SAO~四剣を操る転生者~   作:面無し

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第十七話

 この世界来てしばらくしてわかったことだが、

この世界ではフラグを立てると大体回収してくれるらしい。

そうじゃないなら目の前の長剣使いが厄介事なんて持ってこないはずだ。

 

「実は、この階層でレアモンスターが出たって言うのがあってね」

 

「本当か? 出たなんて聞いてないぞ?」

 

 レアモンスターなんて厄介な情報持ってくるはずがない。

この世界は、絶対にフラグを回収する機能か何かが有ると思う。

まぁ、合ったとして特に問題はないのだがな。

 さて、レアモンスターといえばそうなのだが、

 

「それの情報源は何処なんだ?」

 

「家のギルドの掲示板なんだが、眉唾ものでな。

実際のところどうなのか気になって確かめに来たら奇襲されたんだ」

 

「どんくさ」

 

 思ったことがそのまま言葉に出てしまった。

 いや、それにしても本当に不用心でどんくさい。

仲間無しのソロで、こんなところにいるのがおかしいのだ。

しかも、索敵スキルの効かない敵に奇襲されて死にかけるとは、

どんくさい以外に表現の仕方がわからない。

が、入ってしまったのは悪いだろう。

 

「ああ、すまんな」

 

「いや、事実だよ。僕は今回不用心だし、どんくさかった」

 

 イデアはそう言って自分の頭を掻いた。

 

「さてと、で、レアモンスターっていうのは。

イベント系のやつでも、テイム出来る奴でもなく、

もしかして、経験値が多く入るタイプのあいつらか?」

 

「そうだよ。目撃されたのはさっきのソードモンキーと同タイプらしい」

 

「ふーん」

 

 レアモンスターは一定確率で人のいる階層に出てくるモンスターだ。

人のいる階層の中からランダムに一定確率だから、非常に出てきにくい。

が、見つけて倒した場合、驚くほどの経験値がもらえることでも有名だ。

 ただ、出てこなさすぎるので、情報がめったに出てこないし、

出てきても偽物が多いため、たいていはスルーされるのが常だ。

冒険中に見つけられたら凄くラッキー程度の感覚だろう。

 で、今回の件だが、KOBの掲示板というのがどうにもというところだ。

多分当たり物件だと俺の勘が言っているのは間違いじゃないと思う。

 

「俺達がパーティに入って大丈夫かな?」

 

「え? いいんですか? あ、でも回復アイテムが」

 

「ああ、俺達のやるって、腐るほどあるからいくらでもやるよ」

 

「本当ですか!? ありがとうございます!

パーティは大歓迎です! こっちらからも頼みますよ!」

 

「じゃあ、行かせてもらうよ」

 

 交渉はうまく言ったというところでいいだろう。

 

「姫ちゃん」

 

 嫁に目配せして、確認をとってみる。

 

「いいですよ。もちろんです」

 

 嫁は快く承諾してくれた。次はキリトだ。

 

「キリト、俺このままレアモンスター探すけど、お前は?」

 

「俺か? うーん、眉唾だからなぁ。でもKOBなんだよなぁ」

 

 キリトは眉唾な情報というのがどうにも気に食わないらしい。

確定的なものでないと行きたくないというのは仕方ないだろう。

結局出会えなくて一日損したというのは嫌だろうし。

 が、そんな俺の考え入らなかったようだ。

キリトは顔をあげると、しっかりとした声で行くと返事した。

本日は三人プラスアルファのパーティになった。

 

     ****

 

 さて、レアモンスターを探し始めたはいいが、本当に見つからない。

しかも、今回はソードモンキーにだからだろうか、索敵も効いていない。

 

「さっさと出てこいや、ボケぇ!」

 

「まぁまぁ兄さん、落ち着いて」

 

「隠蔽スキル使用時のゼロと鬼ごっこした時くらいだな、

こんなに一つの目標を探すのに時間がかかったのって」

 

「相手はソードモンキーと同型ですから……仕方ないですね。

そうだ、今日は一日付きあわせちゃうわけですし、帰ったらなにか奢りますよ。

トップランカーと会えるなんていいことも、もう無いと思うので」

 

「そうかい? じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかなぁ」

 

「こういう切り替わりが速いよなゼロって」

 

「兄さんのいいところですよ」

 

 さて、そんなこんなで雑談をしながら探索をするが、

本当に、もうこれでもかというほど全く見つからない。

KOBの絡んだ情報だからといって過信しすぎたのだろうか。

 と、少し自分の勘に自身をなくした頃、キリトが声をあげた。

 

「あ、いた!」

 

 キリトが声と同時に指した方向を見てみると、

黄色という目立つ出で立ち、のソードモンキーがいた。

どう考えてもあれが目的のモンスターである。

 

「よし、行くぞ」

 

 全員に声をかけ、猿に近づこうとしたその時、

俺の真紅の色が視界の端に少しだけ見えた。

索敵は効いている。あそこには何もいなかったはず。

だが、たしかに俺の視界には紅が写ったのだ。

 少し速度を落とし、後方の姫ちゃんに並ぶ。

視線だけ交わして、隠密スキルを活かし、キリトたちから離れた。

 そして、視界に写った紅を確かめようと戻ると、

予想通り、そこにはよく見慣れたおっさんの顔があった。

 

「よう、ヒースのオッサン」

 

「だから、まだオッサンではないのだがね」

 

 いやいや、オッサンかもしれないぜ?

