リンリンの中の人→アイマス出てる
あれ?この二人アイドル出来んじゃね?と思って二人がアイドルになる話を書こうと思ったけど途中で力尽き今に至りますwww
誰か書いてくれてもいいのよ?(チラッ
「以上が、例のカードの覚醒状況です」
「……そうか」
一人用、と称するには広すぎる、そして清潔的すぎる部屋には二人の男性がいた。
一人は赤い髪と黒い服を身にまとった歳若い男性であった。彼はベッドに横たわり視線だけこちらに向けている男性に向かって努めて事務的な声色で淡々と言葉を述べた。
「ただ、
「芳しくない……か?」
言い淀んだ若い男性にもう一人の、初老の男性は口角を僅かに上げながら彼が言おうとしていた言葉を引き継いだ。
「はい、予想より早く『彼女達』が表舞台に出てきてしまった影響だと思われます」
「ふむ……」
彼等の予定では少なくとももう少し後になって彼女達を華々しくデビューさせる予定であり、その時になって探りを入れられてもいいように今の段階で活動させているの過ぎず、ここまで有名になるのは彼等にとって想定外の出来事だったのである。
「牽制、のつもりかもしれんな」
「やはり……」
そう思いますかと続く筈の言葉を飲み込んで若い男は初老の男性の次の言葉を待った。
「だが、逆を言えば我らに仇成す者達を絞り込めたとも言える」
フーファイターズ、蒼龍財団……そして伊吹コウジと彼に与する者たち
「この機を逃すのは得策ではない」
「では……」
「最近は調子も戻ってきた。そろそろ私自身が出向くとしようではないか」
彼らが自分達に歯向かうと言うのなら受けて立とう……その上で叩き潰してやる。
「準備をしておけ……江西」
「はい、リューズ様」
男性達、江西サトルと明神リューズは白い部屋の中でどす黒い暗躍を企てていた。
「みなさ~ん!今日は来てくれてありがとうございま~す!」
「最後まで見ていってね~!!」
ステージ上に立つ二人の少女の言葉に彼女達を見に来た観客達は待ってましたとばかりに大きな歓声を上げる。
「予想以上だな」
「そうですね」
「なぁ、な~んでこんな所に来たんだよ?」
それを遠巻きに見ている車いすの男性、リューズと江西サトル。そして暇だから来た少年守山ヒロキは思い思いの言葉を口にしながら、本日のイベントの主役であるアイドルグループ『ラミーラビリンス』のトークイベント会場に来ていた。
「守山、これはリューズ様の深い考えあっての事だ」
「はぁ?」
「ここには恐らくリューズ様に歯向かう、お前風にいえば『悪』が来る筈だ。リューズ様はあえて姿を見せる事で奴らの牽制と人員の掌握を行おうとしているのだ」
リューズの車いすを引いている江西が明らかに不満を顔に出しているヒロキに今回の意図を根絶丁寧に説明する。
「つまり、俺の正義を示す事が出来ると言う事か!」
「……まぁそうだ」
がまだ幼いヒロキには難しい話しだったようで、江西の方も理解を求めていなかったのか投げやりに肯定するだけだった。
「よ~し!じゃあ早速……」
俺の正義を示してやるぜ!というヒロキの言葉は
ぐぅぅぅ~
「腹でも減っているのか?」
「ぐ」
彼自身の空腹を告げる腹の音によって霧散してしまった。
「どうやら出店があるようだな」
リューズが言うとおり、ライブに来たファン相手に食べ物を売る出店が幾つかあるようでヒロキの腹の音もそこから漂ってくる食欲を誘う香りに誘われたということだろう。
「こんなところに?」
江西が疑問に思うのも無理はないがヒロキの目線は出店にくぎ付けになっている。
「ほれ」
「え!?」
急にリューズから渡されたお札に思わず受け取ったヒロキが目を白黒させる。
「朝から何も食べていないので腹が減ってしまってな。何か買ってきてくれないか?」
「お、おう!このジャスティスヒーローに任せておけ!」
「よろしいのですか?」
ぱぁ、と顔を輝かせ一目散に出店に走っていくヒロキを見ながら江西はリューズの車いすを引く力を少し強めつつ訊いた。
「カモフラージュ代わりにくらいはなるだろう」
「そうですか」
対するリューズの短い返答に完全に納得したわけではないが江西はとりあえず言葉を引っ込め車いすを引きながら走っていった守山ヒロキの後を追った。
「う~ん……」
リューズたちが出店前についたとき、ヒロキは店員が鉄板の上で踊る数々の食べ物を見ながら頭を悩ませていた。
「く、どれにすればいいんだ!?」
その屋台では確かにたくさんの物が売られており、やきそばやフランクフルト等定番ものからチャーハンという変わり種までここで三食食べられるんじゃないか?と考えてしまうほどの品ぞろえだ。
(だが、アジフライは一体どういうチョイスなんだ?)
