静寂のなか、一人が口を開いた。
「何時見ても、綺麗ねぇ」
「そうですね。しかし二人だけというのが些か寂しいです」
「あら、そう。賑やかなのも良いけれど、静かなのも好きよ?私は。でも独りなのは、嫌」
二人は、
場所は冥界。さらに言えば白玉楼。の、庭。その広大な庭にはたった二人しか居ない。それは西行寺幽々子と、魂魄妖夢である。
妖夢は、花見は大人数派か少人数派か、はたまた独派かという問題に少しばかり哲学を混ぜたような話題に、これ以上付き合う気は無かったため、早々に話を切り替える。
「ところで、幽々子さま」
「何かしら」
妖夢は少しばかり姿勢を正し、幽々子に向き直る。その視線はいかにも真剣そのものだ。
「先日、紫様が化怪化ヶさんを誘拐した件は...」
「あぁ、私は無事、霊夢が解決したって聞いてるけど」
先日、正確に言うと二日前、鏡源郷の妖怪・化怪化ヶは八雲紫によって誘拐された。事件は前述の通り博麗霊夢によって解決したわけだが、妖夢にはひとつ、気にかかる事があった。
「ええ。でも、よろしかったのでしょうか、ばけさんとろくさんは」
「というと?」
「あんな簡単に紫様を赦してしまって、よろしかったのでしょうか。ろくさんはばけさんが誘拐されたと知った時、とても怒っているように見えました」
ちなみにだが、後日配られる文々。新聞を見て、妖夢は納得することになる。
「さあねぇ。でも、ばけちゃんは簡単に赦してしまいそうよね」
「それもそうですね」
くすりと笑う二人。周囲に人影は無い。が、突如として二人の付近にスキマが開き、件の犯人、八雲紫が現れた。
「あら、お花見?私も混ぜてくれるかしら?」
「噂をすれば....ね。いいけど、この前の事、聞かせてくれらいかしら」
「それは、私も興味があるので、是非」
普通の人であれば、もしくは異常な人間、普通の妖怪であったら、この場面に遭遇した場合断る道は無い。
が、紫は一味違った。
紫にもプライドというものがある。例の事件は自分は満足したものの、負け戦には変わらない。酒の席で黒歴史を語ってたまるか、と返事をせずしゅっとスキマの中に消えてしまった。
「あっ、逃してしまったわ」
「いい肴になりそうだったんですけどね」
冥界の、白玉楼の庭には、再び静寂が広がった。満開の桜の木の下の、二人の静かな呑みの席はまだ続く。
余談だが、驚くべき思考回路で瞬く間に姿を消した紫だが、前述の通り新聞は配られるため無駄な足掻きと成ってしまった。
影ながら応援していた作者さんの小説に感想がついてご機嫌な、ロールメです。妬ましい。いや羨ましいw
あとどのくらい番外が続くのでしょうか。検討もつきません。次話にはあっさり次の章に行っていたり、なんてのもありえますw
まぁ、次話も待っていただければ、至極嬉しゅうござりまする。