「今日はわたし、ゆっくりしていたい気分だから。
昼食はどうにかするから行きたいところへ行ってらっしゃい」
なんて無責任な。霊夢の伝言だ。
昨日の一件、霊夢も来ていたのだが、霊夢だけ、ただ一人だけ卵を浴びずに回収した。それも大量に。
しかもそれに長期保存をできるようにと式を貼っていた。
貼っていたんだけど、あれさ、劣化を抑える式じゃなくて、高速発酵。つまり劣化を速める式だったよ。
箱に容れられた卵は今は.......。
何にせよ、恐らくはその卵を昼食として食べようとしていたのだろうが、あたし達にとっては気楽に行動できるのも貴重だから黙っておいた。そんな感じだ。
さて皆さんは覚えてるかな?あたし達が幻想郷に来る時にお世話になった鏡の番人、エリーさんの事を。
ただし、今日行くのはエリーさんの処ではない。彼女の言ってた、他の番人の処だ。
「あれかなぁ、ばけちゃん」
「うん、鏡も大きいしそうなんじゃないかしら」
前方に見えるのはあたし達の身長以上の高さの鏡だ。一度は見たことある。正しくは同じ装飾の鏡を見たことがある、なんだけどね。
鏡に近づいていくと、バトンを持ったオレンジ色の髪の女性に話しかけられた。対応はろくちゃんがした。
「あら、あなた達も(鏡源郷へ)旅行ですか?」
「うん!(幻想郷へ旅行してる)」
「ちなみに、どれくらい?」
「(幻想郷で)24日間よ!」
「へえ、となると(幻想郷での24日は鏡源郷で)576日、約1年半ですね」
「え?」
「え?」
え?
なんかこの二人、話が食い違ってる様な気がする。が、面白そうなんで放置。
しばしの沈黙の後、番人が話を切り出した。鏡を目線で指しながら言う。
「.....私、これの番人なんでここからあまり動けないんですよね。
なんで、よければ面白そうな場所とか、人とか教えてくれませんか」
「いや、あのね、詳しくないの。あたくし達、この間(鏡源郷から幻想郷に)来たの」
「え?ああ、最近来た(外の世界からの)外来人さんですか。
という事は、まだ住み始めて間も無いということですね」
「住んでないんだけど」
「え?」
「え?」
時間が止まり、空気が凍結した。
「なぁんだ、そういうことだったんですね!鏡に来ていたからてっきり」
「このわたくし達が帰るパターンは考えなかったの?」
「あ、あぁ。思いつきも、考えもしませんでした。頭の片隅にもありませんでした」
あははと照れ隠しに笑っている。
「はぁ」
「あれ、という事は帰るんですか?」
「まさか。
エリーさんをご存知ですね?もしも同僚に会ったら話しかけてみたら、と言われたので」
「へぇ、エリーさんが。他には何て?」
「いえ、特には」
「そうですか....」
話が続かない。久しぶりだなあ。
「ところで、お名前は?」
「ああ、私、オレンジと申します」
「わたくしは化怪化ヶと。そんでもってこっちが」
「来上社ろくです」
同じ過ちは二度と冒さない。
結局、これ以降5回以上話のキャッチボールが続くことはなかった。盛り上がりもしなかったし、ピークは『え?』のあたりかもしれない。
まあ、気まずいしこれ以上居るのはやめて帰った。
帰ったら帰ったで、腹を下した霊夢を看病するのが大変だった。というか絶対カビてただろ、赤とか青とか緑とかに。
え、カラフルで美味しそうだった?馬鹿野郎。
8日目、終了。
ちぇんだと思ったか!オレンジだよ!
はい、旧作勢の登場でした。
絶叫を聞きつけ、⑨、TNTN、宵闇が集まってきた、そんな感じの8日目でした。