大筒木の名を持つもの   作:パスカロ

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四話

 

 

 

 

大広間で大筒木一家以外の全員の心が一つになり、部屋に沈黙が降りたタイミングでカグラの事の続きをハゴロモが話し出した。

 

「おそらく、カグラの容姿が母に似ているのも、この十尾の力が原因だろう。だが、チャクラに負の意思が無かったおかげで、全てが母に似ることは無かったようだ。それに、一部が十尾のチャクラと同化しているということは、カグラの成長次第では十尾の力を完全に掌握していくであろう。あとは、力に溺れぬようしっかりと修行をつけてやらねばな!礼儀作法はヒトエに任せるとしよう。インドラ!アシュラ!お前達もカグラの世話をしてやってくれ。ヒトエの負担を少なくしたい」

 

「時間の空いたときは母上を手伝おう」「母上を手伝えばいいんだな!?わかった!カグラの世話も手伝うぞ!」

 

インドラは静かに、アシュラは嬉々として答える。

 

「ああ、すまぬな。ありがとう」

 

ハゴロモも嬉しそうに答える。インドラは冷たい空気を纏っているが、家族や近しいものに対してはその空気を和らげる。対して、アシュラは比較的に誰とでもすぐに仲良くなれる。なかなかに対象的な兄弟であった。

 

「しっかしカグラはかわいいな!兎みたいだぞ!この頬なんか餅のようだな、父上!」

 

「ははは!餅のようか。確かに餅のように柔らかいな!」

 

そういって、ハゴロモもカグラの頬をつつきだす。

 

「父上、アシュラ。そんなにつついてはカグラが起きるのではないか?」

 

そう言って、インドラが注意するも時すでに遅し。

 

「ううぅぅ……むううぅぅ……!!」

 

そうして、カグラが怒ったように少し唸った次の瞬間、

 

 

 

「ぅんぎゃああああぁぁぁ!!!」

 

という、爆弾という名のカグラの声が響き渡るのと同時に、密度の濃い何らかの力がカグラを中心に小規模な爆発が起きたかのように広がり、部屋に突風が吹いたような現象が起こった。

 

 

その小さな爆発に対して、インドラは少し後退したが耐え、他の人達も軽く吹き飛ばされた程度であった。アシュラはカグラの一番近くにいたからか、カグラがアシュラに怒ったからかは分からないが、部屋の隅まで飛ばされていた。

 

そんな中、その部屋のハゴロモを含めた数人だけが先の突風に対して微動だにしていなかった。

 

「ハゴロモ様、今の力はまさか…!?」

 

その中の一人がハゴロモに、驚愕の眼差しで確認をするように顔を向ける。

 

「ああ、おそらくお主らの想像通りだ。あれは…

 

 

 

 

 

《自然エネルギー》だろうな。」

 

「やはり、そうでしたか。」

 

「ここにいる影響を受けなかった者は、仙術を扱えるものだけだ」

 

「だからこそ、あの力を受け流せたという訳か。」

 

 

そうして数少ない仙人と呼ばれる者達が納得し、ハゴロモがカグラをあやしていると、部屋の隅まで飛ばされていたアシュラが戻ってた。

 

「だから言ったろう。カグラが起きると」

 

そう言ってインドラがたしなめる。アシュラもバツが悪そうにしてカグラに謝った。

 

「すまぬ、カグラ!」

 

そうして謝るアシュラに満足したかのように、カグラはまた眠っていった。

 

「ははは!アシュラもこのお転婆姫にはかなわんようだな!」

 

「ははは…カグラに振り回される未来が眼に浮かぶようだ」

 

そうしてハゴロモとアシュラがカグラを見て笑っていると、

 

「しかしあのカグラの力には、なんとなく覚えがあるのだが気のせいか…?」

 

ふと、何気なく零したアシュラの独り言にハゴロモは少し驚いたあと、顔を綻ばせる。

 

(どうやらアシュラにも、才能があったようだな)

「アシュラ。その感覚は間違っておらんよ」

 

「ん?どういうことだ、父上?」

 

「お前が感じたカグラの力。それは自然エネルギーという。そして、これを体に取り込み自在に操る者のことを『仙人』と呼ぶ。自然エネルギーとは自然そのもののエネルギー。それを、お前は無意識にだが感じ取っていたのだろう。アシュラ、お前には仙術の才能がありそうだな」

 

「俺に…才能…?」

 

父の言葉に最初は唖然としていたアシュラだが、理解が追いついてくると飛び跳ねて喜んだ。

 

「俺に仙人の才能が!?父上!早速、修行してきます!!」

 

そういって、すぐにでも飛び出そうとするアシュラをハゴロモは一旦引き止める。

 

「まあ待て、アシュラよ。仙術の修行の仕方も分からんだろう?この巻物をやる 。この巻物が仙術会得の鍵だ。だが、この巻物をやる代わりに一つ約束をしろ」

 

「なんだ?父上」

 

「三日に一度は必ず帰ってこい。これを約束しろ」

 

「わかった。母上の手伝いもしなければならぬしな!」

 

「それがわかっておるなら、行ってよい」

 

「ああ!必ず仙人になってくる!」

 

そういって、アシュラは飛び出していった。

 

「岩良。アシュラを頼んでもよいか?口寄せの巻物は渡しておいた。妙木山でガマ達と修行をつけてやってくれ」

 

そう言ってハゴロモが頼んだ人物は、先のカグラの力を受け流した仙人の一人、

 

『山野岩良』

 

という三十代半ばくらいの僧侶の男であった。

 

「了解しました。ハゴロモ様に教わったことをアシュラ様にも教えましょう」

 

「頼む」

 

そうして岩良も部屋を出て行き、静かになったところで、

 

 

 

「カグラの報告も終わった。カグラの事でなにかあれば、我に報告するように。これでこの場は解散とする」

 

 

というハゴロモの言葉に、部屋にいた者達はハゴロモに一礼し退出していった。インドラもカグラの頭を撫で、修行に戻っていった。そして、最後にカグラがぐずり出したので、ハゴロモもヒトエのいる寝室に戻るのだった。

 

 

 

 

 

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