一色いろはと家庭教師   作:煌弥

1 / 21
⚠番外編です。初めて読む方は先に本編を読まれることを強く推奨します。

今回はリクエストしていただいた家庭教師の八幡視点です。
べ、別に本編のネタが浮かばなくて書けなかったとかではないですよ?




一色いろはと家庭教師【番外編】
家庭教師一日目 ~八幡side~ 前編


「どうも、イッシキさんの家庭教師を担当することになりました、比企谷です......どうも、イッシキさんの.......」ブツブツ

 

俺は今、自己紹介の確認をしている。

何故かというと、クソ親父が振り込み金を大幅に減額したせいで非常に遺憾ながら働かざるを得なくなった俺は、バイトとして「家庭教師」を選んだのである。

今は俺が担当することになった生徒、「イッシキさん」の家に向かっている途中だ。

「イッシキさん」の家についたらまず、自己紹介をしなくてはならないのだが、コミュ障の俺が自己紹介をするには、こうして予め文を作っておいてそれを言えばいいのだ。

我ながら完璧すぎる作戦だ。

これなら失敗する訳がない。

 

道行く人たちは不審者を見る目でこちらを見てくる。

まあ目が腐ってるやつがなにかブツブツ言ってたら完全に不審者ですよね。

向こうでこっちをチラチラ見ながら電話をしてる人は、警察に電話してる訳じゃないよね?

大丈夫だよね?

 

 

スマホとにらめっこしながら歩くこと十数分、

 

「...ここか」

 

スマホを確認しても、ここで間違いなさそうだ。

よし、イッシキさんの家であってるな。

それじゃあさっそく...

 

.............

 

もうやだ八幡帰りたい。

いや無理でしょ?

まだ会ったことない人の家インターホンを押すとか、知り合いの家のインターホンを押したこともほとんどないボッチオブボッチの俺が出きるわけねぇだろ....

 

ボッチの俺にも出来そうな仕事ということで選んだ家庭教師だが、もう始まる前から終わってるよ....始まってないのに終わってるのかよ。

 

あー、バックレたい....

でもそれすると本部の人に迷惑をかけるからな.....

せめてギリギリまで自己紹介の確認をして緊張を誤魔化そうそうしよう。

 

そう思って時間を確認すると、

 

「もう時間じゃねぇか!?」

 

くっそ、もうなるようになれ。

 

『ピンポーン』

 

インターホン押しちゃったよ....

どうすんだよこれ、とりあえず扉が開いたら自己紹介をするだろ....

え、そのあとどうすればいいんだ?

ふぇぇ、八幡わからないよぅ...

って現実逃避してる場合じゃねぇ、なにか考えないと.....

 

しかし、現実は考える時間を与えてくれなかった。

 

扉の向こうで物音がしたかと思うと、その扉が開かれた。

 

「い、いらっひゃい」

 

やばい話しかけられた、こうなったらさっきまで練習してきた自己紹介の成果を見せてやるぜ!!

 

「ど、どどど、どうも、え、えっと...イッシキさんのか、きゃてい教師を担当することになりました....比企谷です。」

 

...俺はもう二度と自己紹介をしない人生を歩もう.....

 

「え!?」

 

「ファッ!?」

 

え、なにこの子急に大きな声出して。

めっちゃ変な声でちゃったじゃねぇか。

今頃の家庭教師って自由に先生をチェンジできるみたいだからこれはチェンジルートまっしぐらですねわかります。

 

「せ、せんぱい...?」

 

「え?」

 

俺さっきちゃんと比企谷って言ったよね?

せんぱいなんて名前じゃないよ?

ん? せんぱい? 先輩?

 

ここにきてようやく俺を出迎えた人の顔を確認した。

肩ほどの長さの髪はゆるくウェーブがかかっていて、綺麗な亜麻色をしている。

そしてその目は驚きと戸惑いで揺らいでいて....ん?

 

「...ってお前一色じゃねぇか。何でこんなところに。」

 

「だ、だってここ、私の家ですもん」

 

「は?」

 

いやだってこの家はイッシキさんの家で...一色?