江西が明らかに品目の中で浮いているアジフライに疑問符を浮かべていると、悩むを通り越してうなり始めたヒロキを見かねたのか店員が話しかけてきた。
「なんだ、決められないのか坊主?」
「坊主じゃねぇ!守山ヒロキだ!」
「それはすまんね」
ヒロキの生意気な発言もさらりと笑って受け流す店主を見て
「っ!?」
「?……あれ!?江西君!?」
江西の顔が驚愕に染まり、店員も彼に気づくと思いっきり目をむいた。それもそのはず、彼らは互いに知り合いなのだから
「安城マモル……お前こんなところでなにを?」
「え?い、いや~諸事情ありまして~」
江西は呆れと驚きを隠さず、出店の店員、安城マモルにそう話しかけるとマモルの方もあまり腹を探られたくないのか当たり障りのない言葉で流そうとする。
「諸事情?」
「う~ん、その……金欠的な?」
そう、マモルは前回のファイト兼アカネの送別会の会計を全て自分で負担した結果、給料のほとんどがあの喫茶店に消えてしまい、こうやって小遣い稼ぎをすることと相成ったのだが。そんな事情を知らない江西からすればそれは不摂生以外の何物にも見えないわけで
「お前……」
「なんだいその目は!?」
冷たい視線を向けられるのもまぁ仕方のないことだろう。
「すまんが店員さん、ここにあるメニューすべてを少しずついただくことは可能かね?」
ヒロキの頭に手を置きながら今まで黙っていたリューズが軽い笑みを浮かべながらマモルに言った。
「は~い大丈夫ですよ!」
マモルの方も特にリューズの顔を見ても反応することなく愛想よく返事をして、ヒロキの方に乗り出していた体を屋台の方に引っ込ませる。
明神リューズの顔を見て、なにも反応しないのは客商売ということを意識してのことなのか?
(いや、たぶんリューズ様の顔を知らないのだろうな……)
確かに、明神リューズが表舞台に出てこなくなって久しいが……
(それでも普及協会の人間が設立者の顔をしらないというのはどうなんだ?)
今更言っても詮無きことだが毎回思う。支部長とクランリーダーが揃ってちゃらんぽらんのドラエン支部は運営が大変だろうと
「お~い!ちょっと手伝ってくれ~!」
流石にマモル一人では手が回らないらしく、彼が店の奥に向かってそう声をかけると、しばし物音がして人が一人暗がりから出てくる。
その人物はいつもはしないエプロンをしているが特徴的な赤い瞳と銀色の髪は見間違いようもない……
「呼んだか?マモ……」
「」
「」
「……伊吹、コウジ?」
普及協会の本部員にしてユナサン支部の特別コーチ、果てはリューズの野望の成就における一番の障害である伊吹コウジであった。
気まずい沈黙が流れる……。
「伊吹君?」
「!?す、すまん」
するとこの状況を理解していない安城マモルが固まる伊吹コウジに不思議そうに声をかける。伊吹もそれで硬直がとけたのかとりあえずは目の前の事を処理しようと思いのほか手際よく動き始める。
(いるかもとは思ったが……)
なぜこんな事を?と当然考えた江西の為というわけではないが、伊吹がなぜこのような場所にいるのか説明をしなければなるまい。
時は少々遡り、伊吹はユナサン支部に秘密裏で設置されているあるカードの研究施設で能面のような顔でディスプレイと向き合っていた。
(未だに動く気配はなし、か)
彼の目はディスプレイが告げる様々な波形を一切見ていなかった。彼の頭を占めるのはヴァンガード普及協会を隠れ蓑に暗躍する存在
(もっと大がかりな仕掛けが……)
もっと深く思考の海に沈もうとした矢先、甲高い電子音が伊吹のポケットから鳴る。
伊吹が気だるげにポケットから電子音の元凶、スマートフォンを取り出しその画面に記された名前を見て、彼の目が疑問と驚きに見開かれる。
「……なんだ?」
(あ、伊吹君?今大丈夫かい?)
