汚い、流石兄貴汚い   作:DEAK

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なんか凄い久しぶりにファイトを書く気がしますが今回は本編ではダイジェストになってしまったマモルVSハイメをたっぷりお送りいたします!お送り出来たらいいな~(オイ



そして最近、エース君が動かしやすくてしょうがないことに気付いたwww
これからどんどん外道マモルの被害に会わせましょう(ゲス顔


外道とウェーブ(闘争編)

「さぁ!日本とユーロのエキシビジョンマッチの始まりだ!」

 

司会の言葉に会場はそこに集まった大勢の観客の大きな歓声で揺れる。

 

「司会は私、MCミヤー。そして解説が~?」

 

「ドクターOでおお~くりいたします」

 

司会、MCミヤーの隣にいるのは、ヴァンガードの生みの親であるドクターOだ。彼は笑顔で両手でOの字を作りながら観客に挨拶し、観客も超有名人の登場に湧く。

 

 

 

「始まったな」

 

「えぇ、そうっすね」

 

観客席の一角では渦巻き頭の少年、新導クロノと、本来であればこのエキシビジョンマッチに参加してもおかしくないレベルの実績を持つ。レジェンド級ファイター葛城カムイがファイトの開始をまっていた。

 

 

無論、この会場にいるのは彼らだけなく……

 

 

「……」

 

少し離れた所には、個人的に来ていた綺場シオン

 

 

 

「マモルさん勝てるかな~?」

 

「さぁね~?」

 

「むしろ、この大舞台で思いっきり恥かけばいいんじゃね?」

 

「もう、リンちゃんってば」

 

そして、更に離れた所には岡崎クミ、安城トコハ、羽島リン、茶臼愛の四人が思い思いに口を開いていた。

 

「にしても」

 

とここでクミがトコハ、リン、愛を挟んだ向こう側に視線を走らせる。

 

「エース君もこのファイトに興味あったんだね~」

 

「確かに少し意外かも」

 

愛が賛同の言葉を漏らした通り、そこにはいつもの帽子を目深にかぶった少年、エースが座っていた。

 

エースはクミの言葉にちらりと視線をそちらに向けるとぼそりと

 

「あいつに無理矢理拉致られた」

 

肩をがくりと落として呟いた。そんな彼の思考は一時間ぐらい前に遡っていた。

 

 

 

 

 

 

 

(ち、安城マモルに引っ張り回されたせいで、予定より進みが遅い)

 

その時エースは一つのスマートフォンで電話をし、反対の手でメールを打つという荒技を披露していた。

それも、安城マモルにハイメ・アルカラス捜索に駆り出されてりしていたせいで、『奴』の依頼が思うように進んでいないのだ。

 

(まだ余裕はあるが、油断は出来ない。この際予定を早めるか)

 

時期尚早かとも思うが、これ以上の遅延は危険であり多少は覚悟の上だ。そう思いエースはまた別のスマホでメールの作成に着手しようとして

 

(うわ、またかよ……)

 

見覚えが、というより因縁のある相手が歩いているのを見つけてしまう。

 

(よし、今度こそ逃げよう)

 

今回は見つかる前に踵を返して逃げる事を選択した。まず、エースは180度方向転換し、来ていた道を戻る。

 

そして、ビルとビルの隙間の路地に入り、人一人が通れるのがやっとな、ゴミが散乱している細い道を勝手知ったる我が道とでも言いたげに右に左に蛇行して進む。

 

途中で残飯に舌鼓を打つ野良猫を驚かせながらエースは安城マモルを撒く為に細い路地を歩いていくが、やがて塀にぶち当たってしまう。

 

だがエースは引き返すことはせず、むしろ予定通りだと近くにあったゴミ箱に足をかけた。エースの身長ならこれでギリギリ手が届く高さだ。

 

 

「よっ……と」

 

彼が危なげなくその塀を乗り越え、手と服についたほこりをパンパンと叩く。

 

(これで撒けたろ)

 

さっき自分が越えた塀を見ながら、フンと鼻を鳴らすとそれに背を向け歩き出し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エース君って本当に運動神経いいんだね」

 

「んなぁっ!?」

 

完全に撒いたと思った男から声をかけられエースはポケットから取り出そうとしたスマホを落としそうになってしまう。

 

「な、なんで……」

 

「俺もこの辺の道には詳しくてね~昔はよく使ったもんさ」

 