オッサンの線引は結構曖昧なもんだからな。

外見によってはオッサンとみられるかもしれないだろう。

 まぁそれはいい。

 

「で、今回はなんのようかな?」

 

「よう……と言える用事はないよ。

ここに私が居るのは、たまたま偶然といったところだ」

 

 オッサンは内が見通せない、能力でも使ってしまいたい気分だ。

 が、オッサンの意見は面白いね、KOBのトップが、

居るかどうかもわからないレアモンスター探しとは。

 これは俺がこの物語を知っているから言えることだが、

ラスボスがわざわざレベル上げなんて面倒なことするはず無い。

なのにどうしてここにいるのかな、ってところだ。

 まぁバレるのは嫌だから遠回しにしておくがね。

 

「いやいや、KOBのトップが一人でふらつくところじゃないだろう。

オッサンの実力は知ってるけど、それでも一人はないんじゃないのかい?」

 

「ふむ、確かにソロでいるのは危険だが、

だが、それだけでソロで居るのを不審に思うことはできないだろう?」

 

 オッサンは眉一つ動かさずにそう言った。

まぁ、口げんかの下手な俺の勝てる相手じゃないことはわかっている。

しかたがない、直球で聞かせてもらうことにしようか。

 

「そうだね、不審に思うことはできないが、不審でないと思うこともできない。

オッサン、俺はあんたがレアモンスターの情報を貼ったんじゃないかと思うんだ。

おそらくはオッサンがこの階層にいてもおかしくないという理由づくりのために。

そして、それを理由に俺に会い、俺と話でもしようとしたんじゃないのか?」

 

「それは自意識過剰とは言わないかな、ゼロくん?」

 

「そうかもしれないね。でも、間違ってないと思うんだ。

だって、あんたは、血盟騎士団の団長だろう? ヒースクリフ。

不明な輩を知りたいとは、思わないのかい?」

 

「……どうだろう。答えは言わないようにしておこうかな。

まぁ、君の言うとおり君は私にとって不明要素だ。

ボス戦で合うたびに、レベルが跳ね上がっているからね。

君の強さの秘訣でも、聞いておこうかな?」

 

「簡単な小細工だよ。中身は教えないけどね」

 

 俺の答えにオッサンは軽く笑った。

そのままオッサンは俺に背を向けて去っていった。

紅い其の裾をたなびかせながら。

 さて、キリトの方はどうなっただろうか。

………まだ、俺の索敵圏内にいるらしい、

しかも移動中ということは、相手が逃走中ということだろう。

 急ぐかな。

 

       ****

 

 「簡単な小細工だよ。中身は教えないけどね」と彼はそう言った。

その小細工の中身の成果が、彼のあの異常な強さなのだろう。

あの階層で、少女を助けた時も、あの階層で彼等を助けた時も、

おそらくは彼にはなにか不思議な力が有る。

この世界の制御システムにも勝る大きな力が。

 

「楽しみだな」

 

 そんなことを、呟いた。

 

     ****

 

 キリト達の後ろに追いついた。

キリトと姫ちゃんが二人で走っているなら難しいが、

今日はイデアが居る。結構遅めだったのですぐ追いついた。

 

「姫ちゃん、ただいま」

 

「おかえりなさい、どうでした?」

 

 姫ちゃんが聞いてくるが、ここではヤバイだろう。

キリトは地獄耳だ。聞かれていてもおかしくはないはずだ。

 俺はヒメちゃんに目配せをすると、彼女はそれだけで頷いた。

本当に利き過ぎるほど気の利く嫁である。

 さて、目の前の猿は全速力で逃げている。

通常、モンスターは逃げることがないはずだが、逃げる奴も居る。

こいつはそういうたぐいのモンスターなのだろう。

だからこそ、見つけにくかったのかもしれない。

 ふむ、追いかけていては埒が明かない。

ここは投擲で動けなくしてみようか。

 

「キリト、投擲で止めるぞ」

 

「え?」

 

 俺はキリトに一言だけ声をかけて、装備欄から投擲用装備を一つ選びだす。

まぁこの間拾った余り物だ。なんと五十個も余っている。

形状は普通の半分くらいの長さの投げやり、先端がドリルみたいになっているのが特徴的だ。

 次に、アイテム欄から麻痺用のアイテムを取り出す。

装備につけることで、触れた相手を麻痺にするものだ。以外に便利品である。

 さて、いってみようやってみよう。おおきく振りかぶって………

 

「せえい!!」

 

掛け声とともに投げつける。

 まっすぐ飛んでいったやりは猿の背中に大当たり、

麻痺も付与された猿はそのままずっこけて動けなくなった。

あとは、皆でボコるだけだ。

 

「さて、やろうか」

 

 レアモンスターの討伐はこれで幕を閉じた。

 が、イデアとは、この後もKOBの中での仲の良い奴として、

こっちに色々情報を回してもらえることになった。

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