スマートフォンから聞こえてくる気楽そうな声は、なんの数奇な運命を辿った結果か伊吹の友人と呼べる間柄である安城マモルであった。
「……」
今の作業はそれほど大事なものでもないし、そもそも気合いを入れてやるようなものでもない。
だが、付き合いが深くなるほどマモルの頼みは大概面倒なことになるのは悲しいかな伊吹はよくわかっていた。
(伊吹君?)
「問題ない、何の用だ?」
しかし、この男の強引さもよくわかっている伊吹は結局溜め息を噛み殺しながらこう言うのだった。
(あのさ~明後日って暇?ちょっと手伝って欲しいことがあって)
「手伝って欲しい事?」
話を聞くに、事情があって一次的に金欠状態となってしまったマモルがちょっとした小遣い稼ぎをしたいのでそれを手伝えというものだった。
「おま、俺に犯罪の片棒を担げと!?」
(何言ってんだ!?ちゃんとした普及協会の活動の一環です~)
本当か?と疑いかけるが、伊吹はこの男がそういう所に手を抜かないのは知っていたのでとりあえずその言葉は飲み込む事にした。
(頼むよ〜本当はエース君を誘おうと思ったのに彼と連絡つかないんだもんよ)
「因みにそれはラミーラビリンスのイベントで間違いないな?」
延々とマモルの愚痴になりそうだった流れを断ち切り伊吹は気になっていた事を確認する。
(ん?そうだよ)
とここで声だけでわかるくらい露骨にマモルの表情というか声色が嫌なものになる。
(あ、もしかして伊吹君もラミラビの)
「んなわけあるか!」
ろくでもない誤解を植え付けられそうな気配を敏感に察知した伊吹、ここら辺の対応力の差がエースとは違うところだろう。エースは早く彼のような対応ができるようになることが望まれる。
それはさておき、伊吹はマモルの誘いの内容を今一度頭の中で咀嚼する。
ラミーラビリンスは表向きこそただのアイドルグループだが信頼できる筋で彼女達がヴァンガード普及協会とつながりが、それもとびっきり黒いそれがあることはわかっていた。だからこそ前回の「仕事の斡旋」と言う名目でこちらから彼女達に介入することができたのは僥倖と言える。
だが、それ以上こちらからのアプローチが出来ていないのもまた事実……
(ここで顔を見せておくのも一計か……?)
仕事を斡旋した以上一度も顔を見せないと言うのも決まりが良くないし、と伊吹は頭の中で着々と策を組み立てる。
「いいだろう。お前の小遣い稼ぎにのってやる」
(マジで!?でも一応クエストって事になっているからそこんとこ)
よろしく!と言おうとしたのであろうマモルの言葉を聞く必要はないと言わんばかりに終話ボタンを押し、伊吹は目の前のディスプレイに視線を戻した。
だが今はきちんと話を聞いておけばよかったと思う。まさか屋台の店番を任されるとは思っていなかった伊吹はその日の自分の行動の迂闊さを呪っていた。
それもこんな姿を一番見られたくない者達に見られるとは屈辱以外の何物でもなかった。
「伊吹コウジ……」
「……なんだ」
「その、大変だな」
「同情は止めろ!」
まさか敵の首魁から同情される羽目になった伊吹はそのいらだちのぶつけ先を求め途方に暮れるのであった。
「いや~大盛況だったよ!本当にありがとう!」
「いえ、こちらこそ呼んでいただきありがとうございました!」
所変わってこちらでは、大盛り上がりのまま終わったトークイベントに大変ご満悦の主催者がその立役者であるラミーラビリンスの二人にねぎらいの言葉をかけていた。
「いや、本当に大盛り上がりだったよ~。特に蝶野さんのあのツッコミは芸人顔負けだよ。一体どこで身に付けたんだい?」
「え!?あ、あ~それはですね~」
主催者の一切悪気はない言葉にアムの視線が宙を泳ぐ、まさかどっかの外道のせいとは流石に言えない。