 

「...って俺が担当する生徒の名前って一色じゃねぇか。」

 

「さっき自分で言ってましたよ?」

 

「そりゃお前、コミュ障の俺が初対面の人の家に行くとか無理に決まってんだろ。頭がまっ白になって、何も考えられなくなるに決まってるだろうが。」

 

「いや、そんな自慢気に自慢するようなことではないことを言われましても...」

 

俺はボッチに誇りをもっているから自慢するようなことなんだよ。

 

「え、えと、あの...」

 

一色は突然の出来事に状況をうまくのみ込めてないのか、あわあわしている。

まるで小動物を見てるようだ。

 

そういう俺も状況をうまくのみ込めずに呆然としていた。

 

「お二人さんがとってもが仲良しなのはよぉくわかったけど...そろそろ説明してもらってもいいかしら?」

 

緊張と驚きで、一色の後ろに人がいたのに気がついていなかった俺は、少し驚いてその人を見た。

 

一色よりも長めの亜麻色の髪を一つに纏め、左肩から前に流した綺麗な人だ。

きっと一色の母さんだろう。

 

いろはすのママだからママはすと呼ぼう。

ママはすは俺と目が合うとにこりと微笑み、そして少しだけ横に移動し、俺から見てちょうど一色と重なったところで

 

「比企谷君とはどういう関係なの? いろはちゃん?」

 

そのとき、一色の肩がビクッとしたが、ママはすの表情は一色に隠れて見えなかった。

 

 

※ ※ ※

 

 

俺たちは今、ママはすに連れられてリビングにいた。

そこで俺と一色はかりた猫のように大人しくなり、ママはすの質問にただ答えていた。

この人の第一印象は「とても落ち着いた綺麗な人」だったが、この数分でそれが間違いだということがわかった。

俺や一色に質問するときには目をキラキラと輝かせてとても楽しそうにきいてくる。

その姿はまるで幼い子供のようだった。

 

「そうだったのー。比企谷君は高校時代、ずっといろはの生徒会のサポートをしてくれていたのね。それはどうも、娘がお世話になりました。」

 

「い、いえ....生徒会をすすめたのは自分ですので。」

 

ママはすはずっと笑顔でこちらを見ながら話しかけてくる。

やめてっ!! そんなに綺麗な人が純粋な笑顔で俺を見ないでっ!!

 

「あ、何かにお飲み物とお菓子を用意しますね。いろはも手伝いなさい。」

 

そういってママはすは一色をつれてリビングを出ていった。

ふぅ、やっと一息つけるぜ....

 

一人になったことでようやく落ち着いた俺は、頭の中でこれからやらなければいけないことを考える。

....よし、システムの説明はこれで落ち着いてできそうだ。

 

しばらくすると、ママはすと一色が飲み物とお菓子を持ってきた。

それからシステムの説明をすること十数分...

 

「えっと...話は以上となります。さっそく授業を始めようと思いますが...どこでやりますか?」

 

「あ、それならいろはの部屋でお願いします。」

 

「え!? 昨日話し合ったときは確かりb 「いろはの部屋は二階ですので案内しますね♪」ってちょっとお母さん!?」

 

「あ、あの...娘さんが何か言ってますけど。」

 

「気にしないでください。」

 

「え、でも」

 

「気にしないでください。」ニッコリ

 

「...はい」

 

笑顔のうらに、何かよくわからないは迫力を感じた。

俺はどこか疲れたような顔をした一色と二人でママはすについていくことしかてできなかった。




少し短めですがキリがいいので今回はここまでです(`・ω・´)
いろはすの霊圧が弱かったですねw
次回はあの2828回なのでもっといろはすがでてくると思います!!

この話は読者の方のリクエストからうまれました!!
リクエストは感想でもメッセージでもいいので遠慮なくください(´∀`)
リクエスト全てに応えることはできないかもしれませんが、できる限り応えたいと思います!!

ではでは、感想をお待ちしています(´∀`)

次回は明日か明後日にはあげたいのですが、書く時間があるか微妙なので遅れるかもです。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。