だてに何度も脱走してないぜ!と目の前の男、安城マモルが胸を張るが、そんなことに胸張るなというツッコミも出来ない程エースは目の前の状況に愕然としていた。

 

そして、次に自分の身に何が起きるか何となく理解して絶望するのだった。

 

 

「ところでエース君、これから俺とハイメ君でファイトをやるから見ていく?てか見てきなさい」

 

「遂に返答すら訊かなくなったな!?」

 

「は~い一名様ご案内~」

 

「お、おい!?離せ、離せぇぇぇぇぇ!!」

 

ぎゃ~ぎゃ~喚くエースを小脇に抱え、マモルは自身が運転してきた車の助手席にエースを放り込むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰かアイツをどうにかしてくれよ……」

 

「なんかごめん、うちの馬鹿兄貴が」

 

「後でしめとくから。菓子食うか?」

 

哀愁漂うエースの姿にトコハとリンは思わず慰めの言葉をかけるのだった。

 

 

「では、早速本日の主役を発表いたしましょう!!」

 

そんな空気知らずにMCミヤーが殊更陽気な声でスポットライトを浴びながらマイクを片手に言う。

 

 

「まずは日本代表!!退却なら俺に任せろ!日本が誇る退却マスター。かげろうのクランリーダー安城マモルだァァァァァァァ!!」

 

「今日も盤面を焼け野原にしてやるぜ!!」

 

ワァァァァ!!と大きな歓声と共にMCミヤーに当てられていたスポットライトが、笑顔で手を振りながら歩く安城マモルに当てられる。

 

 

「退却マスターっていうか退却オタクだよな」

 

「ていうより、退却中毒?」

 

トコハとリンのある意味で的を射た発言にクミと愛が苦笑を漏らし、エースは顔を隠すようにうつむいた。

 

「ん?どうかしたのか?」

 

「い、いや、別に……」

 

リンがそんなエースの様子を不思議に思い声をかけるも、エースは曖昧に頷くだけだった。

 

 

(ぐ、やっぱりいたか。綺場シオン!)

 

エースはスポットライトが移動した時に照らされた観客席の中に、綺場家の御曹司であり『奴』から依頼された標的である綺場の人間の姿を見つけこっそり冷や汗を流す。

 

(こ、ここで顔を知られるわけには……!)

 

幸い、席は結構離れているし、向こうはこちらと一切面識がない以上、正体がばれるなんて事はないだろうが、それでも無用な危険は避けるべきだ。

 

 

(やっぱ帰るか)

 

彼女達には悪いが一言だけ言って今日は帰らせてもらおうと腰を浮かせると

 

「あ、そうだ。エース君」

 

「はい?」

 

トコハにからこれ、兄さんからと四角に折りたたんだ紙を渡される。エースが不審に思いながらその紙を開くと

 

 

『帰ったらアジフライ1カートン   マモル』

 

「」

 

と脅迫だかなんだか分からない一言が書いてあった。エースの活動拠点をマモルが知っている筈はないのだが、これまでの行動から安城マモルはやると言ったらやる人間だと身にしみていたエースは

 

 

「あれ?どうしたの?」

 

「いや、なんでもない」

 

浮かせていた腰を再び椅子に落ち着かせるのだった。

 

 

 

 

 

 

「対するはユーロリーグ気鋭のファイター。その連撃、大海を波打つ津波の如し!!ハイメ・アルカラスだァァァァァァ!!」

 

 

「ハ~イアミーゴ!!今日は楽しんでね~!」

 

マモルに負けず劣らずの大きな歓声に迎えられながら対戦相手、ハイメ・アルカラスも舞台の中心へと歩いていく。

 

「今回のエキシビジョンマッチはヴァンガード普及協会が誇る最新鋭のギアースを使って行われます」

 

ここでライトが一斉に点火し、会場のど真ん中に設置されたギアースがその姿を現した。

 

そして、マモルといハイメがその両端で立ち止まった。

 

「先攻はハイメ・アルカラス選手。ルールはファイターズルールに則って行われます」

 

「素晴らしいファイトを期待しましょう」

 

ドクターOの言葉を締めくくりとして、彼等と会場の目線はマモルとハイメに集まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いや~緊張すんな~)

 

