「へぁぁ〜」
「起きた?ばけちゃん」
「うん。あれ?霊夢と幽々子の弾幕ごっこはどうなったの?」
来ました。久しぶりの『へぁー』頂きました。
違うそうじゃなくて。そう、お察しの通り、ばけちゃんはちょうど寝ているところを掻っ攫われたのだ。そして今の今まで起きてなかった。呑気なもんだ、とも言いたくなるが起きて紫さんを無駄に刺激しても危なかったかもしれないからこれで良かったのかも。
「あぁ、霊夢が勝ったんだけどね、でもその後――」
昨日、あったことを要点を纏めて説明した。ばけちゃんが紫さんによって誘拐されたこと。それを霊夢が全力でやめさせたこと。その後、能力で縁を繋ぎ直したこと。
「それで、紫さんがどうしてあんなことをしたのか、っていう理由なんだけど――」
「あら、ばけ。起きたの」
「あ、霊夢おはよう」
「昨日のこと、聞いた?」
「うん」
「そう。じゃあちょっとこっちの部屋に来なさい」
霊夢が現れ、ばけちゃんを例の部屋へ招く。あの紫さんがいる部屋に。
「霊夢」
「なによ、紫」
「ずっと正座って、酷くない?」
「たまには良いじゃない」
「それにしても、6時間寝ずにっていうのは如何なものかしら」
「良いじゃない、たまには」
部屋につくと、正座で、その上喋れるが動けないという器用な封印が施されている紫さんが居た。その目はもう、元の輝きを取り戻している。
「! ば、ばけさん。ごめんなさい」
「うん、いいよ」
「ゔぇ!?」
「え?」
早い。
「ばけさん、い、いいのかしら?」
「いいよって。だって、あたくしは何も覚えてないし。実際被害も無いわけでしょう?」
「ですって。ろくは?」
「あたしも、ばけちゃんがそう言うなら良いけど――」
ばけちゃんが何とも思っていないのなら、これ以上責めても何も起こらない。実は恨みは霊夢がボコった時に大体晴れてるし。
「ただし!ちょっと一言言わせてもらいますよ!」
「な、なにかしら」
「これからは、あたし達の邪魔をして来ないこと!いいですね?」
「わかったわ」
もう気が済んだ。
「あ、このあたくしにも言いたいことがあったわ。どうして、あんなことをしたの?いえ、そうじゃないわ。
どうして、霊夢に固執したの?」
うん、ばけちゃんは勘がいいね。紫さんが誘拐した理由は、霊夢を誘き寄せて弾幕ごっこをすること。それは、数日前の紫さんと霊夢の会話を思い出せばわかることだ。
だが、なぜそうまでして、霊夢にこだわるのか、そこが疑問になったのだ。
「.......れ....た.....ス......」
「え?」
「なんだかね、霊夢に退治されるとスッキリするのよ」
「なによそれ、そう言うとまるでアンタが欲求不満みたいじゃない」
「なっ、ちがっ、違うわよ!そうじゃなくて――」
と、いうことが昨日あった。
まぁこのあと特に内容の無い論争が続いたんだけどね。
「ばけ、ろく、ご飯できたわよー」
それはそれとして、今日は、なんと、あの霊夢が昼食を作ってくれたのだ。霊夢のご飯は幻想郷旅行1日目以来かな。
わかったわー、はーい、と返事してあたし達は夕食の準備をしに台所へ行った。
「さて、じゃあいただきます」
「いただきまーす」
「いただきますー」
ふむ、なんだこのメニューは。卵かけ御飯、ゆで卵(無添加)、卵焼き、目玉焼き、豆腐の卵とじ。
「なぁにこれ」
卵フルコースじゃないか。
「わたしの卵恐怖症を治療するためのリハビリ料理よ。付き合いなさい」
「しょ、精進料理じゃなくても、いいの?」
「いいのよ。時々紅魔館のパーティーとかでお肉食べてるし。あんまり好かないけど」
卵のトラウマを治すご飯がむしろあたし達に牙を向きそうになったのは秘密のお話だ。
ちなみに、のちに聞いた話だと霊夢はこれで元に戻れたらしい。なんて奴だ。
22日目、終了。
回想と22日目の比率がおかしいですね、すいません。
亡霊少女と半霊少女が、自分の家の桜でお花見をした、そんな感じの22日目でした。