「ふむ。こうやって一緒に出かけるのは久しぶりだぜ。なぁ?ばけろく」
「そうね。今まで何してたの?」
「あぁ、ひたすらフランと弾幕ごっこしてたぜ。さすがに精神的に疲れた。あとはまあ、
なんと。やまたんとも知り合いだったのか。いやそれも必然か。なんせ無鏡異変を解決したのは魔理沙だもんね。
いや、知り合いも何も、呑んでるところ思い出した。
「それより、今日は寺に行くぜ」
「てら?」
寺。何処の事だろうか。ここに来てから寺の話なんて聞いたこと....あったわ。確か、霊夢が命蓮寺に信仰が盗られたとかボヤいてた。元から無い癖に。
「そう。住職は人間だけど、それ以外にそこにいる奴はみーんな妖怪だぜ。珍しいだろ?」
「へぇ。で、そこがあたし達が向かっている場所なの?」
「そうだ」
今あたし達は、雲の上を絶賛飛行中だ。
あたしは幻想郷のどこらへんを飛んでいるのか解らないが、魔理沙には解るのだろうか。
「ん、あと三秒で飛ぶのをやめて、着地する準備をしろ」
「えっ」
「3、2、1、やめ」
言われるがままに力を切る。すると全身に下から持ち上げられるような圧力がかかった。軽く吐きそうだ。
ビュゴォオオと耳には聞いたことのないくらい轟音の風切りが。
そんな自由落下が、数十秒続いた。
そんななか、魔理沙がジェスチャーで『着地準備をしろ』と言ってきた。まさか無碍にする訳にも行かず、全身に力を、特に脚に溜める。
下をみると、どんどん地面が迫ってきている。迫力があり過ぎて、涙が出そうだ。出た。
なんて思ってたら足、そして全身に衝撃と振動が響く。どうやら、着地成功できたようだ。危ない。
ばけちゃんも、着地できたようだね。
魔理沙、は、なんでそんなに高速落下し慣れてるのさ。怖いわ。
「ふぅ。着いたな」
ふと目の前を見るとそこには、命蓮寺とでかでかと書かれた門があった。
一歩間違えたらぶつかってたじゃないか。恐い。
「ここは、本当に命蓮寺なの?」
「ああ、そうだぜ、書いてあるじゃないか。って、なんで聞いた?」
「だって、鏡源郷の妖怪が...」
うん、門の中には鏡源郷での知り合いが沢山居るのだ。それも一人や二人ではない。百人には満たないが数十人いる。
あたしがいくら神とは言え、家の周辺の妖怪と出会わないわけがない。そしてあたしは人を覚えるのが得意なほうだ。え?美鈴さん?さあ。
だから、覚えるのが得意なあたしは、人を見間違える事もほとんど無いのだ。
「どうしてあんなに?」
「さあな」
恐る恐るといった感じであたしとばけちゃんは門に入って行く。一方、魔理沙はずかずかと中に入って行った。
「そうですか。鏡源郷の」
「ええ、はい」
「ということは、魔理沙さんとも戦ったんですか?弾幕で」
「そうですよ。それが何か?」
「魔理沙さん。こっちへ来なさい」
「げっ」
「げって何ですか。私ね、あの日の事はよぉーく覚えてるのよ」
「そ、そうなのか。なんかあったっけなぁ?」
「誤魔化すんじゃありません!あなた、星の宝塔を返したっきり、謝ってないんじゃないですか?」
今、話しているのは聖 白蓮さん。金と紫のグラデーションがかかっていて、とっても綺麗な髪の人だ。そしてこの寺の住職。
そして話に出てきたのが寅丸
ちなみに今の座席配置は、以下のようになっている。
聖
魔 星 あたし 化
つまり、短的に言うと、畢竟説教中だ。
「ほら、謝りなさい」
「なんだよ、返したから別にいいじゃないか」
「良くありません。盗られた直後、星は毘沙門天の代理であることに自信を無くしてしまったのですよ」
「おや、論争かい。聖」
襖を開けて入ってきたのはネズ耳、そして灰色の髪、真っ直ぐな尻尾の彼女だった。
「な、ナズーリン?そういうわけじゃありませんよ?」
「ところで、この可愛いお客さん二人は誰だい?」
「私は客に含まれないのか?酷くないか?」
「さあ。少なくとも家で物を盗んで行く人を客と呼ばないと思うが――それより、あの時君のせいで大分睡眠時間が削られたんだよ」
「ああ、だからあんなに目に隈ができていたのか。納得したぜ」
ナズーリンさんっていう方なのか。
話の内容から推測すると、魔理沙が命蓮寺に来た際に星さんの宝塔を盗み、それをナズーリンさんが頑張って探し当てた、と。盗みはだめだよ、魔理沙。
閑話休題
自己紹介も終え、魔理沙は聖さんから説教され、ナズーリンさんから愚痴を言われている。少し可哀想だ。
あたし達はと言うと、星さんとばけちゃんとで話していた。ちょっと先程抱いた疑問について問うてみた。
「それで、どうしてあんなに鏡源郷の妖怪達が...?」
「それはですね、まず、この寺の方針について説明しなければなりません」
ふむ。
「うちの寺、命蓮寺の方針は、『妖怪と人間が共存できる』ようにすることなんですよ。噛み砕いて言えば、『手を取り合える』そのような感じでしょうか」
「なるほど、どおりで。確かに、鏡源郷ではそのような考えを持っていても、それを公に言うの方は居ませんし。共感できるところもあるんでしょう」
「ろくちゃん、眠い」
おや、ばけちゃんにとっては子守歌をうたってしまったようだ。
「では、ここらへんで...」
「はい、じゃあ、いつでもいらしてくださいね」
それにしても、鏡源郷の妖怪があんなに入信していたとは。正直驚きだ。入信していた事に、ではなくその人数にだ。
あたし達は命蓮寺から飛んで去って行った。
そういえば神社に帰ってから気付いたのだけれど、魔理沙を寺に残したままだった。.........。
16日目、終了。
自由落下、でした。
魔理沙が命蓮寺で宝塔を盗んだという話、実は霊無鏡の其弍話の部分なんですよね。でも、そこには白玉楼や地霊殿はあるのに命蓮寺は書き忘れてたという。
この話を4分の3を書き終えたあたりでそこに気付きました。遅い。
最近文字数多めに書けて嬉しいです。2302。
いたずらをした妖怪達が、鏡源郷の主に捕まった、そんな感じの16日目でした。