一色いろはと家庭教師   作:煌弥

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家庭教師二日目です(´∀`)

これを三日目、四日目と真面目にやっていくとネタもなくなるし長くなると思うので、もしかしたら「~ヶ月後」みたいになるかもです。

そしてふと週間ランキングをみたらなんと16位に!!
これも皆さんのおかげです!!
ありがとうございます!!!








家に帰った私はすぐにお風呂に入った。

授業のときは先輩との距離がすごく近くなるから、汗を流しておきたかったのだ。

後は先輩の授業を受けるだけか.....

 

「~♪」

 

自分でも気がつかないうちにお風呂の中で鼻歌を歌っていた。

あぁ、早く先輩に会いたいなぁ...

 

 

お風呂から出てきた上機嫌の私を見てお母さんはニヤニヤしていた。

 

「...何?」

 

「べっつにー?」

 

くっ、その「全部わかってますよー」みたいな笑顔が腹立たしい...!!

もうあの人のことはほうっておこう。

完璧にはしてあるけど、一応先輩が来る前に英単語を見直しておこうっと。

 

 

※ ※ ※

 

 

今の時刻は16時15分。

そして先輩が来るのが16時30分。

リビングにおりてきた私はそわそわして、窓に寄って外を確認してソファーに戻るを繰り返していた。

お母さんはそれをみてまたニヤニヤしている。

 

「...何?」

 

「いろはちゃん可愛いなぁって!!」

 

「もう!! お母さんはあっちいってて!!」

 

「え、ここリビングなのに追い出されちゃうの!?」

 

向こうの方で「うぅ、いろはちゃん酷い...。これが反抗期ね...。」などと馬鹿なことを言いながら嘘泣きをしているお母さんは意識しないようにした。

それよりも先輩早く来ないかなー?

 

私はまた窓に寄っては、外を確認する。

お母さんはまだ「およよ」とわざとらしい嘘泣きをしては、こちらをチラチラと見てくる。

これは反応したら負けなやつだ。

無視しよう。

 

外に先輩がいないのを確認した私は、キッチンに飲み物を取りに行った。

そしてリビングに戻ってきたら、私にスルーされたお母さんが拗ねていた。

子供かこの人は....

拗ねたお母さんの相手を適当にしながら時間を潰して、もう一度外を確認した。

 

「いた!!」

 

向こうの方から先輩が歩いてくるのが見えた。

急いで玄関まで走り、ドアノブに手をかけたところで気がついた。

 

インターホン鳴らしてないのに玄関が開くのっておかしくない?

どんだけ張り切ってんだよって思われるよね?

張り切ってるんだけど。

 

そう考えた私は玄関を開けられなくなり、扉の前でじっとインターホンが鳴らされるのを待った。

懲りない誰かさんが、こっちを見て笑うのを必死に堪えてるけど知らない。

あ、吹き出した。

そして待つこと数十秒。

 

『ピンp...』

 

「先輩いらっしゃい!!!」ガチャッ

 

「うお!? びっくりしたわ、インターホン押してから出るまで早すぎない?」

 

しまったぁぁぁぁあああ!?!?

インターホンを押した瞬間に玄関が開いたらそりゃびっくりするよね!?

これじゃあインターホンが鳴るまで、玄関を開けないようにした意味がなくなっちゃうじゃん.....

 

「た、たまたまです!! たまたま郵便が届いてないか確認しようとして玄関に来たところだったんです!!」

 

「お、おう、そうか。」

 

先輩は私のあまりの必死さに少し引いていた....

そして私の後ろでは、先輩から見えないように移動した誰かさんが大爆笑していた。

 

....後で何か仕返しをしよう。

 

 

※ ※ ※

 

 

玄関でのことを何とか誤魔化した私は、そのあとすぐに先輩を部屋まで案内して、授業を開始した。

集中して勉強に取り組むこと四十分

 

「よし、ちょうどキリがいいし、時間も調度いいから、英単語のテストをやるか。」

 

きたっ!!

 

「はい!! やりましょう!!!」

 

「え、何でそんなに嬉しそうなの? テストだぞ?」

 

「いえ、別に嬉しそうではないですよー?」

 

「いや...まあいいか。じゃあ俺が単語帳に書いてある範囲内の英文の訳を適当に読み上げるから、お前はそれを英語にしてくれ。」

 

「了解でーす!!」

 

テストとは何て素晴らしいんだろう?

だって、これでいい点を取れば先輩に誉めてもらえるんですよ!?

私はそのためにこの二日間、空いてる時間があれば英単語帳を開いていた。

そして今では、先輩に指定された英単語帳の範囲内のところを、英文から説明文まで一語一句全て暗記してしまった。

人間って案外やればできるものだ。

 

そして....

 

「満点...だと.....?」

 

「当然です!!」

 

そりゃ全部覚えてますから!!

 

「二日前に授業をやったときに、お前が苦手そうな単語をそれとなくチェックしたんだけどな....。お前、この間も言ったけど思ったより頭いいのな。」

 

「いや、だからそれ失礼じゃないですか? そんなことより、満点ですよ満点!!」

 

「そうだな。」

 

「誉めてください!!!」

 

「自分からねだんのかよ...。まぁ、よくやったんじゃないか?」

 

うーん、誉めてるといえば誉めてるんですけど....

 

「もう一声!!」

 

「もう一声ってなんだよ...。まぁ、頑張ったな。お疲れさん。」

 

そう言って先輩は私の頭を撫ではじめた。

え? え、え??

