そして、最近エースが作者の都合と趣味で出ずっぱりなのでそろそろお休みを上げようと思いますwww
なので今回は『エース』は出てきませんので宜しくお願いします
あと、遅ればせましたが咲き誇るラナンキュラスアーシャを使ってみたのでその感想をば……
まさかジングルフラワー以上の火力を叩き出すカードが出てくるとはwwwピアを縦に二体並べてMAXパワー作り出すと70000行くとかマジキチガイwwwスタンドトリガーとか使えば10万の大台を突破できるかもしれないっすねwwwあと、ソウル吐けるのが偉い。あれでライドしたカードをドロップに送ってピアで戻すという安定の流れが出来る
え?クリティカル?そんなもんはおまけだ(キリッ
いや、真面目な話アーシャやユニットの名前を持ってこれるカードを並べればいいだけの話なんですけど、グリーンショットエルフとかカトリーナとかピア並べてゴリラした方が殺意があるという凄い状況になるんですよwww
回してて1、2回ぐらいしか出来るタイミングなかったんで、それほど意識する必要はないかもしれないですね~大事なのはリアのパンプだったようです。
正直ここに書くようなことではないような気がしますが、本編の方をどうぞ!
(どうしてこうなった?)
アイドルらしい端正で愛らしい容姿を困惑に染めながら、蝶野アムは何故か今ファイティングテーブルの前に佇んでいる自分の姿を見てそう自問した。
「よっしゃあ!容赦はしないぞお嬢さん!」
そして自分の対面には何故か異常にやる気満々な安城マモルの姿
「ふふ、マモルさんたらすっかり元通りみたい」
「まぁ、元気になって一安心ね?」
「いや、むしろ不安なんだが……」
「頑張って~!アム~!」
そして自身の向かって左側にはにこにこと笑みを浮かべる会ったことのない人と安城トコハと羽島リンとラミーラビリンスの相方、弓月ルーナ
「さぁ!ハートに響くファイトをしようじゃないかクロノ!」
「おう、行くぜハイメ!」
極めつけは隣のファイティングテーブルで熱く燃え上がる闘志を互いに見せつけているハイメ・アルカラスとなんか凄い髪形の少年がいた。
「さぁ!今回は二組同時のスペシャルマッチだぁぁぁ!!」
支部長の大山リュウタロウの言葉にこのドラエン支部のファイトスペースに集まった人々が歓声を上げる。
「みんな、楽しんでくれよ!!」
おおおおおお!!と大地が揺れそうな勢いであげられた雄たけびにもにた歓声にアムは思わず耳を塞ぐ。
(いや、ほんとどうしてこうなった!?)
いつの間にか見知った顔も離れた位置に座ってしまい、中心にはアム、マモル、ハイメ、クロノの四人しかいなくなる。
そろそろ、こうなったいきさつを説明するとしよう……
ハイメとマモルのエキシビジョンマッチに会場はツッコミと爆笑の大時化に突っ込まれていき、開催した側から見れば非常に盛り上がり満足いく結果になったのは間違いない。事実ドラエン支部の予算が昨年より微量だが増加し、支部長が諸手を上げて喜んでいた。
当のハイメも
「これがあるからマモルとのファイトはやめられないのさ」
とおおらかに笑っており、このエキシビジョンマッチは客観的に見て大成功したと言っていい。
そう、あくまで客観的に見れば……
「こんにちは~」
『みんなで楽しく』ドラエン支部のスタッフルームにひょっこりと顔を出したのは安城トコハ
本来であればスタッフルームは関係者以外立ち入り禁止が普通なのだが
「あ、トコハちゃん。学校は終わり?」
「よく来たね、ほらお得意さんが菓子折り持ってきてくれたから食べるといい」
「ありがとうございます!ですがお構いなく、でお願いします」
諸事情ありスタッフからは普通に受け入れられており、トコハの方も勝手知ったる我が家のような足取りで歩を進めていた。
トコハは支部員の一人が勧めてくれた席に腰掛けず、代わりにカバンを置くと気合いを入れる為か服の袖をまくりあげる。
「さて、今日サボり魔兄貴はどうしてます?」
いつもならこの時間だと大体トコハの兄マモルは外出という名のサボりに出ており、トコハがいそがしい支部員に代わって彼を捕まえてくるのだが……
「いや、それが……」
今日は少し趣というやつが違うらしい。
「それが?」
「普通に今日は支部にいるんだよ」
「……へ?」
あの兄貴が?椅子に三十分座り続けるとこが出来ないあの兄貴が?