「あ、そろそろ挨拶にいかないと。ごめんね?引きとめて、んじゃ今後ともよろしくね!」
「はい!」
「ありがとうございました!」
幸い、主催者の方に予定があったようで、アムが言い淀んでいたのは特に言及されず彼は足早に去って行った。
それをラミラビの二人は笑顔で見送っていたが
「ルーナ~」
「な、なにかな?」
主催者が角を曲がって行ったのを見届けた後、アムが不機嫌ここに極まれりという感じでぶすっと頬を膨らませながらルーナを見る。それに少したじろくルーナだが思う節があるのかその動作もどこかぎこちない。
「さっき助けてくれても良かったんじゃないの~?」
そう、先ほどアムが言い淀んだ時ルーナは助け船を出す事も出来た筈なのだが彼女はそれをしないばかりかニコニコと事の成り行きを見ているだけだったのだ。
「あ、あはは~ごめんごめん。慌ててるアムが可愛くてつい~」
「ルーナぁ!」
「ごめんってば~!」
最近自分の相棒がいろんな意味でいいキャラになってきているような気がすると、アムは逃げだそうとするルーナを追いかけながら思う。
それがいい変化なのかは意見が分かれるところだろうが……
「ラミーラビリンス、のお二人ですか?」
このまま微笑ましい追いかけっこに発展するかと思われた二人だが、突如として声をかけられたことによりそれは未遂に終わる。
「はい、そうですけど?」
近くにいたルーナがほぼ反射で声をかけてきた男性に返事をする。
「あぁ、良かった。行き違いにならなくて」
ほっと息を吐く男性は銀色の髪に赤い瞳と非常に目立つ外見をしており、顔立ちも整っており今でこそ表情も柔らかいが、それでも隠しきれない眼の光りの強さが本来の気の強さを感じさせる。
「あの~何か?」
「すまない。自分は伊吹コウジというものだ。そちらに仕事の斡旋をさせて貰っている」
「……あぁ!」
男性、伊吹の言葉にルーナがしばらく思考を泳がせると合点がいったのかハッと目を見開く。
「その節はありがとうございました」
「いや、こちらこそ急な依頼を引き受けてもらって感謝している」
その隙に、アムがルーナの一歩前に出て恭しく頭を下げる、それを見て伊吹の顔もほころび彼女に習い彼も頭を下げた。
「仕事の方を見させてもらったが素晴らしかった。今後ともよろしくお願いしたい」
「と、とんでもないです!こちらこそ宜しくお願いします!」
「あ、伊吹君こんな所にいたのか」
伊吹の望外の賛辞にアムが呆然としつつも失礼にならないよう最低限の言葉を吐きだした所に最早見覚えがあると言ってしまえるいつもの顔がひょこっと姿を見せた。
「…………何の用です?」
「またえらい溜めたな~」
自分を見た瞬間、殊勝な態度から180度変わったアムを見て、流石のマモルも苦笑を禁じ得ない。
「ふん」
「あはは~アムったら照れてるだけですから気にしないで下さい」
「ルーナぁ!」
「いたたたた、痛いって~!」
アムがいい加減にしろ~!とルーナの頭をげんこつでぐりぐりとするがしてる側もされてる側も笑顔なのでじゃれあいの一環という奴だろう。余談だが最近のラミラビはこんな事が良くあるらしくいい傾向だと関係者は言っているとかいないとか
「む、ここにいるようですよ」
顔も見れたしここらで退散しておくか、と伊吹とマモルが考えているとラミラビの後ろ側の廊下の角から車いすを引く三人の男性が現れた。
「ったく、ここ人多すぎじゃね?」
「そういうものだよ、守山ヒロキ」
なんどもすれ違う人間にいい加減辟易していたヒロキを軽くたしなめるような言葉を言ったのは
「明神、リューズっ……!」
「っ!」
ヴァンガード普及協会の名誉会長にして、今、ヴァンガードをめぐる陰謀の黒幕とも言える存在、明神リューズであった。
大ボスの登場に伊吹と、アムがにわかに警戒を強める。
(ど、どうしてここに!?)