こうした大舞台でファイトするのは楽しいが非常に緊張する。さっきエース君を拉致して話相手になって貰ったのも緊張をほぐす為という意味もあり、流石に俺もちょっと悪い事したかな~と思っている。これは、心躍るファイトでお返しするしかなかろう。

 

そんな事を思っている間も、ギアースがセットしたデッキから自動でファーストヴァンガードを選び、残りをシャッフルする。

 

ギアースという奴は非常に便利だが、あまりこれに頼り過ぎるのも良くない気がする。根拠はないが、なんとなく。

 

(さて、手札確認と参ろうか)

 

手をかざすと、デッキの上から五枚のカードが自分の手元に浮かび上がる。ヴァンガードにはマリガンが一回だけ許されているので、よく手札を確認しなければならない。

 

(おぉ!?これはグレードが全部そろってるじゃないか!?)

 

正直、ここ最近では類を見ない程、良い手札だ。まずグレード1には忍竜チギレグモ、グレード2は夜霧の忍鬼アギトマル、そしてグレード3は強力なストライドボーナスを持つ忍竜シラヌイが手札に揃っていた。

 

 

これは完璧と言っていい手札だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クランが『ぬばたま』でさえなければ

 

 

 

(あじゃぱぁぁぁぁっ!?な、何が起きたぁっ!?)

 

お、おかしいぞ?確かにデッキケースから判断して間違いなく愛用のかげろうデッキを持ってきた筈だ……あ、そういえば

 

 

と、ここで思い出されるのは一昨日の夜、トコハが家に来た時の事だ。

 

 

『このデッキはここでいい?』

 

『お~う、そのデッキケース見た目ややこしいから間違えないようにな』

 

『大丈夫だって』

 

 

 

 

 

 

(と、トトトトトコハちゅわ~~~ん!!君デッキ間違えましたねぇぇぇぇ!?)

 

確か、あの時トコハが持っていたデッキはこのぬばたまデッキだった筈だ。それをデッキケースから判断して俺がそのまま持ってきてしまったというわけか。

 

(し、しっかり確認するべきだった……)

 

 

「おや?どうしたのでしょう、安城マモル選手が動きませんね」

 

「悩む程良い手札なのでしょうか?」

 

後悔先に立たずを胸に刻んでいるマモルの心情を知らず、固まったまま動かない彼を不思議に見つめるMCミヤーとドクターO。

 

「どうしたんだ、あいつ?」

 

「トイレにでも行きたいとか?」

 

観客側からも疑問に思う人が出ており、エースが少し顔を上げ、マモルの様子を見て首をかしげる。だれにともなく呟いたエースの言葉に反応したリンのあんまりな言葉に周りは笑い声を上げた。

 

 

「あ、動き始めた」

 

「二枚チェンジ?兄さん珍しく事故ってないんだ」

 

マモルの葛藤など知るよしもない観客、特に普段から交流がある者たちは彼のいつもの奇行だろうと決めつけ特に深く考えていなかった。

 

 

 

 

 

 

「ヘイ、マモル?随分時間がかかったね~?」

 

「なぁに、それだけ良い手札だったのさ」

 

あとはクランさえ違っていなければ最高だったんだがな!と思いながらマモルはハイメに向かって表向きは余裕の表情で返す。

 

 

「じゃあ、行こうか?」

 

「お、おうよ!」

 

 

 

 

「「スタンドアップ!ヴァンガード!」」

 

 

 

「士官候補生アンドレイ!」

 

「木枯らしの忍鬼カモジグサ!」

 

 

「ん?」

 

「おぉっと、これは安城マモル選手。デッキがいつものかげろうではなくぬばたまだぁ!」

 

「ほう、これは一体どういうことでしょう?」

 

(デッキ間違えただけです。とは言えないなぁ)

 

対戦相手のハイメのみならずMCミヤーやドクターO、観客席までざわめく中、俺は背中に流れる冷や汗をどうにか悟られないように必死で表情を取り繕っていた。

 

ていうか、これは何か言わないとまずいのでは?

 

く、今こそきらめけ、我が灰色の脳細胞!

 

「ん、んん~。これは、だね~」

 

「これは?」

 

ハイメ君、そんな目で俺を見るな。今から俺とんでもない嘘をつくんだから罪悪感で死にそうになるよ。

 

 

「これは~、そう!ジャパニーズニンジャ!古き良き日本文化の神髄をお見せしようと思ってね!一からデッキを組んだのさ!」

 

 

「なるほど~、はるばるヨーロッパから来たハイメ選手をもてなそうというマモル選手の心遣いだったんですね~!」

 

(嘘です!本当なのは一からデッキを組んだって事だけです!)

