一色いろはと家庭教師 作:煌弥
さらに、ルーキー日間ランニングでは2位に!!
これも皆さんのおかげです(´∀`)
これからもよろしくお願いします!!
「じゃあ指定したところを次までにやっておけよ。あと英単語のテストもするからな」
「はーい!!」
「本日はどうもありがとうございました。またよろしくお願いします。」
「いえいえ、こちらこそご馳走さまでした。」
私とお母さんは今、先輩の見送りをしている。
寂しいけど、これから週に二、三回は家に来るのだと思うと、とても嬉しくなる。
「では、二日後にまた来ます。お邪魔しました。」
そう言って歩いていく先輩の背中を見えなくなるまで眺めていた。
先輩が帰った後に、私は授業の復習をさっとやって英単語帳を開いた。
昨日までは辛かった地道な単語の暗記も、ちゃんと覚えたら先輩に誉めてもらえると思うとやる気がでてくる。
モチベーションって大事。
そして、久々にすっきりとした気分でベッドに入った。
高校の時、こっそり取った先輩の写真を見て幸せな気持ちになる。
今日はいい夢が見られそうだ。
※ ※ ※
次の日、いつもよりすっきりと目覚めた私は一通り身仕度をした後、いつもより早く学校に向かった。
そして誰もいない教室で黙々と勉強する。
誰もいない教室はかなり集中して勉強できる。
しばらくするとパラパラと人が来はじめた。
前は男子とかが話しかけてきたけど、勉強のしたい私が若干不機嫌に対応し続けたら声をかけてこなくなった。
「おはよーいろは。今日もやってるねー」
「おはよー。うわー、毎朝ご苦労なことで。」
「あ、二人ともおはよー!!」
遥と綾音も学校に来たようだ。
この二人とは男子と違い笑顔で話す。
友達だからね。
男子は....うん、その話はおいておこう。
そして私の朝の勉強時間はこの二人が来た時点で終了だ。
最初は二人とも気にせず続けるように言ってきたが、私が二人との時間も大切にしたいことを伝え、このルールができた。
伝えたときに遥が感激して私を思いっきり抱き締めてもみくちゃにされたのはいい思い出だ。
「あれ? いろはなんかいつもより元気いい?」
「え、そう?」
「うん。前は勉強を義務感でやってた感じだったけど、さっきはなんか楽しそうだったよ。」
す、鋭い....
「そういえばいろは、昨日初の家庭教師だったよね?」
あ、綾音?
「もしかして、その時になにかあったんでしょ!!」
鋭すぎぃ!?
「え、いや、何もなかったよ。」
「「嘘だ」」
くっ、付き合いが長いから簡単にはごまかせない...!!
「本当に何もないんだってばー」
「いろは知ってる? あんた嘘つくときにやる癖があるの」
「え、嘘!?」
な、なんだって!?
「そういう反応したってことはやっぱりなんかあったな!! あ、ちなみに嘘つくときの癖とかないから。」
騙された!?
遥汚い!! 騙すなんて汚い!!
「ほれほれ、何があったのか言ってみ?」
「言ってみ言ってみ?」
「...あ!! 一限目教室移動だよ!! 早く行こっ!!」
「あ、誤魔化した。」
「まあ楽しみは昼休みにとっておきますか!!」
どうやら私は、昼休みに全て吐かされるらしい。
※ ※ ※
「さて綾音さん、昼休みですな?」
「昼休みですね遥さん。」
「「お楽しみタイムだっ!!」」
お母さんといいこの二人といい、いい性格してるな...本当に...。
「え、えっと、さっき平塚先生に呼ばれてて...」
「私達朝からずっと一緒だったよね?」
「ぁぅ...」
「もう諦めて全部話しちゃいなよ!!」
どうあがいても誤魔化せそうにない。
まあこの二人になら話してもいいか....。
それから私は昨日来た家庭教師が比企谷先輩だったことを二人に話した。
「比企谷先輩って確かいろはの生徒会をよく手伝ってた目が腐ってる先輩ですよね綾音さん?」
「えぇそうね遥さん。」
さっきからこの話し方はなんなんだ...。
とりあえず私をからかいたいのだというのは良く伝わってくる。
「ふむ...前々から怪しいとは思ってたけど、いろはもしかしてその先輩のこと好きなんでしょ?」
「「「ガタッ」」」
周りの男子の席から音がしたように感じるけど気のせいだろう。
「え? え?」
「なるほど、葉山先輩は隠れ蓑だったと。」
「え、ちょっ、」
「「なにこの展開めっちゃ面白い!!」」
あぁ....
家ではお母さんにからかわれ学校ではこの二人にからかわれるのか....
