反省はしているが後悔はしていない(キリッ
これで実は引っかけでしたwwwとかなったら本当にどうしよう……
「ふんふふ~ん」
みんなはこんな経験はないだろうか?少しいけない事をした時にちょっと開放的な気分になったり、テンションがハイになったり、今の彼みたいに鼻歌を歌ってしまったり
「やはり、放浪というのは仕事の合間に行うのが一番だね」
つまりどう言う事かというとこの安城マモルは、毎度のごとく支部員達の隙を窺い、仕事をサボって見せたのである。
いつもながら本当にどうしようもない男である。
因みに同時に失踪した支部長は「なんか風を感じる」とか意味不明な事を言いながらマモルと先ほど別れ、今は彼一人で街を散策している。
(ん~なんか誰かとファイトしたい気分だな~)
だが、散策を初めて五分ほどして、既に飽きが来始めているマモルは誰でもいいからヴァンガードファイトをしたい衝動にかられていた。
じゃあ、さっさと仕事戻れよ。という最もなツッコミは彼の耳には届かない。
(いつもならそろそろリンリンと遭遇する筈なんだが)
あえて、彼女がよくいる通りなんかを歩いてみたりしているのだが、今日は珍しく未だにリンには会えていない。
(まぁ、そのうち会えんべ)
その事を深く考えず、とりあえず街の散策を続ける。当然、ここで妹のトコハに会おうものなら一発でデッドエンド確定なので、見覚えのある緑色の髪は見逃さないようにし、メタギアみたいな気分で街をうろつくのだった。
~十分後~
あれ~?まだ会わないな~。今日は珍しく俺の方がやる気なんだし、リンリンってばリベンジするチャンスなのにもったいない。
てかトコハも見ないな、何処行ったんだべ?
~二十分後~
あ、あれ?おかしいな……もう遭遇してもいい頃合いなんだけどな
いや~珍しい事もあるもんだね!うん!
~三十分後~
あ、あの~そろそろ……会ってもいいんじゃないですかね?
~??分後~
……(返事がない、ただの屍のようだ)
「えぇ、それじゃ。いい返事を期待してますよ」
人気のない公園のベンチに座り、スマートフォンで会話をする少年(見た目からはそう判断できた)が顔に皮肉気な笑みを浮かべ電話を打ち切った。
と思えば今度はまた別のスマートフォンを操作し、今度は彼?の方から電話をかける。今度は忌々しそうに口元をゆがめながら
「予定通り、あの会社は数日中にこちらの傘下にはいるでしょう。はい、はい、そうです」
それでも、声には顔に出ている感情を一切出さず、あくまで忠実に仕事をしている風を装いながら二、三言会話を交わすとすのまま電話を切った。
「ふぅ……」
溜息をつくなんていつぶりだろうか?
そしてこんな生活をし始めたのももういつからになるだろうか?
思い返しても思い出せない程、途方もなく長かったような気もするし、はたまたついこの間のようにも思える。
だが泣いても、嘆いても、何も変わらなかった。むしろ残酷な運命は無慈悲にも彼等を蹂躙しつくした。
ならば、外道畜生に堕ちても絶対に手に入れて見せる。
見ていろ、高みで見下ろしている傲慢なる者どもよ。今にその座から引きづりおろしてやる。
暗い決意を新たに座っていたベンチから立ち上がろうとし
「なぁ、そこの少年」
「うおあ!?」
いつの間にか隣に座っていたある男に急に話しかけられ、思いっきりのけぞってしまう。
(ぜ、全然気付かなかった……)
何か変なことは言っていなかっただろうか?ていうか、もしかしてあの電話の内容を聞かれてたり?
それなら結構手荒な手段に出なければならないと少年が話しかけてきた男に眼を向け
「お、お前は!?」
「ん?俺の事知ってるん?」
(安城マモル!?どうしてここに)
再び少年は驚愕に眼を見開く事になる。一方、話しかけた男、安城マモルは死んだ眼を少年に向けるとおや?と何かを訝しむ表情になる。
「あれ?もしかしてどっかで会った?」
「いえ、人違いだと思います」
思わず挙げてしまった声に対してそう言い繕い、さっさとここを後にしようと立ち上がるが
「まぁ、待ってくれよ少年」
「ちょ……!」
服の袖をグワシとわしづかみにされてしまい、動くことが出来なくなってしまう。
「おい、離せって!」
「時間があればでいいんだが、俺の話を聞いてくれないか?」
「すいませんが、時間がないので」
「実は今日の事なんだけどね」
「時間ないって言ったよね!?」
どうやらこっちの事情を聞く気は全くないらしい。酔っ払いのオヤジにも似ためんどくささである。
しかも話に耳を傾けてみれば、いつもいる筈の人たちが今日に限っていないだとか、おかげで折角仕事をサボっているのにまるでテンションが上がらないだとか、ツッコミどころが星の数ほどあるのだがまず言いたいことは一つだ。
(コイツ超めんどくせぇぇぇぇぇぇ!!)
