汚い、流石兄貴汚い   作:DEAK

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ヴァンガードGギアーズクライシス編13話より

伊吹「俺はまだ……二十歳だ!!」

クロノ「だから、おっさんじゃん」

伊吹「!?」

俺「!?」


というわけでクロノ君に今回は被害に会って貰いますね(ゲス顔


外道と天使と……渦巻き

 

事の発端は夕飯時だった。

 

 

「ギアクロニクル?」

 

「そ、なんか本部の方でよく話題に上がっているみたいでさ」

 

珍しく、真面目に仕事にいそしんだ俺はすっかり帰りが遅くなってしまい、もう今から夕飯を作る気力がないため両親の家にお邪魔していた。

 

ぐつぐつといい匂いと音が部屋を満たす中で、ふと最近ヴァンガード普及協会で噂になっている事を正面に座るトコハに話してみた。

 

「聞いたことないけど」

 

「俺もだよ。どうにも未知のクランらしくてね~何かわかることがあったら教えて欲しいんだよ」

 

でないと、俺はいつまでもデスクに張り付く羽目になっちゃうからさ~と付け加えた俺をまだ生焼けの肉に手を伸ばそうとする父の手を止めながらトコハは何かを探る様に俺を見返す。

 

「……なんか企んでる?」

 

失敬な、俺はただ安心して仕事をさぼれるいつもの支部に戻って欲しいだけだ!

 

「ふ~ん、まぁいいか。珍しく兄さんが仕事しているみたいだし、一肌脱いであげる」

 

「優しい妹を持って俺は幸せ者ですよ~っと」

 

ふふんと胸を張る我が妹に俺は棒読みで返し、丁度いい感じに煮えた肉を口にほうばる。

 

今日の安城家の夕飯はすき焼きである。一人暮らしではなかなか出来ない豪勢な夕飯だ。

俺は生卵に絡ませた牛肉の味を口いっぱいに噛み締め

 

「痛っ!?」

 

口の中、というより歯の付け根辺りから刺すような痛みを感じ思わず口を押さえる。せっかくの肉の味が台無しである。

 

 

「あら、まだ固かったのかしら?」

 

「いや、そんなことはないぞ」

 

俺の反応に両親がそんな会話を繰り広げる中、トコハは少し思う所があったのか俺をじっと見つめる。

 

「兄さん……」

 

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

「もしかして……虫歯じゃない?」

 

「……マジで?」

 

そんな、だって毎日歯磨きだってしてたのに?

 

 

 

だが、ズキズキと歯の奥から訴えてくる痛みはどう否定しても間違いなく虫歯のそれだった。

 

 

 

 

と、これが前日の安城家での出来事である。

 

今、俺が何処にいるかというと……

 

 

 

 

 

 

「はい、安城マモルさんですね?では呼ばれるまでお待ちください」

 

「は、はい」

 

実家の近くの歯医者さんである。あの後、どうせ大丈夫だべ?と放っておこうとしたのだが両親がもう予約を入れてくれたらしく、めでたく俺は歯医者に通う事になったのだが、実は俺は皆に隠していることがある。

 

 

(俺……歯医者超苦手なんです)

 

これである。だってドリルで歯削るんだよ!?あれにもし舌とか巻き込まれたらどうなんの?俺死んじゃうの?

口の中に金属の棒なりドリルつっこむなんて正気の沙汰じゃないよ!?

 

(あ~遺書でも書いとけばよかったかな~?)

 

とか第三者が見れば何言ってんだコイツ?と白けた視線と共に言われそうなことをその時の俺は真剣に考えていた。視線は落ち着きなくあちこちを動き回り、足は今にも貧乏ゆすりを始めそうだ。

 

「……あ、ヴァンガード雑誌あんじゃん」

 

ちょうどいい気晴らしになるか?と俺がその雑誌に手を伸ばすともう一つの俺より小さな手がその雑誌を掴んだ。

 

「ん?」

 

「お?」

 

誰だ?と視線を雑誌を掴む手から追っていくと……

 

 

「リ、リンリン?」

 

「お、お前、なんでここに?」

 