 

 

へ~とかそうだったんだ~とか観客席から納得と感嘆の雰囲気がこちらにも伝わってくるが完全に嘘ついている手前、素直に喜べない。

 

「ふ、ふふ。ハートにキタァァァァァァ!!」

 

「え?」

 

「グラシアス!真剣勝負のヴァンガードでも、もてなしの心を忘れない。これがジャパンのヴィトクなんだね!」

 

ヴィトク?あぁ美徳か。ってそんなんちゃうよ!?

 

「これは、僕も本気のファイトで応えないとね!」

 

うん、ぜひ本気でお願いします。なんかこう……この罪悪感を吹き飛ばせるくらい思いっきりやっちゃって下さい。

 

「お、おう。全力で来いや~!」

 

「もちろんだとも!僕の先攻から行くよ!」

 

こうして、俺とハイメ君の全力(白目)ファイトは始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もてなしぃ?」

 

「アイツがぁ?」

 

一方、観客席ではリンとエースが凄まじいと形容していいほど露骨に怪訝な表情をしており、怪訝というより不気味に思っていると言った方が正しいかもしれない。

 

「ちょっと、二人とも顔が凄い事になってるよ?」

 

「でもよ」

 

「あの男に一番似合わない単語が出てきたから」

 

愛がたしなめるように言うも、二人は未だに苦虫をかみつぶすような顔をしていた。

 

「もう、酷い人たちだよね?トコハさ……ん?」

 

やれやれとかぶりを振りながら愛は先ほどから大人しい安城トコハに話題を振るが、その勢いは途中で失速してしまう。何故なら

 

「……やば」

 

そこには顔色を真っ青にしたトコハがおり、今にも吐き出しそうな顔をしていたからだ。

 

「トコハちゃんどうしたの?顔色凄い悪いよ?」

 

愛とは逆隣にいたクミもトコハの様子を見て何かあったのかと心配そうに声をかける。

 

「え?い、いや~なんでもないにょ?」

 

「噛んだ」

 

「ぐ」

 

エースがぼそりと呟いた言葉に遂にトコハはうつむいてしまう。

 

(や、やばい……)

 

思い出すのは兄の家にお邪魔した一昨日の夜の事

 

(た、多分私がデッキ間違えちゃったんだよね?)

 

あの兄の驚きようからするに、狙ってやったわけではないのだろう。となると原因はあの時以外思いつかない。

 

(ど、どうしよ~~~~~!!)

 

「おい、ホントに大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫!大丈夫だから!」

 

お願いだから大げさにしないで!と言外に含ませ、無理矢理トコハは笑みを作って心配そうに声をかけてくるリンにそう返した。

 

(せ、せめて勝ってくれれば、この失敗も帳消し!になるかなぁ?)

 

とにかく、絶対勝ってよ!とトコハは初めて本気で兄を応援するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スタンドアンドドロー!ライド、マグナム・アサルト!」

 

そんなやり取りがあったとは露知らず、ハイメとマモルのファイトはハイメの第二ターンに移行していた。

 

「更に、タイダル・アサルトをコール!」

 

(ぐ、先攻タイダルか)

 

タイダル・アサルトはGBもヴァンガード指定もなく、パワーが5000下がる代わりに一回だけ自力スタンドが出来る能力であり、この段階から連続攻撃を行ってくるのは脅威以外の何物でもない。

 

流石は制限警戒されているカードなだけはある。

 

「マグナム・アサルトでヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガードだ!」

 

ブースト付きのアタックは流石に防ぐ気にならん!

 

「ドライブチェック、ゲット!クリティカルトリガー!」

 

あぱぁぁぁ!?いきなり二点かよ!?

 

(だ、だがこれはダメージトリガーを乗せるチャンス!)

 

「効果は全てタイダル・アサルトに乗せるよ」

 

「はい?全部?」

 

「そ、全部」

 

にっこり笑うハイメに対して俺は上手く笑えたか正直わからない。

 

(こ、このヤロォォォォ!!クリティカル乗っけたタイダルで二回殴るとか言われてるんですけどォォォォォ!?)