「め、珍しいですね」
「まぁ、見てみればわかるよ……」
なんか含みがありそうな支部員の言葉にトコハは疑問に思うも導かれるままに、兄と支部長がいる別室に向かう。
「し、失礼しま~す」
「おぉ、トコハちゃん!よく来たね」
恐る恐ると言った感じでトコハが扉を開けると支部長の大山リュウタロウがいつものおおらかな笑顔に少しばかりの苦渋を滲ませながら彼女を迎えてくれた。
「あの~兄貴はいますか?」
「え~と、一応は……」
トコハの言葉に大山支部長は頬をポリポリ掻きながらマモルに割り当てられたデスクを指さす。
トコハがそちらに目を向けると……
「…………」
椅子の上で体育座りという微妙に器用な格好で沈んでいる安城マモルの姿があった。
え?何コレ?
偽らざるトコハの本心が言の葉となって漏れるのをどうにか嚥下し、トコハはマモルに向けていた視線を大山支部長に戻す。
「あ、あの」
「いや~ハイメ君とのファイトからずっとこんな感じでさ~」
ちょっとどうにかしてくんない?といわれてもこの状態のマモルはいつもの数倍めんどくさい。これならいつも通り仕事をさぼって脱走してくれた方がよっぽど良かった。
だが、どうしようもない兄をどうにかするのも妹の役目とトコハは一念発起し意を決してマモルに近づく。
「お~い、兄さん?」
「ん、あぁトコハか」
トコハの予想に反してマモルは普通に声に反応して顔を上げた。これなら大丈夫か、とトコハの表情も柔らかくなる。
「なんだ、この兄の醜態を笑いに来たのか。ふん、好きなだけ嘲笑うがいいさ」
「」
前言撤回、全然大丈夫じゃなかった。
「ちょ、ちょっと兄貴?」
「なんだよ~思いっきり馬鹿にすればいいじゃないかよ~」
体育座りしながら椅子を回転させて意思表示をするマモルにどうにか作ったトコハの笑顔が崩れそうになる。
(こ、こんの……!)
外道の癖に何で人一倍ナイーブなんだこのクソ兄貴は!
そう叫びたい気持ちを何とか抑え、トコハは崩れかけた笑顔をギリギリの所で立て直し根気強くマモルに話しかける。そこには前回デッキを思いっきり間違えてしまった彼女の罪悪感が多少なりともあるのは否定できない。
「ほら?勝ち負けなんてカードゲームの常じゃない」
「いや、この際勝ち負けはいいんだよ」
「?」
トコハは思いっきり恥かいて負けたから拗ねているのだろうと思っていたが、それは当のマモルから否定される。
「これ、見てくれる?」
マモルは椅子の上に体育座りのままデスクに置いているノートパソコンをくるりと回しトコハの方に画面を向ける。ドラエン支部のパソコンは会議室等に持ち運びができるようノートパソコンを採用しているのだ。
トコハがマモルが示す画面に眼をやると、そこには誰もが匿名で書きこめる大型掲示板のあるスレッドが映されていた。
スレッド名:日欧エキシビジョンマッチについて語るスレPart56
「兄貴ってこういうの見るんだ」
「たまにね。まぁそれはいいから内容を見てくれよ」
兄のいつもより低い声に促されるままトコハの視線は再びパソコンの画面に戻される。
イメージに変わりまして名無しがお送りいたします
ID××××××
あのファイトすっごい良かったよねwww
イメージに変わりまして名無しがお送りいたします
ID××××××
まさにカードコント!ヴァンガードwww
イメージに変わりまして名無しがお送りいたします
ID××××××
カードコントwwwフイタwww
イメージに変わりまして名無しがお送りいたします
ID××××××
安城マモルは一流のファイターではなく一流の芸人であったか
イメージに変わりまして名無しがお送りいたします
ID××××××
何を言う?最初から彼はヴァンガード芸人だったじゃないかwww
~以下ヴァンガード芸人とカードコントという単語が飛び交う状況に~
「うわぁ……」
思わず声が出てしまったトコハをちらりとマモルは見る。
「カードコントって……ヴァンガード芸人って……」
俺一応クランリーダーなんだけど?と死んだ眼で言うマモルにトコハはなんて言っていいものか言葉に詰まる。