いつも食べている駄菓子を今回は持っていないのか、何も口にしていないリンリンこと羽島リンの姿がそこにはあった。

 

彼女もまさかここで会うとは思っていなかったようで俺を見て相当驚いている。

 

「あ、あ~もしかしてリンリンもあれかい?虫歯かい?」

 

「お前もかよ、ていうかリンリン言うな」

 

どうやら、いつも食べていた駄菓子が良くなかったようでリンリンの歯にも立派に虫歯が出来てしまったということだ。

 

「まぁ、流石に今回はファイトは勘弁してやるよ」

 

「今やっても碌に集中出来そうにないからね~」

 

そういうことだ。とちゃっかし雑誌を俺の手から奪い取りリンリンが用意された大きなソファに座る。

俺もそれに倣い、手持無沙汰だが彼女の隣に腰かけた。といっても丁度人一人分は空いているが

 

しばらくは、リンリンの雑誌をめくる音だけが歯医者の待合室が無人では無い事を示す唯一の音であった。

 

「すいません、予約していた者ですけど」

 

「はい、お呼びいたしますのでそこに掛けてお待ちください」

 

すると、そこに診察に来たのであろう声からすると若い少年だろう、ひとりの少年が受付を済ましこちらにやってくる気配がした。

 

正直、沈黙が辛すぎたのでリンリンをからかおうかと思っていた所だったから丁度いい、まだ見ぬ少年と親睦を深めるとしよう。と俺は少年に視線を向ける。

 

 

「チョココロネの妖精!?」

 

「え!?」

 

あいたたた!チョココロネを思い出して歯が痛くなっちまったよ。だってあの子凄い髪形してんだもの。

 

そして目が会うなりあんまりな事を言われた少年は目を丸くして立ちつくしている。まぁ当然の反応だ。

 

「歯医者で騒ぐなよ。迷惑だろうが」

 

雑誌に集中していたのか、ここでようやくリンリンが雑誌から目を離し、俺を睨みつける。って俺ですかい!?俺ですね!すいません。

 

「ったく、ごめんな~コイツが迷惑かけ……て」

 

そこで自分と俺の他に誰かいたのには気付いていたのだろう。ここに来たばかりの少年に俺に向けるのとは正反対な柔らかい雰囲気を纏わせながらリンリンは喋りかけようとし

 

「ねるねるねるねの精霊!?」

 

「あんたら二人揃って失礼だろ!?」

 

盛大に失敗した。それに対する少年のこの反応は妥当だと思う。

 

「いや、ごめんごめん。ほら、彼女も悪気はないからさ」

 

「お・め・ぇ・も・!同罪だろうが!!」

 

年長者面して頭に手を置きながら話す俺と、その俺に掴みかかりながるリンリンに目の前の少年も毒気を抜かれたのか

 

「まぁ、気にしてないっす……」

 

ポツリとこれだけ言って視線を外す。ん~これはちょっと悪い事をしちゃったかな~?

でもさ~もう分かると思うけど、すんごい渦巻き頭なのよ彼、それはもう見事な渦巻きで多分トンボなんか彼の正面に立つと目を回すんじゃないかな?

 

俺がそんな事を考えていたとは露知らず、渦巻き頭の少年は席に座ろうとするが

 

「……あ」

 

ここの歯医者のソファはそれほど大きくなく三人で座るのが限界だった。それも俺とリンリンの間が一人分空いてしまっているので、必然彼が座ろうとすれば二人の間ということになる。流石に初対面の人間が、顔見知りの二人の間に入るのはかなり勇気のいる行動だ。

 

「おっと、悪いな。あたしがつめるから座ってくれよ」

 

「す、すんません」

 

「気にすんなって」

 

それに気付いたリンリンが俺の方に身を寄せ、少年一人が座れるくらいのスペースを作った。少年はリンリンに軽く頭を下げ、リンリンはそれを軽く笑いながら受け取る。そんな男前な事ばっかやってから女の子のファンが増えるんだよ?

 

「おい、お前今なんか変なこと考えたか?」

 

「いや、何も?」

 

怖い!?地獄耳なのこの子?いや、どっちかというとサトラレかな?

