とある日の、あたしの神社の日常だ。いつも通りの、何てことのない日々のほんのひとかけらの話。
ここは鏡源郷の、来上神社。あたしが住み、そしてあたし自身を祀る神社なのだ。
ちなみに巫女はこの神社には居ないため、境内の掃除も自分でやらなければならない。
ふむ、しかし面倒だ。大量に降る雪を除けなければいけなく、しかも少し雨を含んでいるので重たい。これはキツイぞ。まぁ、それでも慣れた手つきでさっさと終わらせる。この季節もあと少しで終わるはずだ。そしたら、春が来る。
春が来れば、ばけちゃんと花見にでも行こうか、いっそ弁当なんか持ってピクニックも良いかも。
と、外の寒さから逃れ、コタツで暖を取り戻そうとしている時であった。
――ちゃりん、
――がらがらがら。
参拝客だ。ここでは季節の巡りも早いため、初詣は24回に一度の『初冬』と呼ばれる時期に行われる。が、生憎今は初冬ではない。今はたしか『十七冬《かなふゆ》』だった気がする。
初詣でも無いのに、こんな雪の中訪れるなんて、珍しいなぁと思いながらおもてに行って様子を見てみると、よく参拝に来る人里のお婆さんだ。
お婆さんは、夫が死んでなお心は繋がり続けたいという願いから、この神社に訪れるそうだ。
あたしもさすがに、死者と生者の縁を結ぶことはできないけど、お婆さんの話し相手くらいにはなれる。
だからお婆さんが参拝に来るたびにあたしは会話を楽しみにしているのだ。勿論お婆さんも楽しみにしてくれているようだった。
「この前あげた茶葉はどうかね」
「美味しかったですよ、香りも好くて、あっさり飲めますし」
「そりゃぁ、良かった」
がっはっは、と大きく笑うお婆ちゃん。
お婆ちゃんは時々、あたしにお土産をくれるのだ。お菓子とか、お菓子とか、時々茶葉とか。あ、あと果物とか。お賽銭だけでもう充分なのだが、孫を可愛がるように色々くれるのだ。これは断り辛いだろう。まぁ、ということでお茶菓子には困らない日々ですよ。
ひとしきり笑ったお婆ちゃんは、よっこらと立ち上がり、じゃあそろそろ往くね、と立ち去って行く。あたしはそれを見送った。
お元気そうで何より。これからもお幸せに。
さて、こたつに入って先ほどお婆ちゃんから貰ったみかんを食べながらコタツで惰眠でも貪るか、と寛ぎ始めた頃である。
――こんこん。
またもや来客である。今度は裏口、ということはつまり友人だ。友人や知り合いには、あたしに直接用事がある場合には裏口から入るように言ってある。
何も知らずにあたしは裏口の方へと向かって行く。
そのドアの向こうに、ばけちゃんが居る事も知らずに。
この友人――親友との会話で、幻想郷に行くことになることも知らずに。
本編中にろくちゃんが能力を使うシーンがほとんど無かったような気がするため書きたくなりました。まぁ、と言ってもここでも使わなかったですけどねw
さて、恐らくこれで番外は終わりです。
そして次は、後日談ですぞ。たぶん。