ただ会えなくてさみしがっているだけじゃねぇか!と言ってやりたがったが、ていうか実際言ってやったのだが
「寂しいとかないし?いや全くない。ホント全く寂しいとかないから、これはあれよ?一種のなんというか……あれだから」
コイツときたらかたくなに認めたがらないのだ。
素直じゃない上にめんどくさい、一刻も早くここを去りたかったのだが先ほどから安城マモルが少年の服の袖をつかんで離さないので動けなかったのである。
それからもマモルの、最近妹から兄どころか人間としても見られなくなってきている気がする。とか、ドラエン支部の執務室に脱走防止の赤外線センサーまでついた。とかとか、延々と愚痴?を聞かされる羽目になった。
「ふう、あぁごめん。少し喋り過ぎてしまったね」
(ホントにな!)
「いえ……」
結局、最期までマモルが服を掴んで離さなかったのでもう諦めてベンチに座りなおした少年は、必死に苛立ちを押さえながら被っていた帽子を更に深く被り直した。
「じゃ、僕は」
「あ、知ってるかもしれないけど、俺は安城マモルって言うんだ。君の名前を聞いてもいいかな?」
これで、と少年が去ろうとしたタイミングにかぶせてマモルが口を開いたため、また彼は抜け出すタイミングを失ってしまう。
「……」
どうしたものか?と少年は思案する。今までの態度を見る限り自分の正体について感づいてはいないようだが、それでも過去に面識がある人間とこれ以上会話するのは危険にも思えた。
が……
「言ってくんないと、安寧芋さんって呼ぶけど」
「……エースだ」
言わない方が危険だと即座に思いなおし、結局『そちら』の名前を名乗る事にした。
ただ、少年『エース』には知らぬ事だが、このやり取りは昔、羽島リンと始めたファイトした時と全く同じである、安城マモルも案外、芸のない男だ(笑)
「エース君だね?よろしく」
「どうも」
言いたい事を言ってスッキリしたのか最初よりも幾分か優れた顔色でマモルは笑う。反対にエースは最初よりもゲッソリしている。誰のせいかは言うまでもないだろう。
「時にエース君、君はヴァンガードファイターだったりしないかい?」
「っ……何故そう思うんだ?」
「いや、とりあえず聞いてみただけ」
「あ、そう」
もしやばれた!?と思ったが杞憂だったようだ。にしてもこの男、さっきから自分がさっさと帰らせろオーラをこれでもかと出しているのにまるで気付いた、いやまるで気にする様子がない。
完全に自分の都合に巻き込む気満々である。
「一応、ヴァンガードはやってるけど」
「そうか!じゃあここで会ったのも何かの縁、俺とファイトしないか?」
「え?」
マモルの提案にエースは少し動きが止まる。正直、もっと碌でも無い事に巻き込まれるんじゃないかと思っていた為、拍子抜けした感は否めない。
が、エースとしては色々といそがしいので丁重にお断りしたかった。
「悪いけど、急いでるんだ」
「えぇ!?いいじゃないか。やろうぜ~?」
やっぱりそう来たか
「そういうわけにはいかないんでね」
よし、このまま去れば……っ!とエースは足に力を込め、わき目もふらずに公園を後にしようとした。
したのだが……
「待てぃ!いいのか!?ここで去ったら俺大声で泣くぞ!」
「はぁ!?」
「もうビックリするくらい大声で泣いてやるぞ!」
リンリンとかとファイト出来なくて色々と限界なんだよ!とか言ってくるがエースにして見ればそんな都合どうでもよかった。
「いいのか!?いい歳こいた大人が大声で泣き喚き、そこに茫然と立つ少年の姿を見ればご近所さんの噂になること間違いなしだぞ!!」
「いや、あんたこそいいのかよ!?クランリーダーとしての評判が落ちるぞ!」
「そんなもん犬の餌にしとけばいいんだよ!」
「んなめちゃくちゃな!?」
「ファイトしようぜ~ファイトファイトファイト~!!」
