大筒木の名を持つもの 作:パスカロ
朝、織乃に起こされると母様が部屋で待っていると言われた。すぐに支度をして母様の部屋に行くと、お茶の稽古だった。
三分で抜け出した。分身を置いて。
「お茶の稽古などやってられるかーっ!!足が痺れるだけなのじゃーっ!!」
もうっ、全く母様は!
…折角早起きして母様に頭撫でてもらおうと思ったのに…
ああもうっ!こういう時は修行で誤魔化すに限るのじゃ!広い場所で術を撃ちまくってやるのじゃーっ!!
しかし、歩いて行くか…それとも口寄せか?…いやここは普通に飛んでいくか?
だが、無闇に飛んではいけないと父様には言われておるしのう…
「よしっ決めた!
《口寄せの術》!」
ボンッと煙が出て、中から大ガマが出てきた。父様や兄様とも口寄せ契約を結んでいるガマ丸だ。
「おぅおぅ。どうしたんじゃ、お嬢?儂になんか用かいのう?」
「ガマじいちゃんっ!!今から修行するから、妙木山に連れて行って欲しいのじゃ!」
「ほうほう、修行か。お嬢は物覚えが早いからのう。そろそろ仙術を教えてやってもよいかもしれんのう。」
「仙術…?それって兄様が使える、なんかそこら辺にある力のような流れみたいなのを取り込むやつかや?」
「ほうっ!お嬢は自然エネルギーを感知できるのかっ!?なら、仙法もできるのかのう?」
仙法?仙術の忍法みたいなものかや…?
「いいや?妾は出来ぬのじゃ。兄様が、『使うとカエルになるぞ!』って言っておったのじゃ…!だから、カエルになりたくないから使ったこと、試したことすらないのじゃ!!」
まったくっ!使うとカエルになるとは恐ろしい術なのじゃっ…!
「…お嬢。アシュラはカエルになっておらんぞ?」
「ん?……あ。ああああぁぁっ!!??
そうじゃ!兄様はカエルになっておらんではないかっ!?むうっ…!妾を騙しておったなっ!?」
兄様めっ!!妾の反応を見て楽しんでおったな…!?影で爆笑していたに違いないのじゃっ…!
「まあ仙術を使ったらカエルになるのは嘘じゃが、自然エネルギーを取り込み過ぎるとカエル石化するからのう。一人では、修行をしてはいかんぞ?」
むぅ…じゃあ半分嘘だったという事じゃな。まあ、今回は許してやるのじゃ。勝手に真似せんようにということじゃろうからな。
「じゃあ、早速その仙術とやらを教えてほしいのじゃ!それで、兄様をビックリさせてやるのじゃっ!!」
「ほっほっほ。お嬢ならすぐに習得しそうじゃのう。では、行くぞ?儂に乗れ」
「わかったのじゃ!」
そうして、煙に包まれてからすぐに空気が変わり、妙木山へと着いた。
◆
お嬢を連れてきてから、半日。お嬢の仙術修行をまだ若いが実力は確かなフカサクに任せて一眠りし、起きてお嬢のところに行ってみると、
「行くぞ、フカサク!!
《仙法・水遁多水龍弾》!」
「やはり、姫は鬼才だったかっ…!
《仙法・土遁土流壁》!」
お嬢が、既に仙術を会得してフカサクを練習台にしていた。
なんというか、文字通り『すぐに』会得してしまっていた。
「次は、体術じゃぞっ!妾の《八神空撃》に仙術を上乗せしてみるのじゃっ!!」
「ひ、姫っ…!?も、もう勘弁してください…!!」
それから色々な術を試したお嬢は、帰る時に「結構簡単じゃったなっ!」といって帰っていった。
アシュラが驚かされる前に儂らが驚かされながらも、メチャクチャになった妙木山をボロボロのフカサクと共に黙々と元に戻すのだった。