私の安息はもはや先輩の隣にしかないのか。
その後、周りの目とかもあるので二人に別の場所に連れ去られてから全て吐かされた。
いつかこの二人の恋バナとかあったら全力で仕返しをしよう。
私達三人が教室に戻ってくると男子がチラチラとこちらを見ているような気がしたが、私はもうぐったりしていたから気にする暇がなかった。
遥と綾音の二人はとてもツヤツヤしていた。
※ ※ ※
そして放課後になった。
「いろはごめんって元気だしてよ!!」
「さすがに調子のりすぎたから反省してるって。」
「....もう」
今日は塾がないらしい遥も一緒に帰っている。
「いやー、それにしても比企谷先輩かー。」
「確かあの人って一時期すごく嫌われてなかった?」
「先輩はすぐに自分を犠牲にして他の人を助けようとするんだー。きっとあのときも何から理由があったんだと思う。」
「へぇー、比企谷先輩ってそんな人なんだー。」
この二人は周りの評価にあまり流されない。
そういうところが私はすごいと思うし、この二人と友達でよかったと思える。
「いろはこれから大変かもねー。」
「え、なんで?」
「気がつかなかった? いろはの好きな人とかそういう話になったとき周りの男子がすごく反応してたよ?」
「え、うそ!?」
まったく気がつかなかった。
いや、よく思い出してみれば確かにあのとき音がしたような...
「きっと今日中に男子でいろはに好きな人がいるって広まるよ。」
「そして明日からその噂が本当か確かめにきたり、一気に告白してきたりする人もいるかもねー。」
「うわー....」
葉山先輩と雪ノ下先輩が付き合っているという噂が流れた時のようだ。
確かに、私は女子はともかく男子にはかなり好かれているのでそういうことになりそう...。
「まあこれもモテる女の宿命ってことで。」
「私達もそれとなく男子を牽制しておくからさ。」
「ありがとう...」
この二人はたまに調子に乗りすぎるが友達思いなのだ。
そうして駅に着き、二人と別れた。
電車の中で明日のことを考えると若干鬱になる。
だが、明日の放課後は先輩が家に来る。
それを楽しみにして、明日を乗り越えようと気合いをいれたのだった。
※ ※ ※
翌日、結論からいうと、すごかった。
私は最近は勉強するために一限目が始まる一時間半前には学校にいるのだが、何人かの男子はそれよりも早く学校に来て私を待っていた。
最初は愛想よくやんわりと断っていたのだが、朝早くから来る人は気合いが違うらしく、とてもしつこかった。
なので私もだんだんイライラしてきたところで、この事態を予測してた綾音と遥が学校に到着し、男子たちを追い払った。
その後二人が周りを牽制していたためか朝は平和だった。
しかし、昼休みに男子の団体に呼び出されたのだが、これも綾音と遥の二人がそれはもう上手く対応してくれた。
持つべきものは親友なのだとこのときは本気で思った。
たまに調子に乗るけど。
そして驚いたのが、女子からも呼び出されたことだ。
なんでも、その子が好きな男の子に告白したところ断られたようだ。
そしてその後、その男の子がほかの男子と真剣に私の噂について話していているのをみかけ、私のことが好きだということに気がついたとのことらしい。
私からすればそれを聞かされても 「え、それで?」って感じなのだが、その子からすれば大問題らしい。
しかも最後は泣き出してしまい、その子の付き添い (女子はこういう話の時大抵は一人じゃない) が私が悪いなどと責めてきた。
そこで遥がぶちギレたのを、私と綾音で宥めるというよくわからない状況に発展した。
「ほんと、すごい一日だった....」
「そうだね....」
私は今、綾音と二人で下校中だ。
遥は塾でいない。
遥は今日の女子の件で正義感がうまれたらしく、私達と別れるときに
「いろはのことは私が守るからね!!」
と言っていた。
ほんと、素直でいい子だと思う。
たまに調子に乗るけど。
「今日ほど二人がいて良かったって思った日はないよ...。本当にありがとう!!」
「どういたしまして。でもこの騒動、きっともう少し続くよ? いろは二年間も生徒会長やってめちゃくちゃ有名だからね。」
「勘弁してよ...。」
そして駅に着き、綾音と別れた。
後は家に帰って先輩の授業を受けるだけだ。
自然と口元がゆるんでくる。
私はお母さんに見つからない程度に先輩に甘えることにした。
「「お楽しみタイムだっ!!」」←気に入った
この話を書いての感想「ママはす、ほとんどでてこなかったなぁ...」
遥と綾音といろはで会話をすると、遥と綾音のどっちの言葉なのかが読み返してて分かりにくく感じました(-_-;)
イメージとしては、遥は元気な方で綾音は落ち着いている方です。
しかし、いろはをからかうときは二人ともテンションが高いのでもはや判別不能です(-_-;)
こういうところもしっかりと使い分けられる人が人気作品を生むんでしょうが、生憎自分にはそんな高等テクニックがつかえませんでした。
皆さんの好きなように判断してくださいw
次回は家庭教師二日目です!!
19日の21時に投稿しようかと思っています。
感想やアドバイスをお待ちしています!!