 

「ぐ、ダメージチェック。トリガー乗らないんかい!」

 

「ふふ、ハートに来てるか~い?」

 

イラッときてるわ!ってフリーファイトだったら思いっきり言ってたんだけど。これはエキシビジョンマッチ故に言葉は選ばないといけない。

 

「イラッと来てるわボケェ!」

 

言葉を選ぶって一体何だったんだろうね?(目逸らし

 

「ぷ、くくく……!それでこそマモルさ!」

 

ちくせう、笑って受け流しおった。

 

「おっと、これはまさかの場外乱闘勃発か~?」

 

「いえいえ~、これは安城マモル選手のお家芸です。あえて自分を悪く見せる事で常に弱者の立場に立ち、世間の共感を得ようとする」

 

「おいぃぃぃ!!嫌なこと言うんじゃねぇよそこのイカ!!」

 

「イカ!?私がイカならあなたはワカメでしょうが!」

 

「ふん!ワカメなら味噌汁とかお浸しとかによく使われるし?」

 

「それを言うなら、イカだってフライやてんぷらが」

 

俺とドクターOがぎゃーぎゃー言い合っているのを観客やハイメ君が笑いながら見ているがこれも悲しいかな俺が参加するエキシビジョンマッチ恒例のことだったりする。

 

その証拠に待ってましたとばかりに俺にマイクが手渡されるしね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、あの人もしょうがねぇな」

 

「なんというか、凄い人ですね……」

 

カムイが必死で笑いをこらえている横で、クロノは茫然とファイトそっちのけでドクターOと言い合っているマモルを見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、アタックを続けるよ?行け!タイダル・アサルト!」

 

ひとしきり言い合い、ファイトが再開される。

 

「来なさい、ハイメ君!」

 

その二点、甘んじて受けよう!

 

ギアース上で、忍竜チギレグモがタイダル・アサルトの砲撃をまともに受けていた。

 

「ダメージチェック、ゲット!ヒールトリガー!」

 

あぶね!?とりあえず一点で抑えられたか。

 

「まだまだだよ?再びタイダル・アサルトのアタック!」

 

「ガード」

 

流石にもう一回はくらえないぜ!

 

「ひゅ~、ターンエンド」

 

「ではターンを貰うぜ!」

 

さて、ここでそこのタイダル・アサルトには退場して頂こう!

 

「ライド!夜霧の忍鬼アギトマル!」

 

いつものかげろうとは違う。燃える様な紅蓮の赤ではなく、宵闇の黒が似合う漆黒の化身達が今回の相棒達だ。

 

いつもとは違う。だが、それは負けていい理由にはならないんだな~

 

「コール、忍獣タマハガネ!効果でタイダル・アサルトをバインド!」

 

タマハガネが両手を合わせると、紫の煙がタイダル・アサルトの周りに出現し、瞬く間にタイダル・アサルトは次元の彼方、つまりバインドゾーンに飛ばされてしまった。

 

「ブーストをつけたアギトマルでアタック!」

 

アギトマルはヴァンガードヒット時にバインドゾーンのカードをドロップに置くことが出来る。かげろうに比べれば一手間かかるがこれぞぬばたまの退却よ!

 

「ほう、デッキが違っても退却という一点において安城選手はまるでぶれませんね」

 

 

 

「まぁ退却オタクだし?」

 

「退却病ですし」

 

MCミヤーのある意味感心しているともとれる実況にリンと愛、『安城マモル被害者の会』の人間たちはうんうんと頷いていた。

 

「あぁ、だからか」

 

その脇でエースは自分とファイトした時、どうにもやりづらそうにしている理由にようやく思い至ったのであった。

 

(まぁ、グランブルー相手に退却はなぁ)

 

自分が使っているクランが退却に強いクランで本当に良かったとひそかにほっとするエースなのであった。

 

 

 

 

 

「ふむ、完全に防ぐには15000ガード。手札が二枚必要なのか~」

 

う~んとしばし、ハイメ君は悩む様子を見せるが

 

「ここは感覚にゆだねる!ノーガードだよ!」

 

ウインクと共にノーガードを宣言した。それが様になっているのがまたずるい所だ、俺がやろうものならリンリンかトコハに病人扱いされるだろう。主に頭の

 

「ドライブチェック!よっしゃ!ドロートリガー、効果は全てタマハガネに!」

 