ちくしょう……!いい歳こいた大人がだだこいてんじゃねぇ!と叫びたかったエースだが、言った所でこの男はテコでも動かないだろう。
「あぁぁもう!!わかったよ!ファイトしてやるから、大人しくしろっつの!!」
「いよっしゃあい!」
結局、マモルの思惑通りに事を進められてしまい、エースはがっくしと肩を落とす。前に会った時から自由な人間だとは思っていたが、まさかここまでとは考えもしていなかった。
(仕方ない、さっさと終わらせよう)
それが互いの為だろう。エースは懐に隠し持った、自身のデッキを取り出しながらそんな事を考えていた。
「じゃあ、始めようか!」
「あぁ」
結局、場所はさっきから座っていた公園のベンチを使うことにした。ギアースを使わないファイトも久しぶりだな。とマモルはのんきなことを考えていた。
「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」
「ドラゴンナイトサーデグ!」
「死せざる死者グルナッシュ!」
「ほう、グランブルー!粋なクランだねぇ」
褒めているのかよくわからないマモルの言葉に何も言わず、エースは手札からG1パーティングシェイドにライドした。
「ターンエンド」
「ドローから、プトテクトオーブドラゴンにライド!そういや、前にもグランブルーを使っている子とファイトしたな~」
「っ、へぇ~」
ピクリとエースの肩が動いたがマモルはそれに気づかず、サーデグをV裏にコールした。
「ブーストしてアタック!名前は確か……」
「おまじないするバンシーでガード」
え~と、と頭をひねるマモルを見るエースの目は知らずのうちに鋭くなっていた。
「あ、思い出した!」
「……」
エースの目が鋭さを増す……。
「蝶うめぇアジさんだ!」
「蝶野アムだろが!」
「え?」
「あ」
(し、しまったぁ!?)
思わず、ツッコミを入れてしまった自分の迂闊さを呪いつつ、訝しげにこちらを見るマモルの視線から逃れるようにエースは帽子のつばで自分の顔を隠す。
「ん~?」
(ば、ばれたか?)
「あ、もしかして……」
ギリッとエースが奥歯を噛み締める。
「ラミーラビリンスの大ファンなのか!?」
「……はい?」
予想の斜め上過ぎたマモルの言葉にエースは隠していた顔を上げる。その目は困惑に満たされていた。
「そうか、だから蝶野アムさんの使用デッキも知っていたんだね?」
「え?いや、その……」
どうしようか迷っているエースを尻目にマモルは全部分かっているよとでも言いたげに大仰に頷いて見せた。
「なるほど~最初見た時、スマホ何台もいじっていたのもライブのチケットとかを入手するためなんだろ?」
(そっから見てたのかよ!?)
どうやら結構前から見られていたらしく、エースはもっと周りを注意深く見る事を心に決め、目の前の男の馬鹿さに感謝した。
だが、正直この勘違いのされかたも良くない、あっという間に自分がアイドルオタクにされてしまっているのだから非常にマズイ。
「え~と、え~」
だが、上手い言い訳も思いつかず、言葉を決めかねているエースをどう勘違いしたのか、マモルは慈愛に満ちた笑顔でエースの肩を叩きながら
「だけど、転売だけは絶対しちゃだめだぞ?」
「」
とのたまって見せた。
(ぐ、これじゃ、ただの痛いアイドルオタクじゃないか!?)
否定したい。ものすごく否定したいのだが、先ほどの失態をごまかしつつこの誤解を解くいい言葉も方法もエースにはなく
「き、気をつけます」
「うむうむ」
結局、こう言うしかなかった。
(く、屈辱!)
そのしたり顔で頷く顔をぶん殴ってやりたい衝動に駆られるのをエースは必死に抑えなければならなかった。
「あ、ドライブチェックでトリガーもないからそっちのターンだよ?」
「えぇ、スタンドアンドドロー」
(気が変わった。ボコボコにしてやる!)
