた
……校長、話し長すぎだろ