話は何も聞いていない。よもや裏切るとでも思われているのだろうか?数々の憶測が頭の中を飛び交いアムの表情は知らずのうちに固くなる。
「?」
いつの間にか動かなくなったアムを見、その視線を辿ったルーナの目が驚きに大きく見開かれる。
「ん、おぉ……!」
一方リューズの方も、自身の目に移る錚々たる面々を見て息を吐きながら目を細める。
「おじいちゃん!来てたの!?」
「あぁ我が孫娘ルーナよ。見ていたぞ」
そして、双方から放たれたさも親しげな言葉の応酬に面々はぴしりと時が止まったかのように硬直する。
「「「「お……」」」」
「「「「おじいちゃんんんんんんんんんん!?」」」」
アムと伊吹だけでなく、リューズと一緒にいた二人も思わず叫んでしまったのは御愛嬌と言ったところか。
「へぇ、弓月さんの祖父だったんだ~あら?でも名字が?」
唯一叫ばなかったマモルがのほほんと言うのが今は少しだけ羨ましく感じたと後のアムがぼやいたのはまた別の話。
「え~というわけで」
何がというわけなのか、とりあえず一室を借りうけて、伊吹、アム、ルーナ、江西、ヒロキ、リューズ、そして最後に扉を閉めたマモルという七人の大所帯は思い思いに席に座り第一声を上げたのが伊吹コウジだった。
「祖父、なのか?」
「はい!と言っても色々事情がありまして~」
「事情?」
まさかの自分のトップが目の前の相棒の親族だとは全く知らなかったアムが居心地の悪さを感じながらも話を振る。
(リューズ様)
(……なんだ)
ルーナが説明している隙に江西がこっそりリューズに耳打ちする。
(我々も聞いていませんでしたが?)
(そうだぜ!どういうことだよ?)
(なに、大したことではない)
そこにひょっこりとヒロキも顔を出しながら加わり、リューズは表情を崩さず当然のことを説明するかのように口を開いた。
(
当然、付随すべき愛情など欠片もない。と冷酷に聞こえる声と態度でリューズは言う。
(おじいちゃん、って言われてたじゃん)
(あれは向こうが言いだしたことだ)
ヒロキの疑問にもリューズは淡々と答える。全く迷惑だ、という一文を付け加えて
「はいよ~。コーヒーしかなかったけどいいよね?」
「あぁすまんな」
とここで、人数分のコーヒーを持ってきた安城マモルが乱入し、慎重に人数分のコーヒーをテーブルの中央に置く。
「え~これ砂糖、とミルクね」
わざわざ専用の容器に入れてきたのだろう。金属製のポットに入れられたミルクと、袋詰めの二個入り角砂糖を幾つか湯気の立つコーヒーの脇に置いた。
マモルが準備を終え、席に着いたのを見計らって皆がコーヒーに手を伸ばした。
江西と伊吹は砂糖、ミルクなしなしのブラックで
アムとヒロキが砂糖二個入り、ミルクありでそれぞれコーヒーで喉を潤す。
リューズはミルクなしで砂糖を一個だけ入れ、マドラー替わりのスプーンでコーヒーをかき混ぜると一個だけ余ってしまった角砂糖を
「ん」
何の意図も告げずにルーナに向かって差し出す。
「ありがとう」
ルーナもそれになんの疑問も持たず受け取ると、それを自身のコーヒーに入れて一口飲み、満足そうに息を吐いた。
「る、ルーナ?」
息の合った連携をこんな所で見せつけられたアムは言葉を詰まらせながらルーナの名前を呼んだ。
「え?あぁごめん。私甘いのが好きだから砂糖が足りなくて~」
(そ、そういうことじゃないんだけど)
なにごともなかったかのように笑うルーナを見てなんとなくそれ以上聞けなくなってしまったアムであった。
そして衝撃を受けたのは彼女だけでなく
(あの)
(なんだ?)
(細かい好みまで把握してるんですね)
リューズにつき従う二人もだった。
(それがなんだというんだ?)
(いや、なんだというか……)
(仲悪いんじゃなかったのかよ?)
江西が言い淀んだのをヒロキがざっくりと言い切る。この思い切りの良さはいい意味で空気を読めない子供の特権だろう。
(悪いのではない興味がないのだ。これだって彼女がしつこいから覚えてしまっただけだ)
リューズはそういうが附に落ちない何かが残るのもまた事実である。リューズはしぶしぶと言った感じで矛を収めた二人を横目で見ながらコーヒーカップを傾け
「あちっ!?」
予想を超えた熱かったらしく、口元を押さえながらコーヒーを机に戻す。
「はい、おしぼり」
「すまんなルーナ」
「いえいえ~♪」
(((あ、阿吽の呼吸……)))
さっきからアム、江西、ヒロキのカンパニー勢の口は開きっぱなしだ。
「あれ?トコハから?」
すると、マモルのスマホから電子音が鳴り響く、どうやら妹であるトコハから連絡が来たようだ。
「まさか、今日はいつものサボりだったのか?」
「違うっつの!?」
伊吹の言葉にそう返しつつも訝しげにスマホの画面とにらめっこするマモル
「なんだろうな~、すいませんがちょっと外させて下さい」
いまだ鳴り響く妹からのコールにマモルがリューズ達に頭を下げながら扉に向かう。
とここで伊吹が気付く……
(この状況……まさか四面楚歌!?)