 

と少年が何かを思い出したかのようにハッとした顔でこちらを見ている事に気づく。

 

「あの、あんた達って……」

 

「ん?何かな?」

 

なんだろうね?もしかして安城マモルだって気付かれちゃったのかな?いや~有名人ってツライな~

 

 

 

 

 

 

「いっつも痴話喧嘩しながらファイトしている二人組か!?」

 

「「痴話喧嘩じゃない!!」」

 

思わずリンリンと声がかぶっちゃったじゃないか!ていうか有名ってそっちの意味かよ!

 

「言っとくが私はコイツとは違うぞ!」

 

「おい、リンリン!俺だけに罪なすりつけようとすんな!」

 

「うっせぇ!元はと言えばお前が……」

 

「やっぱ痴話喧嘩じゃあ……」

 

「「だから違う!!」」

 

「あの~他の患者さんの御迷惑になりますので」

 

「「「すいませんでした」」」

 

流石に騒がしくし過ぎたようで受付のお姉さんからやんわりと注意されてしまい三人そろって頭を下げる羽目になる。

 

「あと、新導クロノさん。お時間ですので診察の方お願いします」

 

「え、はいわかりました」

 

あれ?そっちの方が早いの?俺達の方が先に来てたのに

 

「予約時間の違いじゃないですかね?」

 

「あぁなるほどな」

 

ぽん、と手を叩く俺を見てリンリンは呆れ気味に溜息を吐く。

 

(どうみても痴話喧嘩だよなぁ)

 

それを見て新導クロノがそんな事を思っていたとは露知らず、俺達はクロノ君を見送ったのである。

 

 

 

 

 

それから時計の長身が半周するくらいの時間の間……

 

 

「あ、そういやリンリン」

 

「リンリン言うな、でなんだよ?」

 

「エンジェルフェザーに新しいカードが追加されたよね、確かノキエルシリーズ」

 

「あぁ、そうだな。それがどうかしたか?」

 

「使わんの?」

 

「ん~、なんというか、余りなじまなくてな。強いとは思うんだが」

 

「まぁ自分のキャラとあわなすぎるもんなwww」

 

「あ”?」

 

「く、首がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

というやりとりをしながら時間を潰していた。

 

そして……

 

「お疲れ様でした、新導さん」

 

どうやら、クロノくんの診察は終わったようで受け付けのお姉さんが出てきたクロノ君に見事な営業スマイルで話しかけている。

 

 

 

 

 

「うむ、見事な治療であったぞ(CVア〇ゴ」

 

 

 

 

おや?

 

 

 

 

が、肝心のクロノ君からの返答がなんかおかしい、具体的に言うとなんかこう……ぶるぅわあああああああ!!とか言いそうな野太ダンディーボイスになっている。

 

「次回からは先生から言われた通りにやってみてくださいね」

 

「あぁ、歯磨きの後、ソウルチャージ15枚であるな(CVセル」

 

それ、歯医者と全く関係ない!ていうかお姉さんもなんで普通に会話してんの!?

 

「え~と、クロノ……く、ん?」

 

ちょうど俺のいる角度からではクロノ君の姿は死角になってしまっていたので身を乗り出しクロノ君に声をかける。後ろにリンリンの気配も感じる事から彼女も相当気になっているようだ。

 

 

 

 

が、正直そのままスルーすればよかったと直ぐに後悔する事になる。

 

 

 

何故なら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ、貴公らか。ここの治療は実にすばらしいぞ。ウワハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!(CVアイテムなぞ使わせない人」

 

 

 

「「じゅ、十万三千歳みたくなってるぅぅぅぅぅぅ!?」」

 

声だけかと思ったら見た目からもろ違うじゃん!肌もなんか病的に真っ白いし額になんか『魂十五』って書いてあるし!?それになにより特徴だった渦巻き頭が剣山地獄もビックリの超とんがりヘアーになってるしぃぃぃぃ!?

 

なんかもう閣下だよ!相撲大好きな世紀末の閣下だよ!

 

 

「お、おま、おま……え~?」

 

ほら見ろ!リンリンなんかもう二の句の告げずに棒立ち状態だよ!