アギトマルのクナイがマグナム・アサルトを襲った。

 

「ダメージチェック、トリガーなし」

 

「アギトマルの効果発動!バインドゾーンのタイダル・アサルトをドロップゾーンへ!」

 

バインドゾーンのタイダル・アサルトはなすすべなくドロップゾーンへ送られた。

 

「更にタマハガネ!」

 

「そちらもノーガードさ!」

 

これで、ダメージは二対二で並んだが、まだまだ予断は許されない状況だ。いつ連続攻撃が来るかわかったもんじゃないからね。

 

「さぁ、行くよ!」

 

こっからはグレード3、いよいよ本番という奴だ。

 

「今こそ船出の時!俺を導いてくれた光の先へ今こそこぎ出せ!

 

 

ライド!嵐を超える者サヴァス!」

 

ストライドボーナスとGB2スキルを持つ。かげろうにおけるブレマスのような存在のユニットにハイメ君はライドした。

 

「戦場の歌姫スタシアとマグナム・アサルトをコール!」

 

「おっと、並べてきたな」

 

「彼等が本当の実力を見せるのはこれからさ」

 

知ってるさ、一回超越するとそのラインはとんでもないことになるってね。

 

「サヴァスでアタック!」

 

「ノーガード!」

 

「ツインドライブ!ドロートリガーゲット!効果はマグナムアサルトに」

 

えぇい!こっちのダメージトリガーはなしか!

 

「ブーストを受けたマグナムアサルトでアタック!」

 

「そっちもノーガードだ!」

 

ダメージは四点、そろそろ致死圏内に入ってくる所だ。だが、このデッキはここからが面白くなるのさ!

 

 

「ドロー!禁忌の力を解放せよ!ライド、忍竜シラヌイ!」

 

これもストライドボーナスを持つユニットだ。そして、お互いにグレード3がヴァンガードなので、あれが出来る

 

「コストを払い、ジェネレーションゾーンを解放する!」

 

そう、超越だ。

 

「その煩悩、その苦しみ、そして自分の生からも解き放たれるがいい!ストライドジェネレーション!」

 

初手の超越はコイツに決まっている!

 

「六道忍竜ゲダツラカン!」

 

解脱(げだつ)それは煩悩の束縛から逃れ涅槃の世界へ解き放たれる事、相手をあらゆるくびきから解き放つ竜が今こそその力をふるう。

 

 

「シラヌイのストライドボーナス発動。カウンターブラスト1で問答無用で手札を一枚捨てろい!」

 

「ジーザス!ニンジャ、なんて恐ろしいんだ!」

 

なんだかんだノリがいいねハイメ君。

 

「出たぁぁぁ!!ぬばたま忍軍の手札除去!強力すぎたが故に無限にも等しい宵闇に自ら身を隠したとも言われている禁断のスキルが今ここに解禁だァァァァ!!」

 

「……」

 

「あれ?どうしたんですドクター?」

 

「いえ、急に胃がキリキリ痛み始めまして……」

 

ドレッドマスターの悲劇を俺達は忘れてはならない(戒め

 

 

 

「コール!忍竜ニビカタビラ、スキル発動!このユニットとタマハガネにパワーをプラス3000!更にスキル残影を与える!」

 

残影の答え合わせはこの後だぜ?

 

「更に嵐の忍鬼フウキと忍獣アラマタタビをコール!フウキのスキルで手札を一枚バインドだ!」

 

「おぉ!?完全ガードまでコールかい?」

 

言外に完全ガードまでコールするのは早くないか?と聞こえるニュアンスでハイメ君は手札からランダムに選ばれた一枚をバインドゾーンに置く。

 

「ふ、これにはちゃんと意味があるのさ」

 

答えはCMの後ってか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、残影か」

 

「残影って?」

 

エースがマモルの盤面を見て合点がいったように頷くが彼のようにマモルの行動を理解出来たのはあまり多くないようで事実クミは頭に疑問符を浮かべている。

 

「残影ってのはバインドゾーンのカードが手札に戻った時、こっちの手札が六枚以下ならそのカードを手札に戻すことができるスキルだ」

 

エースのかわりに彼と同じようにマモルの意図に気付いていたリンがクミの疑問に答える。

 

「ほれ、あいつの手札を見てみ?」

 

リンが指さすのにつられ、一同がマモルの手札を見る。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、手札が一枚しかない」

 

「そうだ、トリプルドライブを含めても四枚、つまり残影が発動すれば三枚は回収が出来るということだ」

 

そして、彼女たちとは別の観客席でクロノとカムイが同じようにマモルの盤面の意図について議論を行っていた。

 

「だから残影持ちの完全ガードもコールしたのか」

 

「見た所、残影持ちでデッキを固めているみたいだな」

 

カムイが顎をなでながら頷いている傍らで、クロノは人知れず高鳴る鼓動を抑えきれないでいた。

 

(すげぇ……!俺も、やってみたい!)