「そんな陰でぐちぐち言う奴のことなんて気にしなくていいじゃない!」
「……」
「兄貴は頑張ったって!なんていったって自分の得意でないクランでここ……まで」
トコハは思いつくままに言葉を並び立てて気づく。
自分がデッキ間違えなければもうちょっとどうにかなったんじゃないかと
結果
「ごめん……兄貴」
「トコハちゃん!?」
マモルの隣で体育座りで沈む安城トコハが誕生した。事の成り行きを見守っていた大山支部長は思わず叫んでしまうが、揃って膝を抱える安城兄妹にはその声は届かない。
「ま、まさかトコハちゃんまで……」
状況が改善されるどころか悪化してしまい大山は頭を抱えたくなるが、どんな時でも救いというものは訪れるのである。
「ただいま戻りました~けどなんです?この状況」
「おぉ!アカネ君!」
部屋のドアを控えめなノックと共に開け入室してきたのは、ドラエン支部の支部員にして海外にてその敏腕を奮っている女傑、清州アカネだ。
彼女は部屋に入るなり暗い雰囲気を目視できるんじゃないのか?と錯覚させるくらい出している安城兄妹を見て目を丸くする。
「実はだね~」
かくかくしかじか~と大山がアカネに事情を説明すると、アカネははぁと軽くため息をつき
「最近落ち着いたと思ったら……」
大きめのキャリーケースを横に置いて、アカネはまずマモルの方へと向かった。
~少々お待ち下さい~
「フハハハハハハ!!カードコントがなんぼのもんじゃい!こちとらかげろうのクランリーダーはっとるんじゃ!!」
「一瞬で復活しただとぉ!?」
数分後、そこには見事に復活している安城マモルの姿があった。
「あ、アカネ君!君は一体何を!?」
「ふふ、秘密です♪」
大山がマモルの余りの変わりように何をしたのかアカネに問いかけるが彼女は悪戯っぽくウインク付きで微笑むだけだった。
「元気になったのね?兄貴!」
「おう、トコハよ!もうビンビンだぜ!」
いつの間にか隣で沈んでいた筈のトコハまで復活している。聞きたいことは山のようにあるがとりあえず現状は回復できたので良しとするか、と大山は一人で納得するのだった。
「というわけで俺は今日も元気にサボってくるぜ!」
「は~い、いってらっしゃ、ってちょ待てこのクソ兄貴!」
トコハがそう叫ぶも時すでに遅し、マモルはもうこの部屋から、というよりドラエン支部からいなくなっていた。
「元気になったと思ったら……支部長すいませんけど」
「うん、行ってくるといい」
申し訳なさそうに言うトコハに大山は笑顔でサムズアップと共に自分を差し置いてサボったマモル撃墜命令を下す。
「ありがとうございます!おら待て兄貴ぃぃぃ!!」
彼の言葉にトコハは頭を軽く下げると兄にも負けない速度と騒がしさでドラエン支部を後にした。
「やっと元通りだね~」
「これをいつも通りって言っていいものなんですかね?」
そういう二人の顔には笑顔が浮かんであり、本心はどう思っているのかが良くわかる。
「にしてもマモルくんがあんなに凹んでる姿を見るのは久しぶりだ」
「そうですか?昔はよくあぁなってましたよ?」
そうなの?と意外な物を見る様な眼をしている大山にアカネは昔を思い出しているのかどこか遠い目をしていた。
「最近、というより『彼女』とよくファイトするようになってからはあまり見なくなりましたけど」
「へぇ~」
ニコニコというよりニヤニヤという擬音が正しいそんな笑顔で大山が興味深げに頷く。その横でアカネは急に顔を引き締めると
「支部長、実は折り入ってお話しが」
とここに来た本来の用件を切り出した。
「と、勢い余って出てきたはいいがどうしよう?」
アカネちゃんに励まして元気いっぱいになった俺はとりあえずパッションの赴くままに街に繰り出したのだが、ふと何もすることがないのに気付き足を止める。
え?なんで直ぐに元気出たかって?それは……余り深く聞かないでくれると嬉しいな。うん!あれだ、愛だよ。愛……いやホント何言ってんだ俺?ていうか何に言い訳してるんだ俺は?
