0〜12時間 鏡源郷旅行
ここは鏡源郷。幻想郷と鏡写しの世界。
そこは、沢山の魑魅魍魎で賑わっていた。それも、幻想郷から来た者たちである。
さて、そんな者たちの一部、レミリア・スカーレットと、十六夜咲夜を覗いてみよう――
「咲夜、ついたわね」
「ええ、ここが鏡源郷ですか。地形が逆になっていても、あまり違和感は感じないものですね」
彼女らは二人で来ていた。他の者たちも、二人組で来ていることも少なくはない。ただ、他と違うのが、手鏡で鏡源郷に来たことだ。
通常、他の者は、鏡源郷と幻想郷の両方にリンクした位置に、大きな鏡が設置されている。利用料は無料だ。
だが、このレミリアは、スカーレット家の財産を費い、高額で八雲紫から買ったのだ。
その買い物が実に有意義な使い道であったと、思えるかどうかは彼女次第だが。
しかしどうやら早速、飽き始めているようであった。鏡源郷を一通り飛び回り、見回り、数時間が経ったある時、彼女はついに飽きてしまった。
「うわぁーん。咲夜ぁ、つまんないー」
これを、どこかの八岐大蛇の妖怪が聞いたら大激怒するだろうか。それはさておき、彼女は、無駄な買い物をしてしまった罪悪感と、見知らぬ場所での不安な気持ちも入り混じって、泣いてしまった。
そして、咲夜に抱きつき、わんわんと泣き出してしまった。
「はいはい。お嬢様、落ち着いてくださいね。帰りますか?」
レミリアは咲夜の胸にうずくまりながら頷く。まぁ、そういうこともあるだろう。いつの時代も、旅先で無駄な買い物をしてしまって帰ってから後悔するというのは、良くある事だ。彼女の場合は、すこしタイミングがずれているが。
何にせよ、紅い館の主と、その従者は手鏡を利用し、帰って行った。
さて時間を少し、巻き戻そう。
これはレミリア達が鏡源郷に移動したのとほぼ同時刻。同じく鏡源郷に来た人が居た。正しくは、蓬莱人だが。
そう、彼女の名は、蓬莱山 輝夜。
彼女も、自身の所有する財宝を一部売り、手鏡を買ったのであった。
「なんだがちょっと、見たことのあるような妖怪がばかりのような気がするわ」
まさか。気がするのではなく、実際その通りであるし、ちょっとでもない。
鏡源郷と幻想郷は、妖怪が入れ替わるようにしてなっていたのだ。
それも、レミリアが飽きる原因にもなっていたのだろう。
輝夜もだいたいのところを観光して、飽き始め、同じく無駄な買い物をした、と後悔し始めている時であった。
レミリアが、咲夜に抱きついているのを目撃してしまったのだ。なんてことだ、その事に嫉妬した彼女は、誰かに抱きつこうとする。だが肝心の、今、抱きつきたい相手はここにはいない。だから彼女は、獲物を探し始めるのであった。
そして見つけられた獲物はリグル・ナイトバグ。Gなどと揶揄される事がしばしばある、彼女である。
彼女は、背後からいきなり抱きつかれて、泣き疲れた輝夜はどこかに放っておいた。
気分を悪くした彼女は、一緒に来ていた風見幽花へと慰めにいってもらう。
「慰めてくれてありがとう!」
「うるさいわね」
目を逸らし、頬をぼんやりと染めながら幽花は返事をした。
慰めた幽花はむしろ自分が照れてしまい挙げ句の果てに照れ隠しでリグルに関節技をかける。
そして響く、絶叫。
「あぎゃあああああああ」
どこからかそれを聞きつけたチルノ、大妖精、ルーミア、ミスティア・ローレライ が あらわれた!
彼女たちは果敢に幽花に挑んでゆく。
「リグルのかたたたきは、わたがしがとる!」
まぁ、なす術なくあっさりやられてしまうのだが。
(彼女にとっては)雑魚な妖怪たちを蹴散らし、少し興醒めしてしまった幽花は鏡源郷を後にすることにした。
さて、ところ変わって輝夜である。意外にもあれから帰らずに留まっているようだ。
すると、彼女はライバルとも言える存在と出会った。藤原妹紅である。
いつものように、見かけると取っ組み合いの喧嘩が始まった。結果は妹紅の勝ち。
妹紅は大げさに両手を掲げ、ガッツポーズをし、88戦の44勝目をあげたのだった。
12時間分、終了。
あと12時間弱続きます。