 

気付けば、自分ならどう戦うか?という戦略を立て始めている自分に驚きながらもクロノは目の前のファイトに熱中していた。

 

 

 

 

 

 

(ヴァンガードのスキルで相手の手札を削り、残影で手札の消費を抑えながら盤面を展開……)

 

そして、綺場シオンは一人思考の海に沈んでいた。

 

(相手の手札を削れば防御も難しくなるし、次のターンの展開にも支障が出る。これは攻守共に優れた一手になる)

 

そして一気にリアガードを展開して怒涛の攻撃をしかけた後、残影で手札に戻せば防御にも使える。これもまた攻守ともに優れた一手と言える。

 

(凄い、二つの戦略はどちらも隙がないのに、それがお互いを邪魔せず一つのデッキとして成り立っている)

 

使いなれていないクランの筈なのにここまで使いこなす安城マモルの実力にシオンは戦慄すら覚えていた。

 

 

 

 

 

 

「なんつ~か、アイツらしい嫌らしいデッキ構築だよな」

 

「多分、ドヤ顔で残影(キリッとか言ってくるんだろうな」

 

「うわ、それはむかつくわ~」

 

だが、一方でこんな感想も出てくるあたり、安城マモルという男の人間性が良く表れていると言える。

 

因みに上からリン、エース、トコハである。

 

 

「あ、あははは~」

 

「容赦ない……」

 

苦笑いしているクミと愛の存在が清涼剤だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、行くぜハイメ君!」

 

「ドンと受けるよマモル!残影と手札破壊、そのハーモニーをとくと見せてくれ!」

 

見せてやるさ、お腹いっぱいになるくらいにね!

 

 

「ゲダツラガン!さぁ今こそ刃を振え!」

 

巨大な竜がするりと白銀の刃を抜く。このユニットはアタックヒット時に手札を一枚捨てさせることができる手札破壊のユニットだ。

 

シラヌイとフウキで手札を削られた今、この攻撃を防ぐのは難しい筈。

 

「ノーガード!」

 

案の定ハイメ君はノーガードを宣言した。さぁいざ参る!

 

「トリプルチェック!」

 

 

 

 

 

一枚目、ドロートリガー!

 

二枚目、ドロートリガー!?

 

三枚目、ドロートリガーぁ!?

 

 

問題:安城マモルの手札は今何枚でしょう?

 

 

正解:1(手札)+3(トリプルチェック)+3(トリガーで引いた分)=7枚

 

 

 

 

 

「あっ……」

 

 

思わずそう言ってしまったのは誰だったか、残影は六枚以下でないと発動しない。

 

 

 

 

つまり……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「「「な」」」」」」」」

 

「ざ、残影出来ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

「「「「「「「「何やってんだお前ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」」」」

 

 

これである、観客からそうツッコミを受けるのもある意味当然だ。

 

 

 

そして、完全ガードをコールしておきながら回収出来なかったマモルは返しのターン、ハイメのランブロスにそれはもうボコボコにされるのであった。

 

 

 

 

 

 

うん、きっと熱いファイトだった筈だ!(白目

 

 

 

 

 

 

 

 






残影デッキでドロートリガーは事故要因、はっきりわかんだね(目逸らし
だが、ぬばたまでドロトリを抜く勇気がががが……

そして、すいません。結局ファイト描写がまたこんな感じに(汗
手札が何でダメージに落ちたのがこのカードでとか考えると頭がパンクしそうになりますよ(泣



そういえば!(露骨な話題逸らし

ヴァンガードの新弾『刃華超克』が発売しましたね!
自分は三箱だけ買いましたがGRのアーシャを引けて超助かりました。多分あれ相当高いだろうしな~。

後はシングルで揃えて行く予定です。色々使ってみて強かったら登場するかもしれません
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