「う~ん、とりあえずファイトしてみればいいか~リンリンを探すべ」
ヴァンガ脳乙というツッコミが聞こえそうなことを考えながら止めていた足を再び動かすと、ふと見覚えのある顔を見つける。(残念ながらリンリンではないが)
「みんな~~~~!!今日は来てくれてありがとうだみゅ!!」
公共の広場に建設された仮設のライブ会場には今をときめくトップアイドル弥富サヤの単独ゲリラコンサートが開催されていた。
当然、俺は彼女を知っている。まぁ知っていると言ってもテレビで見たことがあるとかそういうレベルだが
俺が彼女のライブに足を向ける気になったのは彼女の事が気になったからではなく、その後ろいわゆるバックダンサーとして呼ばれたのであろう人物と互いに面識があったからである。
「サ~ヤはとっても嬉しいみゅ!ほっぷすてっぷ~?」
「「「宇宙征服~~~!!」」」
サイリウムやらお揃いのハッピを来て汗臭い男達が一様に叫ぶ様は一種の宗教のようなものを感じる。だがファンの人間の声のかすれようや汗からどうやら宴もたけなわというやつなのだろう。
(それならそっちの方が都合がいいか)
用件ならライブが終わってからの方がいいのだし、それにドラエン支部らしい面白い催しも閃いた。彼女にはそれに協力して貰うとしよう。
俺は弥富サヤのゲリラライブが終わるまで少し離れた所で待つことにした。
「みんな今日はありがとうございましただみゅ!」
弥富サヤはスタッフによって解体されていくライブ会場の裏で急の依頼にも関わらずバックダンサーを引き受けてくれたアイドルの卵たちにプロデューサーと一緒に頭を下げていた。
「いえ、お疲れ様でした!」
そのバックダンサーの一人、自身もアイドルとして活動する蝶野アムは歳の近い彼女に向かって敬語と笑顔で頭を下げる。
実力主義の世界ではこんな事も珍しくはない。むしろ年功にこだわるプライドがあるなら実力を磨くべきである。
「また機会があったら御一緒させて欲しいみゅ!」
「はい!ぜひよろしくお願いします!」
最後にサヤはそう言い加え、もう一度花咲くような笑顔でアム達バックダンサーに頭を下げるとプロデューサーと共に去って行った。
「お疲れ様でした!」
アム達バックダンサーはサヤの姿が見えなくなるまで頭を下げ続け、見えなくなったのを見計らってふう、と息をついた。
やはり、トップをひた走るアイドルは違う。オーラも決意も何もかも……
「みゅって素の口癖だったんだ~」
「ルーナ」
あっけらかんとした口調で、それでもダンスの疲労をにじませながら告げられた言葉にアムは脱力しながらも咎めるように自分の隣に来た自分と同じアイドルの弓月ルーナに言う。
「あはは、ごめんなさ~い」
「もう」
自分と違いルーナはアイドルになったばかりで色々と慣れない部分がある。そこをアムが色々とフォローしているのだが、時折彼女の純粋さが羨ましくなる時がある。
自分はこんなにも汚れているのに……
「アム……アム?」
「っ!?ど、どうかしたルーナ?」
「どうって、他のみんなもう行っちゃったよ?私達も着替えよ」
知らないうちに思考の海に深く沈んでいたようで、ルーナに声をかけられるまでいつの間にか他のバックダンサーがいなくなっているのに気付かないとは
(少し、疲れたのかしら)
「そうね、行こ。ルーナ」
「うん!それにしてもサヤさん凄かったね~私達もあぁなれたらな~」
「なら、ダンスの振り付け間違えないようにしないとね」
「うぐ」
くすくすと笑いを互いに漏らしながらルーナとアム、ラミーラビリンスの二人は仮設の楽屋裏へと足を進めた。
「じゃあ、次は三日後ね。さっき言ったことちゃんと復習しといてね」
「うん、任せて!」
ふん、と胸の前でガッツポーズを作るルーナの姿に微笑ましさを感じる。
「それじゃあ」
何かいいたそうなルーナを振り切るようにアムが会話を打ち切ろうとする。
「あぁぁ!ちょっと待ってそこのお二人さ~ん!」
「?」
「げ」
ルーナに取っては初めて、アムにとっては出来れば関わり合いになりたくなかった声が聞こえて二人は同時に振り向くと
「二人ともライブお疲れさま!いきなりで悪いが俺の話を聞いてかないかい?」
かげろうのクランリーダーにしてヴァンガード芸人の安城マモルがそこにいた。
いや~よかったよかった!ライブ終わった後の人込みに流されちまって二人を見失うかと思ったけどなんとか見つかったよ。
少し声のかけ方とかが性急になってしまったがそこは許して欲しい。ていうかアムちゃんは俺と一応面識あるわけだし、その苦虫をかみつぶしたような顔はしないで欲しいんだが……俺達あのカードショップ以来会ってないよね?