エースは全身全霊で目の前の男を倒すことを決めた。
「ライド!海賊剣士コロンバール、更にコール、粉骨の呪術師ネグロボーン!」
「お~蝶野さんのデッキとは構成が違うんだね~」
お気楽に言っていられるのも今のうちだと、エースはアタックフェイズに入ろうとする。
「そういえば、ラミラビの蝶野アムさんのキャッチフレーズあんじゃん?」
「それが何だよ?」
ここでエースは気付くべきだったかもしれない。前回もこれで碌でも無い目に会ったのだと……
「あれって、夢でキタコレ!アジフライ!でよかったっけ?」
「夢見る気まぐれバタフライ!!」
コイツわざとやってるんじゃないだろうな!?とエースはある意味で戦慄するのだった。
ファイトは進み……
「ドラゴンナイトイマードのアタック!」
「ガード!」
「む、これを防ぐとは流石だね~」
(ち、むかつくがコイツやっぱ強い……!)
互いに超越ユニットがアタックしあうかなり白熱した展開となった。お互いにしのぎと手札を削り合う一進一退のファイトにエースもマモルも知らず知らずのうちにファイトに熱中していた。
「スタンドアンドドロー、ここで決めてやるよ」
「ふふん、果たして出来ますかね~?」
とここで、マモルの肩がトントンと指で叩くような軽い感触を伝えてくる。
「あ~ちょっと悪いけど今集中してっから後にしてくれ」
マモルは盤面から目を離さず、肩を叩いてきた人間に対して言う。
が、その人物は先ほどよりも強くマモルの肩を叩いてきた。
「いや、ホント待ってくれ、今良い所だから」
いつの間にか相手のエースの動きも止まっていた。あぁもう折角盛り上がってきたのに~とマモルは口をとがらせる。
遂に、その者はかなり強い力でマモルの肩を叩く、これはもう殴っていると言ってもいいかもしれない。
「だぁぁ!!もう何だよ!?ファイトの邪魔すん……」
「は~い、兄さん?いいファイト日和ね」
「……な、よ……ぅ」
ピコン、マモルにデッドエンドフラグが立ちました。
「と、トコハ?どうして……?」
「どうして?それを聞いちゃうのかな~?」
ん?ん?とトコハとマモルの顔を交互に見るエースを尻目に兄妹の殺り取りは続く。
「ふっ、トコハよ。一度始まったファイトを止める事は」
「ドラァ!!」
「へぶしっ!?」
(顔面!?)
見た目可憐な少女が良い大人の男の顔面に思いっきりパンチをかます姿は例え数多くの修羅場を潜り抜けたエースであってもフリーズしざろう得ない。
「お”ま”っ、兄の顔面を殴る妹がいるか普通!?」
「やかましい!こちとら、せっかくリンちゃんやクミちゃんと遊んでたっていうのに、急に連絡来て予定変更する羽目になったんだから!」
トコハがこちらに見せつけてくるスマホには確かに支部員からマモルと支部長が逃げ出したから見かけたら連絡をくれという旨のメールが来ていた。
(な、なるほど。だからリンリンを見かけなかったのか)
トコハ達と遊んでいたならそりゃ会うわけもないか、と納得したが、今はそれどころではなくなんとか逃げなければならない。
「ぐ、だが一度始めたファイトを中断するのは相手にも申し訳」
「あ、俺は大丈夫ですよ」
「ちょ!?」
「だ、そうよ?」
本格的に逃げ場がなくなりつつあるマモルの顔にどんどん焦りの色が濃くなる。
(ぐ、こうなったら力づくで……)
「力づくで逃げるとか考えてるから、さっさと縛った方がいいぞ~」
「あいあいさ~」
「な、リンリンとクミちゃん!?」
すると、どっからともなく表れてきたリンとクミが協力してマモルをグルグルに縛り上げる。手つきがやけに手慣れているのが年ごろの女子として一種の不安をあおる。
「お、おのれ~多数とは卑怯なり!」
「うるさい!支部長は一足先に支部に閉じ込めたからさっさと仕事に戻れこの馬鹿兄貴!!」
「あ、あああぁぁああああ!!」
エースく~ん!!この続きはまた今度ぉぉぉぉ!!と言葉に尾を引きながら、芋虫状態にされたマモルはトコハにひきづられながら公園を後にした。
リンとクミもその後に続いていってしまった為、公園にはエース一人が残される形となった。
「……帰るか」
そう独り言をつぶやき、エースはカードを纏め、ベンチから立ち上がりようやく公園を後にすることができた。
その足どりが、いつもよりほんの少しだけ軽かったのはここだけの秘密である。
ヴァンガードGでアムはリンに次いで好きなキャラなんですが、何故かここではアジフライ系アイドルになってしまいますwww
愛ゆえのいじりと思って頂ければwww
とりあえずどう転んでも大丈夫なようには作れた!かなぁ~?