 

「フハハハハハ!!まるで生まれ変わった気分である!」

 

いや、そりゃ見た目からメタモルフォーゼしてるからね?

 

「歯の健康はその人の見た目や生き方も変えますから、しっかりと歯の健康を維持して下さいね」

 

「その通りであるな!!これは一本取られたである!ワハハハハハハ!」

 

だからなんで受け付けのお姉さんは平然としてるの!?15歳くらいの純朴な少年が十万三千歳になっちゃったんだよ!?なんでそんな笑顔を保っていられるの!?

 

「では、我はこれで失礼するのである!」

 

「はい、お大事に~」

 

「え、ちょ!?」

 

送り出しちゃうの?大事にするべきもの歯医者で思いっきりこぼしてるんだけどいいの!?あれ大惨事にならない!?

 

俺の努力?もむなしくクロノ君、改めクロノ閣下はぶぅぅるわっははははははは!!とうざいくらい尾を引く笑い声を響かせながら街に繰り出してしまった。

 

「あ~なんてこった……」

 

「おい……おいってば」

 

なんだよリンリン、こちとらクロノ閣下の今後の御動向が心配でしょうがないんだけど?

 

「次、私達が診察なんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え……?

 

 

 

 

 

 

 

「これ、逃げた方が良くないか?」

 

ふ、ふふふ(汗、気があうじゃないかリンリン?ちょうどこっちも今の言葉でそう思った所さ!閣下になるのはごめんだからね!

 

「あ、あの~」

 

「あ、次は安城さんと羽島さんですね!奥へどうぞ!」

 

僕ら急用が~と言おうとした矢先受付のお姉さんが笑顔で機先を制してきた。

 

「えっと、私達急用で」

 

「いいからいいから~」

 

「「げ!?」」

 

リンリンが断ろうとするのを問答無用で二人の腕を掴み診察室へといざなおうとするお姉さんの力が思いのほか強く、なんかその笑顔も凄く不気味に見えてきた。

 

「ちょちょちょ!?僕達遠慮したいんですけど!?」

 

「大丈夫です~直ぐに楽になりますから」

 

「楽ってどういうことだぁぁぁぁ!?」

 

喋りながらもお姉さんはグイグイと引っ張ってくる。ちょっと!?こちとら二人がかりなのにめちゃくちゃ力強いんだけど!

 

「あ、お姉さんアレですね!」

 

「はい?」

 

「なんか……アモンの眷属ヘルズ・ドローによく似てますね!」

 

「あら?よく言われるんですよ~うふふふふ」

 

「あ、あははははは~」

 

 

 

 

 

「というわけでソウルチャージ二名様で~す!」

 

 

「「あ、あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!」」

 

 

結局、俺とリンリンはヘルズ・ドロー似のお姉さんのソウルチャージによって無理矢理診察室へとソウルインしてしまうのであった。

 

 

 

 

 

余談だが、この歯医者の院長は『山田二郎』といい、兄である『山田一郎』はビルを丸ごと洋風の城に改造し、ヴラド三世を名乗り難攻不落のクエストとして後に新導クロノ、綺馬シオン、安城トコハの三人の前に立ちはだかる事になるのだがそれはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





よし!これで伊吹君がおっさん言われても

伊吹「うるさい!この十万三千歳がぁぁぁぁぁ!!」

って言い返せますね!!(白目

これも二十歳をおっさんよばわりしたクロノ君が悪い!(暴論
二十歳がおっさんならここにいる酒飲んでくだ巻いてるおっさんは化石じゃねぇか!!チクショォォォォォ!!

というおっさんの嘆きと恨みと八つ当たりを込めた結果ファイトまで行きませんでした申し訳ありません(土下座


べ、別にこの短編はマモル(外道)と原作キャラのふれあいがメインテーマやし?(目逸らし
他の小説見るとちゃんと毎回ファイトしてるんですよね。ホント凄いな~と思います。一体どうやれば毎回ファイト描写を書けるのか教えて欲しいです(切実



あと、何故クロノ君がクロノ閣下になったかはイメージ事故の結果だということで理解して下さい(汗
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