「あの、あなたは?」
とピンク色の髪の女の子が俺に警戒心を抱きながら聞いてくる。まぁいきなり声をかけられたらこうなるよね~
確か彼女もラミーラビリンスだったね。確か弓月ルーナちゃん。うん、流石アイドルなだけあって可愛い、いや別に他意はないよ?
「あぁすいません、僕はヴァンガード普及協会の人間で安城マモルと言います」
身分証代わりに自分のファイカを見せ、そこに記されたプロフィールを二人に見える位置で映しだす。
「安城……?」
どうやら彼女はヴァンガードとは縁が薄いらしくルーナちゃんは指を軽く振りながら記憶を掘り出す。
「あ、思い出した!」
とどうやら印象に残ってはいたようで花が咲いたように笑顔を浮かべる。
「前に面白いファイトした人ですね!」
「ごふ!?」
おうふ!?この子ってばアカネちゃんのおかげで塞がった傷が開きかけたじゃないか!全く可愛い顔して恐ろしい子!
ていうかアムちゃん肩震わしてるんだけど、もしかして笑うのこらえてないか?
「えぇ……ヴァンガード芸人の安城マモルですよ~」
「すご~い!本物だ、私本物に会ってるよ!ね?アム!」
「え、えぇ……そうね、ぷぷ」
悪気なく俺の傷口を抉ってくるルーナちゃんは興奮が収まらないのか未だに笑いをこらえているアムちゃんの肩を揺さぶる。
(わ、悪気ない分怒りづれぇ……)
多分純粋に彼女は面白いと言ってくれたのだ。ならば面白いをモットーにするドラエン支部の支部員として誇るべきなんだろう。うん
「それで、私達に何の用ですか?」
笑いの発作はとりあえず収まったのかアムちゃんは俺をまっすぐに見据えてそう聞いてくる。なんかすごい無愛想なんだけど俺なんか彼女に嫌われるようなことしたっけか?
「え~とね、ラミーラビリンスさんに仕事の依頼をしたくて」
「仕事の依頼?」
「そう!現役アイドルとクランリーダーのエキシビジョンマッチさ!」
ここで俺はハイメから新導君とのファイトをセッティングしてくれと頼まれた事を思い出した。そこに合わせて自分もファイトしてしまおうというわけだ。
まぁ身も蓋もない事言ってしまえば『仕事にかこつけて思いっきりファイトしたい』だけだったりする。
「仕事なら構いませんけどスケジュールの都合もありますので」
「いつなんですか?」
「え?今から」
「「今!?」」
当然、今思いついたんだし、良く考えればハイメと新導君のファイトも今日だったし急になってしまったが実はもう彼女たちがこの後暇なのは知ってるんだな~(ゲス顔
「い、今はちょっと」
「そこをなんとか!報酬ははずみまっせ?」
指でわっかを作る俺にアムちゃんが顔にありありと不信と疑問を張り付けて口を開いた。
「そもそも、その企画なら私達より弥富サヤさんの方がいいんじゃないですか?」
そう、有名なアイドルなら弥富サヤの方が数倍上だし、彼女自身もヴァンガードファイターと聞く。彼女の方が適しているのではないだろうか?
「何言ってんだ。君たちじゃないと駄目じゃんか」
「え?」
が、目の前の安城マモルは直ぐにそれを否定した。アムはそれが意外すぎて思わず言葉に詰まる。
「この後暇なアイドルなんて君たちしかいないんだから」
「そんなことだろうと思ったよ!」
少しでも感動した私が馬鹿だったとアムはスタッフから貰った飲料を乱暴に飲み込む。ルーナはそれを見て目を丸くしている。ルーナから見ればいつも冷静な頼れる先輩がこう感情をあらわにしているのが意外なのだろう。
「ま、てのは冗談で俺と面識があってなおかつ俺の知り合いに君たちの大ファンがいてさ」
「え?そうなんですか?」
「うん、結構ガチのファンだからもしかしたら聞いたことあるかも知れないな」
どんな方何ですか?と聞いてくるルーナちゃんに対して俺は自分の事のように胸を張った。
「スマホを何台も使いこなす子だね。名前はエースっていうんだ」
「ブフゥッ!?」
「アム!?どうしたの!?」
俺が名前を教えてあげた瞬間飲料を飲んでいたアムちゃんが思いっきり飲料を噴き出す。ルーナちゃんが慌てて駆け寄り彼女の背中をさすってあげていた。
「あぁ、そういえばアムちゃん押しらしいよ」
「そうなんだ~良かったねアム?」
「う、うん……」
げほげほとせき込んでいたアムちゃんはルーナちゃんの言葉にも曖昧に頷くだけだった。
おや?もっと喜ぶかと思ったのに……これは何かあったのか?