 

「...ふぇ?」

 

「あ、すまん、つい小町の時の癖で...」

 

先輩は申し訳なさそうにそう言うと頭から手を離そうとした。

 

「だめ!!」

 

私は無意識のうちに手を伸ばして、先輩の手を抑えていた。

 

「え?」

 

「あ、え、えぇっと....い、嫌じゃないですから、もっと撫でてください...。」

 

「お、おう」

 

先輩は恐る恐る、私の頭を撫でるのを再開した。

 

なでなでなでなでなでなで....

あ、これやばい。

気持ちよすぎる...。

何と言うか、頭もそうだけど、心が暖まって精神的にすごく気持ちいい。

 

「.....」

 

「.....」

 

お互い無言です。

どうしよう、やめるタイミングを見つけられない。

というかやめてほしくない。

 

時間感覚が麻痺してしまったが、たぶん数分ぐらい撫でられただろうか?

先輩もタイミングが見つけられないのか、何も言わないで撫で続けている。

本当にこのままずっと撫でられ続けるんじゃないかと、そう思ったとき

 

「失礼しまーす。比企谷君は今日も夕飯たべて...い....く.....?」

 

三人とも凍りついた。

 

時計を見ると授業が始まってから一時間経っている。

休憩中だと思って入ってきたのだろう。

 

「.....お邪魔みたいだから出直してきまーす...。」

 

お母さんはそう言って部屋からでていった。

お母さんもさすがに、今回はからかわずに気まずそうにしていた。

 

「.....」

 

「.....」

 

すっごく気まずい。

お母さん、何てタイミングで入ってくるの.....

 

「あ、えぇっと、先輩....その.....夕飯、どうします?」

 

「え? あ、いや、どうしようかな?」

 

「た、多分、食べていってもらった方が、お母さんも喜びますよ?」

 

「そ、そうか、じゃあご馳走になるかな。」

 

「じゃ、じゃあお母さんに伝えてきます。」

 

そう言って私は部屋からでた。

そしてリビングにいくと...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何で扉を少しだけ開けて覗かなかったの私!! とってもいいシーンを見逃しちゃったじゃない私っ!!!」

 

......。

 

ほんっと、この人はぶれないな....。

部屋から出ていくときに気まずそうに見えたのも、あれは後悔している表情だったか...。

 

先輩が来たときの玄関での仕返しも含め、私はティッシュの箱でお母さんの頭をはたいた。

あ、すごくいい音がなった。

 

「痛っ!? え、何!? 今の何!?」

 

「お母さん、今度から部屋は入るときはノックしてね? あと覗くの禁止。」

 

「えぇー、というかさっきの何? 結構痛かったんだけど...。」

 

「えぇーじゃなくてマナーとして当たり前だから!! まったく...あと先輩、夕飯食べていくって。」

 

「あ、そうなの? じゃあ気合いいれて作らなきゃね!! ところでさっきのはいったい...」

 

私はお母さんが言い切る前にリビングをでた。

なんで母親と話をする方が勉強するより疲れるんだろうか...?

 

 

※ ※ ※

 

 

あの後部屋に戻り、少し気まずい雰囲気の休み時間を終えた後、授業を再開した。

後半は古典の授業だ。

私は古典が苦手だから、英語の時よりも先輩に質問し、あっという間に一時間が過ぎた。

 

「うし、今日はここまでだな。」

 

「終わったー!!」

 

私は机に突っ伏した。

あ、ひんやりして気持ちいいー

 

「じゃあ今度までやってくるのは、ここから.....ここまでな。あと英語は...」

 

先輩が次回までの宿題を考えている。

先輩の悩んでいる横顔を眺めてると幸せな気持ちになった。

口元がゆるんでくる。

 

「...ここまでだな。次回までにやっておけよ。ってなんで笑ってんだよ」

 

「別に笑ってなんてないですよー♪ そろそろ夕飯もできる頃だと思うので下に行きましょー!!」

 

そう言って先輩の手を引っ張りながら部屋を出る。

 

「いや、お前手を離せよ...」

 

「あれー? 先輩もしかして恥ずかしいんですかー??」

 

「はぁ....お前これお前のお母さんに見られたらどうすんだよ...」

 

た、確かにそれはめんどくさそう.....

私は渋々先輩の手を離した。

 

リビングに行くともう夕飯は出来ていた。

 

 

※ ※ ※

 

 

それから三人で楽しく夕飯を食べ、先輩が帰る時間になった。

 

「夕飯ご馳走さまでした。」

 

「お粗末様でした。これからも遠慮なく夕飯食べていってね♪」

 

「え、いやさすがにそれは...」

 

「いいのいいの!! うちは子供がいろは一人だから、比企谷君がいると息子がいるみたいで楽しいのよ!!」

 

「そ、そうですか。じゃあ...よろしくお願いします。」

 

先輩はお母さんの勢いに若干押されていた。

 

「いろはも嬉しいだろうしねー!!」

 

「余計なことは言わないで!!」

 

「本当のことでしょうが」

 

「もう!!」

 

「あ、あはは。じゃあ俺はこれで失礼します。」

 

「はい、またよろしくお願いします。」

 

「先輩さようならー!!」

 

今日も歩いていく先輩の背中を、見えなくなるまで眺めていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...健気ねぇ」ニヤニヤ

 

「...うるさい」

 

 

 




ママはす「いろはちゃん可愛いなぁって」
あなたの方が、可愛いです(´∀`)
と思ったけど撫でられた時のいろはもかわいい(*´∇`*)

次の更新は二日後の21日の予定ですが、怠けててまだ何もかいてないのでもしかしたら遅れるかもです。

では、感想やアドバイスをお待ちしています!!

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