リューズ達カンパニーの一員と彼等とつながりがあると思われるラミラビ、その中で伊吹は孤軍奮闘する羽目になるのだと
「おい!ちょっと」
待て、と声をかける前に悲しいかなマモルはもう部屋の外に行ってしまった。
(や、ヤバい……)
どうする!?と思う間もなく、伊吹には幸運?な事に
「す、すいませ~ん。私もお腹の調子が良くなくって……薬飲んできます」
困ったように笑うルーナの援護射撃が入った。
「大丈夫?」
「平気平気!ちょっと待っててください」
アムの言葉にルーナはそう言うと、ぱたぱたと部屋から足早に出て行った。
そうなると、残るのは伊吹、アム、リューズ、江西、ヒロキというほぼ初対面に近い人間達となる。
((き、気まずい……!))
奇しくもアムと伊吹の考えが一致した瞬間である。だがその沈黙は運がいいのか長く続かなかった。
「うお!?ゴキブリ!」
「え!?」
リューズが突如一点を見て思いっきり叫んだからだ。その声にアムが思わず席を引き立ちあがりかける。
「リューズ様、シミですよ」
「む?」
だがちらりとリューズの方を見た江西が冷静にそういうとリューズも目を細めてよく見てみる。
「あ、確かに」
すまんすまんと辺りに謝りながらリューズは再びコーヒーに口をつけた。その顔をヒロキがじっと見ていた。
「リューズさん、ずっと気になってたんだけどよ」
「なんだ?」
「今日ちょっと顔色悪くね?」
確かにヒロキの言うとおり、いつもより若干顔色が青いような気がする。
「うむ、実は昨日食べた牡蠣が当たってしまってな」
リューズは彼の言葉を否定せず軽く笑みを浮かべながら腹をさすった。が最早ここにいる人間にはそれより気になることが出来てしまった。
「一緒に、行ったんですか?」
アムが恐る恐ると言った風にリューズに聞いたように最早彼等の興味はそこに移っていた。
「一緒にとは、ルーナとか?」
「え、えぇ」
アムが頷いたのを見てリューズはまさかと苦笑した。
「流石に年がら年中いるわけではない。一人で行ったに決まっているだろう?」
「そ、そう、ですか」
「全く、宝くじもトリガーも当たらないのに牡蠣にだけは大当たりだよ」
はははははと笑うリューズに周りもつられて固くではあるが笑いが広がり、和やかな雰囲気が場を包む。
「ごめんなさ~い!」
とここで薬を服用しにいったルーナが戻ってくる。
「速かったな」
「あはは~お待たせしちゃいけないと思って急いじゃいました~」
伊吹の言葉に笑顔で答えながらアムが引いてくれた椅子にルーナは腰掛け
「いや~まさか昨日食べた牡蠣が当たるなんて運が悪いですよね~!」
「「ぶほぉ!?」」
何の気なしに言った言葉に江西と伊吹がコーヒーを吹きそうになる。
(おいぃぃ!?やっぱり一緒に行ったんじゃん!)