あ、もしかして……
「蝶野さん、もしかして君は……」
「っ」
俺の言葉に顔をこわばらせるアムちゃんを見て俺の推察は確信へと変わっていく。そうか……蝶野アムちゃん、君は……!
「まさかエース君にセクハラされたのか!?」
「ハァっ!?」
「うそ!?ホントなのアム!?」
俺の確信を持って告げられた言葉にルーナちゃんは顔を青くし、アムちゃんは唖然とした顔を一瞬すると思いっきり叫び声を上げた。
「くそ、幾らなんでもやりすぎだぞエース君!」
「そんなの、酷い!」
「いやいやいやいやいや!!そんなのされてませんよ!?」
アムちゃんは必死に否定しているが、俺程の眼力を持ってすればそれが強がりなのは直ぐにわかる。
「蝶野さん!」
「アム!」
「はい!?」
俺とルーナちゃんの声が意図せず重なりアムちゃんは肩を面白いようにびくつかせる。
「スキャンダルを公にしたくない気持ちはわかる。だがここはあえて声を大にして言わなければ何も変わらない!」
「あなたはそれ以前に人の気持ちを分かって下さい!」
「その通りだよアム!私も協力するから」
「あの、だからねルーナ?これはあの人の勘違いで……」
「良く言った弓月さん!エース君、いや、奴には俺からお灸をすえておこう。だからそれまで彼女を護ってあげてくれ。頼んだぞ!」
「任せて下さい!」
アムを蚊帳の外にして盛り上がるマモルとルーナにわなわなと肩を震わせる。
「だぁかぁらぁ……」
これぞまさに堪忍袋の緒が切れたというやつだろう。アムはアイドルとしては絶対に見せない形相で
「いい加減人の話聞くことを覚えろォォォォォォォォォォ!!」
と叫びマモル『だけに』その怒りをぶつけるのであった。
~回想および説明終了~
(よ、余計なことまで思い出してしまった……)
そうだ、あの後とりあえず誤解であることを丁寧に説明して、なんか知らないがいつの間にか連れ去られる形でここに来たんだった。
「へ~アイドルやってるんだ」
「はい!まだ全然有名じゃないんですけど」
「いや、デビューしてるだけで十分凄いと思うぞ?」
「えへへ、ありがとうございます!」
なんかあっちはあっちで意気投合しているし、聞くところによると安城トコハは兄であるマモルを捕まえにいった所、羽島リンと会い一緒に目の前の彼を探していたのだとか、正直自分もそっちに加わりたい。
「さぁ今回はユーロリーグのハイメ・アルカラス。そして我がドラエン支部の安城マモル二大ファイターに対して新鋭のファイターの新導クロノ、そして同じくファイターでありながら駆けだしのアイドルとしても活動中のラミーラビリンスの蝶野アムが挑戦するという特別ファイトだ!」
なんでこっちが挑戦する側なんだ。こっちはほぼ無理矢理連れてこられて様なものだぞちくしょう。と言いたいがこれも仕事と思いなおし、笑顔を振りまきながら観客に手を振った。
「さぁ互いに準備は整ったか~い?」
「ドンと来い!」
「いつでもいいぜ」
「我が退却の神髄を見せようぞ!」
「準備OKです」
司会も兼任している大山支部長の言葉に四人はそれぞれの言葉で返す。
「よし!じゃあ……一斉に行くぞ~!」
「「「「スタンドアップ!!ヴァンガード!!」」」」
ここに、ファイトの幕が切って落とされた。
どうあがいても一話で収まらないんだが(汗
そしてエースよ、君の出番はないと言ったが被害もないとは言っていないよ?(ゲス顔
本編がどんどん不穏な感じになって行きますが、この作品はそのフラグをバキバキに壊しながら行きますので応援よろしくお願いします!
では、次の後編でお会いしましょう!