(た、たまたまそういうこともあるだろう)
(もう流石に無理があるよ。リューズさん……)
江西とヒロキの追求をそろそろさばききれなくなってきたリューズだがそれでもほぼ意地で否定の言葉を紡ぐ。
「牡蠣……か」
「はい!美味しかったです~」
伊吹が何か言いたそうな目でリューズを見ているが、リューズは全力で無視する。
「でも、宝くじもトリガーも当たらないのに牡蠣にだけは大当たりなんてついてるんだかついてないんだか」
「んぐ!?」
がルーナからのまさかの追撃にリューズは口に含んだコーヒーを苦労して飲み込む羽目になる。周りからの視線が痛いがそれでも全力で無視するリューズの意思には驚嘆に値すると言っていい。
「あ、あはは~ルーナったら」
「アム?なんか表情硬くない?」
「そ、そんなことないわよ?」
誰のせいだと思ってるんだと言いたかったがルーナのせいではないのは確かなのでとりあえずアムはその言葉を飲み込んだ。
そんなアムの様子を見てルーナが首をかしげるが、ある一点を見て
「きゃあ!ゴキブリ!?」
「シミだ」
飛び上がらんばかりに驚く。が、リューズから一泊の間も置かず言われた言葉により、ルーナは落ち着きを取り戻す。
「え、シミ?」
「そうだ、よく見ろ」
「あ、本当だ」
全く、そそっかしいな、とリューズが自分の事を棚に上げる。最早説明の必要すら感じないかもしれないがそこはリューズが勘違いした個所と寸分たがわない場所だったと一応記しておくとしよう。
「あ、そういえば」
会話に一区切り付き、静寂が場におりかけた所でルーナが思い出したかのようにリューズに話しかけた。
「おじいちゃん、あれはどうなったの?」
「あれ?」
「ん、ヴァンガードで完全なる未来を~っていうおじいちゃんの夢」
…………
「おい、そこのクソじじい」
「クソじじい!?」
遂に江西が忠誠その他もろもろを投げ捨てて、目の前のリューズ改め孫馬鹿に唾を吐きかねない顔でぼそりと呟く。
「おま、何全部言ってんの!?」
「いや、小さい時ルーナがよく眠れないってこっち来たもんだから、子守唄替わりに」
「小さい子供に何聞かせてんだよ!?」
「仕方ないじゃろ!?わし子守唄なんて歌えんし?でもこの話聞かせると直ぐに寝てくれるんだよこれが!」
「しらねぇよ!?このクソ!」
「じじいはつけよう!?クソでもいいからせめてじじいはつけよう!?」
今までひそひそ声で会話してたのについにわき目もふらず怒鳴りながら会話し始めた江西とリューズにヒロキは
「お~い、全部聞かれてる。ってもう聞いてないか」
とりあえず義理100%でそういうだけ言っておき、再びコーヒーに舌鼓を打つ作業に戻る。
「おじいちゃ~ん?」
江西とぎゃーぎゃーやりとりを初めてしまったリューズにルーナは自分が発端だと一切知らずに声をかけるが、リューズは当然反応はしない。
「むぅ、久しぶりに聞きたかったのにな~」
ルーナはリューズが語る夢の話が好きだった。今でもたまにこうしてせがむ程には、久しぶりに聞きたかったのだがこれでは遠慮するしかないか、と隣に眼を向けると
「もう……カンパニー辞めたい……」
凹むアムがそこにいた。
「アム!?」
半泣きで頭を抱えてしまったアムを責めることは誰にも出来ないだろう。ルーナが心配そうに声をかけるが、この状況では逆効果以外の何物でも無かろう。
「……ふぅ」
このカオス極まる状況の中コーヒーを飲みほした伊吹は
「この孫馬鹿!まさかディペンドカードの事も言ってないだろうな!?」
「あたりまえじゃ!それは流石に……あ」
「言ったのか!?まさか言ったのか!?」
「ぐ、ううううるさい!お前も孫を持てばわかるわい!」
「分かりたくねぇわ!」
(このコーヒー美味いな、おかわり欲しい。安城マモルだっけ?あいつに貰おう)
ぎゃーぎゃー騒ぎ立てるリューズと江西、それを豪胆にも無視してコーヒーを啜るヒロキを見て
「なんで私の周りはこんなのばっかなのよぉ……」
「アム!アム!?しっかり!」
いまだ顔を上げることのできないアムとそれを必死でなだめているルーナを見て
「よし……」
一つの決意をする。
(全部マモルのせいってことにしよう)
ヨーゼフ閣下もビックリの冤罪である。
マモルが返ってくるまであと五分……
アンジャッシュのコントってめちゃくちゃ面白いと思います。ピーポー君とかが有名だけど一番好きなのは『仲が悪い二人』と『社員旅行の写真』ですね
最後までやりとおしたかったけどそれはまたの機会ということで(オイ
今回の話を一言で言うと
【悲報?】ストライドゲート開ける気ない件について
これですwww
え~と次はリレーファイトをやる予定ですので宜しくお願いします!